「TVで観戦するには最高。しかし僕ら選手には辛いステージだった」と勝利とマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は激戦を振り返る。共に逃げたファンアールトについて語るシモンズなど、ツール6日目を終えた選手たちの言葉を紹介します。



区間優勝&マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ライバル勢を一蹴し、フィニッシュラインに飛び込むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ライバル勢を一蹴し、フィニッシュラインに飛び込むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
レース直後インタビュー

山岳ステージが始まる明日を前にマイヨジョーヌを獲得できて嬉しいよ。でもここからはこのジャージを守らなければならない。マイヨジョーヌによってチームの士気は高まるし、このジャージを着たくない選手はいないよ。明日からは誇りと笑顔と共に走りたい。

自分の脚に自信があったし、何よりチームが僕を信頼してくれた。フィニッシュ手前まで牽引してくれたチームの皆が「今日は君の日だ、勝てるぞ」と励ましてくれた。その身を犠牲にサポートしてくれた仲間たちに勝利で報いることができて嬉しいよ。

明日は麓から頂上までフルガスで行かなければならないステージになるだろう。計算の立たない登りではあるが、激坂区間もあるため考えて登らないとすぐに脚が終わってしまうだろう。残り1kmまでのコースを知っていることは安心材料だし、開幕から今日までのような脚が明日もあるといいね。グラベルでパンクの不安はあるものの、勝負を決めるのは登る脚があるかどうか。その脚を持つ選手が先頭で山頂にフィニッシュする。

マイヨジョーヌを手に入れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)マイヨジョーヌを手に入れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto AYANO
表彰式後インタビュー

スタート直後から過去最高にクレイジーな展開だった。そしてプロトンの中でも最強と呼べる3人が飛び出した。チームは「今日は勝利が狙えるから牽引しよう」と、僕の勝利を信じて協力してくれた。だからこそ、この勝利が本当に嬉しいんだ。

今日はTVの前で観戦するには楽しいステージだったが、走る側としてはとても厳しいレースだった。距離の長いステージは退屈と言われるが、今日はそんな瞬間のない慌ただしい1日だった。チームの働きも含め素晴らしいステージとなった。

明日は良い思い出のあるコース。そこでまた良い思い出を作りたい。ジュニアからU23のカテゴリーに移行してから毎年自分の成長を感じている。出力値自体は変わっていないものの、年々走りに自信が深まっている。

区間2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

好位置で最終盤を迎えたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)好位置で最終盤を迎えたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
やれることを全てやった結果の2位だ。最後は苦しい戦いだったが、自分を信じて勝利を目指した。タデイの背後につくべきだと思っていたが、少しタイミングが早すぎると思い、またピドコックが割って入ってきたので彼に譲った。しかしピドコックはついていけず、タデイと集団の間に大きな差ができてしまったんだ。必死に追走したが時既に遅し。悔しいよ。

区間5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)

慌ただしく高速、そして何より難しいステージだった。脚の感覚は良く、5位は明日以降のステージへの自信に繋がる結果だ。明日のシュペールプランシュ・デ・ベルフィーユで総合勢の力が試されるだろう。

マイヨヴェール ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

文句なしの敢闘賞を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)文句なしの敢闘賞を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
今朝のプランはもっと大きな逃げ集団に乗ることだった。マイヨジョーヌを守り、チャンスがあればステージ優勝を狙いたかった。だが予想以上に逃げに乗りたい選手が多く、結果的に僕含めた3名という小さな逃げ集団が形成された。

人数が少なく残念だったが、その時点でもう2時間もアタックを繰り返していたので「もうこのままでいいか」と頭を切り替えた。逃げを楽しみながら、最終日にマイヨヴェールを獲得できるようポイントの加算を目的に走った。明日は僕の日ではない。だからヨナス(ヴィンゲゴー)とプリモシュ(ログリッチ)のために全力を尽くしたい。

ー前日にピドコックが語った「ワウトは僕らをもて遊んでいる」というコメントについてどう思う?

僕は全力で走っているだけだ。特に今日の序盤は横風もありトリッキーな展開だった。大勢で逃げることができればよかったものの、中々逃げが決まらず、最終的に3人となり逃げ切りには十分じゃなかった。

ファンアールトについて語るクィン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)

逃げるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とクィン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)逃げるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とクィン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ツールで初めての逃げ、それもマイヨジョーヌと共に走れたことは特別な体験だ。いまだかつて優勝ではなく2位を目指し走ったことはないが、ワウトに次ぐ区間2位も悪くないと思いながら走っていた。3人による逃げ集団が形成され、リードを拡げようとした最初の20分間はいままでで一番辛い時間だった。まるで父親にスクーターでペーシングしてもらっているのかと錯覚するくらい速かった。

また、僕の競技人生の中であんな形で遅れたことはない。しかし僕にできることは何もなかった。

逃げに乗ったヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック)

メイン集団とのタイム差が2分を下回ったので、ここで力を使うのは賢明でないと判断し総合上位勢のいる集団でフィニッシュすることを選んだ。この結果には満足しているよ。

text:Sotaro.Arakawa

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