2022/06/18(土) - 16:15
高品質な製品をユーザーに届けるケミカルブランドのヴィプロス。自転車用製品として同社が初めて開発した原点にして、あらゆる走り方に対応できるオールラウンドな性能で愛されるモデルのmuonをピックアップ。ヴィプロス製品を使い続ける成毛千尋(アルディナサイクラリー)にその魅力を伺った。
日本のケミカルブランドとして、かつてNIPPOヴィーニファンティーニをサポートし、現場からの意見をプロダクトに反映してきたヴィプロス。自転車用チェーンオイルだけでもラインアップする製品の数は多く、サスペンド系と呼ばれる高性能モデルを3種類、一般的なリキッドタイプを2種類、エアゾルタイプを2種類も展開しているブランドだ。
今回はそのラインアップよりリキッドタイプのmuonをピックアップする。muonはヴィプロスが展開する自転車用製品のファーストプロダクトであり、ローンチに向けて徹底的な開発が行われているモデルだ。
特徴はmuon=無音というモデル名の通り、オイルを塗布したチェーンの駆動音が非常に小さくなる点。これは金属表面にチェーンオイルが程よい厚さの油膜を張るため、油膜が潤滑性を発揮することはもちろん、クッションのように働くことでドライブトレインから発生する音鳴りを低減している。
また開発段階でヴィプロスが力を入れたのは極圧性能だという。極圧性とは高い圧力が掛けられても油膜が切れることがなく潤滑が続く性能のことであり、チェーンにストレスをかけている時やギア選択をアウターローに入れた時にこの性能が発揮されるという。
耐久性もmuonの魅力の一つであり、500〜600kmもの距離でも潤滑性が維持されるという。高耐久オイルは高粘度となることが一般的だが、muonは先述したように中粘度、ドライ系オイルよりもしっかりとしながらも、チェーンリンクに残りやすい高粘度よりは回転が軽いオイルに仕上げられていることが特徴だ。
そんなmuonの使用感をアルディナサイクラリーの成毛千尋さんに伺った。成毛さんはヴィプロス製品を長らく愛用しており、muonもその一つ。トレーニングからレースまで様々なシチュエーションで使用した印象はいかに。
−インプレッション
muonの一番いいところは、ネーミングの通り静かさ。チェーンにmuonを塗った後に乗ってみると体感できるほどですし、muonの特筆すべき性能だと思いますよ。回転の軽さなども優れているうえでの静かさなので、乗っていて気持ちが良いです。
日頃からmuonを使っているんですけど、雨が降らなければ500kmはチェーンオイルが残ります。コンディションが良ければさらに長い距離で保ってくれると思います。これだけ耐久性が高いオイルは傾向として汚れやすいですが、muonも汚れないとは言わないまでも、ヘビーデューティーなオイルと比較すると扱いやすい部類です。
というのも粘度が高いオイルだとどうしても汚れが堆積してグリスのようにギトギトになるんですよね。対してmuonは中粘度のオイルなので、汚れても液体状のままで乗った後に滲み出たオイルを拭けば綺麗になりますし、グゥーキンαを使えば素早く汚れが落とせます。中粘度の良さはチェーンに塗る時も感じられて、素早くチェーンのリンク内にオイルが入っていってくれます。作業性の面では、非常に扱いやすいオイルという印象ですね。
潤滑の軽さに関してはBLUE-NOやKEITENに軍配が上がりますが、距離とコンディションによってはレースでも使いたいくらいの抵抗の軽さは感じます。具体的に例を挙げるとmuonは雨予報のレースや、ツール・ド・おきなわやニセコクラシックのような長距離レースにピッタリかな。回転の軽さを追求した決戦用ではないけれど、耐久性と走行抵抗のバランスの良さこそがmuonの魅力だと思います。
この耐久性の良さは日常のトレーニングライドやサイクリングでもメリットがあるはずです。トレーニングを重ねるライダーであれば、200kmほどの走行距離は週末までには迎えてしまうでしょうし、ホビーサイクリストであっても土曜日と日曜日どちらかに100km以上走れば、次のライドでは積算で200kmを迎えてしまいます。
回転の軽さを追求し、耐久性がそこそこのオイルの場合ではメンテナンスの頻度が高まってきます。ライドの途中でオイルを切らして、異音が発生するのはストレスですよね。だから、ある程度の走行距離に耐えられるオイルというのは選択肢としてアリじゃないでしょうか。通勤に使う自転車にもmuonは向いていると思います。チェーンオイルを塗布する頻度を考慮すると、コストパフォーマンスにも優れていますし。
muonは静粛性はピカイチで、回転性能と耐久性ともに高いレベルでバランスさせたモデルです。超低抵抗だとか、超長期間持続する、というような特別な性能を備えているわけではありませんが、幅広いサイクリストが使いやすいチェーンオイルの中では最高レベルの性能だと思います。
具体的にどのようなサイクリストにおススメしようかと考えてみましたが、初めてチェーンオイルを差してみるという方にもおすすめできるし、ベテランの方でも満足して使えるクオリティで、ズバリと限定するのは難しいです。あえて言うならば、走行後に滲み出た汚れを許容できる人であれば、どんな人が使っても良いと思います。
ヴィプロス muon
容量:60ml
価格:1,980円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
成毛千尋(アルディナサイクラリー)
東京・小平市にあるアルディナサイクラリーの店主。Jプロツアーを走った経験を持つ強豪ライダーで、2009年ツール・ド・おきなわ市民200km4位、2018年グランフォンド世界選手権にも出場。ロードレース以外にもツーリングやトライアスロン経験を持ち、自転車の多様な楽しみ方を提案している。初心者からコアなサイクリストまで幅広く歓迎しており、ユーザーに寄り添ったショップづくりを心がける。奥さんと二人でお店を切り盛りしており女性のお客さんもウェルカムだ。
アルディナサイクラリー
日本のケミカルブランドとして、かつてNIPPOヴィーニファンティーニをサポートし、現場からの意見をプロダクトに反映してきたヴィプロス。自転車用チェーンオイルだけでもラインアップする製品の数は多く、サスペンド系と呼ばれる高性能モデルを3種類、一般的なリキッドタイプを2種類、エアゾルタイプを2種類も展開しているブランドだ。
今回はそのラインアップよりリキッドタイプのmuonをピックアップする。muonはヴィプロスが展開する自転車用製品のファーストプロダクトであり、ローンチに向けて徹底的な開発が行われているモデルだ。
特徴はmuon=無音というモデル名の通り、オイルを塗布したチェーンの駆動音が非常に小さくなる点。これは金属表面にチェーンオイルが程よい厚さの油膜を張るため、油膜が潤滑性を発揮することはもちろん、クッションのように働くことでドライブトレインから発生する音鳴りを低減している。
また開発段階でヴィプロスが力を入れたのは極圧性能だという。極圧性とは高い圧力が掛けられても油膜が切れることがなく潤滑が続く性能のことであり、チェーンにストレスをかけている時やギア選択をアウターローに入れた時にこの性能が発揮されるという。
耐久性もmuonの魅力の一つであり、500〜600kmもの距離でも潤滑性が維持されるという。高耐久オイルは高粘度となることが一般的だが、muonは先述したように中粘度、ドライ系オイルよりもしっかりとしながらも、チェーンリンクに残りやすい高粘度よりは回転が軽いオイルに仕上げられていることが特徴だ。
そんなmuonの使用感をアルディナサイクラリーの成毛千尋さんに伺った。成毛さんはヴィプロス製品を長らく愛用しており、muonもその一つ。トレーニングからレースまで様々なシチュエーションで使用した印象はいかに。
−インプレッション
muonの一番いいところは、ネーミングの通り静かさ。チェーンにmuonを塗った後に乗ってみると体感できるほどですし、muonの特筆すべき性能だと思いますよ。回転の軽さなども優れているうえでの静かさなので、乗っていて気持ちが良いです。
日頃からmuonを使っているんですけど、雨が降らなければ500kmはチェーンオイルが残ります。コンディションが良ければさらに長い距離で保ってくれると思います。これだけ耐久性が高いオイルは傾向として汚れやすいですが、muonも汚れないとは言わないまでも、ヘビーデューティーなオイルと比較すると扱いやすい部類です。
というのも粘度が高いオイルだとどうしても汚れが堆積してグリスのようにギトギトになるんですよね。対してmuonは中粘度のオイルなので、汚れても液体状のままで乗った後に滲み出たオイルを拭けば綺麗になりますし、グゥーキンαを使えば素早く汚れが落とせます。中粘度の良さはチェーンに塗る時も感じられて、素早くチェーンのリンク内にオイルが入っていってくれます。作業性の面では、非常に扱いやすいオイルという印象ですね。
潤滑の軽さに関してはBLUE-NOやKEITENに軍配が上がりますが、距離とコンディションによってはレースでも使いたいくらいの抵抗の軽さは感じます。具体的に例を挙げるとmuonは雨予報のレースや、ツール・ド・おきなわやニセコクラシックのような長距離レースにピッタリかな。回転の軽さを追求した決戦用ではないけれど、耐久性と走行抵抗のバランスの良さこそがmuonの魅力だと思います。
この耐久性の良さは日常のトレーニングライドやサイクリングでもメリットがあるはずです。トレーニングを重ねるライダーであれば、200kmほどの走行距離は週末までには迎えてしまうでしょうし、ホビーサイクリストであっても土曜日と日曜日どちらかに100km以上走れば、次のライドでは積算で200kmを迎えてしまいます。
回転の軽さを追求し、耐久性がそこそこのオイルの場合ではメンテナンスの頻度が高まってきます。ライドの途中でオイルを切らして、異音が発生するのはストレスですよね。だから、ある程度の走行距離に耐えられるオイルというのは選択肢としてアリじゃないでしょうか。通勤に使う自転車にもmuonは向いていると思います。チェーンオイルを塗布する頻度を考慮すると、コストパフォーマンスにも優れていますし。
muonは静粛性はピカイチで、回転性能と耐久性ともに高いレベルでバランスさせたモデルです。超低抵抗だとか、超長期間持続する、というような特別な性能を備えているわけではありませんが、幅広いサイクリストが使いやすいチェーンオイルの中では最高レベルの性能だと思います。
具体的にどのようなサイクリストにおススメしようかと考えてみましたが、初めてチェーンオイルを差してみるという方にもおすすめできるし、ベテランの方でも満足して使えるクオリティで、ズバリと限定するのは難しいです。あえて言うならば、走行後に滲み出た汚れを許容できる人であれば、どんな人が使っても良いと思います。
ヴィプロス muon
容量:60ml
価格:1,980円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
成毛千尋(アルディナサイクラリー)
東京・小平市にあるアルディナサイクラリーの店主。Jプロツアーを走った経験を持つ強豪ライダーで、2009年ツール・ド・おきなわ市民200km4位、2018年グランフォンド世界選手権にも出場。ロードレース以外にもツーリングやトライアスロン経験を持ち、自転車の多様な楽しみ方を提案している。初心者からコアなサイクリストまで幅広く歓迎しており、ユーザーに寄り添ったショップづくりを心がける。奥さんと二人でお店を切り盛りしており女性のお客さんもウェルカムだ。
アルディナサイクラリー
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