2022/06/12(日) - 05:42
ドーフィネ7日目の難関山岳ステージで逃げたカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)がキャリア初勝利。総合ライバル勢を軽々と振り落としたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨジョーヌに袖を通した。
パンチャー向け丘陵ステージを終え、クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)は総合争いに、そして来たるツール・ド・フランスを占う上で重要な山岳ステージに直面。サン=シャフレを出発し、ヴォジャニーを目指す135kmの山岳ショートコースで2つの登坂勝負(逃げグループ&メイン集団)が同時進行した。
今年のツール第12ステージに登場する超級山岳ガリビエ峠とクロワ・ド・フェール峠を越え、2級山岳ヴォジャニー(距離5.7km/平均7.2%)を駆け上がるコースの獲得標高はショートステージにも関わらず4,000mに到達する。ただし主催者がクイーンステージと呼ぶほどの高難易度だが、超級山岳フィニッシュではないため逃げ切りの可能性も低くない。それを狙って逃げグループができては潰され、また新たな逃げグループが先行するという展開が長く続いた。
ガリビエでの山岳ポイント大量確保を目論むピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)がマッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)と共にアタック。ここにアンドレイ・アマドール(コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ)やケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)といった強者を含むグループが続々と追いつき、最終的に18名という逃げグループが先行することとなる。
23.1kmに及ぶガリビエ山頂を獲ったのはロランだった。連日逃げに乗り、昨日はステージ2位に入ったベテランは15ポイントを積み重ね、最終的にこの日2度目の超級クロワ・ド・フェールも先頭通過。狙い通り合計30ポイントを荒稼ぎし、最終日を待たずして第85代ドーフィネの山岳王となることを確定させている。
ガリビエの下りをこなし、クロワ・ド・フェールの登坂が始まると逃げグループからマーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM)が飛び出した。一時1分以上のリードを稼いだドノヴァンだったものの、次第にペースを失ってもといたグループに引き戻されてしまう。メイン集団からマイヨジョーヌのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が遅れたクロワ・ド・フェール後半区間では、先行していたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター)に合流する形で5名が飛び出した。
登坂力で抜け出したミュールベルガーとロラン、エリッソンド、ヴィクトール・ラフェ(フランス、コフィディス)、そしてカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)は、特に2人を送り込んだモビスター勢による加速と吸収を繰り返しながらクロワ・ド・フェール頂上を通過する。長いダウンヒル区間でエリッソンドとベローナが飛び出しを決め、23秒リードで最後の2級山岳ヴォジャニーヘと突入することに。
本格的な登り区間が始まるや否や、ベローナがエリッソンドを千切って独走体制に持ち込んだ。「12年プロ生活を続け、常に良いレベルを保ち改善してきたが、勝利だけが僕にはなかった。一昨年はツールで3位、去年はブエルタで2位になっていたので"今日勝たないといけない"と思っていた」と振り返るベローナは残り2kmで50秒差をリード。ここから総合争いを勃発させたメイン集団が矢のように追い上げたものの、リミットぎりぎりのペースで踏み続けるベローナの背中を捉えることは最後まで叶わなかった。
今やモビスターの山岳アシストとして欠くことのできない存在となったベローナが、ドーフィネ7日目の難関山岳ステージで勝利。その実力からは意外なことに29歳にして嬉しいキャリア初勝利となった。
「ログリッチが飛んできて僕のことを追い抜くかもしれないと不安だった。僕のコーチが後ろから励まし続けてくれる中個人タイムトライアル的な走りをしたよ。苦しんで、苦しんだ。残り200m地点でようやく後ろを振り返って勝利を確信した。信じられないほどの苦しみだったぶん、本当にその瞬間は幸せだった」ベローナは話している。
グルパマFDJの牽引でヴォジャニー峠を駆け上がったメイン集団からは総合2位マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)が脱落し、一気に20名程度まで絞り込まれる。ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)のアタックによってメイン集団は7名にまで絞られ、続いてプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がアタック。悲願のツール制覇を目指すログリッチの登坂力には誰も叶わなかった。
「ステージを心から楽しめた。この地域はツールで初めてステージ優勝した場所なので思い出がある」と話したログリッチは一人猛烈なペースを刻んでライバル勢を千切り、ベローナからたった13秒遅れのステージ2位でフィニッシュ。ファンアールトからチーム内でマイヨジョーヌを引き継ぐことにも成功した。
遅れたヴィンゲゴーもステージ3位と総合2位浮上を決めユンボ・ヴィスマが作戦大成功。ログリッチが難関山頂フィニッシュの最終ステージを前に総合3位ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)に対して1分24秒リードを稼ぐこととなった。
パンチャー向け丘陵ステージを終え、クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)は総合争いに、そして来たるツール・ド・フランスを占う上で重要な山岳ステージに直面。サン=シャフレを出発し、ヴォジャニーを目指す135kmの山岳ショートコースで2つの登坂勝負(逃げグループ&メイン集団)が同時進行した。
今年のツール第12ステージに登場する超級山岳ガリビエ峠とクロワ・ド・フェール峠を越え、2級山岳ヴォジャニー(距離5.7km/平均7.2%)を駆け上がるコースの獲得標高はショートステージにも関わらず4,000mに到達する。ただし主催者がクイーンステージと呼ぶほどの高難易度だが、超級山岳フィニッシュではないため逃げ切りの可能性も低くない。それを狙って逃げグループができては潰され、また新たな逃げグループが先行するという展開が長く続いた。
ガリビエでの山岳ポイント大量確保を目論むピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)がマッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)と共にアタック。ここにアンドレイ・アマドール(コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ)やケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)といった強者を含むグループが続々と追いつき、最終的に18名という逃げグループが先行することとなる。
23.1kmに及ぶガリビエ山頂を獲ったのはロランだった。連日逃げに乗り、昨日はステージ2位に入ったベテランは15ポイントを積み重ね、最終的にこの日2度目の超級クロワ・ド・フェールも先頭通過。狙い通り合計30ポイントを荒稼ぎし、最終日を待たずして第85代ドーフィネの山岳王となることを確定させている。
ガリビエの下りをこなし、クロワ・ド・フェールの登坂が始まると逃げグループからマーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM)が飛び出した。一時1分以上のリードを稼いだドノヴァンだったものの、次第にペースを失ってもといたグループに引き戻されてしまう。メイン集団からマイヨジョーヌのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が遅れたクロワ・ド・フェール後半区間では、先行していたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター)に合流する形で5名が飛び出した。
登坂力で抜け出したミュールベルガーとロラン、エリッソンド、ヴィクトール・ラフェ(フランス、コフィディス)、そしてカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)は、特に2人を送り込んだモビスター勢による加速と吸収を繰り返しながらクロワ・ド・フェール頂上を通過する。長いダウンヒル区間でエリッソンドとベローナが飛び出しを決め、23秒リードで最後の2級山岳ヴォジャニーヘと突入することに。
本格的な登り区間が始まるや否や、ベローナがエリッソンドを千切って独走体制に持ち込んだ。「12年プロ生活を続け、常に良いレベルを保ち改善してきたが、勝利だけが僕にはなかった。一昨年はツールで3位、去年はブエルタで2位になっていたので"今日勝たないといけない"と思っていた」と振り返るベローナは残り2kmで50秒差をリード。ここから総合争いを勃発させたメイン集団が矢のように追い上げたものの、リミットぎりぎりのペースで踏み続けるベローナの背中を捉えることは最後まで叶わなかった。
今やモビスターの山岳アシストとして欠くことのできない存在となったベローナが、ドーフィネ7日目の難関山岳ステージで勝利。その実力からは意外なことに29歳にして嬉しいキャリア初勝利となった。
「ログリッチが飛んできて僕のことを追い抜くかもしれないと不安だった。僕のコーチが後ろから励まし続けてくれる中個人タイムトライアル的な走りをしたよ。苦しんで、苦しんだ。残り200m地点でようやく後ろを振り返って勝利を確信した。信じられないほどの苦しみだったぶん、本当にその瞬間は幸せだった」ベローナは話している。
グルパマFDJの牽引でヴォジャニー峠を駆け上がったメイン集団からは総合2位マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)が脱落し、一気に20名程度まで絞り込まれる。ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)のアタックによってメイン集団は7名にまで絞られ、続いてプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がアタック。悲願のツール制覇を目指すログリッチの登坂力には誰も叶わなかった。
「ステージを心から楽しめた。この地域はツールで初めてステージ優勝した場所なので思い出がある」と話したログリッチは一人猛烈なペースを刻んでライバル勢を千切り、ベローナからたった13秒遅れのステージ2位でフィニッシュ。ファンアールトからチーム内でマイヨジョーヌを引き継ぐことにも成功した。
遅れたヴィンゲゴーもステージ3位と総合2位浮上を決めユンボ・ヴィスマが作戦大成功。ログリッチが難関山頂フィニッシュの最終ステージを前に総合3位ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)に対して1分24秒リードを稼ぐこととなった。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第7ステージ結果
1位 | カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター) | 3:53:35 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:13 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:25 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +0:27 |
5位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | +0:39 |
6位 | エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:40 |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
9位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:48 |
10位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:56 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 25:22:08 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:44 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +1:24 |
4位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:30 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:32 |
6位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +1:40 |
7位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | +2:05 |
8位 | マッテオ・ヨルゲンセン(アメリカ、モビスター) | +2:06 |
9位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:12 |
10位 | ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +1:16 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) |
ヤングライダー賞 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィスマ |
text:So Isobe
photo:A.S.O.,CorVos
photo:A.S.O.,CorVos
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