2022/06/10(金) - 09:44
フルスロットルで逃げた4名は残り100mで吸収。接戦スプリントを制し、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が今大会2勝目をマークした。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ第5ステージが幕開ける photo:CorVos
第74回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)も後半戦に突入。ティジー=レ=ブールから、丘陵地帯を駆け抜けてシェントレの街にフィニッシュする162.3kmコースの獲得標高は2,000m以下だが、後半30kmを切ってから登場する2ヶ所の4級山岳が鍵となる。
ここまで登りで遅れ、集団スプリントを取りこぼしてきたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)にとってはリベンジの正念場。そして2日連続でステージ2位に甘んじているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)にとってもリベンジの場。さらに第2ステージ以来の逃げ切りを目指すアタッカーにもチャンスが与えられているため、クライマーを除くさまざまな脚質の選手たちがステージ優勝を目指した。
逃げグループに加わり、山岳ポイントを稼いだピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) photo:A.S.O.
逃げグループを2分差で追いかけるメイン集団 photo:A.S.O.
草むらに落ちたファンをメディカルスタッフが救出 photo:CorVos
この日はヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)や山岳賞ランキング首位のピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)、そのアシストであり今大会2度目の逃げとなるセバスティアン・シェーンベルガー(オーストリア、B&Bホテルズ KTM)、バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)、そしてファビアン・ドゥべ(フランス、トタルエネルジー)がエスケープ。タイム差は2分台までしか付かなかったものの、前半の2級山岳コート・ド・ダンでは狙い通りロランが先頭通過し、山岳ポイントを上積みしている。
その後、ロランは翌日以降の山岳ステージに向けて温存するべく逃げグループを離脱し、メイン集団に合流。こうして4名となった先頭グループがユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ率いるプロトンから先行を継続。残り60km地点でのタイム差は1分程度だったものの、ここから逃げる4名が持ち札を切った。
逃げグループ内でペースアップの統率を図ったのはTTスペシャリストであり、トラックのフランス長距離代表メンバーとして何度も世界チャンピオンに輝いたトマだった。「フィニッシュまで70km地点で僕たちに賭ける人は多くなかったが、それでも僕たちはショーを演じた」と振り返る通り、リードを2分15秒にまで拡大。慌てて追いかけるメイン集団を相手に、コーナーの多いアップダウン区間でスリリングな追走劇を繰り広げることとなる。
逃げ切りを目指してフルスロットルで4名が飛ばす photo:CorVos
クリス・ハーパー(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)が牽引する後方ではフルーネウェーヘンが脱落 photo:CorVos
TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が牽くも、タイム差は思うように縮まらない photo:CorVos
残り12.7km地点にある最後の4級山岳を40秒差で越え、メイン集団ではまたしてもフルーネウェーヘンが登りを耐えきれずに脱落してしまう。バイクエクスチェンジのアシスト勢が集団牽引から遅れたエースの引き上げ役に回ったことも間接的に逃げグループのタイム差維持に貢献することになる。
前日勝者のTT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア)やローレンス・デプルス(ベルギー、共にイネオス・グレナディアーズ)や、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)といった屈指のスピードマンが捨て身で牽引し、残り2kmでタイム差は15秒。逃げ切れるか、あるいは集団スプリントか。瀬戸際ペースの追走劇が残り1kmを切ってもなお続いた。
残り400mを切って、猛然と追い上げてくるメイン集団を引き離すようにトマがロングスパートを開始する。一瞬出遅れたものの、そのスリップストリームに入ったバークランツがトマを追い抜くと同時に、クリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)のリードアウトから解き放たれたファンアールトが飛んでくる。諦めたトマや踏み続けるバークランツを抜き、ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)とイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を抑えきったファンアールトが先着した。
ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)との接戦を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
逃げグループを残り僅か100mで捉え、2日連続ステージ2位のリベンジを達成したファンアールトは「一昨日は自分のミスで負け、昨日は2位に。今日はなんとか任務をやり遂げることができた。チームの素晴らしい働きに勝利で報いることができて本当に嬉しい」と言う。「クリストフは良い位置に連れて行ってくれたし、他の全ての選手は追い風の中粘るにげを捕まえてくれた。彼らには感謝しかない」とも。
ファンアールトはさらにボーナスタイムを上積みしたため、総合2位マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)に対してのリードを1分03秒にまで拡大させることにも成功したが、「僕にとって総合成績を争うには不十分なタイムだ。土曜日からはプリモシュとヨナスのためにチームとして働くつもりだ」と、あくまで最終的なマイヨジョーヌ争いには加わらないことをアピールしている。
今大会2勝目を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:A.S.O.
一方、逃げ切り失敗に終わり涙をこぼしたトマは敢闘賞を獲得。「スプリント勝負のために脚をセーブしたいと思っていた。それがリスキーだったかは分からないけれど結局リードは5秒足りなかった。誰もが予想していた集団スプリントからほぼ逃げ切ることができたので、後悔することは何もないよ」と話している。
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第74回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)も後半戦に突入。ティジー=レ=ブールから、丘陵地帯を駆け抜けてシェントレの街にフィニッシュする162.3kmコースの獲得標高は2,000m以下だが、後半30kmを切ってから登場する2ヶ所の4級山岳が鍵となる。
ここまで登りで遅れ、集団スプリントを取りこぼしてきたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)にとってはリベンジの正念場。そして2日連続でステージ2位に甘んじているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)にとってもリベンジの場。さらに第2ステージ以来の逃げ切りを目指すアタッカーにもチャンスが与えられているため、クライマーを除くさまざまな脚質の選手たちがステージ優勝を目指した。
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この日はヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)や山岳賞ランキング首位のピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)、そのアシストであり今大会2度目の逃げとなるセバスティアン・シェーンベルガー(オーストリア、B&Bホテルズ KTM)、バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)、そしてファビアン・ドゥべ(フランス、トタルエネルジー)がエスケープ。タイム差は2分台までしか付かなかったものの、前半の2級山岳コート・ド・ダンでは狙い通りロランが先頭通過し、山岳ポイントを上積みしている。
その後、ロランは翌日以降の山岳ステージに向けて温存するべく逃げグループを離脱し、メイン集団に合流。こうして4名となった先頭グループがユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ率いるプロトンから先行を継続。残り60km地点でのタイム差は1分程度だったものの、ここから逃げる4名が持ち札を切った。
逃げグループ内でペースアップの統率を図ったのはTTスペシャリストであり、トラックのフランス長距離代表メンバーとして何度も世界チャンピオンに輝いたトマだった。「フィニッシュまで70km地点で僕たちに賭ける人は多くなかったが、それでも僕たちはショーを演じた」と振り返る通り、リードを2分15秒にまで拡大。慌てて追いかけるメイン集団を相手に、コーナーの多いアップダウン区間でスリリングな追走劇を繰り広げることとなる。
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残り12.7km地点にある最後の4級山岳を40秒差で越え、メイン集団ではまたしてもフルーネウェーヘンが登りを耐えきれずに脱落してしまう。バイクエクスチェンジのアシスト勢が集団牽引から遅れたエースの引き上げ役に回ったことも間接的に逃げグループのタイム差維持に貢献することになる。
前日勝者のTT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア)やローレンス・デプルス(ベルギー、共にイネオス・グレナディアーズ)や、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)といった屈指のスピードマンが捨て身で牽引し、残り2kmでタイム差は15秒。逃げ切れるか、あるいは集団スプリントか。瀬戸際ペースの追走劇が残り1kmを切ってもなお続いた。
残り400mを切って、猛然と追い上げてくるメイン集団を引き離すようにトマがロングスパートを開始する。一瞬出遅れたものの、そのスリップストリームに入ったバークランツがトマを追い抜くと同時に、クリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)のリードアウトから解き放たれたファンアールトが飛んでくる。諦めたトマや踏み続けるバークランツを抜き、ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)とイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を抑えきったファンアールトが先着した。
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逃げグループを残り僅か100mで捉え、2日連続ステージ2位のリベンジを達成したファンアールトは「一昨日は自分のミスで負け、昨日は2位に。今日はなんとか任務をやり遂げることができた。チームの素晴らしい働きに勝利で報いることができて本当に嬉しい」と言う。「クリストフは良い位置に連れて行ってくれたし、他の全ての選手は追い風の中粘るにげを捕まえてくれた。彼らには感謝しかない」とも。
ファンアールトはさらにボーナスタイムを上積みしたため、総合2位マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)に対してのリードを1分03秒にまで拡大させることにも成功したが、「僕にとって総合成績を争うには不十分なタイムだ。土曜日からはプリモシュとヨナスのためにチームとして働くつもりだ」と、あくまで最終的なマイヨジョーヌ争いには加わらないことをアピールしている。
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一方、逃げ切り失敗に終わり涙をこぼしたトマは敢闘賞を獲得。「スプリント勝負のために脚をセーブしたいと思っていた。それがリスキーだったかは分からないけれど結局リードは5秒足りなかった。誰もが予想していた集団スプリントからほぼ逃げ切ることができたので、後悔することは何もないよ」と話している。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第5ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 3:38:35 |
2位 | ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
4位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) | |
5位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
6位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
7位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
8位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
9位 | マティス・ルーヴェル(フランス、アルケア・サムシック) | |
10位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 17:04:31 |
2位 | マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:03 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:06 |
4位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:32 |
5位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +1:36 |
6位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:49 |
7位 | タオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:55 |
8位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:58 |
9位 | マッテオ・ヨルゲンセン(アメリカ、モビスター) | +2:00 |
10位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +2:10 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) |
ヤングライダー賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィズマ |
text:So Isobe
photo:A.S.O.,CorVos
photo:A.S.O.,CorVos
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