2022/05/28(土) - 08:48
最終山岳決戦を前に6日連続で逃げ切り決まる。クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がマリアアッズーラを確定させ、混沌のゴール勝負を制して今大会2勝目。総合トップスリーはじりじりとした勝負を繰り広げたものの、タイム差なしでフィニッシュしている。
「コルサ・ローザ」もいよいよ最終盤。過酷な第20ステージの山頂フィニッシュと、最終個人タイムトライアルを前にした第20ステージの舞台は隣国スロベニアに立ち寄る獲得標高差3,230mの中級山岳コース。中盤から3級山岳を2ヶ所越えると1級山岳コロヴラト(距離10.3km/平均9.1%)にアタックし、最後は2級山岳サントゥアリオ・ディ・カステルモンテ(距離7.1km/平均7.8%)に登り詰める。
ここまで5日連続で逃げが決まり、さらに総合勢は明日からの2連戦を見据えているため、再び逃げに勝機ありと睨んだ選手がエスケープ。最前列に陣取っていた前日3位マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)や、マリアアッズーラを確定させたいクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)といった12名が、スタートから10km地点で逃げを決めた。
逃げた12名
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・フェニックス)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
クレメン・ダヴィ(フランス、グルパマFDJ)
アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ)
エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)
クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
ボウマンは前日インタビュー時の有言実行で2日連続逃げ。一方のメイン集団ではマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル)擁するイネオス・グレナディアーズではなく、3秒差の総合2位につけるジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)擁するボーラ・ハンスグローエが牽引役を担った。
レース開始後30kmを平均53.9km/hで駆け抜けた逃げグループは、今大会としては珍しく12分に及ぶタイム差を獲得。総合成績を脅かす選手が不在だったため、ボーラは逃げを捕まえることに貴重な戦力を割くことはなかった。
メイン集団にどよめきが広がったのはスローペースで登っていた50km地点。胃腸トラブルを抱えていたというリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が早々に遅れ、しばらく走ったところでリタイア。カラパスは最終決戦を前に重要な山岳アシストを失うこととなってしまった。
前日2位に甘んじたTTスペシャリスト、エドアルド・アッフィニ(イタリア)やダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)の牽引によって逃げグループはリードを維持し、レース前半で山岳ポイントを重ねたボウマンは、4名(ボウマン、トネッリ、ヴァルテル、シュミット)に絞られた中にしっかりと残ってスロベニア国旗はためく1級山岳コロヴラト(距離10.3km/平均9.1%)も先頭通過。狙い通り40ポイントを重ね、ジロでの第1目標だったマリアアッズーラ獲得を固めることに成功している。
スロベニアから再びイタリアに戻り、長くテクニカルな下り区間では登りで遅れていたアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)が再合流。残り30kmでタイム差は7分を越え、逃げ切りを確定させた5名が8分半リードで最終山岳サントゥアリオ・ディ・カステルモンテに突入した。
2km登ったタイミングで短い下りを挟み、その登り返しで最大14%を刻むサントゥアリオ・ディ・カステルモンテ。先頭5名はがっつりとペースを落とし、激しい牽制状態のまま残り3km地点を通過する。まず仕掛けたのはボウマンで、カウンターでヴァルテルが飛び出しを図るも抜け出すには至らない。続いてトネッリが、再びカウンターでヴァルテルが仕掛けるも決定打とはならなかった。
スローペースで残り1kmアーチも通過し、先頭は苦しい走りが続くヴェンドラーメも含めて5名。勝負はスプリント勝負に持ち込まれ、真っ先にボウマンが加速してシュミットと横並びでフィニッシュ手前の鋭角左コーナーへ。後手を踏んだシュミットは先にターンインしたボウマンと交錯して一瞬コントロールを失い、その余波を受けたヴェンドラーメとヴァルテルは外側のフェンスに向かってまっしぐら。混乱するライバル勢をよそに、フィニッシュラインまで真っ直ぐ踏み抜いたボウマンが先着した。
目的通りマリアアッズーラ獲得を決め、最後のマッチスプリントで第7ステージに続く今大会2勝目。100点満点のレースを披露したボウマンは「夢が叶ったよ。1勝した時点で特別だったけれど、2勝もできるなんてさらに特別な結果になった」と笑顔を見せる。「このジロにはアシスト役として出場していたからこんな結果は予想していなかった。ステージ2勝とマリアアッズーラ。夢のようだ」。
一方、ボウマンに進路を塞がれる形となったシュミットは「僕の方がスプリントがあったけれど、あの状態では何もできなかった。僕の意見では今日の結果はフェアじゃない。2位は負けの中の1位。自信があっただけに残念だ」と悔やしさを顕わにしている。
9分近く遅れてサントゥアリオ・ディ・カステルモンテを登るメイン集団の先頭に立っていたのはボーラではなくイネオス・グレナディアーズ。ヨナタン・カストロビエホ、ベン・トゥレット、そしてパヴェル・シヴァコフと繋いだリレーの背後では急速に人数が絞り込まれた。
総合8位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)と総合9位&マリアビアンカのフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)も遅れ、12%勾配区間でカラパスがアタック。しかしヒンドレーと総合3位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)はガッチリと食らいついて離さない。カウンターで仕掛けたランダも、ヒンドレーも決定的なリードを奪えずにアタックを停止。最後は力強いスプリントでカラパスが先着するも、絶えずチェックするヒンドレーとランダに秒差をつけることはできなかった。
トップスリーの力が拮抗していたことで、またしても本格的な総合争いには火がつかず。カラパスがヒンドレーに3秒、ランダに対して1分5秒差で明日の最終山岳決戦へ挑むこととなった。
「コルサ・ローザ」もいよいよ最終盤。過酷な第20ステージの山頂フィニッシュと、最終個人タイムトライアルを前にした第20ステージの舞台は隣国スロベニアに立ち寄る獲得標高差3,230mの中級山岳コース。中盤から3級山岳を2ヶ所越えると1級山岳コロヴラト(距離10.3km/平均9.1%)にアタックし、最後は2級山岳サントゥアリオ・ディ・カステルモンテ(距離7.1km/平均7.8%)に登り詰める。
ここまで5日連続で逃げが決まり、さらに総合勢は明日からの2連戦を見据えているため、再び逃げに勝機ありと睨んだ選手がエスケープ。最前列に陣取っていた前日3位マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)や、マリアアッズーラを確定させたいクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)といった12名が、スタートから10km地点で逃げを決めた。
逃げた12名
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・フェニックス)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
クレメン・ダヴィ(フランス、グルパマFDJ)
アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ)
エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)
クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
ボウマンは前日インタビュー時の有言実行で2日連続逃げ。一方のメイン集団ではマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル)擁するイネオス・グレナディアーズではなく、3秒差の総合2位につけるジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)擁するボーラ・ハンスグローエが牽引役を担った。
レース開始後30kmを平均53.9km/hで駆け抜けた逃げグループは、今大会としては珍しく12分に及ぶタイム差を獲得。総合成績を脅かす選手が不在だったため、ボーラは逃げを捕まえることに貴重な戦力を割くことはなかった。
メイン集団にどよめきが広がったのはスローペースで登っていた50km地点。胃腸トラブルを抱えていたというリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が早々に遅れ、しばらく走ったところでリタイア。カラパスは最終決戦を前に重要な山岳アシストを失うこととなってしまった。
前日2位に甘んじたTTスペシャリスト、エドアルド・アッフィニ(イタリア)やダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)の牽引によって逃げグループはリードを維持し、レース前半で山岳ポイントを重ねたボウマンは、4名(ボウマン、トネッリ、ヴァルテル、シュミット)に絞られた中にしっかりと残ってスロベニア国旗はためく1級山岳コロヴラト(距離10.3km/平均9.1%)も先頭通過。狙い通り40ポイントを重ね、ジロでの第1目標だったマリアアッズーラ獲得を固めることに成功している。
スロベニアから再びイタリアに戻り、長くテクニカルな下り区間では登りで遅れていたアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)が再合流。残り30kmでタイム差は7分を越え、逃げ切りを確定させた5名が8分半リードで最終山岳サントゥアリオ・ディ・カステルモンテに突入した。
2km登ったタイミングで短い下りを挟み、その登り返しで最大14%を刻むサントゥアリオ・ディ・カステルモンテ。先頭5名はがっつりとペースを落とし、激しい牽制状態のまま残り3km地点を通過する。まず仕掛けたのはボウマンで、カウンターでヴァルテルが飛び出しを図るも抜け出すには至らない。続いてトネッリが、再びカウンターでヴァルテルが仕掛けるも決定打とはならなかった。
スローペースで残り1kmアーチも通過し、先頭は苦しい走りが続くヴェンドラーメも含めて5名。勝負はスプリント勝負に持ち込まれ、真っ先にボウマンが加速してシュミットと横並びでフィニッシュ手前の鋭角左コーナーへ。後手を踏んだシュミットは先にターンインしたボウマンと交錯して一瞬コントロールを失い、その余波を受けたヴェンドラーメとヴァルテルは外側のフェンスに向かってまっしぐら。混乱するライバル勢をよそに、フィニッシュラインまで真っ直ぐ踏み抜いたボウマンが先着した。
目的通りマリアアッズーラ獲得を決め、最後のマッチスプリントで第7ステージに続く今大会2勝目。100点満点のレースを披露したボウマンは「夢が叶ったよ。1勝した時点で特別だったけれど、2勝もできるなんてさらに特別な結果になった」と笑顔を見せる。「このジロにはアシスト役として出場していたからこんな結果は予想していなかった。ステージ2勝とマリアアッズーラ。夢のようだ」。
一方、ボウマンに進路を塞がれる形となったシュミットは「僕の方がスプリントがあったけれど、あの状態では何もできなかった。僕の意見では今日の結果はフェアじゃない。2位は負けの中の1位。自信があっただけに残念だ」と悔やしさを顕わにしている。
9分近く遅れてサントゥアリオ・ディ・カステルモンテを登るメイン集団の先頭に立っていたのはボーラではなくイネオス・グレナディアーズ。ヨナタン・カストロビエホ、ベン・トゥレット、そしてパヴェル・シヴァコフと繋いだリレーの背後では急速に人数が絞り込まれた。
総合8位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)と総合9位&マリアビアンカのフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)も遅れ、12%勾配区間でカラパスがアタック。しかしヒンドレーと総合3位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)はガッチリと食らいついて離さない。カウンターで仕掛けたランダも、ヒンドレーも決定的なリードを奪えずにアタックを停止。最後は力強いスプリントでカラパスが先着するも、絶えずチェックするヒンドレーとランダに秒差をつけることはできなかった。
トップスリーの力が拮抗していたことで、またしても本格的な総合争いには火がつかず。カラパスがヒンドレーに3秒、ランダに対して1分5秒差で明日の最終山岳決戦へ挑むこととなった。
ジロ・デ・イタリア2022第19ステージ結果
1位 | クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 4:32:55 |
2位 | マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
3位 | アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) | +0:03 |
4位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ) | +0:06 |
5位 | アンドレア・ヴェンドラメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | +0:10 |
6位 | トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・フェニックス) | +2:45 |
7位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | +3:49 |
8位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +3:56 |
9位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 81:18:12 |
2位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:03 |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:05 |
4位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン) | +5:53 |
5位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +6:22 |
6位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +7:15 |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +8:21 |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +12:55 |
9位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | +15:29 |
10位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +17:10 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 254pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 136pts |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 132pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 294pts |
2位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 103pts |
3位 | ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 94pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 81:33:41 |
2位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +5:11 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | 18:32 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 244:06:06 |
2位 | ボーラ・ハンスグローエ | +2:36 |
3位 | アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ | +1:08:09 |
text:So Isobe
photo:CorVos
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シマノ CS-R8000 11S 11-25T 12345679135 ICSR800011125
シマノ(SHIMANO)