2022/05/17(火) - 18:26
不調を覆し、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がMTB・W杯で2連勝。女子は絶好調レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)が3連勝を挙げた。日本勢の結果とともにレポート。
ドイツ、アルプシュタットで開催された第2戦から1週間。MTBレース最高峰の舞台である「メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ」はチェコ、ノヴェ・メストでクロスカントリーの第3戦を迎えた。
短かくもタフなヒルクライムセクションと、高速でテクニカルなダウンヒルセクションを擁するノヴェ・メストの名門MTBコースには、第2戦を制し波に乗るトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)といった強豪選手が連戦。
また、北林力(Athlete Farm SPECIALIZED)や竹内遼と鈴木来人(共にFUKAYA RACING)、川口うらら(日本体育大学)が参戦。同会場で併催されるジュニアシリーズには育成チーム「TeensMap」の高橋翔、遠藤紘介、古江昂太ら、若き日本勢が連続参戦を果たしている。
男子エリート:不調に苦しみつつピドコック勝利、シューターはパンクから怒涛の追い上げ
30カ国、121名が集った男子エリートは金曜日のXCC(ショートトラック)でサプライズ勝利を挙げたルカ・シュワルツバウアー(ドイツ、キャニオンCLLCTV)たちが隊列前方を固めてスタート。序盤に決定的な動きは生まれず、全8周回中の4周目に入るとシューターの加速によって第1グループはピドコックを含む5名に絞り込まれた。
思い通りにレースを進めていたシューターだったが、5周目にリアタイヤをパンクさせる痛恨のミス。ピットに辿り着き、ホイール交換を受けた頃にはポジションを大きく落としていたものの、「今日はずっと身体にパワーを感じていた」と言う9度の世界王者が圧巻の追走劇を披露した。
猛然と追い上げ、強豪選手たちをいとも簡単にパスし続けたシューターは最終周回突入と同時にペースの上がっていなかった先頭集団へとブリッジ。しかし直後のマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)のペースアップには対応できたものの、カウンターで仕掛けたヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC)には付いていけず脱落。「とにかく体調が悪かった」と言うピドコックだけがタイミングを置いて追走し、下り区間で追い上げ、パワフルな加速力を武器に向かい風のホームストレートでダスカルを追い抜いた。
「体調が悪く難しいレースだった。アタックしてライバル勢を引き離せるだけの力は無かったけれど、先頭グループのペースは極めて楽だった。ヴラッド(ダスカル)が最終周回にアタックすることは分かっていたので何とか食らいつき、向かい風のスプリント勝負に持ち込めば勝機があると感じていた」と言うピドコックがW杯2連勝を達成。「誰かのトラブルを逆手に取ることはしたくなかった。頭では先週のようにアタックしてレースを作りたかったが、全く別の難しいレースだった」とコメントを締め括っている。
女子エリート:マコンネルが開幕3連勝
女子エリートレースは序盤から今季開幕2連勝中のレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)がリード。スタートループ終了後には同じく好調のジェニー・リスヴェッツ(チーム31アイビスサイクルズ)が追いついたものの、時間をあまり要さずマコンネルが独走体制を築き上げた。
現スウェーデン女王であり、リオ五輪を制したリスヴェッツにはロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV)が追いついて2位グループを形成。第1戦で体調不良に苦しんで以降調子を崩していた世界女王イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシングXC)はこの日トップ10以内でレースを進めるなど、調子が戻ってきたことを披露。金曜日のXCCを制していた五輪女王ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)は4番手でフィニッシュラインを目指した。
2番手ルコントはマコンネルとの差を13秒まで縮めたものの、追いつくことは叶わない。絶好調マコンネルが自身も驚くW杯開幕3連勝を挙げてみせた。
またこの日、北林は「これが今の僕でした。日本で落ち着いて練習してた自分がすごく悔しい」と振り返る-2lap98位。竹内は-4Lap103位で、U23鈴木は-2lap126位。女子U23川口は「目標としていた結果には届きませんでしたが、今シーズン中に達成できるように今回感じたことを大切にしたいです」と言うフルラップ完走36位。全員最後尾スタートだったジュニア勢は高橋がフルラップ91位、古江108位(-1lap)、遠藤120位(-2lap)という結果だった。
ドイツ、アルプシュタットで開催された第2戦から1週間。MTBレース最高峰の舞台である「メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ」はチェコ、ノヴェ・メストでクロスカントリーの第3戦を迎えた。
短かくもタフなヒルクライムセクションと、高速でテクニカルなダウンヒルセクションを擁するノヴェ・メストの名門MTBコースには、第2戦を制し波に乗るトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)といった強豪選手が連戦。
また、北林力(Athlete Farm SPECIALIZED)や竹内遼と鈴木来人(共にFUKAYA RACING)、川口うらら(日本体育大学)が参戦。同会場で併催されるジュニアシリーズには育成チーム「TeensMap」の高橋翔、遠藤紘介、古江昂太ら、若き日本勢が連続参戦を果たしている。
男子エリート:不調に苦しみつつピドコック勝利、シューターはパンクから怒涛の追い上げ
30カ国、121名が集った男子エリートは金曜日のXCC(ショートトラック)でサプライズ勝利を挙げたルカ・シュワルツバウアー(ドイツ、キャニオンCLLCTV)たちが隊列前方を固めてスタート。序盤に決定的な動きは生まれず、全8周回中の4周目に入るとシューターの加速によって第1グループはピドコックを含む5名に絞り込まれた。
思い通りにレースを進めていたシューターだったが、5周目にリアタイヤをパンクさせる痛恨のミス。ピットに辿り着き、ホイール交換を受けた頃にはポジションを大きく落としていたものの、「今日はずっと身体にパワーを感じていた」と言う9度の世界王者が圧巻の追走劇を披露した。
猛然と追い上げ、強豪選手たちをいとも簡単にパスし続けたシューターは最終周回突入と同時にペースの上がっていなかった先頭集団へとブリッジ。しかし直後のマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)のペースアップには対応できたものの、カウンターで仕掛けたヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC)には付いていけず脱落。「とにかく体調が悪かった」と言うピドコックだけがタイミングを置いて追走し、下り区間で追い上げ、パワフルな加速力を武器に向かい風のホームストレートでダスカルを追い抜いた。
「体調が悪く難しいレースだった。アタックしてライバル勢を引き離せるだけの力は無かったけれど、先頭グループのペースは極めて楽だった。ヴラッド(ダスカル)が最終周回にアタックすることは分かっていたので何とか食らいつき、向かい風のスプリント勝負に持ち込めば勝機があると感じていた」と言うピドコックがW杯2連勝を達成。「誰かのトラブルを逆手に取ることはしたくなかった。頭では先週のようにアタックしてレースを作りたかったが、全く別の難しいレースだった」とコメントを締め括っている。
女子エリート:マコンネルが開幕3連勝
女子エリートレースは序盤から今季開幕2連勝中のレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)がリード。スタートループ終了後には同じく好調のジェニー・リスヴェッツ(チーム31アイビスサイクルズ)が追いついたものの、時間をあまり要さずマコンネルが独走体制を築き上げた。
現スウェーデン女王であり、リオ五輪を制したリスヴェッツにはロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV)が追いついて2位グループを形成。第1戦で体調不良に苦しんで以降調子を崩していた世界女王イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシングXC)はこの日トップ10以内でレースを進めるなど、調子が戻ってきたことを披露。金曜日のXCCを制していた五輪女王ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)は4番手でフィニッシュラインを目指した。
2番手ルコントはマコンネルとの差を13秒まで縮めたものの、追いつくことは叶わない。絶好調マコンネルが自身も驚くW杯開幕3連勝を挙げてみせた。
またこの日、北林は「これが今の僕でした。日本で落ち着いて練習してた自分がすごく悔しい」と振り返る-2lap98位。竹内は-4Lap103位で、U23鈴木は-2lap126位。女子U23川口は「目標としていた結果には届きませんでしたが、今シーズン中に達成できるように今回感じたことを大切にしたいです」と言うフルラップ完走36位。全員最後尾スタートだったジュニア勢は高橋がフルラップ91位、古江108位(-1lap)、遠藤120位(-2lap)という結果だった。
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第3戦男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:21:19 |
2位 | ヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC) | +0:01 |
3位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | +0:30 |
4位 | アントン・クーパー(ニュージーランド、) | +0:33 |
5位 | アラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング) | +0:34 |
6位 | マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン) | +1:01 |
7位 | ティトゥアン・カロ(フランス、BMC MTBレーシング) | +1:04 |
8位 | アンドリ・フリッシュクネヒト(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | +1:17 |
9位 | ルカ・シュワルツバウアー(ドイツ、キャニオンCLLCTV) | +1:41 |
10位 | ヴィタル・アルヴィン(スイス、トムス・マクソン) | +1:48 |
98位 | 北林力(Athlete Farm SPECIALIZED) | -2LAP |
103位 | 竹内遼(FUKAYA RACING) | -4LAP |
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第4戦女子エリート結果
1位 | レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン) | 1:21:17 |
2位 | ロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV) | +0:40 |
3位 | ジェニー・リスヴェッツ(チーム31アイビスサイクルズ) | +1:17 |
4位 | ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC) | +2:22 |
5位 | カロリーヌ・ボヘ(デンマーク、ゴーストファクトリーレーシング) | |
6位 | モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、キャノンデールファクトリーレーシング) | +2:25 |
7位 | ラウラ・スティッガー(オーストリア、スペシャライズドファクトリーレーシング) | +3:11 |
8位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | +3:12 |
9位 | アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) | +3:52 |
10位 | シーナ・フライ(スイス、スペシャライズドファクトリーレーシング) | +4:01 |
text:So Isobe
Amazon.co.jp