「限界の中、力を尽くした。第2の故郷で予想外の勝利だ」と語るジロ9日目を制したジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)。マリアローザを死守したロペスや、怪我と暑さで遅れたイェーツなど、ブロックハウスを駆け上げった選手たちの言葉を紹介します。



ステージ優勝&総合5位:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)

2年ぶり2度目のジロステージ優勝を遂げたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)2年ぶり2度目のジロステージ優勝を遂げたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
レース直後インタビュー

正直、登りを通して脚の調子は良くなかった。だが全力を尽くし、できるだけ長く先頭集団にしがみつこうと走った。そして予想外にも最後まで先頭集団に居続けることができたんだ。フィニッシュ手前200mに右コーナーがあることは分かっていたので、コーナーに先頭で入った。その後は全力でフィニッシュラインを目指すだけだった。

本当に素晴らしい気持ちだよ。困難なシーズンだった昨年を経て、今年は何とかジロで戦えるコンディションに戻すことができたんだ。それが勝利に繋がり…なんて言っていいのか、言葉がないよ。信じられない。

表彰式で涙を流すジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)表彰式で涙を流すジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
表彰式後インタビュー

ブロックハウスで勝利したなんて信じられない。アンダー23の1年目を(ブロックハウスのある)アブルッツォ州で暮らしたのでコースは知っていた。この辺りは僕にとっては第2の故郷みたいなものなんだ。そんな土地での勝利は本当に素晴らしい。

脚は限界ギリギリで、フィニッシュ手前数kmの勾配が緩くて本当にラッキーだった。また先頭を行く選手たちの牽制でペースが落ち、その後ろで回復できたのも幸運だった。ラスト200mのコーナーを先頭で入ることだけを考え、スプリント開始が早すぎたとも思った。だが勝利には十分なスピードで、本当に信じられない。言葉がないし、今日勝てるとは自分でも思っていなかった。チームへ勝利をもたらすことができて嬉しい。本当に嬉しいよ。

ステージ2位&総合3位:ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)

ランダとバルデ、カラパスが一時的に先行するも、後続のアルメイダたちが合流に成功するランダとバルデ、カラパスが一時的に先行するも、後続のアルメイダたちが合流に成功する photo:CorVos
総合順位を考えると、いまの僕らは良い位置にいる。この事実はとても良いこと、かつ、このジロをコントロールしている気すらしている。勝利が欲しかったので今日の結果にフラストレーションを感じているものの、ステージはまだまだ続いていくんだ。総合順位から見て、第1週目を良い形で終えることができたと言えるだろう。

ステージ3位&総合4位:リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

スプリントで惜しくも敗れたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)スプリントで惜しくも敗れたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
スプリントでは運がなかったものの感覚自体は良かった。ジロ第1週目を問題なく終えることができた。まだ争う位置にいることはとても大事なこと。チームは目的意識を持ちながらステージをコントロールすることができた。僕らはこの後のステージでも変わらぬ姿勢で戦い続ける。ここまで走りに満足していると共に、これからはジロ後半戦を見据え戦っていく。

ステージ4位&総合7位:ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)

序盤の下り区間で落車したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)序盤の下り区間で落車したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
僕だけではなくビルバオとブイトラゴが落車に見舞われたものの、良いステージだったと言えるだろう。有力選手たちと共に先頭集団で争うことができたことは、この後のステージに繋がると思う。今日のステージで誰が僕より強いのかが明らかになった。まだまだ多くのステージが待っているので、1日1日を集中していきたい。

ステージ5位&総合2位:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

1日を通して調子は良くなかった。しかし苦しみながらも最悪の状況は回避することができた。先頭集団でフィニッシュできて嬉しい。限界に達していたものの、周りを見ると全員が苦悶の表情を浮かべていた。結果的に最高のレースと言える。苦しみながらも、最良の結果を得ることができた。

ステージ6位&総合8位:ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

15度目のジロでも衰えぬ登坂力で区間6位に入ったドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)15度目のジロでも衰えぬ登坂力で区間6位に入ったドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
6位という順位に満足している。今朝、10位に入ることができればと思っていたが、その予想を上回ることができた。2017年にこの地で6位に入ったが、その時は勝利がもっと遠かった。先頭集団で自分はパンチ力のある方ではないが、ステージ優勝を信じて踏み続けた。今日の走りにより、目標である総合10位以内に向けて一歩近づいた。チームに新しい経験をもたらすことができている。2022年の僕らは、いままでの記録を打ち破っていくんだ。

マリアローザ:フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

マリアローザを守りたいフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)が必死に追走するマリアローザを守りたいフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)が必死に追走する photo:CorVos
マリアローザを死守したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)がガッツポーズマリアローザを死守したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)がガッツポーズ photo:RCS Sport
インタビューに答える前に、サム・オーメンに謝りたい。レース中に彼が僕を押してきたので、怒りで我を忘れた僕は彼にボトルを投げつけてしまった。本当に申し訳なかったと思っている。

マリアローザを守ることができ、いまこの瞬間でも本当に信じられない。レースが始まる前は、まさかマリアローザを着てここブロックハウスの頂上にいるなんて思ってもいなかった。明日はようやく訪れた休息日。今晩のディナーを楽しみ、マリアローザを着用する一瞬一瞬を楽しみたい。

マリアアッズーラ(山岳賞):ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)

2度目の逃げでマリアアッズーラを射止めたディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)2度目の逃げでマリアアッズーラを射止めたディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) photo:RCS Sport
このジャージを妻に捧げたい。なぜなら妻は家に居てもトレーニングと休養ばかりで何もしない僕に対して、怒ることなくジロに送り出してくれのだからね。このジャージを最後までも守るつもりがあるかって?ここだけの秘密を教えてあげよう。エオーロ・コメタと契約する際に、ジロでマリアアッズーラを獲得した場合の特別ボーナスを含む契約を結んだんだ。そのためこのチームに来てからずっとマリアアッズーラのことを考えていた。もちろんイェーツなどが狙ってくる可能性もあるが、簡単に奪わせるつもりはない。

*エオーロ・コメタ公式サイトより

ステージ34位(11分15秒遅れ):サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジャイコ)

最終山岳で早々と遅れていったサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジャイコ)最終山岳で早々と遅れていったサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジャイコ) photo:Team BikeExchange - Jayco
この状態でも何かはできるだろうと期待したが、エトナから続く痛みには勝てなかった。何とか痛みをコントロールしようと思ったのだが、それに加え暑さにやられてしまった。明日は休息日だ。今日のステージからどう立ち直ることができるのだろうね。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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