2022/05/11(水) - 08:46
シチリア島に渡ったジロ4日目に、エトナを舞台にした大逃げ決まる。レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がグランツール区間2勝目を挙げ、スプリントで敗れたフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)が涙のマリアローザ獲得に成功した。
ハンガリーでの3日間と移動日を挟み、いよいよジロ・デ・イタリアは母国イタリアへと凱旋した。舞台は「長靴」に喩えられるイタリアのつま先部分に位置し、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザフスタン)を輩出したシチリア島。その代名詞でもある活火山エトナに登りつめる、今大会最初の頂上フィニッシュで逃げを狙うチームの思惑が激しく交錯した。
様々なアプローチが存在するエトナ山だが、ジロ2022年大会で登るのは2018年大会と同じ西側のラガルナから登坂を始め、残り14km地点からはアルベルト・コンタドールが制した2011年と同じ「ニコロージ・スロープ」と呼ばれるルート(距離22.8km/平均勾配5.9%)。登坂距離は20kmオーバーであるものの、平均勾配が6%と緩く、更にフィニッシュ前は緩斜面が続くため総合バトルはやや勃発しにくい。それもあって、この日は大逃げを狙う選手がレース序盤に激しいアタック合戦を繰り広げることとなる。
その一方、メイン集団後方ではミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)がペースを落とし、やがてチームカーに乗り込みレースを棄権した。チームドクターによればロペスは開幕初日から過負荷または古い怪我の可能性による左大腿四頭筋の腱の炎症に苦しんでいたという。「スタッフのおかげで日に日に良くなっていたけれど、今日はペダリングできないほど痛んでしまった。たった4日でジロを終えることは本当に悲しい」と言うロペスは直近3年で2度目のジロ途中棄権を選ぶことになってしまった。
マリアローザを守りたいマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も加わったアタックの応酬の末、逃げを決めたのは10名以上の大グループ。一人追走したリリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)を最終合流便として、14名がメイン集団を突き放した。
逃げグループを形成した14名
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)
ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス)
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)
レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
レミ・ロシャス(フランス、コフィディス)
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、コフィディス)
ディエゴ・カマルゴ(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
エリック・フェッター(ハンガリー、エオーロ・コメタ)
レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
アレクサンダー・カタフォード(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
ハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)
マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)
最終的な総合争いに危険を及ぼす選手が逃げに入らなかったため、バーレーン・ヴィクトリアスやイネオス・グレナディアーズは逃げ切りも許容する最大12分、常時7分半ほどのタイム差を与えてメイン集団をコントロール。リーダーチームのアルペシン・フェニックスにも逃げを捕まえる意志はなかった。
順調にエトナ山に近づいた逃げグループからまず仕掛けたのはオルダーニだった。単独抜け出したオルダーニは45秒リードで登坂区間に入ったものの、追走グループから抜け出したロペスが合流し、「監督から一番勾配が厳しい場所で仕掛けろと指示を聞いた」と振り返る通りにオルダーニを振り払う。その後方で好調ケムナが残り7kmを切って他メンバーを千切ってロペスを追いかけた。
その一方、イネオスがハイペース牽引するメイン集団からは総合3位トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)があっさりと脱落してしまう。「全く身体が反応しなかった」と言う2017年覇者に続き、地元で良い走りを見せたかったニバリも残り5km地点でドロップ。アスタナにとって総合エースを2人とも失う悪夢の一日となってしまった。
先頭ロペスは歯を食いしばりながら一人エトナの6%勾配を踏み続けたものの、第1ステージ最終盤にロングスパートを仕掛けたケムナが徐々に距離を詰め、フィニッシュまで3km地点を過ぎてからキャッチ。一言二言言葉を交わした2人は協調体制を組み、強風吹き付ける頂上付近の火山岩区間を駆け上がる。そのペースは追走するタラマエやファンセヴェナント、モニケたちを寄せ付けなかった。
最終盤の緩斜面を駆け上がり、ロペスとケムナはマッチスプリントを見据えて左180度の最終ヘアピンコーナーへ。2番手ロペスが進入ラインを誤り、フロントホイールをケムナのリアホイールと接触させて体勢を崩すのを尻目にケムナが力強くスプリント。「ロペスが35秒先にいると聞いた時、もうほとんどチャンスは無いと思っていた」と言う、前哨戦ツアー・オブ・アルプスでの好調そのままにジロ入りした25歳が、2020年ツール・ド・フランス第16ステージに続くグランツール2勝目を勝ち取った。
そしてマリアローザは、既に総合成績でケムナを上回っていたロペスの手に渡る。マリアローザ獲得を知らず、告げられてからも状況を理解するまで10分掛かったと言うロペスは涙を流しながらチームメイトと抱き合い、頬を赤らめたままインタビューと表彰台へ。2020年にトレック・セガフレード入りして以降、クライマーとして徐々に成績を伸ばしてきた24歳が、キャリア未勝利のままマリアローザに袖を通している。
また、17名まで減らしていたメイン集団はリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を先頭にフィニッシュ。総合エースたちによる本格的な戦いは先送りになったものの、デュムランやニバリたちがマリアローザ争いから脱落する形となった。
ケムナや、涙のロペスら活躍した選手たちのコメントは別記事で紹介します。
ハンガリーでの3日間と移動日を挟み、いよいよジロ・デ・イタリアは母国イタリアへと凱旋した。舞台は「長靴」に喩えられるイタリアのつま先部分に位置し、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザフスタン)を輩出したシチリア島。その代名詞でもある活火山エトナに登りつめる、今大会最初の頂上フィニッシュで逃げを狙うチームの思惑が激しく交錯した。
様々なアプローチが存在するエトナ山だが、ジロ2022年大会で登るのは2018年大会と同じ西側のラガルナから登坂を始め、残り14km地点からはアルベルト・コンタドールが制した2011年と同じ「ニコロージ・スロープ」と呼ばれるルート(距離22.8km/平均勾配5.9%)。登坂距離は20kmオーバーであるものの、平均勾配が6%と緩く、更にフィニッシュ前は緩斜面が続くため総合バトルはやや勃発しにくい。それもあって、この日は大逃げを狙う選手がレース序盤に激しいアタック合戦を繰り広げることとなる。
その一方、メイン集団後方ではミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)がペースを落とし、やがてチームカーに乗り込みレースを棄権した。チームドクターによればロペスは開幕初日から過負荷または古い怪我の可能性による左大腿四頭筋の腱の炎症に苦しんでいたという。「スタッフのおかげで日に日に良くなっていたけれど、今日はペダリングできないほど痛んでしまった。たった4日でジロを終えることは本当に悲しい」と言うロペスは直近3年で2度目のジロ途中棄権を選ぶことになってしまった。
マリアローザを守りたいマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も加わったアタックの応酬の末、逃げを決めたのは10名以上の大グループ。一人追走したリリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)を最終合流便として、14名がメイン集団を突き放した。
逃げグループを形成した14名
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)
ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス)
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)
レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
レミ・ロシャス(フランス、コフィディス)
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、コフィディス)
ディエゴ・カマルゴ(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
エリック・フェッター(ハンガリー、エオーロ・コメタ)
レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
アレクサンダー・カタフォード(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
ハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)
マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)
最終的な総合争いに危険を及ぼす選手が逃げに入らなかったため、バーレーン・ヴィクトリアスやイネオス・グレナディアーズは逃げ切りも許容する最大12分、常時7分半ほどのタイム差を与えてメイン集団をコントロール。リーダーチームのアルペシン・フェニックスにも逃げを捕まえる意志はなかった。
順調にエトナ山に近づいた逃げグループからまず仕掛けたのはオルダーニだった。単独抜け出したオルダーニは45秒リードで登坂区間に入ったものの、追走グループから抜け出したロペスが合流し、「監督から一番勾配が厳しい場所で仕掛けろと指示を聞いた」と振り返る通りにオルダーニを振り払う。その後方で好調ケムナが残り7kmを切って他メンバーを千切ってロペスを追いかけた。
その一方、イネオスがハイペース牽引するメイン集団からは総合3位トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)があっさりと脱落してしまう。「全く身体が反応しなかった」と言う2017年覇者に続き、地元で良い走りを見せたかったニバリも残り5km地点でドロップ。アスタナにとって総合エースを2人とも失う悪夢の一日となってしまった。
先頭ロペスは歯を食いしばりながら一人エトナの6%勾配を踏み続けたものの、第1ステージ最終盤にロングスパートを仕掛けたケムナが徐々に距離を詰め、フィニッシュまで3km地点を過ぎてからキャッチ。一言二言言葉を交わした2人は協調体制を組み、強風吹き付ける頂上付近の火山岩区間を駆け上がる。そのペースは追走するタラマエやファンセヴェナント、モニケたちを寄せ付けなかった。
最終盤の緩斜面を駆け上がり、ロペスとケムナはマッチスプリントを見据えて左180度の最終ヘアピンコーナーへ。2番手ロペスが進入ラインを誤り、フロントホイールをケムナのリアホイールと接触させて体勢を崩すのを尻目にケムナが力強くスプリント。「ロペスが35秒先にいると聞いた時、もうほとんどチャンスは無いと思っていた」と言う、前哨戦ツアー・オブ・アルプスでの好調そのままにジロ入りした25歳が、2020年ツール・ド・フランス第16ステージに続くグランツール2勝目を勝ち取った。
そしてマリアローザは、既に総合成績でケムナを上回っていたロペスの手に渡る。マリアローザ獲得を知らず、告げられてからも状況を理解するまで10分掛かったと言うロペスは涙を流しながらチームメイトと抱き合い、頬を赤らめたままインタビューと表彰台へ。2020年にトレック・セガフレード入りして以降、クライマーとして徐々に成績を伸ばしてきた24歳が、キャリア未勝利のままマリアローザに袖を通している。
また、17名まで減らしていたメイン集団はリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を先頭にフィニッシュ。総合エースたちによる本格的な戦いは先送りになったものの、デュムランやニバリたちがマリアローザ争いから脱落する形となった。
ケムナや、涙のロペスら活躍した選手たちのコメントは別記事で紹介します。
ジロ・デ・イタリア2022第4ステージ結果
1位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:32:11 |
2位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | |
3位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:34 |
4位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル) | +2:12 |
5位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
6位 | ハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +2:31 |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +2:37 |
8位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
31位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザフスタン) | +4:52 |
53位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +9:10 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 14:17:07 |
2位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:39 |
3位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:59 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | +1:42 |
5位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:47 |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:55 |
7位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:00 |
8位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | +2:04 |
10位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | +2:06 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 62pts |
2位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 55pts |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 53pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 40pts |
2位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 18pts |
3位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 12pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 14:17:07 |
2位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:47 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:00 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 42:54:54 |
2位 | アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ | +2:17 |
3位 | トレック・セガフレード | +2:47 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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