2022/04/12(火) - 12:38
ブラジル開催となったUCI・MTBワールドカップでニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)がW杯最多優勝記録に並ぶ33勝目をマーク。女子エリートではレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)が自身初となるW杯勝利を掴んだ。
MTBクロスカントリーレースの最高峰であるUCI・MTBワールドカップがブラジルで開幕した。今年のXCO(クロスカントリー)ワールドカップは第1戦ブラジルに始まり、ドイツのアルプシュタット、チェコのノヴェ・メストといったヨーロッパの名門&定番コースやアメリカ&カナダラウンドを経て、9月のイタリア・ヴァルディソーレで閉幕する合計9戦が予定されている。
MTBクロスカントリーレースの最高峰であるUCI・MTBワールドカップがブラジルで開幕した。今年のXCO(クロスカントリー)ワールドカップは第1戦ブラジルに始まり、ドイツのアルプシュタット、チェコのノヴェ・メストといったヨーロッパの名門&定番コースやアメリカ&カナダラウンドを経て、9月のイタリア・ヴァルディソーレで閉幕する合計9戦が予定されている。
2022メルセデスベンツUCIマウンテンバイクワールドカップスケジュール(XCO)
第1戦 | 4月8日-10日 | ペトロポリス(ブラジル) |
第2戦 | 5月6日-8日 | アルプシュタット(ドイツ) |
第3戦 | 5月13日-15日 | ノヴェ・メスト(チェコ) |
第4戦 | 6月10日-12日 | レオガング(オーストリア) |
第5戦 | 7月8日-10日 | レンツァーハイデ(スイス) |
第6戦 | 7月15日-17日 | ヴァルノルド・パル・アリンサル(アンドラ) |
第7戦 | 7月29日-31日 | スノーシュー(アメリカ) |
第8戦 | 8月5日-7日 | モンサンタン(カナダ) |
第9戦 | 9月2日-4日 | ヴァルディソーレ(イタリア) |
男子エリート:劇的な幕切れでシューターが最多優勝記録に並ぶ
フランス、ルルドで開幕したダウンヒルのワールドカップから遅れること2週間、クロスカントリーワールドカップは今シーズン唯一の新規開催地となるブラジルはペトロポリスで開幕した。
ペトロポリスは首都リオデジャネイロの北に位置する街で、毎年ブラジルのナショナル選手権の舞台となるなど、ブラジルのクロスカントリーシーンの聖地と言われる場所。同国を代表するトップ選手ヘンリケ・アヴァンチーニ(キャノンデールファクトリーレーシング)の地元かつホームコースには、3日間を通して35,000人のファンがその走りを一目見ようと詰めかけた。
今年の大きな流れとしては、B&Bホテルズ・KTMの一員として本格的にロード参戦を果たしたヴィクトール・コレツキー(フランス)が不在(スポットで参戦を予定していると言う)となったこと。昨年の世界選手権で劇的なアルカンシエル奪還を果たしたニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)ら、男女トップレベルのフルメンバーがペトロポリスに顔を揃えた。
男子エリートレースを序盤からリードしたのはチェコチャンピオンのオンドレイ・シンク(クロス・オルレンサイクリングチーム)だった。しかしレースが進むにつれてシューターがペースメイクを行い、中盤を過ぎた頃に先頭グループはシューターとマキシム・マロット(フランス、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム)、そしてヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC)の3名に絞り込まれる。大声援を受けて走るアヴァンチーニは不調を押して4番手を走っていたものの、後半にかけてスピードを失っていった(最終成績は13位)。
3人の先頭グループは互いにアタックと吸収を繰り返し、決定的な動きは決まらず最終盤へ。最後の登坂でシューターが仕掛けてダスカルを振り落としたものの、対抗するマロットが先頭を奪い返してホームストレートへ。フランスチャンピオンがアドバンテージを得てフィニッシュラインを目指したものの、「登りで先行されたけれど、諦めることなく挽回のチャンスを狙い続けた」と言うシューターは、残り100mを切ってからスプリントを仕掛け、フィニッシュライン直前でパス。劇的な幕切れで世界チャンピオンが両手を振り上げ、感情を爆発させた。
世界王者に返り咲いたシューターが、2022年開幕戦でかつての盟友でありライバルのジュリアン・アブサロン(フランス)が保持するワールドカップ最多優勝記録タイに並ぶ33勝目。シューターのワールドカップ前回優勝は2019年7月のレジェ以来およそ3年弱ぶり(2020年と2021年は勝利なし)だ。
タイ記録到達についてシューターはSNSで「ありがとうアブサロン。僕たちの戦いと、君が樹立した記録は僕をよりハイレベルなアスリートに導いてくれた。今君とワールドカップ通算33勝という記録をシェアできることを誇りに思う」と綴る。シューターは2023年までスコット・スラムMTBレーシングチームと契約延長を果たしており、記録更新の可能性は十分に現実味を帯びている。
女子エリート:豪女王マコンネルがついにW杯初優勝
女子レースを序盤からリードしたのは、昨年絶好調を維持しながらも体調不良で世界選手権不出場を選んだロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV)だった。世界女王イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシングXC)と五輪女王ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)が共に体調不良でレース参加を見送る中、ルコントは1周目から大きなリードを稼ぎ出した。
ルコントは一時リードを20秒近くまで広げたものの、全6周回中の4周目後半にかけてレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)とアン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング)が猛チャージして合流。すぐさま先行したテルプストラは1周回を逃げていたが、最終周回の登り区間でブレーキ。ミスも重なったことでマコンネルの追撃を許してしまった。
長い登坂区間を経て、先に下り区間に入ったのはマコンネルだった。世界選手権を筆頭に(2019・20年は3位銅メダル)、たびたび強烈な追い上げを披露していた豪女王が、そのままアタックを継続しキャリア初のワールドカップ優勝を掴み取った。
「おそらくキャリアの中で、初めて完全にパーフェクトなレースになったと思う。これまで全部のレースで戦術的なミスや改善点を感じてきた。私は自分自身の走りを厳しく評価しているけれど、今回は完璧に近かった。ワールドカップウィナーになれて信じられない気分だし、シリーズリーダージャージと共に家に戻れるなんて素晴らしいこと」と、マコンネルは喜びを語っている。
XCOワールドカップの第2戦はヨーロッパに帰還。1ヶ月をあけた5月6日から8日にドイツのアルプシュタットで開催される。
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第1戦男子エリート結果
1位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | 1:26:52 |
2位 | マキシム・マロット(フランス、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム) | |
3位 | ヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC) | +0:03 |
4位 | セバスティアンフィニー・カルステンセン(デンマーク、KMCオルベア) | +0:55 |
5位 | フィリッポ・コロンボ(スイス、BMC MTBレーシング) | +0:56 |
6位 | ピエール・デフロワモン(ベルギー、KMCオルベア) | +1:07 |
7位 | ルーカ・ブライドット(イタリア、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム) | +1:40 |
8位 | トーマス・リッチャー(スイス、クロス・オルレンサイクリングチーム) | +1:41 |
9位 | アラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング) | +1:50 |
10位 | オンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オルレンサイクリングチーム) | +1:57 |
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第1戦女子エリート結果
1位 | レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン) | 1:29:41 |
2位 | アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) | +0:17 |
3位 | ロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・コレクティブ) | +0:38 |
4位 | ラウラ・スティッガー(オーストリア、スペシャライズドファクトリーレーシング) | +1:44 |
5位 | モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、キャノンデールファクトリーレーシング) | +1:53 |
6位 | カロリーヌ・ボヘ(デンマーク、ゴーストファクトリーレーシング) | +2:34 |
7位 | リンダ・インダーガンド(スイス、リブファクトリーレーシング) | +3:39 |
8位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | +4:16 |
9位 | ケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | +4:16 |
10位 | アン・タウバー(オランダ、CSTポストNLバーファンMTBレーシングチーム) | +4:20 |
text:So Isobe
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