10名の逃げからレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)と共に飛び出したヨセフ・チェルニー(チェコ)がコッピ・エ・バルタリ最終日を制す。エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)が自身初となるステージレース総合優勝に輝いた。



前日に圧巻のスプリントを披露したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) 前日に圧巻のスプリントを披露したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
イタリア中部を舞台にした第37回セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・コッピ・エ・バルタリの最終第5ステージは、カザルグイディから大会名になっている往年の名選手ジーノ・バルタリの故郷カンタグリッロテに向かう160.2km。平坦基調のレース前半から、後半は2級山岳ムンゲリーノを含む19.3kmのコースを3周する丘陵ステージだ。

この過酷な最終ステージの序盤戦で、区間優勝を狙うレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)やフレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ)が早々と集団を形成する。総合首位のエディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)を脅かす選手がいないことから、合計10名による逃げ集団がプロトンから最大8分差を得て周回コースへと突入した。

序盤から逃げ集団を形成したオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)ら10名序盤から逃げ集団を形成したオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)ら10名 photo:CorVos
メイン集団はこの日もイネオス・グレナディアーズがコントロールメイン集団はこの日もイネオス・グレナディアーズがコントロール photo:CorVos
最大勾配8.1%の2級山岳ムンゲリーノの登りに入ると、逃げ集団をシャッフルしたいヨセフ・チェルニー(チェコ、クイックステップ・アルファヴィニル)が動き、カヴァニャとイスラエル王者オメル・ゴールドスタイン(イスラエル・プレミアテック)による3名が先頭に出た。

残り20km地点を過ぎ、追走集団に1分差、ダンバーのいるメイン集団に8分差で突き進む先頭の3名から、チェルニーが単独でアタック。遅れたカヴァニャとゴールドスタインに、追走集団からジュリアス・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)がジョインし最終周回へ。

しかし最後のムンゲリーノの登坂でファンデンベルフが遅れ、続いてゴールドスタインの脚がなくなったことを確認したカヴァニャが飛び出し、チェルニーに合流する。クイックステップの2人がそのまま残る距離をランデブー走行し、チェルニーがカヴァニャに譲られる形で勝利した。

手を繋ぎフィニッシュラインを越えたクイックステップ・アルファヴィニルのヨセフ・チェルニー(チェコ)とレミ・カヴァニャ(フランス)	手を繋ぎフィニッシュラインを越えたクイックステップ・アルファヴィニルのヨセフ・チェルニー(チェコ)とレミ・カヴァニャ(フランス) photo:CorVos
「まるでミッケルフレーリク・ホノレと一緒にフィニッシュした昨年のイツリア・バスクカントリーの再現みたいだ。連日厳しい展開のレースが続いていたが、僕らの調子はよかったので序盤から仕掛けた。レミと一緒にフィニッシュできて最高の気分だ。シーズン最初の勝利だが、これからも勝ちを積み重ねていきたい。区間2勝という結果はウルフパックの精神を十分示すことができただろう」と勝、利したチェルニーは語った。

勝利を喜ぶヨセフ・チェルニー(チェコ、クイックステップ・アルファヴィニル)勝利を喜ぶヨセフ・チェルニー(チェコ、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
トップから4分23秒遅れでフィニッシュしたダンバーが総合優勝に輝く。「このチームに所属して数年経ち、この結果が意味するものは大きい。ようやく肩の荷が下りよ。総合優勝を狙う走りを心がけ、全てのピースが組み合わさったことで総合優勝という素晴らしい結果がやってきたんだ。レース展開をコントロールした仲間たちの走りは素晴らしく、区間優勝と総合2位に入ったベン(トゥレット)の活躍も誇らしい。最高の一週間になったよ」と、弱冠21歳だった2018年にチームに加入後、初となるステージレース総合優勝を挙げたダンバーは喜んだ。

自身初となるステージレース総合優勝に輝いたエディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)自身初となるステージレース総合優勝に輝いたエディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・コッピ・エ・バルタリ2022 第5ステージ結果
1位 ヨセフ・チェルニー(チェコ、クイックステップ・アルファヴィニル) 3:56:55
2位 レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
3位 オメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック) 0:14
4位 ジュリアス・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:46
5位 フレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ) 3:03
個人総合成績
1位 エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ) 20:38:18
2位 ベン・トゥレット(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:09
3位 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) 0:24
4位 サイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:30
5位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、トレック・セガフレード) 0:45
その他の特別賞
山岳賞 アンドレア・ガロジオ(イタリア、ビエッセ・アルヴェディ)
ポイント賞 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
ヤングライダー賞 ベン・トゥレット(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos