1級ボイー・タウイの山頂フィニッシュでジョアン・アルメイダ(ポルトガル)がUAEチームエミレーツ加入後初勝利。2位のナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が総合リーダーの座についた。



カタルーニャ州北部の山岳地帯を走るカタルーニャ州北部の山岳地帯を走る (c)VOLTA/A.S.O.
ボルタ・ア・カタルーニャ2022第4ステージ コースプロフィールボルタ・ア・カタルーニャ2022第4ステージ コースプロフィール (c)VOLTA/A.S.O.2連続の山頂フィニッシュ2日目、ボルタ・ア・カタルーニャ第4ステージはアンドラ公国との国境に近い北部のラ・セウ・ドゥルジェイからボイー・タウイ山頂を目指す166.7km。前半から1級山岳ボイクソルス峠を越え、レース終盤は1級山岳ペルヴェス峠(距離5.8km/平均6.2%)と1級山岳ボイー・タウイ(距離13km/平均6%)を駆け上がる。

登場する山岳は急勾配でこそないものの、フィニッシュ地点である1級山岳ボイー・タウイのラスト200mは引き締まった砂の未舗装路区間。獲得標高差3,500mのピレネー山岳ステージで、クライマーたちによる激しい展開が繰り広げられた。

序盤から逃げたヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)ら6名序盤から逃げたヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)ら6名 (c)VOLTA/A.S.O.
サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が体調不良の為レースを去ったこの日、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)やヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)など実力確かなクライマーを含む6名が逃げ集団を形成。ここに総合成績で僅か33秒遅れのマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)が入ったため、メイン集団をコントロールするリーダーチームのAG2Rシトロエンは3分以上のタイム差を与えなかった。

2つの1級山岳をクリアしていった逃げ集団では、ミケル・ビスカラ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が山岳ポイントでアンデル・オカミカ(スペイン、ブルゴスBH)を抜き、この日終了時点での山岳賞ジャージを獲得。この6名は2分のリードを保ちながらピレネーの山岳地帯を突き進んだ。

AG2Rシトロエンが牽引するプロトンが山岳地帯を越えていくAG2Rシトロエンが牽引するプロトンが山岳地帯を越えていく (c)VOLTA/A.S.O.
1級山岳ボイー・タウイ(距離13km/平均6%)の登坂に40秒のリードで入った逃げグループはバラけ、最後まで残ったのはクライマーではなくタイムトライアルに長けたブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)。それを追うプロトンの牽引がAG2Rシトロエンからアルケア・サムシックに代わると、早くもリーダージャージを着るベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)がアタック。ここから有力選手たちによる登坂バトルが幕開けた。

オコーナーのファーストアタックに対してセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)とリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が反応。メイン集団の先頭を牽くジョージ・ベネット(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)が引き戻したものの、この急激なペースアップにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が遅れを喫した。

するとアシストに徹すると思われていたベネットが自ら飛び出し、先頭のアルミライルに合流。後方ではイネオス・グレナディアーズのダニエル・マルティネス(コロンビア)とジョナタン・カストロビエホ(スペイン)がカラパスのために隊列を組んで前を追う。

1級山岳ボイー・タウイの麓で早くも飛び出すベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)1級山岳ボイー・タウイの麓で早くも飛び出すベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) photo:CorVos残り3kmでアタックしたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)残り3kmでアタックしたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) (c)VOLTA/A.S.O.
ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)ら4名の先鋭集団ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)ら4名の先鋭集団 (c)VOLTA/A.S.O.
残り3.7kmで先頭2人を吸収し、更にペースの上がった先頭集団はイバン・ソーサ(コロンビア、モビスター)やエスデバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)をも振り落としていく。各チームのアシストが遅れ、エースたちがお互いを見合いスピードが落ちたタイミングで、金色ヘルメットのカラパスがアタックを仕掛けた。

勢いよく飛び出したカラパスとイギータが逃げ、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がペース走法でキャッチ。リーダージャージのオコーナーと新人賞ジャージのフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が遅れたため、勝負はアルメイダ、イギータ、カラパス、キンタナの僅か4名に絞られた。

残り1km地点からイギータとキンタナが続いてアタック。それにアルメイダが合流を果たし、未舗装路区間に突入した3人によるスプリント勝負を、アルメイダがコロンビア勢を振り切って勝利した。

ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)ら3名によって繰り広げられたフィニッシュスプリントジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)ら3名によって繰り広げられたフィニッシュスプリント photo:CorVos
右手を上げフィニッシュするジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)右手を上げフィニッシュするジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
クイックステップ・アルファヴィニルを離れ、UAEチームエミレーツと5年の長期契約を結んだアルメイダは移籍後初勝利。「勝利できてスーパーハッピーだ。このために長い間努力してきた。最後の登りでは自分の力を上手くコントロールし、ベネットについていけばよかったので楽に走ることができた。そして最後は勝利を目指しスプリントしたんだ。明日からのステージも楽ではないが、いまのところ満足の大会になっているよ」。

粘りながらも遅れたオコーナーに代わり、リーダージャージは区間2位のキンタナの手に。「初出場した11年前、ここで僕は山岳賞ジャージを争っていた。それから長い月日を経てリーダージャージを着用できた事実に感動している」と、32歳のキンタナは喜びを語った。
ボルタ・ア・カタルーニャ2022第4ステージ結果
1位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 4:20:27
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
3位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:07
5位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 0:13
6位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
7位 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
8位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
10位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) 17:04:53
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
3位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:06
4位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) 0:17
5位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)
7位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 0:23
8位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
9位 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 0:26
10位 トースタイン・トレーエン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 0:34
その他の特別賞
ポイント賞 ヨナス・ヴィデバーグ(ノルウェー、チームDSM)
山岳賞 ミケル・ビスカラ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ヤングライダー賞 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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