2022/03/21(月) - 09:47
今年初開催の「富士クリテリウムチャンピオンシップ」が、3月19日・20日の2日間に渡り静岡県富士市で開催された。予選を経て行われた決勝レースは、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)がスプリント勝負を制して優勝し、初代チャンピオンとなった。
「富士クリテリウムチャンピオンシップ」は、全日本実業団自転車競技連盟(以下JBCF)、ジャパンサイクルリーグ(以下JCL)、日本学生自転車競技連盟(以下学連)の3団体に所属する選手が出場するレースとして、今年初めて開催される大会。静岡県富士市を舞台に、文字通りクリテリウムの頂上決戦が繰り広げられる。
会場は、富士市役所や文教施設などが建ち並ぶ「青葉通り」を往復する1周1.8kmのコース。東西に伸びる片側3車線の大通りは、「へ」の字を描くように緩やかにカーブし、両端の折り返しでつなぐレイアウト。フィニッシュラインまで残り100mは緩い登りになっている。
ちなみに、このコースの一部区間は富士市の夏祭り「富士まつり」で使用されおり、2018年にはディズニーパレードが開催されたという。
「寒の戻り」の寒い日が続いていたが、大会当日は暖かな日差しが戻ってきた。しかし雲が多めだったこともあり、残念ながら大会期間中に富士山の姿を見ることは叶わなかった。
予選
19日に行われた予選は、JBCF、JCL、学連それぞれに分けて15周27kmで行われ、各組上位25名が決勝に進出する。
JBCF予選では、チームブリヂストンサイクリングと弱虫ペダルサイクリングチームが5名の決勝進出を決めた。一方で、全日本チャンピオンの草場啓吾を擁する愛三工業レーシングチームは草場を含む3名、シマノレーシングは落車の影響もあって3名、マトリックスパワータグは2名が決勝に残った。
JCL予選では、スパークルおおいたレーシングチームとVC福岡が5名、宇都宮ブリッツェンが4名の決勝進出を決めた。地元チームのレバンテフジ静岡は、佐野淳哉と高梨万里王の2名、チーム右京相模原、キナンレーシングチームも共に2名のみの決勝進出となり、厳しい結果となった。
学連予選では、インカレ総合優勝メンバーを揃えた日本大学が5名を決勝に送り込んだほか、日本体育大学と明治大学も5名が決勝進出を決めた。
決勝
20日の決勝は30周54kmで行われた。スタート直後、ファーストアタックを決めたのは地元チームの佐野淳哉。1周ほどで吸収されると、そこからアタックと吸収が繰り返される展開が続いていく。
レース中盤、橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、高梨万里王(レバンテフジ静岡)の3名が先行。これを追って数名がブリッジを試みる。後半に入ると、高梨と入れ替わりでレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)が先頭集団に加わる。さらに後方から、宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤健(日本大学)、佐野らが合流し、先頭集団は11名まで増える。しかしチームブリヂストンサイクリングのペースアップにより、残り10周を切ったところでメイン集団に吸収される。
残り4周となる27周目、「本来は今村(駿介)選手が逃げる予定だったが、そうならなかったので代わりに行くことにした」と言う橋本が再び先行。10秒ほどの差をつけて独走を続けるも、残り2周で吸収される。その後は再びアタック合戦となるが、勝負を決める動きが出ないままスプリント勝負へ。
全日本チャンピオンジャージの草場の牽引を受けてスプリントを開始した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が、先頭でフィニッシュへ突き進んでくる。残り100mに差し掛かったあたりで、草場が後方で勝利を確信。差を詰めきれなかった窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)をよそに、岡本が右腕を突き上げた。
優勝:岡本隼(愛三工業レーシングチーム 写真中央) コメント
「レース後半の逃げに愛三から誰も乗っていなかったのはマズい展開でしたが、ブリヂストンがペースを上げていた中、次の展開に対応できる位置取りをキープし、3人でやるべきところでしっかり溜めて、最後のスプリント1本に絞って勝負出来たことが勝利に繋がったと思います。最後の折り返しの前から草場選手が前に上げてくれて、そこから予想以上に先頭を引いてくれたので、しっかり脚をためてスプリントに入ることが出来ました」
2位:窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング 写真左) コメント
「本来は橋本選手が逃げる作戦ではなかったのですが、ラスト10周を切ってからはブリヂストンが力を見せたレースだったと思います。でもブリヂストンはスプリンターチームなので、愛三工業がやったレースをしたかった。色々な手があったと思うが、自分達で策に溺れてしまった気がします。最後に増田(成幸)選手や橋本選手と飛び出して、残り3周を逃げ切ることが出来れば形成逆転したと思いますが、愛三工業がスプリントまで我慢したように、僕たちも同じようにすべきだったと思います。来週のJプロツアー開幕に向けて良いコンディションであることは確認出来たので、昨年に続き連覇を目指したいです」
3位:中川拳(愛三工業レーシングチーム 写真右) コメント
「プロになって初めての表彰台でした。草場さんが残り250mまで牽引してくれて、そこから岡本さんがスプリントしたのですが、僕はかかりが遅いので窪木さんにまくられてなんとか3位に入れました。愛三工業は3名での決勝だったので、他力本願になってしまったところもありましたが、最終的に運を手繰り寄せられたのかなと思います」
富士市の自転車活用推進のキッカケに
今大会は、富士市がレバンテフジ静岡の本拠地となったことでホームレースを開催したいという想いから始まったと言う。大会を開催した富士市スポーツ振興課の影山さんによれば、富士市の自転車利用は全国平均の半分以下となっているため、レバンテフジ静岡とロードレースが自転車の活用を増やすきっかけとなるコンテンツとして期待されている。
来年以降もクリテリウムの大会は継続を目指しており、大会名に「富士山サイクルロードレース」とあるように、将来的にロードレースの開催も目標にしているという。富士市の今後の展開に期待したい。
「富士クリテリウムチャンピオンシップ」は、全日本実業団自転車競技連盟(以下JBCF)、ジャパンサイクルリーグ(以下JCL)、日本学生自転車競技連盟(以下学連)の3団体に所属する選手が出場するレースとして、今年初めて開催される大会。静岡県富士市を舞台に、文字通りクリテリウムの頂上決戦が繰り広げられる。
会場は、富士市役所や文教施設などが建ち並ぶ「青葉通り」を往復する1周1.8kmのコース。東西に伸びる片側3車線の大通りは、「へ」の字を描くように緩やかにカーブし、両端の折り返しでつなぐレイアウト。フィニッシュラインまで残り100mは緩い登りになっている。
ちなみに、このコースの一部区間は富士市の夏祭り「富士まつり」で使用されおり、2018年にはディズニーパレードが開催されたという。
「寒の戻り」の寒い日が続いていたが、大会当日は暖かな日差しが戻ってきた。しかし雲が多めだったこともあり、残念ながら大会期間中に富士山の姿を見ることは叶わなかった。
予選
19日に行われた予選は、JBCF、JCL、学連それぞれに分けて15周27kmで行われ、各組上位25名が決勝に進出する。
JBCF予選では、チームブリヂストンサイクリングと弱虫ペダルサイクリングチームが5名の決勝進出を決めた。一方で、全日本チャンピオンの草場啓吾を擁する愛三工業レーシングチームは草場を含む3名、シマノレーシングは落車の影響もあって3名、マトリックスパワータグは2名が決勝に残った。
JCL予選では、スパークルおおいたレーシングチームとVC福岡が5名、宇都宮ブリッツェンが4名の決勝進出を決めた。地元チームのレバンテフジ静岡は、佐野淳哉と高梨万里王の2名、チーム右京相模原、キナンレーシングチームも共に2名のみの決勝進出となり、厳しい結果となった。
学連予選では、インカレ総合優勝メンバーを揃えた日本大学が5名を決勝に送り込んだほか、日本体育大学と明治大学も5名が決勝進出を決めた。
決勝
20日の決勝は30周54kmで行われた。スタート直後、ファーストアタックを決めたのは地元チームの佐野淳哉。1周ほどで吸収されると、そこからアタックと吸収が繰り返される展開が続いていく。
レース中盤、橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、高梨万里王(レバンテフジ静岡)の3名が先行。これを追って数名がブリッジを試みる。後半に入ると、高梨と入れ替わりでレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)が先頭集団に加わる。さらに後方から、宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤健(日本大学)、佐野らが合流し、先頭集団は11名まで増える。しかしチームブリヂストンサイクリングのペースアップにより、残り10周を切ったところでメイン集団に吸収される。
残り4周となる27周目、「本来は今村(駿介)選手が逃げる予定だったが、そうならなかったので代わりに行くことにした」と言う橋本が再び先行。10秒ほどの差をつけて独走を続けるも、残り2周で吸収される。その後は再びアタック合戦となるが、勝負を決める動きが出ないままスプリント勝負へ。
全日本チャンピオンジャージの草場の牽引を受けてスプリントを開始した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が、先頭でフィニッシュへ突き進んでくる。残り100mに差し掛かったあたりで、草場が後方で勝利を確信。差を詰めきれなかった窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)をよそに、岡本が右腕を突き上げた。
優勝:岡本隼(愛三工業レーシングチーム 写真中央) コメント
「レース後半の逃げに愛三から誰も乗っていなかったのはマズい展開でしたが、ブリヂストンがペースを上げていた中、次の展開に対応できる位置取りをキープし、3人でやるべきところでしっかり溜めて、最後のスプリント1本に絞って勝負出来たことが勝利に繋がったと思います。最後の折り返しの前から草場選手が前に上げてくれて、そこから予想以上に先頭を引いてくれたので、しっかり脚をためてスプリントに入ることが出来ました」
2位:窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング 写真左) コメント
「本来は橋本選手が逃げる作戦ではなかったのですが、ラスト10周を切ってからはブリヂストンが力を見せたレースだったと思います。でもブリヂストンはスプリンターチームなので、愛三工業がやったレースをしたかった。色々な手があったと思うが、自分達で策に溺れてしまった気がします。最後に増田(成幸)選手や橋本選手と飛び出して、残り3周を逃げ切ることが出来れば形成逆転したと思いますが、愛三工業がスプリントまで我慢したように、僕たちも同じようにすべきだったと思います。来週のJプロツアー開幕に向けて良いコンディションであることは確認出来たので、昨年に続き連覇を目指したいです」
3位:中川拳(愛三工業レーシングチーム 写真右) コメント
「プロになって初めての表彰台でした。草場さんが残り250mまで牽引してくれて、そこから岡本さんがスプリントしたのですが、僕はかかりが遅いので窪木さんにまくられてなんとか3位に入れました。愛三工業は3名での決勝だったので、他力本願になってしまったところもありましたが、最終的に運を手繰り寄せられたのかなと思います」
富士市の自転車活用推進のキッカケに
今大会は、富士市がレバンテフジ静岡の本拠地となったことでホームレースを開催したいという想いから始まったと言う。大会を開催した富士市スポーツ振興課の影山さんによれば、富士市の自転車利用は全国平均の半分以下となっているため、レバンテフジ静岡とロードレースが自転車の活用を増やすきっかけとなるコンテンツとして期待されている。
来年以降もクリテリウムの大会は継続を目指しており、大会名に「富士山サイクルロードレース」とあるように、将来的にロードレースの開催も目標にしているという。富士市の今後の展開に期待したい。
富士クリテリウムチャンピオンシップ 結果(54km)
1位 | 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) | 1時間16分35秒 |
2位 | 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) | +1秒 |
3位 | 中川 拳(愛三工業レーシングチーム) | |
4位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | |
5位 | 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) | |
6位 | レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガ(マトリックスパワータグ) |
男子ジュニア+U17(18km)
1位 | 北川魁之介(リオモ・ベルマーレ・レーシングチーム) | 27分36秒 |
2位 | 知名透真 | +0秒 |
3位 | 中尾涼介(フォアライン) | |
4位 | 夏目天斗 | +1秒 |
5位 | 望月 蓮(Avenir Yamanashi Yamanakako) | +2秒 |
6位 | 志方春輝(甲府工業高校) | +4秒 |
女子(18km)
1位 | 川口うらら(日本体育大学) | 28分41秒 |
2位 | 岩元杏奈(日本体育大学) | +12秒 |
3位 | 太郎田水桜(法政大学) | +13秒 |
4位 | 阿部花梨(順天堂大学) | +2分27秒 |
5位 | 牧田咲子(順天堂大学) | +2分48秒 |
6位 | 野寺 梓(法政大学) | +1LAP |
男子マスターズ(18km)
1位 | 森榮晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems) | 26分57秒 |
2位 | 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム) | +1秒 |
3位 | 山本裕昭(BONDS静岡サイクルRT) | +2秒 |
4位 | 山本 敦(SBC Vertex Racing Team) | |
5位 | 山崎 論(TRAILBAZER) | |
6位 | 大友 守(ARCCレーシングチーム) | +3秒 |
男子エリート+U23(27km)
1位 | 中川由人(SBC Vertex Racing Team) | 41分32秒 |
2位 | 佐藤俊雄(MiNERVA-asahi) | |
3位 | 永田隼也(TEAM A&F/OAKLEY) | |
4位 | 宮田真白(SBC Vertex Racing Team) | |
5位 | 石井翔瑛(AutoBahnGotemba) | +1秒 |
6位 | 倉田龍汰(LEVANTE HOPE) |
text&photo:Satoru Kato
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