2022/03/27(日) - 15:09
アメリカ・コロラドを拠点とするオフロードバイクブランドniner(ナイナー)がリリースしたフルサスグラベルバイク"MCR9RDO"をインプレッション。29インチバイクの世界に未来を見出したブランドが灯す、グラベルバイクの次なるトレンドの兆しやいかに。
現在、MTBの世界ではスタンダードとなった感のある29インチホイール。だがナイナーが創業した2000年代の半ば、世間の反応は冷ややかだったという。だが、創業者である日系4世のクリス・スガイ氏が29インチバイクに感じた可能性を追求し、当時高身長ライダーにしか乗れない、と言われた29erを普及させるためにジオメトリーを煮詰め、多くのライダーがその恩恵を受けられるように開発を行ってきた。
XCOから始まった29インチ化の流れは、トレイルバイクからエンデューロ、そしてDHバイクへと波及し、今となってはほぼすべてのメーカーの基準となるホイールサイズとなっている。
現在に至るトレンドの火付け役でもあったナイナーだが、その情熱はMTBに限られたものではない。MTBで培った知見を活かしたシクロクロスバイク"BSB9"を発表すると、ドロップハンドルオフロードバイクのカテゴリーにも本格参入。グラベルバイクブームの到来もあり、そのラインアップを一気に充実させてきた。
そんな中、2019年にナイナーが発表したのが、世界初のフルサスグラベルバイクとなる"MCR9 RDO"だ。モデル名のMCRとは、Magic Carpet Rideのイニシャリズム。つまり魔法の絨毯のような乗り心地を実現するバイクであることを示している。
そのライドフィールを実現するのがフロント40mm、リア50㎜というショートストロークのサスペンション。ナイナーがサスペンションメーカーと共同開発したというオリジナルのサスペンションは、グラベルライドに最適なチューニングが施されているという。
世界初のフルサスペンショングラベルバイクを実現するにあたり、ナイナーが採用したのは同社のMTBにも用いられるCVAシステムだ。一体成型されたリアトライアングルを上下二つのリンクでつなぐ4バーリンケージシステムで、サグ付近での高いアンチスクワット性能による優れたペダリング効率と、ハイレバレッジレシオによるスムーズな乗り心地を両立させたCVAリンケージを、グラベルバイクに最適なプラットフォームへと再設計した。
もっともユニークなポイントはショックのレイアウトだろう。通常MTBではフロントトライアングル内に配置されるリアショックだが、MCR9ではシートチューブとリアホイールの間に配置されている。このレイアウトの結果、フルサスバイクでありながらフロントトライアングル内の空間が完全にフリーとなっており、ダブルボトルはもちろん、フレームバッグなどのストレージも装着可能となった。
シートチューブとダウンチューブの2か所以外にもトップチューブおよびBB前側にもマウント台座が設けられており、アドベンチャーライドを満喫できる積載能力を確保しているのも、ナイナーのライダー目線を感じられるポイントだ。
また、リアホイールの直前に配置されることになったリアショックを泥やほこりから保護するため、標準でフェンダーが取り付けられているが、その状態でも最大700x50C、650B×2.0インチのタイヤクリアランスを実現している。
FD台座も設置可能で、フロントダブルにも対応。幅広いギアレンジを確保でき、走れるコースも増えるはずだ。シートチューブ内径は27.2mmで、ドロッパーケーブルの内装にも対応している。
フルサスペンショングラベルバイクという世界初の意欲作が持つ実力、そしてそのスペックが実現する新たな世界は魅力的なものなのか。その真価を解き明かすのは、Riserideの鈴木祐一店長。オフロードライドの楽しみ方に精通したプロフェッショナルのインプレッションをお届けしよう。
ーインプレッション
「グラベルバイクらしい軽快感とサスペンションの安定感が楽しさを生み出す」鈴木祐一(RiseRide)
MCR9 RDOはオフロードを走りに行くのが楽しくなるような自転車だと思います。フルサスペンションのグラベルバイクと言うことで、多くの人が気になっているバイクですよね。とても面白いバイクなので、ありか無しかで考えるなら、ありだと思いますよ。
何と言っても、枠にはまらない感じが良い。ナイナーの得意分野で自分たちのオリジナルバイクを出すのは面白いブランドだなと思いました。
フレームの設計やリアサスペンションに関する部分は、特にリンク構造などはMTBのノウハウが生かされています。フルサスバイクは、ペダルを踏み始めてサスペンションがストロークして戻る時に、チェーンが引っ張られるキックバックという現象が起こります。MCR9 RDOについては僅かながら感じるもののサスペンション設計がしっかりされているため、不快な感覚では無かったですね。そもそも、ボビング自体が少なく、ペダリング効率も悪くありません。
フロントサスペンションは一流のフォックスが作っているので、ダンパーも信頼性が高い。グラベルバイクでは必要十分な小ストローク量だけど、フォックスが持っているノウハウが使われていることが伝わってきます。手を抜かずに設計しているところに好感が持てます。
これだけサスペンションの性能が優秀だと、逆にMTBでも良いのでは?と思う方もいるでしょう。実際にMTBのクロスカントリー(XC)系と走れるフィールドは似ていますから、位置付けとしてはXCとグラベルのどちらにも近いです。
それでもグラベルバイクと言えるのは、MTBよりも軽快に走り、スピードの持続力が高いところにあると思います。いわゆる砂利道など路面がスムースなオフロードでは、グラベルバイクらしい軽快感が勝ります。イージーなグラベルが近くにあれば、このバイクを楽しめると思います。
さらにサスペンションがついているので、MTBチックなコースも楽しめます。バネのフワフワした感覚が乗っていて単純に気持ち良いです。木の根などもサスペンションの性能を活かして、自転車任せの走り方もできます。
またサスペンションによってオフロードでの安定感や気持ちの余裕が生まれる。ギリギリを攻めていく走りはレースでやることにして、あえて木の根を超えるラインなども選べるようになるので、オフロード遊びがもっと楽しくなります。
MTBに乗りなれている方でもスピード感を活かせると思いますし、MTBにはない軽快感を生み出せます。のんびり走ってもサスペンションの快適さを味わえるので、オフロードが不安な方でも乗りこなせると思います。
グラベルバイクの速さと、MTBの走破性、快適さをイメージできれば、このバイクで楽しめるのは間違いないです。ゆとりのある時間を過ごしたい人向けであり、個性派でいたいひとに良いですね。自転車初心者、マニアックな人、カーペットのような乗り心地があるラグジュアリー感のある乗り物に乗りたい人までオススメできます。
ナイナー MCR9 RDO
素材:RDOカーボン(フレーム)
フロントサスペンション:FOX 32SC FLOAT AX 40mm(NINERオリジナル)
リアサスペンション:X-FUSION MICROLITE RL 50mm(NINERオリジナル)
シートクランプ径:31.8mm
アクスル規格:100×15mm(フロント)、142×12mm(リア)
シートポスト径:27.2mm
FD取付:直付(取外し可)
内装ドロッパーポスト対応
ヘッド規格:IS42/28.6 | IS52/40
BB規格:PF30(73mm幅・シェル内径46mm)
ディスクマウント規格:(F)ポストマウント(R)フラットマウント(マウント厚30mm)
使用可能タイヤサイズ:700×50c or 650B×2.0(タイヤ銘柄によって変動します)
付属品:ヘッドパーツ、YAWYD STEM CAP、シートクランプ、フロント&リアアクスル(フレーム単体の場合はリアのみ)、フレームグロメット、専用リアフェンダー
サイズ:53(165-175cm)、56(173-183cm)、59(183cm~)
税込価格:429,000円(フレームのみ)、506,000円(フレーム+フォーク)
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木祐一(RiseRide)
サイクルショップ・ライズライド代表。トライアル、シクロクロス、MTBクロスカントリーの3つの種目で世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年に神奈川県相模原市橋本にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライドHP
text:Naoki Yasuoka、Gakuto Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
現在、MTBの世界ではスタンダードとなった感のある29インチホイール。だがナイナーが創業した2000年代の半ば、世間の反応は冷ややかだったという。だが、創業者である日系4世のクリス・スガイ氏が29インチバイクに感じた可能性を追求し、当時高身長ライダーにしか乗れない、と言われた29erを普及させるためにジオメトリーを煮詰め、多くのライダーがその恩恵を受けられるように開発を行ってきた。
XCOから始まった29インチ化の流れは、トレイルバイクからエンデューロ、そしてDHバイクへと波及し、今となってはほぼすべてのメーカーの基準となるホイールサイズとなっている。
現在に至るトレンドの火付け役でもあったナイナーだが、その情熱はMTBに限られたものではない。MTBで培った知見を活かしたシクロクロスバイク"BSB9"を発表すると、ドロップハンドルオフロードバイクのカテゴリーにも本格参入。グラベルバイクブームの到来もあり、そのラインアップを一気に充実させてきた。
そんな中、2019年にナイナーが発表したのが、世界初のフルサスグラベルバイクとなる"MCR9 RDO"だ。モデル名のMCRとは、Magic Carpet Rideのイニシャリズム。つまり魔法の絨毯のような乗り心地を実現するバイクであることを示している。
そのライドフィールを実現するのがフロント40mm、リア50㎜というショートストロークのサスペンション。ナイナーがサスペンションメーカーと共同開発したというオリジナルのサスペンションは、グラベルライドに最適なチューニングが施されているという。
世界初のフルサスペンショングラベルバイクを実現するにあたり、ナイナーが採用したのは同社のMTBにも用いられるCVAシステムだ。一体成型されたリアトライアングルを上下二つのリンクでつなぐ4バーリンケージシステムで、サグ付近での高いアンチスクワット性能による優れたペダリング効率と、ハイレバレッジレシオによるスムーズな乗り心地を両立させたCVAリンケージを、グラベルバイクに最適なプラットフォームへと再設計した。
もっともユニークなポイントはショックのレイアウトだろう。通常MTBではフロントトライアングル内に配置されるリアショックだが、MCR9ではシートチューブとリアホイールの間に配置されている。このレイアウトの結果、フルサスバイクでありながらフロントトライアングル内の空間が完全にフリーとなっており、ダブルボトルはもちろん、フレームバッグなどのストレージも装着可能となった。
シートチューブとダウンチューブの2か所以外にもトップチューブおよびBB前側にもマウント台座が設けられており、アドベンチャーライドを満喫できる積載能力を確保しているのも、ナイナーのライダー目線を感じられるポイントだ。
また、リアホイールの直前に配置されることになったリアショックを泥やほこりから保護するため、標準でフェンダーが取り付けられているが、その状態でも最大700x50C、650B×2.0インチのタイヤクリアランスを実現している。
FD台座も設置可能で、フロントダブルにも対応。幅広いギアレンジを確保でき、走れるコースも増えるはずだ。シートチューブ内径は27.2mmで、ドロッパーケーブルの内装にも対応している。
フルサスペンショングラベルバイクという世界初の意欲作が持つ実力、そしてそのスペックが実現する新たな世界は魅力的なものなのか。その真価を解き明かすのは、Riserideの鈴木祐一店長。オフロードライドの楽しみ方に精通したプロフェッショナルのインプレッションをお届けしよう。
ーインプレッション
「グラベルバイクらしい軽快感とサスペンションの安定感が楽しさを生み出す」鈴木祐一(RiseRide)
MCR9 RDOはオフロードを走りに行くのが楽しくなるような自転車だと思います。フルサスペンションのグラベルバイクと言うことで、多くの人が気になっているバイクですよね。とても面白いバイクなので、ありか無しかで考えるなら、ありだと思いますよ。
何と言っても、枠にはまらない感じが良い。ナイナーの得意分野で自分たちのオリジナルバイクを出すのは面白いブランドだなと思いました。
フレームの設計やリアサスペンションに関する部分は、特にリンク構造などはMTBのノウハウが生かされています。フルサスバイクは、ペダルを踏み始めてサスペンションがストロークして戻る時に、チェーンが引っ張られるキックバックという現象が起こります。MCR9 RDOについては僅かながら感じるもののサスペンション設計がしっかりされているため、不快な感覚では無かったですね。そもそも、ボビング自体が少なく、ペダリング効率も悪くありません。
フロントサスペンションは一流のフォックスが作っているので、ダンパーも信頼性が高い。グラベルバイクでは必要十分な小ストローク量だけど、フォックスが持っているノウハウが使われていることが伝わってきます。手を抜かずに設計しているところに好感が持てます。
これだけサスペンションの性能が優秀だと、逆にMTBでも良いのでは?と思う方もいるでしょう。実際にMTBのクロスカントリー(XC)系と走れるフィールドは似ていますから、位置付けとしてはXCとグラベルのどちらにも近いです。
それでもグラベルバイクと言えるのは、MTBよりも軽快に走り、スピードの持続力が高いところにあると思います。いわゆる砂利道など路面がスムースなオフロードでは、グラベルバイクらしい軽快感が勝ります。イージーなグラベルが近くにあれば、このバイクを楽しめると思います。
さらにサスペンションがついているので、MTBチックなコースも楽しめます。バネのフワフワした感覚が乗っていて単純に気持ち良いです。木の根などもサスペンションの性能を活かして、自転車任せの走り方もできます。
またサスペンションによってオフロードでの安定感や気持ちの余裕が生まれる。ギリギリを攻めていく走りはレースでやることにして、あえて木の根を超えるラインなども選べるようになるので、オフロード遊びがもっと楽しくなります。
MTBに乗りなれている方でもスピード感を活かせると思いますし、MTBにはない軽快感を生み出せます。のんびり走ってもサスペンションの快適さを味わえるので、オフロードが不安な方でも乗りこなせると思います。
グラベルバイクの速さと、MTBの走破性、快適さをイメージできれば、このバイクで楽しめるのは間違いないです。ゆとりのある時間を過ごしたい人向けであり、個性派でいたいひとに良いですね。自転車初心者、マニアックな人、カーペットのような乗り心地があるラグジュアリー感のある乗り物に乗りたい人までオススメできます。
ナイナー MCR9 RDO
素材:RDOカーボン(フレーム)
フロントサスペンション:FOX 32SC FLOAT AX 40mm(NINERオリジナル)
リアサスペンション:X-FUSION MICROLITE RL 50mm(NINERオリジナル)
シートクランプ径:31.8mm
アクスル規格:100×15mm(フロント)、142×12mm(リア)
シートポスト径:27.2mm
FD取付:直付(取外し可)
内装ドロッパーポスト対応
ヘッド規格:IS42/28.6 | IS52/40
BB規格:PF30(73mm幅・シェル内径46mm)
ディスクマウント規格:(F)ポストマウント(R)フラットマウント(マウント厚30mm)
使用可能タイヤサイズ:700×50c or 650B×2.0(タイヤ銘柄によって変動します)
付属品:ヘッドパーツ、YAWYD STEM CAP、シートクランプ、フロント&リアアクスル(フレーム単体の場合はリアのみ)、フレームグロメット、専用リアフェンダー
サイズ:53(165-175cm)、56(173-183cm)、59(183cm~)
税込価格:429,000円(フレームのみ)、506,000円(フレーム+フォーク)
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木祐一(RiseRide)
サイクルショップ・ライズライド代表。トライアル、シクロクロス、MTBクロスカントリーの3つの種目で世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年に神奈川県相模原市橋本にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライドHP
text:Naoki Yasuoka、Gakuto Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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