2022/03/13(日) - 06:34
1級山岳チュリニ峠に挑むパリ〜ニース第7ステージ。4名の先鋭グループによる登坂スプリントをプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が制し、リーダージャージのまま昨年大会で落車で総合優勝を逃した最終日に臨む。
第80回パリ〜ニース第7ステージは、大会の終着点であるニースから1級山岳テュリニ峠を駆け上がる155.2km。コースはダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が逃げ切り勝利した2019年大会の第7ステージと同じく、2級山岳クルセグル峠を越え1級山岳チュリニ峠(距離15.2km/平均勾配7.2%)に挑む、クイーンステージにふさわしい難関山岳ルートが用意された。
初日からおよそ1/3(51名)の選手が去った103名がスタートを切ったこの日、逃げ切り勝利が生まれた2019年大会の再現を狙うべく、総合で大きく遅れたダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)を含めた18名が逃げ集団を作った。山岳賞ジャージの行方にも大きく影響するステージでもあったが、現在トップのヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ)は前日までに2位と20ポイント差まで広げていたためこの日はプロトンで静観することを選んだ。
先頭グループは55km地点の2級山岳クルセグル峠を通過し、コートダジュールの本格的な山岳地帯に突入する。しかしイネオス・グレナディアーズとナイロ・キンタナ(コロンビア)を擁するアルケア・サムシックが牽引するメイン集団はタイム差をタイトにコントロールしたため、1級山岳チュリニ峠の登坂に取り掛かかる際、先頭のリードはわずか1分しか残されていなかった。
イネオス・グレナディアーズを先頭に人数を減らしながら平均7.2%の勾配を登っていくプロトンでは、残り7.2km地点からアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出したことをきっかけに総合勢によるアタック合戦が幕開けた。
Aイェーツによる揺さぶりにより、リーダージャージのログリッチとマルティネス、サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、そしてこの山岳の登坂記録を持っているキンタナの4人に絞られる。続いてログリッチがライバルたちの脚色を伺うように仕掛けると、唯一マルティネスが反応。序盤から逃げたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター)を吸収した2人は、そのままレースの先頭に立った。
道端に雪が現れ始めた残り3km地点でSイェーツとキンタナが先行する2人に合流を果たす。「何か違いを作る動きが必要だと思った」と語るイェーツが加速するものの、表情一つ変えないログリッチが引き戻す。牽制状態でスピードが緩んだ先頭4名にジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が追いついた残り300mで、ログリッチがこの登坂2度目のアタックし、追うマルティネスを振り切り今シーズン初勝利を掴み取った。
ログリッチは2019年大会でキンタナとエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がマークした登坂記録を38秒上回る40分7秒の新記録を樹立。実に体重の約6.2倍の出力を踏み続けた計算になる。
「序盤からスピードが速かったものの、調子がすこぶる良かった。イェーツやキンタナのアタックにも常に反応しながら状況をコントロールできた。見ての通り、全てが思い通りに進んだよ」とクイーンステージでの勝利を喜ぶログリッチは、総合2位のSイエーツとのタイム差を47秒まで拡大。しかしログリッチは「重要なのは明日。心の準備は出来ている」と、昨年大会の最終ステージで落車し、総合優勝を逃した自身を戒めた。
一方、幾度となく仕掛けながらも敗れたSイェーツは「ログリッチに対して出来ることは少なかった。僕を含めた他の選手たちが死の淵にいるように喘ぎ声を上げていたのにもかかわらず、ギヤをアウターに入れた彼は涼しい顔で踏んでいた」と、シーズン序盤であっても好調を見せつけたライバルについて語っている。
翌日の最終ステージはニースの街を取り囲む山岳地帯を巡るコース。僅か115.6kmの道のりに2級山岳×3つ、1級山岳×2つが詰め込まれたタフなレイアウトで、第80回大会の総合優勝者が決定する。
第80回パリ〜ニース第7ステージは、大会の終着点であるニースから1級山岳テュリニ峠を駆け上がる155.2km。コースはダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が逃げ切り勝利した2019年大会の第7ステージと同じく、2級山岳クルセグル峠を越え1級山岳チュリニ峠(距離15.2km/平均勾配7.2%)に挑む、クイーンステージにふさわしい難関山岳ルートが用意された。
初日からおよそ1/3(51名)の選手が去った103名がスタートを切ったこの日、逃げ切り勝利が生まれた2019年大会の再現を狙うべく、総合で大きく遅れたダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)を含めた18名が逃げ集団を作った。山岳賞ジャージの行方にも大きく影響するステージでもあったが、現在トップのヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ)は前日までに2位と20ポイント差まで広げていたためこの日はプロトンで静観することを選んだ。
先頭グループは55km地点の2級山岳クルセグル峠を通過し、コートダジュールの本格的な山岳地帯に突入する。しかしイネオス・グレナディアーズとナイロ・キンタナ(コロンビア)を擁するアルケア・サムシックが牽引するメイン集団はタイム差をタイトにコントロールしたため、1級山岳チュリニ峠の登坂に取り掛かかる際、先頭のリードはわずか1分しか残されていなかった。
イネオス・グレナディアーズを先頭に人数を減らしながら平均7.2%の勾配を登っていくプロトンでは、残り7.2km地点からアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出したことをきっかけに総合勢によるアタック合戦が幕開けた。
Aイェーツによる揺さぶりにより、リーダージャージのログリッチとマルティネス、サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、そしてこの山岳の登坂記録を持っているキンタナの4人に絞られる。続いてログリッチがライバルたちの脚色を伺うように仕掛けると、唯一マルティネスが反応。序盤から逃げたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター)を吸収した2人は、そのままレースの先頭に立った。
道端に雪が現れ始めた残り3km地点でSイェーツとキンタナが先行する2人に合流を果たす。「何か違いを作る動きが必要だと思った」と語るイェーツが加速するものの、表情一つ変えないログリッチが引き戻す。牽制状態でスピードが緩んだ先頭4名にジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が追いついた残り300mで、ログリッチがこの登坂2度目のアタックし、追うマルティネスを振り切り今シーズン初勝利を掴み取った。
ログリッチは2019年大会でキンタナとエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がマークした登坂記録を38秒上回る40分7秒の新記録を樹立。実に体重の約6.2倍の出力を踏み続けた計算になる。
「序盤からスピードが速かったものの、調子がすこぶる良かった。イェーツやキンタナのアタックにも常に反応しながら状況をコントロールできた。見ての通り、全てが思い通りに進んだよ」とクイーンステージでの勝利を喜ぶログリッチは、総合2位のSイエーツとのタイム差を47秒まで拡大。しかしログリッチは「重要なのは明日。心の準備は出来ている」と、昨年大会の最終ステージで落車し、総合優勝を逃した自身を戒めた。
一方、幾度となく仕掛けながらも敗れたSイェーツは「ログリッチに対して出来ることは少なかった。僕を含めた他の選手たちが死の淵にいるように喘ぎ声を上げていたのにもかかわらず、ギヤをアウターに入れた彼は涼しい顔で踏んでいた」と、シーズン序盤であっても好調を見せつけたライバルについて語っている。
翌日の最終ステージはニースの街を取り囲む山岳地帯を巡るコース。僅か115.6kmの道のりに2級山岳×3つ、1級山岳×2つが詰め込まれたタフなレイアウトで、第80回大会の総合優勝者が決定する。
パリ〜ニース2022第6ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 4:02:47 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 0:02 |
4位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:09 |
5位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:11 |
6位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:25 |
7位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:27 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:29 |
9位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:44 |
10位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:56 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 26:26:11 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 0:47 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 1:00 |
4位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:50 |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 2:04 |
6位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 2:12 |
7位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | 2:22 |
8位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | 2:56 |
9位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | 3:13 |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 3:29 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ) |
ヤングライダー賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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