2022/02/23(水) - 09:03
UAEツアー3日目の短距離個人タイムトライアルでシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)が最速タイム。フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)を打ち負かし、総合首位浮上に成功している。
アジュマーン首長国の首都アジュマーンを舞台にした9kmタイムトライアル photo: UAE Tour
2日間のスプリンターステージを終え、UAEツアー(UCI2.ワールドツアー)3日目に距離9kmの個人タイムトライアルが登場。TTスペシャリストの活躍の場であることはもちろん、強豪勢ひしめく個人総合成績争いにとっても鍵となる一日だ。
アラブ首長国連邦を構成するアジュマーン首長国の首都アジュマーンを舞台にしたタイムトライアルコースは昨年よりも更に4km短い9km。市街地を出発して4.5km東へ向かい、180度ターンで折り返すコースはものの見事にまっ平らで、短時間高強度のレースだ。そのためTTを得意とする選手はもちろんのこと、スプリンター勢も上位に食い込む一日になった。
行きは追い風、帰りは向かい風となるTTコースに向け、125人の選手たちがスタート。序盤には元U23TT世界王者のミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)が10分07秒(平均53.3km/h)を叩き出してホットシートに座ったものの、スタートから飛ばしに飛ばしたシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)がビョーグを上回った。
圧倒的なタイムで突き進むシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo: UAE Tour
ビッセガーに7秒甘んじたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo: UAE Tour
追い風の往路をなんと60.9km/hで駆け抜け、180度ターンを攻め、ひときわ低い姿勢で向かい風の復路を飛ばしたビッセガーのタイムは9分43秒(平均55.5km/h)。対抗馬であり、絶対的優勝候補と目されていたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)もビッセガーとほぼ同じタイムで折り返しに入ったものの、向かい風区間でタイムを落としてしまう。「予定よりもずっと高いパワーで走れたけれど、最終的にビッセガーを讃えたい」と、ビッセガーから7秒落ちの9分50秒(平均54.9km/h)に甘んじた。
そして注目は、今後の山岳ステージでの走りぶりが期待されるオールラウンダー勢に集まった。UAEチームエミレーツ新加入のジョアン・アルメイダ(ポルトガル)はビッセガーから11秒落ちと健闘し、決してTTを得意としないアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も29秒遅れにまとめる。
総合勢の中で最速タイム(区間3位)を叩き出したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo: CorVos
18秒遅れの区間4位に入ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo: CorVos
区間5位に食い込んだジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo: UAE Tour
その中、コロナ明けでコンディションがやや疑問視されていたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)はアルメイダを上回る10分01秒(平均53.9km/h)でフィニッシュ。更にオランダTTチャンピオンのトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)はポガチャルを4秒上回る9分57秒(平均54.2km/h)で9kmTTを走り切った。
総合上位につけていたスプリンター勢の中では最終走者(総合首位)のヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が区間10位と健闘したものの、これまで維持していた総合リードを守り抜くことは叶わない。こうしてビッセガーがステージ優勝と、個人総合成績首位浮上を同時に達成した。
総合リーダーに立ったシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo: UAE Tour
「誰かが最高の走りをするかもしれないので、(個人TTでは)最後まで結果が分からない。でも今日はフィニッシュラインで僕のタイムを確認して、良い結果になるだろうとは思っていた」と、TT世界チャンピオンを打破したビッセガーは言う。
昨年大会2位の雪辱を晴らしたビッセガーだが、この冬は舟状骨(手関節)骨折など困難を強いられていた。「ずっとこのTTステージを楽しみにしていたよ。この冬は"ラフ"で、修正するのに時間がかかった。でも今はやり遂げることができてとても嬉しい」と喜んでいる。
総合成績では「全力を出せたし、好調なのでこの後の山岳ステージが楽しみ」と言うデュムランが3位に入り、「これまでの10分走の中で最大出力を出せた」と言うポガチャルが4位、アルメイダが5位。役者が出揃った状態で、翌日のジュベルジャイス山頂フィニッシュを迎える。
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2日間のスプリンターステージを終え、UAEツアー(UCI2.ワールドツアー)3日目に距離9kmの個人タイムトライアルが登場。TTスペシャリストの活躍の場であることはもちろん、強豪勢ひしめく個人総合成績争いにとっても鍵となる一日だ。
アラブ首長国連邦を構成するアジュマーン首長国の首都アジュマーンを舞台にしたタイムトライアルコースは昨年よりも更に4km短い9km。市街地を出発して4.5km東へ向かい、180度ターンで折り返すコースはものの見事にまっ平らで、短時間高強度のレースだ。そのためTTを得意とする選手はもちろんのこと、スプリンター勢も上位に食い込む一日になった。
行きは追い風、帰りは向かい風となるTTコースに向け、125人の選手たちがスタート。序盤には元U23TT世界王者のミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)が10分07秒(平均53.3km/h)を叩き出してホットシートに座ったものの、スタートから飛ばしに飛ばしたシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)がビョーグを上回った。
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追い風の往路をなんと60.9km/hで駆け抜け、180度ターンを攻め、ひときわ低い姿勢で向かい風の復路を飛ばしたビッセガーのタイムは9分43秒(平均55.5km/h)。対抗馬であり、絶対的優勝候補と目されていたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)もビッセガーとほぼ同じタイムで折り返しに入ったものの、向かい風区間でタイムを落としてしまう。「予定よりもずっと高いパワーで走れたけれど、最終的にビッセガーを讃えたい」と、ビッセガーから7秒落ちの9分50秒(平均54.9km/h)に甘んじた。
そして注目は、今後の山岳ステージでの走りぶりが期待されるオールラウンダー勢に集まった。UAEチームエミレーツ新加入のジョアン・アルメイダ(ポルトガル)はビッセガーから11秒落ちと健闘し、決してTTを得意としないアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も29秒遅れにまとめる。
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その中、コロナ明けでコンディションがやや疑問視されていたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)はアルメイダを上回る10分01秒(平均53.9km/h)でフィニッシュ。更にオランダTTチャンピオンのトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)はポガチャルを4秒上回る9分57秒(平均54.2km/h)で9kmTTを走り切った。
総合上位につけていたスプリンター勢の中では最終走者(総合首位)のヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が区間10位と健闘したものの、これまで維持していた総合リードを守り抜くことは叶わない。こうしてビッセガーがステージ優勝と、個人総合成績首位浮上を同時に達成した。
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「誰かが最高の走りをするかもしれないので、(個人TTでは)最後まで結果が分からない。でも今日はフィニッシュラインで僕のタイムを確認して、良い結果になるだろうとは思っていた」と、TT世界チャンピオンを打破したビッセガーは言う。
昨年大会2位の雪辱を晴らしたビッセガーだが、この冬は舟状骨(手関節)骨折など困難を強いられていた。「ずっとこのTTステージを楽しみにしていたよ。この冬は"ラフ"で、修正するのに時間がかかった。でも今はやり遂げることができてとても嬉しい」と喜んでいる。
総合成績では「全力を出せたし、好調なのでこの後の山岳ステージが楽しみ」と言うデュムランが3位に入り、「これまでの10分走の中で最大出力を出せた」と言うポガチャルが4位、アルメイダが5位。役者が出揃った状態で、翌日のジュベルジャイス山頂フィニッシュを迎える。
UAEツアー2022第3ステージ結果
1位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) | 0:09:43 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
3位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +0:14 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:18 |
5位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:11 |
6位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | +0:24 |
7位 | ステファン・デボッド(南アフリカ、アスタナカザフスタン) | |
8位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:25 |
9位 | ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:26 |
10位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | +0:28 |
個人総合成績
1位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) | 9:13:02 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
3位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | +0:12 |
3位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +0:14 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:18 |
5位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:22 |
7位 | ステファン・デボッド(南アフリカ、アスタナカザフスタン) | +0:24 |
8位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:25 |
9位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:28 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:29 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) |
ヤングライダー賞 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) |
チーム総合成績 | EFエデュケーション・イージーポスト |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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