2010/07/07(水) - 08:02
「ピナレロ パリ」この伝統の名称が2011年に復活した。90年代の後半にはアルミフレームバイクとして、そして近年はフルカーボンフレームとしてパリ カーボンの名称でラインナップしていた、いわばピナレロにとっては伝統のモデル名だ。
どの年代の“パリ”も、素材の特性を活かした絶妙なバランスを保ったモデルで、多くのライダーに親しまれ、同時に高いパフォーマンスを誇っていた。そんな“パリ”が、ピナレロ自慢の次世代テクノロジー、アシンメトリック(左右非対称)形状を取り入れ更なる進化を遂げて復活した。
復活したピナレロ パリを語るうえで、近年のピナレロを代表する2台のバイク、“ドグマ60.1”と“プリンス カーボン”について触れる必要があるだろう。まず最初の一台、ドグマ60.1は2010年モデルとして、昨年センセーショナルなデビューを飾ったフルカーボンバイクだ。
ドグマ60.1の最大の特徴は、世界初となる左右非対称のフレーム形状だ。一見したところ、奇抜とも見えるアシンメトリック(左右非対称)形状には、もちろん理由がある。それは自転車の構造上どうしても避けることができないことに起因する。
自転車はクランクやディレーラーなど、駆動系が右側に集中しているために自然と左右の不均等な力の掛かり方を生んでしまう。ピナレロはそこに着目し、左右の不均等な力をフレームで補正するために、CAD(コンピューター支援設計)や FEM(有限要素法による構造解析技術)によりフレーム設計を行ない、結果として均等な推進力を生み出す左右非対称フレームを実現した。そのドグマ60.1で初めて採用された、アシンメトリック(左右非対称)デザインを、さらにリアルレーシングモデル向けに形状や素材を再構築したのが、この新しいピナレロ パリだ。
ここでピナレロのリアルレーシングモデルとして真っ先に思い出されるのは、先に上げたもう一台の同社の代表的バイク、プリンス カーボンではないだろうか。他社のフラッグシップバイクではフレーム素材に46t ハイモジュラスカーボンが用いられることが多い。しかしレーシングバイクとして一層の高剛性を目指して開発されたプリンス カーボンでは、さらに高弾性な50t ハイモジュラスカーボンが採用され、シリアスレーサーをも満足させるリアルレーシングモデルとして高い評価を得ているモデルだ。
この新しいピナレロ パリのフレーム素材にも、そのプリンス カーボンと同等の東レ製 トレカ 50t ハイモジュラスカーボンを採用している。つまり ドグマ60.1で実証された、アシンメトリック(左右非対称)デザインとパフォーマンスを引き継ぎ、形状や素材をさらに実戦仕様に仕立て上げ、プリンス カーボンのエッセンスを盛り込み、真のリアルレーシングモデルとして生まれたのが、この新しいピナレロ パリというわけだ。
特徴的なアシンメトリック(左右非対称)デザインは、フロントフォーク、トップチューブ、シートステー、チェーンステーに及ぶ。特にトップチューブの左右非対称形状は、最も目立つ部分だ。なぜならトップチューブはフレームを持ち上げたり、ホイールをセットしたり、自転車を取り回すうえで頻繁に触れる部分でもあり、この部分の左右非対称形状が真っ先に判りやすい。おそらくオーナーとなった日には、非対称形状を日常的に感じとることだろう。
ドグマ60.1で初めて採用したこの左右非対称デザインは、ピナレロ自身も大きな可能性を見いだしている。将来的にもこのアイデアがピナレロの中核となることは間違いないだろう。
その証拠に2011年モデルとして発表された、“KOBH(コブ)60.1” “PARIS(パリ)” “QUATTRO(クアットロ)” というニューモデル全てに、左右非対称デザインを採用している。
そしてその左右非対称デザインは、それぞれのバイクにとって最良の結果をもたらすために、部位、剛性コントロールの具合などは、フレーム素材や求めるパフォーマンスによって、全てのバイクで設計を変えているという。つまりパリにはパリのパフォーマンスを目指し、専用のデザインと設計が行なわれている。
これだけ内容が充実した一台ながら、フレームセットで368,000円という価格は、2010年のFP7やFP6といったミドルグレードよりも安い価格帯としてラインナップされる。しかしピナレロでは新型パリをプリンス カーボンにも匹敵する、“ハイエンドロード”として位置づけている。素材やデザイン、ペイント、それに設計コンセプトも含め、いわばフラッグシップにも値する高品質なモデルということだ。
ピナレロのトップモデルとなるドグマ60.1は、ラグジュアリーさも兼ね備え、素材、工法においてそして価格の面でも“スーパーハイエンドロード”という位置付けだ。もし性能的にもこの新型パリが、プリンス カーボンに匹敵するパフォーマンスが得られるなら、これはとてつもなくお買い得な “ハイエンドロード” だといえる。その辺の判断はインプレライダーに託そう。
じつはこの原稿を書いている時点では、各地の展示会でピナレロ2011モデルの発表を行なっている真っ最中であり、現時点で日本に上陸しているピナレロ パリも展示用を含めほんの限られた台数だけだという。シクロワイアードでは、そんな貴重なニューモデルを真っ先に借り受けてテストを行なった。
それでは、最新モデル、ピナレロ パリのインプレッションを、どこよりも早くお届けしよう!
―インプレッション
「他のバイク以上に真っ直ぐに進む。これが左右非対称の効果かもしれない」 鈴木祐一(Rise Ride)
このバイクの一番の特徴である、左右非対称形状の効果について、じつは半信半疑のままこの試乗に挑んだ。そしてこの点を確かめるために、ハイスピードから何度か瞬間的な力をかけて加速を試みたが、他のバイク以上に真っ直ぐに進む感覚が強く感じられた。「もしかして、これが左右非対称の効果かもしれない」そう感じる部分だった。
ただバイクはホイールやタイヤとの総合的なバランスが肝心なので、この感覚がすぐにフレーム設計が直接影響しているものだと断言することは難しい。なにせ左右非対称のフレーム形状の前例がほぼ皆無なので確信は持てない。
ハッキリと言えるのは、トータルバランスに優れたレーシングバイクということだ。その中でも特徴的なのは、ヘッドとフォークの一体感が高いこと。ピナレロ伝統のONDAフォークも今や熟成の域に達し、独自のフォークの良さを知り尽くしたフレーム設計が光る。ピナレロは、今ではロードバイクで一般的となった、フォークとフレームをセットで開発するということのパイオニア的な存在でもある。それだけに全体がトータルに設計された良さがしっかりと伝わってくる。
レーシングバイクとしてみれば、とても扱いやすく弱点が見当たらないということが機材としては本当に優れている。今回テストで装着していたのはアルミリムのホイール(フルクラムレーシング1)だった。この組み合わせではキビキビ感がとても高い。
一方でカーボンディープリムを装着すれば、高速巡航に振ることもできる。またヒルクライムではカーボンのロープロファイルホイールを使えば軽快さが発揮される。用途によってホイールの変化によって、いろいろなポテンシャルを変えられる優れたバイクだといえる。
「プリンス カーボンと比べても、まるで遜色のないパフォーマンス」 三上和志(サイクルハウス ミカミ)
真っ先に、フロントフォークとフレームの一体感がとてもピナレロらしくしっかりしていることを感じた。全体の軽快感も十分にある。
弱点を先に言おうと考えていたが、なかなか見当たらない。強いて挙げるなら、荒れた路面を、疲れた状態でゆっくりとダンシングしたようなときには、多少はじかれてしまう場面もある。しかし力のあるうちは気持ち良く進み、またそうしたパワフルな登り方が楽しく、似合うバイクだ。
インプレ当日は小雨が降り、コンディションが悪かったので、いつもより下りを攻めることは出来なかったが、機敏な反応のハンドリングはやはりピナレロらしい。飛ばしているときに反応が高いことも好感がもてる。パーツ構成も申し分なかったので、今日のような雨の日でも安心して飛ばすことができる。
じつは個人的にピナレロ プリンス カーボンを所有しているので、この新型パリのフィーリングにとても興味をもっていた。両車を比較すると目隠したら判らないほど似たフィーリングだ。プリンス カーボンと比べ20万円ほども安いのに、ほとんど遜色の無いパフォーマンスがあるということだ。もしトータルな予算が決まっているなら、パリの方がフレーム価格が安い分パーツに予算が充てられるので、結果的にプリンス カーボンよりもパフォーマンスが高いバイクが仕上がるだろう。
走ったときのフィーリングはかなり似ている2車だが、外観のデザインイメージは大きな違いを見せる。プリンス カーボンの方がシャープなエッジが多用され、例えるなら筋肉質な強さを感じる一方で、パリの方は柔らかなイメージのデザインとなっている。この辺は好みが別れるところだろう。
気になる左右非対称形状の効果については、残念ながら路面状況が悪いこともあってプリンス カーボンからの明確なアドバンテージは感じ取ることは出来なかった。逆にいえばプリンス カーボンのかなり高いパフォーマンスは維持しているということだ。自分もプリンス カーボンに乗り換えた時点で、このバイクなら安全に速く走れるという安心感が高まり、それまでは参加していなかったゴールスプリントにも積極的に参加できるようになった。
その経験を踏まえて考えれば、フィーリングもかなり近いバイクなので、プリンス カーボンの血統を受け継いだ新型のアドバンテージはますます高いと想像できる。繰り返しになるが、乗ったときのパフォーマンスはプリンス カーボンとまるで遜色がない。
PINARELLO PARIS(ピナレロ パリ)
フレームセット価格:368,000円(税込)
※完成車扱い予定はありません。
マテリアル:トレカ 50HM1.5K カーボン
フォーク:ONDA FPK1 50HM1.5Kカーボン
カラー:523ホワイト、519レッド、524SKY
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5
インプレライダーのプロフィール
鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。トレーニングの一環としてロードバイクにも乗っており、使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI
text&edit :Takashi.KAYABA
photo:Makoto.AYANO
どの年代の“パリ”も、素材の特性を活かした絶妙なバランスを保ったモデルで、多くのライダーに親しまれ、同時に高いパフォーマンスを誇っていた。そんな“パリ”が、ピナレロ自慢の次世代テクノロジー、アシンメトリック(左右非対称)形状を取り入れ更なる進化を遂げて復活した。
復活したピナレロ パリを語るうえで、近年のピナレロを代表する2台のバイク、“ドグマ60.1”と“プリンス カーボン”について触れる必要があるだろう。まず最初の一台、ドグマ60.1は2010年モデルとして、昨年センセーショナルなデビューを飾ったフルカーボンバイクだ。
ドグマ60.1の最大の特徴は、世界初となる左右非対称のフレーム形状だ。一見したところ、奇抜とも見えるアシンメトリック(左右非対称)形状には、もちろん理由がある。それは自転車の構造上どうしても避けることができないことに起因する。
自転車はクランクやディレーラーなど、駆動系が右側に集中しているために自然と左右の不均等な力の掛かり方を生んでしまう。ピナレロはそこに着目し、左右の不均等な力をフレームで補正するために、CAD(コンピューター支援設計)や FEM(有限要素法による構造解析技術)によりフレーム設計を行ない、結果として均等な推進力を生み出す左右非対称フレームを実現した。そのドグマ60.1で初めて採用された、アシンメトリック(左右非対称)デザインを、さらにリアルレーシングモデル向けに形状や素材を再構築したのが、この新しいピナレロ パリだ。
ここでピナレロのリアルレーシングモデルとして真っ先に思い出されるのは、先に上げたもう一台の同社の代表的バイク、プリンス カーボンではないだろうか。他社のフラッグシップバイクではフレーム素材に46t ハイモジュラスカーボンが用いられることが多い。しかしレーシングバイクとして一層の高剛性を目指して開発されたプリンス カーボンでは、さらに高弾性な50t ハイモジュラスカーボンが採用され、シリアスレーサーをも満足させるリアルレーシングモデルとして高い評価を得ているモデルだ。
この新しいピナレロ パリのフレーム素材にも、そのプリンス カーボンと同等の東レ製 トレカ 50t ハイモジュラスカーボンを採用している。つまり ドグマ60.1で実証された、アシンメトリック(左右非対称)デザインとパフォーマンスを引き継ぎ、形状や素材をさらに実戦仕様に仕立て上げ、プリンス カーボンのエッセンスを盛り込み、真のリアルレーシングモデルとして生まれたのが、この新しいピナレロ パリというわけだ。
特徴的なアシンメトリック(左右非対称)デザインは、フロントフォーク、トップチューブ、シートステー、チェーンステーに及ぶ。特にトップチューブの左右非対称形状は、最も目立つ部分だ。なぜならトップチューブはフレームを持ち上げたり、ホイールをセットしたり、自転車を取り回すうえで頻繁に触れる部分でもあり、この部分の左右非対称形状が真っ先に判りやすい。おそらくオーナーとなった日には、非対称形状を日常的に感じとることだろう。
ドグマ60.1で初めて採用したこの左右非対称デザインは、ピナレロ自身も大きな可能性を見いだしている。将来的にもこのアイデアがピナレロの中核となることは間違いないだろう。
その証拠に2011年モデルとして発表された、“KOBH(コブ)60.1” “PARIS(パリ)” “QUATTRO(クアットロ)” というニューモデル全てに、左右非対称デザインを採用している。
そしてその左右非対称デザインは、それぞれのバイクにとって最良の結果をもたらすために、部位、剛性コントロールの具合などは、フレーム素材や求めるパフォーマンスによって、全てのバイクで設計を変えているという。つまりパリにはパリのパフォーマンスを目指し、専用のデザインと設計が行なわれている。
これだけ内容が充実した一台ながら、フレームセットで368,000円という価格は、2010年のFP7やFP6といったミドルグレードよりも安い価格帯としてラインナップされる。しかしピナレロでは新型パリをプリンス カーボンにも匹敵する、“ハイエンドロード”として位置づけている。素材やデザイン、ペイント、それに設計コンセプトも含め、いわばフラッグシップにも値する高品質なモデルということだ。
ピナレロのトップモデルとなるドグマ60.1は、ラグジュアリーさも兼ね備え、素材、工法においてそして価格の面でも“スーパーハイエンドロード”という位置付けだ。もし性能的にもこの新型パリが、プリンス カーボンに匹敵するパフォーマンスが得られるなら、これはとてつもなくお買い得な “ハイエンドロード” だといえる。その辺の判断はインプレライダーに託そう。
じつはこの原稿を書いている時点では、各地の展示会でピナレロ2011モデルの発表を行なっている真っ最中であり、現時点で日本に上陸しているピナレロ パリも展示用を含めほんの限られた台数だけだという。シクロワイアードでは、そんな貴重なニューモデルを真っ先に借り受けてテストを行なった。
それでは、最新モデル、ピナレロ パリのインプレッションを、どこよりも早くお届けしよう!
―インプレッション
「他のバイク以上に真っ直ぐに進む。これが左右非対称の効果かもしれない」 鈴木祐一(Rise Ride)
このバイクの一番の特徴である、左右非対称形状の効果について、じつは半信半疑のままこの試乗に挑んだ。そしてこの点を確かめるために、ハイスピードから何度か瞬間的な力をかけて加速を試みたが、他のバイク以上に真っ直ぐに進む感覚が強く感じられた。「もしかして、これが左右非対称の効果かもしれない」そう感じる部分だった。
ただバイクはホイールやタイヤとの総合的なバランスが肝心なので、この感覚がすぐにフレーム設計が直接影響しているものだと断言することは難しい。なにせ左右非対称のフレーム形状の前例がほぼ皆無なので確信は持てない。
ハッキリと言えるのは、トータルバランスに優れたレーシングバイクということだ。その中でも特徴的なのは、ヘッドとフォークの一体感が高いこと。ピナレロ伝統のONDAフォークも今や熟成の域に達し、独自のフォークの良さを知り尽くしたフレーム設計が光る。ピナレロは、今ではロードバイクで一般的となった、フォークとフレームをセットで開発するということのパイオニア的な存在でもある。それだけに全体がトータルに設計された良さがしっかりと伝わってくる。
レーシングバイクとしてみれば、とても扱いやすく弱点が見当たらないということが機材としては本当に優れている。今回テストで装着していたのはアルミリムのホイール(フルクラムレーシング1)だった。この組み合わせではキビキビ感がとても高い。
一方でカーボンディープリムを装着すれば、高速巡航に振ることもできる。またヒルクライムではカーボンのロープロファイルホイールを使えば軽快さが発揮される。用途によってホイールの変化によって、いろいろなポテンシャルを変えられる優れたバイクだといえる。
「プリンス カーボンと比べても、まるで遜色のないパフォーマンス」 三上和志(サイクルハウス ミカミ)
真っ先に、フロントフォークとフレームの一体感がとてもピナレロらしくしっかりしていることを感じた。全体の軽快感も十分にある。
弱点を先に言おうと考えていたが、なかなか見当たらない。強いて挙げるなら、荒れた路面を、疲れた状態でゆっくりとダンシングしたようなときには、多少はじかれてしまう場面もある。しかし力のあるうちは気持ち良く進み、またそうしたパワフルな登り方が楽しく、似合うバイクだ。
インプレ当日は小雨が降り、コンディションが悪かったので、いつもより下りを攻めることは出来なかったが、機敏な反応のハンドリングはやはりピナレロらしい。飛ばしているときに反応が高いことも好感がもてる。パーツ構成も申し分なかったので、今日のような雨の日でも安心して飛ばすことができる。
じつは個人的にピナレロ プリンス カーボンを所有しているので、この新型パリのフィーリングにとても興味をもっていた。両車を比較すると目隠したら判らないほど似たフィーリングだ。プリンス カーボンと比べ20万円ほども安いのに、ほとんど遜色の無いパフォーマンスがあるということだ。もしトータルな予算が決まっているなら、パリの方がフレーム価格が安い分パーツに予算が充てられるので、結果的にプリンス カーボンよりもパフォーマンスが高いバイクが仕上がるだろう。
走ったときのフィーリングはかなり似ている2車だが、外観のデザインイメージは大きな違いを見せる。プリンス カーボンの方がシャープなエッジが多用され、例えるなら筋肉質な強さを感じる一方で、パリの方は柔らかなイメージのデザインとなっている。この辺は好みが別れるところだろう。
気になる左右非対称形状の効果については、残念ながら路面状況が悪いこともあってプリンス カーボンからの明確なアドバンテージは感じ取ることは出来なかった。逆にいえばプリンス カーボンのかなり高いパフォーマンスは維持しているということだ。自分もプリンス カーボンに乗り換えた時点で、このバイクなら安全に速く走れるという安心感が高まり、それまでは参加していなかったゴールスプリントにも積極的に参加できるようになった。
その経験を踏まえて考えれば、フィーリングもかなり近いバイクなので、プリンス カーボンの血統を受け継いだ新型のアドバンテージはますます高いと想像できる。繰り返しになるが、乗ったときのパフォーマンスはプリンス カーボンとまるで遜色がない。
PINARELLO PARIS(ピナレロ パリ)
フレームセット価格:368,000円(税込)
※完成車扱い予定はありません。
マテリアル:トレカ 50HM1.5K カーボン
フォーク:ONDA FPK1 50HM1.5Kカーボン
カラー:523ホワイト、519レッド、524SKY
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5
インプレライダーのプロフィール
鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。トレーニングの一環としてロードバイクにも乗っており、使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI
text&edit :Takashi.KAYABA
photo:Makoto.AYANO
フォトギャラリー
リンク