首都マスカットを舞台に第11回ツアー・オブ・オマーンが2月10日から15日まで開幕される。昨年11月の肋骨骨折から回復したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)やガビリア、マスナダなど注目選手やコースの特徴などを紹介しよう。



首都マスカットの中心を駆けるツアー・オブ・オマーン首都マスカットの中心を駆けるツアー・オブ・オマーン photo:CorVos
ツアー・オブ・オマーン2022コースマップツアー・オブ・オマーン2022コースマップ (c)Tour of Omanツアー・オブ・オマーン(2.Pro)はツール・ド・フランス主催者A.S.O.が手掛ける中東で唯一のレース。カブース・ビン・サイード国王死去のため直前で中止となった2020年大会に続き、2021年もコロナ禍でキャンセルとなったため今回が2年振りの開催となる。

舞台はアラビア半島の東端、オマーン湾とアラビア海に面するオマーン。その首都マスカットから西へ東へ、沿岸部や岩肌が顕な山岳地帯を駆け抜ける。

アル・ルスタックフォートを出発する初日の第1ステージは平坦基調のスプリンター向き。しかしラスト1kmで平均9.6%、最大15%の登坂が集団スプリントにどう影響するかはわからない。つづく第2と最終日第6ステージも平坦基調のレイアウト。だが横風分断の可能性に加え、多くのワールドチームが6名しか連れてきていないため(最大7名まで)、集団コントロールから逃げが抜け出すことも考えられる。

3000mを超えるハジャール山脈があるオマーンだが、第5ステージのフィニッシュ地点アフダル山(距離6km/平均勾配9.9%)山頂は今大会最高標高の1217m。第3ステージも頂上フィニッシュだが、クライヤト山(距離2.8%/平均6.9%)はクライマーだけでなく爆発力を備えたパンチャーにも勝機のあるレイアウトだ。
ツアー・オブ・オマーン2022
第1ステージ(2月10日) アル・ルスタックフォート〜マスカット(丘陵) 138km
第2ステージ(2月11日) ナシーム公園〜スハーラ・コーニッシュ(平坦) 167.5km
第3ステージ(2月12日) スルタンカブース大学〜クライヤト(丘陵) 180km
第4ステージ(2月13日) アズ・シーファー〜マスカット(丘陵) 119.5km
第5ステージ(2月14日) サマイル〜アフダル山(丘陵) 150.5km
第6ステージ(2月15日) マスカット〜ムトラ・コーニッシュ(平坦) 132.5km
岩肌が露出した幹線道路を進むプロトン岩肌が露出した幹線道路を進むプロトン photo:A.S.O.
2018、2019年の総合優勝者アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザクスタン)が不出場の2022年大会は、ワールドチームからクイックステップ・アルファヴィニル、チームDSM、UAEチームエミレーツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、コフィディス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ、グルパマFDJと7チームが出場。プロチームからはアルケア・サムシックやウノエックス・プロサイクリング チーム、ビンゴール・パウェルスソースWBなど8チームとなり、それにオマーンナショナルチームとアスタナカザクスタンの下部チームという合計15チームが揃った。

2011年大会で区間1勝を挙げているカヴェンディッシュは最注目を集める1人。昨年11月に行われたトラック・レース「ヘント6日間レース」で落車して肋骨2本の骨折と外傷性気胸から回復後、これが2022年シーズン開幕戦となる。

開幕直前のインタビューでカヴェンディッシュは「オマーンに来ることができてとても嬉しい。ここには山岳や平坦、横風とレースに最適な場所だ。すべての選手が今年の調子を確かめるべく出場しているだろう」とコメント。「他の選手たちと競い合うまで自分のコンディションなんてわからない。我々チームにはあらゆる地形に対応できる選手が揃っている」と意気込みを語った。ドゥクーニンク・クイックステップはカヴェンディッシュに加え、ネオプロ(プロ1年目)のスタン・ファントリヒト(ベルギー)がリードアウトに加わる。

前日インタビューを受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)前日インタビューを受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) (c)Tour of Oman
サウジツアーから中東レースを連戦するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)サウジツアーから中東レースを連戦するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) (c)Tour of Omanセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM) (c)Tour of Oman

カヴェンディッシュの対抗馬であるアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)が直前で出走をキャンセルしたものの、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が2月5日に閉幕したサウジ・ツアーから連戦で出場する。そのリードアウトをアルバロホセ・ホッジ(コロンビア)の怪我でチームと5月末までの短期契約を結んだ38歳マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)が務める。

山岳ステージの難易度が低いため、クライマー以外にもチャンスがあると見られる総合争い。その筆頭にはファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)や元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)の名前が挙がり、また独走力のあるセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)や2021年のツール・ド・ラヴニールで総合3位の若手フィリッポ・ザナ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)にも注目だ。

text:Sotaro.Arakawa