2022/01/30(日) - 12:17
2006年に初制覇した時と同じマッチスプリントで、マリアンヌ・フォス(オランダ)がアルカンシエル獲得。ルシンダ・ブラント(オランダ)を下し、2014年以来8年ぶり8度目のシクロクロス世界チャンピオンに輝いた。
アーカンソー州ファイエットビルを舞台にしたシクロクロス世界選手権1日目の最終レース、女子エリートに出場したのは12カ国から集った30名。半袖のスーツを選ぶ選手も現れるほどの好天の下、これまで開催された3レースと同じくドライコンディションの超ハイスピードバトルが繰り広げられた。
横一線のスタートダッシュの末、元女王セイリン・アルバラード(オランダ)が真っ先に第1コーナーに飛び込み、連覇を目指すディフェンディングチャンピオンのルシンダ・ブラント(オランダ)がその後ろに続く。新型コロナウイルス陽性でアンマリー・ワーストを、発熱によってデニセ・ベッツィマを欠いたオランダ勢だったものの、それを意に留めない圧倒的な戦力でスタート直後からレース最前線を制圧した。
そのオレンジ軍団の中で、すぐさま主導権を握ったのはブラントだった。スロースターターであることが常の現チャンピオンだが、この日は序盤から積極的なペースメイクで他国選手との差を広げていく。ブラントのリズムに合わせることができたのはアルバラードと過去7度世界チャンピオンに輝いた経験を持つマリアンヌ・フォス(オランダ)の2名のみで、早くも1周目からオランダの3名が抜け出す形となった。
先頭グループが刻むハイペースによって、レースは3.1kmコースを7周回する21.7kmに決定。2周目に入るとイタリア女王のシルヴィア・ペルシコ(イタリア)が一人先頭グループに追いつきかけたものの、ブラントはギアを一段切り替えて再び突き放しにかかる。このペースアップによって今季病気からの復調に苦しんでいたアルバラードも遅れを喫した。
優勝候補最有力と目されていたブラントとフォスが逃げ続け、アルバラードとペルシコが3位グループ。元ヨーロッパ女王のヤラ・カステリンらオランダ勢や、サンヌ・カント(ベルギー)、マーガリー・ロシェット(カナダ)らがその後ろ。母国ファンの期待を一身に背負うクララ・ホンシンガー(アメリカ)やカータ・ヴァス(ハンガリー)といった優勝候補たちはさらに後方に沈み、メダル争いに加わることはできなかった。
こうしてアルカンシエル争いはブラントとフォスの2人に絞られた。フォスに先頭交代を促すなど、若干フラストレーションを漂わせながら走るブラントと、トップ選手中ほぼ唯一バイクに装着したボトルで水分補給しながら冷静に駒を進めるフォス。ブラントがコーナーのライン取りをミスした際にインを突いて交わすなど、誰よりも勝ち方を知る女王は、後半戦に入るとともに徐々にプレッシャーを強めていった。
フォスは全7周回中の6周目の登坂区間でアタックするも差はつかず、その後も細かいコーナーの立ち上がりを使ってジャブを打ち込んでいく。周回ごとの最速ラップを叩き出しながら、新旧女王による緊迫感ある鍔迫り合いが続いた。
3位グループに42秒、5位グループに1分以上の差をつけた先頭2人が最終周回に入った。レース時間が50分を超えてもなおハイペースを維持するも、互いに早駆けは選ばず勝負はスプリントへ。トラックレースのような牽制と、最終ストレート前の高速コーナーでの仕掛け合い。「ロングスパートを試みたけれど、抑えることはできなかった」と悔やむブラントのスリップストリームからフォスが加速し、一気にパス。瞬時に追撃の心を折る加速力でフォスが勝利した。
2006年にCX世界選手権初制覇を遂げた時と全く同じ勝ちパターンで、フォスが2006年、2009年、2010年、2011年、2012年、2013年、2014年に続く8年ぶり8度目、ロードレース(2006年、2012年、2013年)も含めれば合計11度目(他にビーチレースのアルカンシエル歴もあり)のエリートカテゴリーのアルカンシエルを獲得。3位争いはアルバラードが落車したことでペルシコが自身初の世界選手権エリート表彰台登壇に成功した。
コメントは別記事で紹介します。
アーカンソー州ファイエットビルを舞台にしたシクロクロス世界選手権1日目の最終レース、女子エリートに出場したのは12カ国から集った30名。半袖のスーツを選ぶ選手も現れるほどの好天の下、これまで開催された3レースと同じくドライコンディションの超ハイスピードバトルが繰り広げられた。
横一線のスタートダッシュの末、元女王セイリン・アルバラード(オランダ)が真っ先に第1コーナーに飛び込み、連覇を目指すディフェンディングチャンピオンのルシンダ・ブラント(オランダ)がその後ろに続く。新型コロナウイルス陽性でアンマリー・ワーストを、発熱によってデニセ・ベッツィマを欠いたオランダ勢だったものの、それを意に留めない圧倒的な戦力でスタート直後からレース最前線を制圧した。
そのオレンジ軍団の中で、すぐさま主導権を握ったのはブラントだった。スロースターターであることが常の現チャンピオンだが、この日は序盤から積極的なペースメイクで他国選手との差を広げていく。ブラントのリズムに合わせることができたのはアルバラードと過去7度世界チャンピオンに輝いた経験を持つマリアンヌ・フォス(オランダ)の2名のみで、早くも1周目からオランダの3名が抜け出す形となった。
先頭グループが刻むハイペースによって、レースは3.1kmコースを7周回する21.7kmに決定。2周目に入るとイタリア女王のシルヴィア・ペルシコ(イタリア)が一人先頭グループに追いつきかけたものの、ブラントはギアを一段切り替えて再び突き放しにかかる。このペースアップによって今季病気からの復調に苦しんでいたアルバラードも遅れを喫した。
優勝候補最有力と目されていたブラントとフォスが逃げ続け、アルバラードとペルシコが3位グループ。元ヨーロッパ女王のヤラ・カステリンらオランダ勢や、サンヌ・カント(ベルギー)、マーガリー・ロシェット(カナダ)らがその後ろ。母国ファンの期待を一身に背負うクララ・ホンシンガー(アメリカ)やカータ・ヴァス(ハンガリー)といった優勝候補たちはさらに後方に沈み、メダル争いに加わることはできなかった。
こうしてアルカンシエル争いはブラントとフォスの2人に絞られた。フォスに先頭交代を促すなど、若干フラストレーションを漂わせながら走るブラントと、トップ選手中ほぼ唯一バイクに装着したボトルで水分補給しながら冷静に駒を進めるフォス。ブラントがコーナーのライン取りをミスした際にインを突いて交わすなど、誰よりも勝ち方を知る女王は、後半戦に入るとともに徐々にプレッシャーを強めていった。
フォスは全7周回中の6周目の登坂区間でアタックするも差はつかず、その後も細かいコーナーの立ち上がりを使ってジャブを打ち込んでいく。周回ごとの最速ラップを叩き出しながら、新旧女王による緊迫感ある鍔迫り合いが続いた。
3位グループに42秒、5位グループに1分以上の差をつけた先頭2人が最終周回に入った。レース時間が50分を超えてもなおハイペースを維持するも、互いに早駆けは選ばず勝負はスプリントへ。トラックレースのような牽制と、最終ストレート前の高速コーナーでの仕掛け合い。「ロングスパートを試みたけれど、抑えることはできなかった」と悔やむブラントのスリップストリームからフォスが加速し、一気にパス。瞬時に追撃の心を折る加速力でフォスが勝利した。
2006年にCX世界選手権初制覇を遂げた時と全く同じ勝ちパターンで、フォスが2006年、2009年、2010年、2011年、2012年、2013年、2014年に続く8年ぶり8度目、ロードレース(2006年、2012年、2013年)も含めれば合計11度目(他にビーチレースのアルカンシエル歴もあり)のエリートカテゴリーのアルカンシエルを獲得。3位争いはアルバラードが落車したことでペルシコが自身初の世界選手権エリート表彰台登壇に成功した。
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シクロクロス世界選手権2022女子エリート結果
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ) | 55:00 |
2位 | ルシンダ・ブラント(オランダ) | +1:01 |
3位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア) | +0:51 |
4位 | セイリン・アルバラード(オランダ) | +1:04 |
5位 | ヤラ・カステリン(オランダ) | +1:05 |
6位 | マノン・バッカー(オランダ) | +1:05 |
7位 | マーガリー・ロシェット(カナダ) | +1:39 |
8位 | エレーヌ・クラウツェル(フランス) | +1:59 |
9位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ) | +1:59 |
10位 | サンヌ・カント(ベルギー) | +2:12 |
text:So Isobe
photo:Nobuhiko Tanabe
photo:Nobuhiko Tanabe
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