4月19~20日に長野県で開催された「アルプスあづみのセンチュリーライド」。通称「AACR」として親しまれている人気イベントをCW編集部の高木が取材し、その模様を前編と後編で紹介していく。前編はスタートから第3エイドのAACR名物「ねぎ味噌おにぎり」がある青木湖までをレポート。

大会の冠スポンサーであるミズタニ自転車ブース photo:Michinari TAKAGI
春の訪れを感じさせるサイクリングイベントとして、多くのサイクリストに人気がある「アルプスあづみのセンチュリーライド」。AACRという愛称で呼ばれ、桜が咲く4月に"桜のAACR"と新緑の5月に"緑のAACR"の2つの大会が毎年開催されている。
まだ肌寒さも残ることもあってか、例年桜のAACRは緑のAACRよりも参加者は少ない傾向にある。しかし昨年の”緑”の参加者が約1,200人だったのに対し、今年の”桜”はそれを上回る約1,300人がエントリーした。

前日受付は10~17時まで行われた photo:Michinari TAKAGI
関東平野では既に桜は散る4月末の開催で、中央道を走りながら桜が咲いているか不安になってしまうのは毎年のこと。しかし、今年はAACRの前週に開催されていた「ツール・ド・八ヶ岳」では山頂で雪が降り、AACR開催週の平日に再び長野県で降雪するほどの天候も相まってか、160kmコースのスタート地点となる「梓水苑」周辺は薄桃色の桜が見事に咲き誇っていた。
前日にバイクショップで点検した証の車検証を受付に提出し、代わりにヘルメットに貼るシールタイプと背中に貼るゼッケンを受け取れば受付完了。でも、そのまま受付会場をあとにするのはもったいない。受付ブースの近くには前日のみ出展されるブースが立ち並び、サイクリストとしては楽しめること間違いなし。

コンチネンタルのお勧めは新型ロードタイヤの「GRAND PRIX TR」と新型MTBタイヤ「DUBNITAL」 photo:Michinari TAKAGI

ブースでアンケートに答えると非売品のコンチネンタルリストバンドがプレゼントされるキャンペーンは大盛況だった 
新型MTBタイヤ「DUBNITAL」、「TRINOTAL」、「MAGNOTAL」の3種類が初お披露目

リドレーは多くの試乗車を用意 
ディフィートのソックスは全て1,500円で特別販売

発表されたばかりのナイナーの新型グラベルバイク「ORE 9 RDO」も急遽展示された photo:Michinari TAKAGI
特にAACRの冠スポンサーであるミズタニ自転車ブースは大規模で、様々なブランドが目白押し。中でも注目は人気のタイヤブランド、コンチネンタルの最新タイヤラインアップで、新型ロードタイヤの「GRAND PRIX TR」や新型MTBタイヤ「DUBNITAL」、「TRINOTAL」、「MAGNOTAL」の3種類が初お披露目となった。
他にも、ベルジャンバイクブランドのリドレーの試乗会やDMTのシューズ試着会、パールイズミをはじめ、AACRジャージを手掛けるウエイブワン、マヴィックなど多くのブランドのブースが出展し、受付を済ませた参加者で賑わいを見せていた。

マヴィックのブースでは大会当日にサポートしてくれるマヴィックカーを展示 photo:Michinari TAKAGI

AACRジャージを販売するウエイブワン 
enishi hand made cyclecapではオシャレな柄のサイクルキャップを販売

大会MCを務めるAkeさんとAsamiさん photo:Michinari TAKAGI

セーフティサポートライダーの皆さんで一枚 photo:Michinari TAKAGI
そうそう、自己紹介が遅れましたが、今回「桜のAACR」を取材するのは私、CW編集部員の高木。今回でAACRに参加するのは5回目で、長野県には学連時代からレースや合宿で足を運び、Jプロツアーのレースなどでも毎年のように訪れる思い入れのある土地でもある。
いよいよ1300人のサイクリストが一斉にスタート
当日のスタート地点である松本市の最低気温は12℃、最高気温は24℃と春らしい天気に恵まれた。私自身は上下共に半袖のCWジャージにカステリのアームカバー、そしてディフィートのソックスと万全の態勢でスタートを待つ。

スタートを待つ参加者の大行列 photo:Michinari TAKAGI

イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつ photo:Michinari TAKAGI
今回参加するのはAACRの最長距離である160kmのクラス。松本から白馬にかけての風光明媚な景色と、咲き誇る桜を楽しみつつ、7つのエイドステーションを巡る満足度が高いクラスだ。これまで参加した4回、そして今回も奇跡的に雨に降られなかったのは、晴れ男である自分のおかげかもしれない。みなさん感謝してくださいね!(笑)
桜のAACRの160kmコースのスタートおよびゴール地点となる「梓水苑」前の道路には、スタート時刻である6時が近づくと交通規制がかかりはじめ、最初にスタートする1組目の参加者が4列で整列する。

桜のAACRを楽しむぞー! photo:Michinari TAKAGI

スタート時刻の6時、合図と共に今年の「桜のAACR」が始まった 
天気に恵まれたこともあり、気分は上々

4名ずつ間隔を空けて参加者がスタートしていく 
ご安全に!行ってらっしゃい!
毎年、MCを務めているAkeさんが会場を盛り上げる中、イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつが行われた。「桜のAACRを楽しむぞー!」の掛け声と共に集合写真を撮影し、皆笑顔でスタートの時を待つ。
そして午前6時を迎え、合図と共に今年の「桜のAACR」が始まった。毎年メカニックサポートをしているマヴィックカーを先頭に、4名ずつ間隔を空けて参加者がスタート。私自身も1組目を見送ったのち、後方から参加者と共に走り出した。

スタートして、北アルプスの山々に向かって走っていく 
八重桜の横を駆け抜ける

1組目を見送り、追走していくようにマヴィックカーがスタート 
松本市の平坦路を走っていく

笑顔で坂を駆け上がる photo:Michinari TAKAGI
大きなスタートゲートを潜りながら駆け出していくと、北アルプスの山々、そして咲き誇る八重桜の壮大な景色が広がっていた。ここから始まる160kmの旅路の中で、どんな景色が見られるのだろうか。否が応でも期待が膨らむ。
目指す第一エイドは、23km地点にある堀金・穂高地区の「アルプスあづみの公園」だ。しばらくは松本市内の平坦な田んぼ道を進み、スムーズに脚を回しながら身体を温める。しかし安曇野市へ突入すると、すぐにうねるようなアップダウンが参加者の前に現れた。

早速、マヴィックカーがサポートしていた photo:Michinari TAKAGI

変速の調子が悪くなってしまい、エンド修正で対応中 
コースの至るところで桜が咲いていた

第一エイドの「アルプスあづみの公園」まであと少し 
絶景ポイントで記念写真
リンゴ畑を貫くアップダウンという最初の難関を越えると、第一エイドステーションである「穂高エイド」に到着。ここでも満開の桜が参加者たちをお出迎えしてくれ、まさに"桜のAACR"にふさわしい光景を演出。さらに、桜だけでなくチューリップも咲き乱れ、春の訪れを知らせる風景が一面に広がっている。色鮮やかな桜とチューリップ、そして自慢の愛車を一枚に収めようと、スマホを構える参加者も多かった。
桜に見とれつつも、良い匂いにそろそろお腹も空いてきた。ここでは色とりどりな「やさいぱん」と「長野県産米粉とポロネギのポタージュスープ」を楽しめた。

穂高エイドに到着すると咲き誇る桜が参加者たちをお出迎え photo:Michinari TAKAGI

桜とチューリップ、そして愛車の写真を撮っている参加者 
ミズタニ自転車の佐々木さんと富家さんも笑顔で到着

自転車仲間で記念写真を photo:Michinari TAKAGI
やさいぱんはトマト、カボチャ、にんじん、ホウレンソウ、むらさき芋の5種類から2つを選べる。毎年「全種類制覇したい!」という葛藤と戦いつつ、厳正なるセレクションの結果、かぼちゃとむらさき芋をチョイス。「ぱん」とは言いながらも玄米エッセンスが配合され、野菜の風味ともちもちとした食感で小腹を満たしてくれた。
また長野県産米粉とポロネギのポタージュスープは、優しい味のやさいぱんとは対象的な濃厚さ。温かく美味しいスープでほっと一息。もちろんやさいぱんをスープにディップするのは、毎年恒例のルーティンだ。今年の緑のAACRに参加する方は、同じ組み合わせが用意されているはずなのでお試しあれ!

やさいぱんが配られた 
トマト、カボチャ、にんじん、ホウレンソウ、むらさき芋の5種類

愛車のリドレーと共に撮影 photo:Michinari TAKAGI

MCのAsamiさんが参加者に声援を送る 
安曇野アートラインにある「トットちゃん広場」では昭和2年(1927年)に製造された「モハ604」が展示されていた
次なる目的地は20km先にある大町市にある第二エイド「あづみの公園」だ。エイドを再出発し、下った先にある安曇野アートラインを走っていく。北アルプスを横目に走れるので、疾走感が楽しめる区間である。
そんな安曇野アートラインを走っていると、レトロな電車が展示されている公園「トットちゃん広場」が見えてくる。ついつい立ち止まってしまう鉄道マニアの私と同じく、参加者の皆さんも茶色いレトロな車両に目を惹かれたはず。ここには昭和2年(1927年)に製造された「モハ604」と、大正15年(1926年)に製造された「デニハ201」の2両を長野電鉄から譲り受けて展示されている。

満開の桜のトンネルを走る photo:Michinari TAKAGI

AACRでは普段は自転車が走ることができない園内を走ることができる 
上から撮影しているのに気が付いてくれました!ありがとうございます!

2025年仕様の桜と緑のジャージで参加! photo:Michinari TAKAGI
安曇野アートラインを駆け抜けると、第二エイドがある「あづみの公園」に到着した。ここでは普段ならば自転車で走ることができない公園内を走ってエイドステーションへとアプローチすることに。木々の間を縫うように設置された遊歩道がこのあづみの公園大町エリアのアイコン。その下をくぐりぬけていくと、「大町エイド」が見えてきた。
ここでは栗林豆腐店製の「豆腐汁」と、甘党には嬉しい「よもぎ大福」が用意されていた。また給水所も用意され、多くの参加者がマイボトルに水を汲んでいた。春先となる桜のAACRでも日が高くなれば気温も上がり、多くの汗をかく。ミネラル補給のために溶かすスポーツドリンク粉末や、塩分補給タブレットは必須だ。

大町エイドに到着 
今回も猫耳を付けた女性スタッフさんがお出迎え。今年もお疲れ様です!

豆腐汁とよもぎ大福 
マイボトルに長野の天然水を給水

とても美味しいです! photo:Michinari TAKAGI
再スタートを切り次の目的地へ。目指す第三エイドは63km地点にある青木湖。その途中で右手に見えてくるのが、仁科三湖で最も南側に位置する木崎湖だ。
残念ながら、今年の1月28日で木崎湖キャンプ場は閉鎖となってしまった。筆者の私も学生時代に利用したこともあったため、思い出の地がなくなり、センチメンタルな気持ちにならざるを得ない。また桟橋も立ち入り禁止になっているため、しばらくはそこからの絶景も見ることができないのは残念極まりない。

下り区間は気持ちよく走れて、景色も良い 
セーフティサポートライダーさんがパンク修理をサポート

鈴木雷太さんが息子さんの心理くんと辻浦圭一さんを牽引していく photo:Michinari TAKAGI

親子で参加するのも良い思い出になります 
木崎湖の西岸を走っていく
木崎湖キャンプ場の跡地を再出発し、木崎湖の西岸を進んでいくとJR大糸線の踏切が現れる。踏切を渡り、国道148号のT字路を左折。青木湖方面へ北上し、緩斜面を駆け上がっていく。
中網湖を通過し、青木湖の看板が見えてくると、第三エイドステーションまではあと少し。再びJR大糸線の踏切を渡ると、目の前に前半戦の最難関である激坂が目の前に立ちはだかる。勾配は10%を越え、路面も凹凸があるため、タイヤにしっかりとトラクションをかけ続けないと登れない「壁」だ。

鈴木雷太さんの息子さんの心理くんが大人を引き連れて駆け上ってきた。登りは体重の軽い子どもは有利か!? photo:Michinari TAKAGI
しかし、青木湖エイドへ向かうにはこの激坂を登り切らないとならない。今回は11-34Tのスプロケットを装着していたため、なんとかクリア。軽いギア比は保険としても安心感が増すので、オススメだ。
青木湖の壁を登りきり参加者の応援をしながら撮影していると、AACRをプロデュースしている鈴木雷太さんの息子である心理くんが、シクロクロス全日本選手権を9連覇したレジェンド、辻浦圭一さんと雷太さんを牽引し、アシストするかのように軽快に駆け上がってきた。まだ小学6年生ということもあり、年々成長する心理くんの走りもこの大会のニッチな魅力かもしれない。

青木湖エイドに到着 photo:Michinari TAKAGI

エイドステーションのポップには「伝説のねぎ味噌おにぎり」と記載があった photo:Michinari TAKAGI
ひとしきり撮影を終えたら青木湖エイドで、一年越しの「ねぎ味噌おにぎり」を受け取りに行く。エイドステーションのポップには「"伝説"のねぎ味噌おにぎり」とあり、更なる期待に胸が膨らむ。
伝説のねぎ味噌おにぎりを早速一口。お米の一粒一粒に艶があり甘ーい!そこに塗られた甘辛いねぎ味噌とのマリアージュは、まさに"伝説"と呼ぶにふさわしい。なんとこの伝説のおにぎりはおかわり自由とのことで、遠慮なく3つほど頂き、残り100kmの後半戦に備えることに。

埼玉県にあるスポーツバイクファクトリー北浦和スズキのお客さん同士で参加 photo:Michinari TAKAGI

伝説のねぎ味噌おにぎりと大根の醤油漬け、キャベツときゅうりの浅漬け photo:Michinari TAKAGI
そんな伝説のおにぎりを更においしくしてくれるのが、信濃大町の「つけものや」の大根の醤油漬け、キャベツときゅうりの浅漬け。ここまでたくさん汗をかいてきたため、塩分チャージにもうれしいふるまいだ。
さて、今回の桜のAACRのイベントレポート前編は、スタートから第三エイドステーションの「青木湖エイド」までお届けしてきました!

ねぎ味噌おにぎりも漬物も美味しいです! photo:Michinari TAKAGI
次回の後編は長野オリンピックの会場である白馬を駆け抜け、向かい風の中、ゴールを目指す後編に続きます。こうご期待!
photo & text : Michinari TAKAGI

春の訪れを感じさせるサイクリングイベントとして、多くのサイクリストに人気がある「アルプスあづみのセンチュリーライド」。AACRという愛称で呼ばれ、桜が咲く4月に"桜のAACR"と新緑の5月に"緑のAACR"の2つの大会が毎年開催されている。
まだ肌寒さも残ることもあってか、例年桜のAACRは緑のAACRよりも参加者は少ない傾向にある。しかし昨年の”緑”の参加者が約1,200人だったのに対し、今年の”桜”はそれを上回る約1,300人がエントリーした。

関東平野では既に桜は散る4月末の開催で、中央道を走りながら桜が咲いているか不安になってしまうのは毎年のこと。しかし、今年はAACRの前週に開催されていた「ツール・ド・八ヶ岳」では山頂で雪が降り、AACR開催週の平日に再び長野県で降雪するほどの天候も相まってか、160kmコースのスタート地点となる「梓水苑」周辺は薄桃色の桜が見事に咲き誇っていた。
前日にバイクショップで点検した証の車検証を受付に提出し、代わりにヘルメットに貼るシールタイプと背中に貼るゼッケンを受け取れば受付完了。でも、そのまま受付会場をあとにするのはもったいない。受付ブースの近くには前日のみ出展されるブースが立ち並び、サイクリストとしては楽しめること間違いなし。






特にAACRの冠スポンサーであるミズタニ自転車ブースは大規模で、様々なブランドが目白押し。中でも注目は人気のタイヤブランド、コンチネンタルの最新タイヤラインアップで、新型ロードタイヤの「GRAND PRIX TR」や新型MTBタイヤ「DUBNITAL」、「TRINOTAL」、「MAGNOTAL」の3種類が初お披露目となった。
他にも、ベルジャンバイクブランドのリドレーの試乗会やDMTのシューズ試着会、パールイズミをはじめ、AACRジャージを手掛けるウエイブワン、マヴィックなど多くのブランドのブースが出展し、受付を済ませた参加者で賑わいを見せていた。





そうそう、自己紹介が遅れましたが、今回「桜のAACR」を取材するのは私、CW編集部員の高木。今回でAACRに参加するのは5回目で、長野県には学連時代からレースや合宿で足を運び、Jプロツアーのレースなどでも毎年のように訪れる思い入れのある土地でもある。
いよいよ1300人のサイクリストが一斉にスタート
当日のスタート地点である松本市の最低気温は12℃、最高気温は24℃と春らしい天気に恵まれた。私自身は上下共に半袖のCWジャージにカステリのアームカバー、そしてディフィートのソックスと万全の態勢でスタートを待つ。


今回参加するのはAACRの最長距離である160kmのクラス。松本から白馬にかけての風光明媚な景色と、咲き誇る桜を楽しみつつ、7つのエイドステーションを巡る満足度が高いクラスだ。これまで参加した4回、そして今回も奇跡的に雨に降られなかったのは、晴れ男である自分のおかげかもしれない。みなさん感謝してくださいね!(笑)
桜のAACRの160kmコースのスタートおよびゴール地点となる「梓水苑」前の道路には、スタート時刻である6時が近づくと交通規制がかかりはじめ、最初にスタートする1組目の参加者が4列で整列する。





毎年、MCを務めているAkeさんが会場を盛り上げる中、イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんによる開会のあいさつが行われた。「桜のAACRを楽しむぞー!」の掛け声と共に集合写真を撮影し、皆笑顔でスタートの時を待つ。
そして午前6時を迎え、合図と共に今年の「桜のAACR」が始まった。毎年メカニックサポートをしているマヴィックカーを先頭に、4名ずつ間隔を空けて参加者がスタート。私自身も1組目を見送ったのち、後方から参加者と共に走り出した。





大きなスタートゲートを潜りながら駆け出していくと、北アルプスの山々、そして咲き誇る八重桜の壮大な景色が広がっていた。ここから始まる160kmの旅路の中で、どんな景色が見られるのだろうか。否が応でも期待が膨らむ。
目指す第一エイドは、23km地点にある堀金・穂高地区の「アルプスあづみの公園」だ。しばらくは松本市内の平坦な田んぼ道を進み、スムーズに脚を回しながら身体を温める。しかし安曇野市へ突入すると、すぐにうねるようなアップダウンが参加者の前に現れた。





リンゴ畑を貫くアップダウンという最初の難関を越えると、第一エイドステーションである「穂高エイド」に到着。ここでも満開の桜が参加者たちをお出迎えしてくれ、まさに"桜のAACR"にふさわしい光景を演出。さらに、桜だけでなくチューリップも咲き乱れ、春の訪れを知らせる風景が一面に広がっている。色鮮やかな桜とチューリップ、そして自慢の愛車を一枚に収めようと、スマホを構える参加者も多かった。
桜に見とれつつも、良い匂いにそろそろお腹も空いてきた。ここでは色とりどりな「やさいぱん」と「長野県産米粉とポロネギのポタージュスープ」を楽しめた。




やさいぱんはトマト、カボチャ、にんじん、ホウレンソウ、むらさき芋の5種類から2つを選べる。毎年「全種類制覇したい!」という葛藤と戦いつつ、厳正なるセレクションの結果、かぼちゃとむらさき芋をチョイス。「ぱん」とは言いながらも玄米エッセンスが配合され、野菜の風味ともちもちとした食感で小腹を満たしてくれた。
また長野県産米粉とポロネギのポタージュスープは、優しい味のやさいぱんとは対象的な濃厚さ。温かく美味しいスープでほっと一息。もちろんやさいぱんをスープにディップするのは、毎年恒例のルーティンだ。今年の緑のAACRに参加する方は、同じ組み合わせが用意されているはずなのでお試しあれ!





次なる目的地は20km先にある大町市にある第二エイド「あづみの公園」だ。エイドを再出発し、下った先にある安曇野アートラインを走っていく。北アルプスを横目に走れるので、疾走感が楽しめる区間である。
そんな安曇野アートラインを走っていると、レトロな電車が展示されている公園「トットちゃん広場」が見えてくる。ついつい立ち止まってしまう鉄道マニアの私と同じく、参加者の皆さんも茶色いレトロな車両に目を惹かれたはず。ここには昭和2年(1927年)に製造された「モハ604」と、大正15年(1926年)に製造された「デニハ201」の2両を長野電鉄から譲り受けて展示されている。




安曇野アートラインを駆け抜けると、第二エイドがある「あづみの公園」に到着した。ここでは普段ならば自転車で走ることができない公園内を走ってエイドステーションへとアプローチすることに。木々の間を縫うように設置された遊歩道がこのあづみの公園大町エリアのアイコン。その下をくぐりぬけていくと、「大町エイド」が見えてきた。
ここでは栗林豆腐店製の「豆腐汁」と、甘党には嬉しい「よもぎ大福」が用意されていた。また給水所も用意され、多くの参加者がマイボトルに水を汲んでいた。春先となる桜のAACRでも日が高くなれば気温も上がり、多くの汗をかく。ミネラル補給のために溶かすスポーツドリンク粉末や、塩分補給タブレットは必須だ。





再スタートを切り次の目的地へ。目指す第三エイドは63km地点にある青木湖。その途中で右手に見えてくるのが、仁科三湖で最も南側に位置する木崎湖だ。
残念ながら、今年の1月28日で木崎湖キャンプ場は閉鎖となってしまった。筆者の私も学生時代に利用したこともあったため、思い出の地がなくなり、センチメンタルな気持ちにならざるを得ない。また桟橋も立ち入り禁止になっているため、しばらくはそこからの絶景も見ることができないのは残念極まりない。





木崎湖キャンプ場の跡地を再出発し、木崎湖の西岸を進んでいくとJR大糸線の踏切が現れる。踏切を渡り、国道148号のT字路を左折。青木湖方面へ北上し、緩斜面を駆け上がっていく。
中網湖を通過し、青木湖の看板が見えてくると、第三エイドステーションまではあと少し。再びJR大糸線の踏切を渡ると、目の前に前半戦の最難関である激坂が目の前に立ちはだかる。勾配は10%を越え、路面も凹凸があるため、タイヤにしっかりとトラクションをかけ続けないと登れない「壁」だ。

しかし、青木湖エイドへ向かうにはこの激坂を登り切らないとならない。今回は11-34Tのスプロケットを装着していたため、なんとかクリア。軽いギア比は保険としても安心感が増すので、オススメだ。
青木湖の壁を登りきり参加者の応援をしながら撮影していると、AACRをプロデュースしている鈴木雷太さんの息子である心理くんが、シクロクロス全日本選手権を9連覇したレジェンド、辻浦圭一さんと雷太さんを牽引し、アシストするかのように軽快に駆け上がってきた。まだ小学6年生ということもあり、年々成長する心理くんの走りもこの大会のニッチな魅力かもしれない。


ひとしきり撮影を終えたら青木湖エイドで、一年越しの「ねぎ味噌おにぎり」を受け取りに行く。エイドステーションのポップには「"伝説"のねぎ味噌おにぎり」とあり、更なる期待に胸が膨らむ。
伝説のねぎ味噌おにぎりを早速一口。お米の一粒一粒に艶があり甘ーい!そこに塗られた甘辛いねぎ味噌とのマリアージュは、まさに"伝説"と呼ぶにふさわしい。なんとこの伝説のおにぎりはおかわり自由とのことで、遠慮なく3つほど頂き、残り100kmの後半戦に備えることに。


そんな伝説のおにぎりを更においしくしてくれるのが、信濃大町の「つけものや」の大根の醤油漬け、キャベツときゅうりの浅漬け。ここまでたくさん汗をかいてきたため、塩分チャージにもうれしいふるまいだ。
さて、今回の桜のAACRのイベントレポート前編は、スタートから第三エイドステーションの「青木湖エイド」までお届けしてきました!

次回の後編は長野オリンピックの会場である白馬を駆け抜け、向かい風の中、ゴールを目指す後編に続きます。こうご期待!
photo & text : Michinari TAKAGI
リンク
Amazon.co.jp