2022/01/28(金) - 18:00
シクロクロス世界チャンピオンを決める戦いが、アメリカはアーカンソー州ファイエットビルを舞台に初開催のチームリレーで開幕する。コースやアルカンシエル争いの有力候補を現地からの写真とともに紹介していこう。
9年ぶりのアメリカ開催:登りが勝負を分けるスピードコース
東はテネシー州とミシシッピ州に、西はオクラホマ州とテキサス州に、南はルイジアナ州に接するアメリカはアーカンソー州のファイエットビルで開催されるシクロクロス世界選手権。アメリカでのシクロクロス世界選手権は、スヴェン・ネイス(ベルギー)が2度目の世界チャンピオンに輝いた2013年大会(ケンタッキー州ルイビル)以来9年ぶりだ。
センテニアル・パーク内を駆け巡るコースは今年のUCIワールドカップ第2戦とほぼ共通で、大きなアップダウンが特徴のスピードコース。ワールドカップ開催時は雨泥の極悪コンディションだったものの、今週末は2日間を通じて晴れ。最低気温はマイナス7度に達する予報だが、乾いた路面上で土煙を蹴立てるハイスピードバトルが繰り広げられるだろう。
男子エリートの優勝候補の一人であるトーン・アールツ(ベルギー)は「原則として差がつくのは登り区間だ。ワールドカップの時も頂上まで登りきれるかどうかで差ができていた。最初のピット後に追加された登りでも差が生まれるだろう。とても速いコースであり、ここでの差を埋めるのは簡単ではない」と話している。
昨年に引き続きコロナ禍で開催されるシクロクロス世界選手権だが、今年は多勢を占めるヨーロッパ選手団のウイルス感染とリスク回避による渡航見合わせが若干の影を落とした。
男子エリートでは調子を上げていたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が出発前検査でコロナ陽性となり参戦中止になったほか、女子エリートで圧倒的な選手層を誇るオランダ勢もアンマリー・ワーストがコロナ陽性、今季常に表彰台に乗り続けてきたデニセ・ベッツェマも発熱によって参戦を見合わせている。イタリア勢も選手メンバーの半数が陽性となり、スイスは女子チームの派遣なし。また、日本勢もオミクロン株の世界的拡大を受け、選手の派遣を中止する旨を発表している。
男子エリート:イゼルビット、ピドコック、ファンデルハール有利か、2強不在でオープンな戦いに
男子エリートでは既報の通りディフェンディングチャンピオンのマチュー・ファンデルプール(オランダ)は怪我の影響で、ワウト・ファンアールト(ベルギー)がロードシーズンに集中するため共に不参加を選んだものの、過去6年間シクロクロス世界チャンピオンを分け合ってきた2人の不在によって、複数名にアルカンシエル獲得チャンスのある”オープンな”戦いが期待されている。
実際に先週末のUCIワールドカップ最終戦ではエリ・イゼルビットとマイケル・ファントーレンハウト(共にベルギー)、ラース・ファンデルハール(オランダ)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス)が四つ巴の攻防戦を繰り広げ、最後はイゼルビットが力で押し切って勝利した。世界選と似たスピードコースだったため、イゼルビットを今回の優勝候補に推す声は少なくない。
そのW杯最終戦で中盤に落車するも、怒涛の追い上げで2位に入ったファンデルハールも優勝候補の一人。今季ヨーロッパ選手権とオランダ選手権を共に制覇して波に乗るファンデルハールは、世界選手権では過去2位止まり(2016年)。30歳という年齢を考えてもアルカンシエルにかける意気込みは誰よりも大きいと言えるだろう。
MTBオリンピックチャンピオンらしいテクニックとスピードを持ち味にするピドコックは、クレバーな戦略も凄みを見せる。金メダルに続くアルカンシエルを、ロードシーズンへの手土産にできるかどうかに注目だ。
11月以降表彰台の頂点を逃しているものの常にトップ5に食い込むトーン・アールツや、マイケル・ファントーレンハウトといったベルギー勢、コルネ・ファンケッセル(オランダ)も先頭争いに加わってくるはずだ。
女子エリート:ブラントvsフォス?オランダ勢打破を狙う勢力にも注目
女子レースはベッツィマとワーストを欠きながらも、エリート&U23の2カテゴリーに渡ってオランダ勢が圧倒的な戦力を誇る。絶対的優勝候補は連覇を目指すルシンダ・ブラント(今季17勝)だったが、過去7度のCX世界女王であるマリアンヌ・フォスが、ブラントを直近のオランダ選手権とワールドカップで破ったことで力関係は対等となった。猛然と突き進む走りが持ち味のブラントと、戦略的な引き出しの多いフォス。アメリカのスピードコースで2人がどう戦うかに注目したい。
打倒オランダを目指すのがアメリカの期待を背負って走るクララ・ホンシンガーや、カータ・ヴァス(ハンガリー)、マーガリー・ロシェット(カナダ)といった面々。全員にアルカンシエル獲得のチャンスがあることは今季これまでのレースで証明済みであり、特にホンシンガーは遥か後方からの追い上げでブラントをも脅かしてきた。サンヌ・カント(ベルギー)以来3年ぶりにオランダ勢を打破する選手は現れるだろうか?
エリート選手に割り込んで大活躍を見せているフェム・ファンエンペルとパック・ピーテルス、そしてシリン・ファンアンローイ(共にオランダ)は全員U23レースに出場。W杯フランスラウンド同様に、ファンエンペルとピーテルスの一騎打ちになりそうだ。
シクロクロス世界選手権は、アメリカ時間の1月28日(金)にテストイベントとして初開催されるチームリレーで開幕。男女のジュニア、U23、エリートの合計6カテゴリーで新チャンピオンが誕生する。
9年ぶりのアメリカ開催:登りが勝負を分けるスピードコース
東はテネシー州とミシシッピ州に、西はオクラホマ州とテキサス州に、南はルイジアナ州に接するアメリカはアーカンソー州のファイエットビルで開催されるシクロクロス世界選手権。アメリカでのシクロクロス世界選手権は、スヴェン・ネイス(ベルギー)が2度目の世界チャンピオンに輝いた2013年大会(ケンタッキー州ルイビル)以来9年ぶりだ。
センテニアル・パーク内を駆け巡るコースは今年のUCIワールドカップ第2戦とほぼ共通で、大きなアップダウンが特徴のスピードコース。ワールドカップ開催時は雨泥の極悪コンディションだったものの、今週末は2日間を通じて晴れ。最低気温はマイナス7度に達する予報だが、乾いた路面上で土煙を蹴立てるハイスピードバトルが繰り広げられるだろう。
男子エリートの優勝候補の一人であるトーン・アールツ(ベルギー)は「原則として差がつくのは登り区間だ。ワールドカップの時も頂上まで登りきれるかどうかで差ができていた。最初のピット後に追加された登りでも差が生まれるだろう。とても速いコースであり、ここでの差を埋めるのは簡単ではない」と話している。
昨年に引き続きコロナ禍で開催されるシクロクロス世界選手権だが、今年は多勢を占めるヨーロッパ選手団のウイルス感染とリスク回避による渡航見合わせが若干の影を落とした。
男子エリートでは調子を上げていたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が出発前検査でコロナ陽性となり参戦中止になったほか、女子エリートで圧倒的な選手層を誇るオランダ勢もアンマリー・ワーストがコロナ陽性、今季常に表彰台に乗り続けてきたデニセ・ベッツェマも発熱によって参戦を見合わせている。イタリア勢も選手メンバーの半数が陽性となり、スイスは女子チームの派遣なし。また、日本勢もオミクロン株の世界的拡大を受け、選手の派遣を中止する旨を発表している。
男子エリート:イゼルビット、ピドコック、ファンデルハール有利か、2強不在でオープンな戦いに
男子エリートでは既報の通りディフェンディングチャンピオンのマチュー・ファンデルプール(オランダ)は怪我の影響で、ワウト・ファンアールト(ベルギー)がロードシーズンに集中するため共に不参加を選んだものの、過去6年間シクロクロス世界チャンピオンを分け合ってきた2人の不在によって、複数名にアルカンシエル獲得チャンスのある”オープンな”戦いが期待されている。
実際に先週末のUCIワールドカップ最終戦ではエリ・イゼルビットとマイケル・ファントーレンハウト(共にベルギー)、ラース・ファンデルハール(オランダ)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス)が四つ巴の攻防戦を繰り広げ、最後はイゼルビットが力で押し切って勝利した。世界選と似たスピードコースだったため、イゼルビットを今回の優勝候補に推す声は少なくない。
そのW杯最終戦で中盤に落車するも、怒涛の追い上げで2位に入ったファンデルハールも優勝候補の一人。今季ヨーロッパ選手権とオランダ選手権を共に制覇して波に乗るファンデルハールは、世界選手権では過去2位止まり(2016年)。30歳という年齢を考えてもアルカンシエルにかける意気込みは誰よりも大きいと言えるだろう。
MTBオリンピックチャンピオンらしいテクニックとスピードを持ち味にするピドコックは、クレバーな戦略も凄みを見せる。金メダルに続くアルカンシエルを、ロードシーズンへの手土産にできるかどうかに注目だ。
11月以降表彰台の頂点を逃しているものの常にトップ5に食い込むトーン・アールツや、マイケル・ファントーレンハウトといったベルギー勢、コルネ・ファンケッセル(オランダ)も先頭争いに加わってくるはずだ。
女子エリート:ブラントvsフォス?オランダ勢打破を狙う勢力にも注目
女子レースはベッツィマとワーストを欠きながらも、エリート&U23の2カテゴリーに渡ってオランダ勢が圧倒的な戦力を誇る。絶対的優勝候補は連覇を目指すルシンダ・ブラント(今季17勝)だったが、過去7度のCX世界女王であるマリアンヌ・フォスが、ブラントを直近のオランダ選手権とワールドカップで破ったことで力関係は対等となった。猛然と突き進む走りが持ち味のブラントと、戦略的な引き出しの多いフォス。アメリカのスピードコースで2人がどう戦うかに注目したい。
打倒オランダを目指すのがアメリカの期待を背負って走るクララ・ホンシンガーや、カータ・ヴァス(ハンガリー)、マーガリー・ロシェット(カナダ)といった面々。全員にアルカンシエル獲得のチャンスがあることは今季これまでのレースで証明済みであり、特にホンシンガーは遥か後方からの追い上げでブラントをも脅かしてきた。サンヌ・カント(ベルギー)以来3年ぶりにオランダ勢を打破する選手は現れるだろうか?
エリート選手に割り込んで大活躍を見せているフェム・ファンエンペルとパック・ピーテルス、そしてシリン・ファンアンローイ(共にオランダ)は全員U23レースに出場。W杯フランスラウンド同様に、ファンエンペルとピーテルスの一騎打ちになりそうだ。
シクロクロス世界選手権は、アメリカ時間の1月28日(金)にテストイベントとして初開催されるチームリレーで開幕。男女のジュニア、U23、エリートの合計6カテゴリーで新チャンピオンが誕生する。
シクロクロス世界選手権2022開催スケジュール
text:So Isobe
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