X2Oトロフェー第5戦で、再びルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が圧勝。ファンアールトはレース後インタビューで世界選手権への不参加を表明した。



長い担ぎ区間が用意されたヘーレンタルスのコース長い担ぎ区間が用意されたヘーレンタルスのコース photo:CorVos
シクロクロスのトップ選手たちは、1月3日のUCIシクロクロスワールドカップ第13戦からわずか1日の休息を挟み、ベルギーのアントワープ郊外にある街ヘーレンタルスへ。X2Oバドカマートロフェー第5戦で再戦を果たした。

各国ナショナル選手権が週末に控えているため、この日の選手層はやや薄め。それでも長い担ぎ期間や、テクニカルな下りを組み合わせたセミウェットのコースには、連勝街道を突き進むルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)や、このヘーレンタルス出身のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)など、スター選手が顔を揃えた。

女子エリート+U23:ブラントが圧勝し、シリーズランキング首位まで2秒差に迫る

女子レース(エリート+U23)はシリーズランキングリーダーのデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がダッシュを決めたものの、やがてブラントが猛然と追い上げてパス。累計ポイントではなく、フィニッシュタイムの累計で争われるランキングで46秒差の2位につける世界女王は、逆転首位浮上を目指してハイペースを刻み続けた。

ベッツェマを抜き去り、独走するルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)	ベッツェマを抜き去り、独走するルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos今季16勝目を挙げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)今季16勝目を挙げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos

X2Oバドカマートロフェー2021-2022第5戦女子表彰台X2Oバドカマートロフェー2021-2022第5戦女子表彰台 photo:CorVos
オランダチャンピオンのセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)がメカトラブルで長いランニングを強いられる一方、ブラントは毎周回ごとにリードを積み重ねる。ベッツェマもランキング首位の座を守るべく粘り強く追走していたものの、最終周回にパンクに見舞われてペースダウン。ブラントが今季16勝目を決め、ベッツェマは49秒後にフィニッシュしたものの、途中のボーナスポイントで加算していたため僅か2秒差で首位の座を守った。



男子エリート:ファンアールトが圧勝&世界選手権不参加を表明

男子エリートレースでホールショットを決め、誰よりも早くフィールドに飛び出したのは地元レースに燃えるファンアールトだった。「今日の作戦は明確だった。1周目はボーナスタイムを確実に獲り、そこからペースを上げようと考えていた。長い丘を全力で走れるようにレースを組み立てた」と言うベルギーチャンピオンは、すぐにトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)たちを引き離して独走態勢へと持ち込んだ。

レース序盤、陸上トラックを走るトップグループレース序盤、陸上トラックを走るトップグループ photo:CorVos
2番手を走るトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)2番手を走るトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos硬く、スリッピーで、長く荒れた下り区間を飛ばすワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)	硬く、スリッピーで、長く荒れた下り区間を飛ばすワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos


序盤で勝ちパターンに持ち込んだファンアールトの背後では、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が2番手を走り、アールツがそれを追う形に。ファンアールトが余裕の独走勝利を決め、その1分6秒後にピドコックが、その背後では最終盤猛然と追い上げたアールツがフィニッシュ。この日はランキング2位のエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が大きく遅れたため、首位アールツはリードを1分20秒から4分12秒まで広げることに成功している。

圧倒的な力で勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)圧倒的な力で勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
「作戦が上手くいったので嬉しく思う。ただ途中でミスを出したのでまだ改善の余地も感じた。ようやく地元開催のレースで、家族の前で勝利を祝うことができた。とても嬉しいよ」とファンアールトは話している。

また、ファンアールトはレース後インタビュー内でシクロクロス世界選手権への不参加をコメント。ロードシーズンに向けて調整をするためであり、代わりに今週末のベルギー選手権に集中するという。詳しくは別記事で紹介します。
X2Oバドカマートロフェー2021-2022第5戦女子結果
1位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 49:56
2位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:49
3位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) +0:59
4位 サンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン) +1:16
5位 マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ) +2:09
6位 マノン・バッカー(オランダ、IKOクレラン) +2:17
7位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) +4:28
8位 クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) +4:45
9位 マディガン・ムンロー(アメリカ、トレックファクトリーレーシングCX) +5:11
10位 カレン・フェルヘストラーテン(ベルギー、IKOクレラン) +5:26
X2Oバドカマートロフェー2021-2022第5戦男子エリート結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 1:02:43
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +1:06
3位 トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:07
4位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +2:03
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +2:13
6位 イェンス・アダム(ベルギー、ホルベークホーフ) +2:18
7位 トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) +2:46
8位 ジャンニ・フェルメルシュ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) +3:32
9位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +3:44
10位 コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・サーカスCXチーム) +4:28
text:So Isobe
photo:CorVos

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