2021/12/02(木) - 18:45
鮮やかな色使いで人気を博しているスパカズから、ハイエンドシューズのKAZZEが登場した。ホログラムカラーやオイルスリックカラーを採用し、お洒落な一面を持ちながら、レーシングスペックのシューズをテストしていく。
2010年にアメリカ・カリフォルニアで誕生したSUPACAZ(スパカズ)。バーテープを筆頭にハイクオリティーなサドルやシューズをリリースし、特徴的な鮮やかな色使いで人気を博している。そんなスパカズラインナップに加わるのがハイエンドモデルシューズのKAZZEだ。
アッパーには光沢がある質感の耐久性に優れた素材を採用。爪先から土踏まずの踵に近い位置までの広範囲にベンチレーションホールを備える。さらに、シューズのタンには大きめのパンチング加工が施されることで、優れた通気性を確保している。
クロージャーはBOAフィットシステムの最上位モデルである"Li2"を2つ搭載し、フィット感を高めている。締め方向にも緩め方向にも1コマずつ微調整できるほか、ダイヤルを持ち上げることで、ワンタッチで締め込みを解除できるため、脱ぎ履きにも便利なダイヤルだ。
アウトソールは航空宇宙工学にも用いられる3Kカーボンを使用。高剛性なアウトソールはたわみやねじれに強く、高出力で踏み込んでもパワーロスを最小限に抑えてくれる。また踵の一部を覆うようなデザインの"HeliumHeel"により、足をしっかりとホールドしてペダリング効率を向上。また、アウトソールの4ヶ所にはVaporX™システムと名付けられた大きなベンチレーションが設けられ、シューズ内の湿気を効果的に外に排出、常に足を快適な状態に保ってくれる。
さらに、アナトミックインテリジェンステクノロジーという人間工学に基づいたインソールを採用することで、長時間のライドでの快適性を確保。インソールにも無数のパンチング加工が施されており、VaporXシステムによってアウトソールから取り込んだ空気を靴内へと循環させる通気性も与えられた。
カラーはBlack Holo、White Holo、Hologram、Oil Slick Reflectiveの4色展開。サイズは38~46まで。各サイズ間にハーフサイズも用意されている。価格はBlack HoloとWhite Holoが46,750円(税込)、HologramとOil Slick Reflectiveが49,280円(税込)。それではインプレッションに移ろう。
―編集部インプレッション
今回、スパカズ KAZZEをインプレッションするのはCW編集部の高木。足のサイズは27.0cm、普段のレースやトレーニングで着用しているシューズはスペシャライズド S-WORKS 7とシマノ S-PHYRE RC9の42サイズ。ジロを履く場合は43サイズを選択している。スパカズのシューズを試すのは初めてだったので、42と43サイズを借り受けたところ、43はつま先が若干余ってしまいトルクを掛けるペダリングを好む私にとっては、母指球の位置でサイズを選ぶと42が適正な大きさだと感じた。横幅が広めのラストで、多くの人にフィットしやすそうだ。
アッパーを手で触ってみたところ、やや硬めの印象。今回着用したHologramカラーはコシが強いエナメルのような感触だ。一方で、Oil Slick Reflectiveはスエードのような質感で、もう少ししなやかな手触りだった。わずかな違いではあるが、履き心地に影響する可能性も否めない。ただ、実際に履いてみれば、Hologramカラーでも十分な柔軟性があり、BOA Li2ダイヤルの細かな調整能力と相まって、ぴったりと足にフィットする。
私は足の甲が高いため、タンの材質によっては足首に当たる部分が痛むことがあったが、KAZZEはタン上部に薄く柔らかい合皮素材が配されており、痛みはもちろんのこと、足首への圧迫感も少なく快適なペダリングが可能であった。
つるりとしたアッパーは、一見したところ通気性が悪そうに見える。もちろんニットアッパーに比べると、熱のこもりやすさは否定できないが、そもそもKAZZEの設計思想としてはアッパーの放熱性はあまり重要視されていないようにも感じる。
靴内環境を快適に保つためのKAZZEのアプローチとしては、足底から空気を循環させることに主眼が置かれているようだ。アウトソールの巨大なエアインテークからインソールの無数のパンチングホールを経由して新鮮な空気を靴の中に取り込んでくれるのが体感できる。
ちょうどペダリングで引き足を使った際にフレッシュな空気を吸い込み、踏み込むと同時に靴内の熱と蒸気を排出しているようなイメージだ。この循環によって、常に靴内の環境が快適に保たれている。
一方で、これからの寒いシーズンでは寒すぎる可能性もある。アウトソールのベンチレーションを裏側(靴の内側)からテープで塞ぐか、しっかりと靴底を覆うタイプのシューズカバーを選択するか、少し工夫が必要になりそうだ。
非常に通気性に優れたアウトソールだが、これだけ大きな穴が開いていると剛性面で不安に思う人もいるかもしれない。少なからずねじれやロスを感じるのではないかと思い、1000W超のスプリントテストも行ってみた。
結果から言えば、杞憂に過ぎず。グッと踏みつけた瞬間に、しっかりとペダルからクランクへとパワーが伝わっている。柔らかめのソールのシューズにありがちなフワッとした感覚は無く、かなりダイレクトな踏み心地で、スプリントやアタックを掛けるシーンでも不満を覚えることは無いだろう。
これは推測だが、ヒールカップと一体化した設計が大きく効いているのではないだろうか。一般的なカーボンソールが板状なのに対し、KAZZEのアウトソールは土踏まずからヒールカップにかけて凹のような断面形状となっているため、高いねじれ剛性を実現しているように感じた。
ヒールカップ自体もしっかりと機能しており、200rpmを超えるハイケイデンスでもかかとがブレずペダリング効率を高めてくれる。この高いホールド感はレースシーンでの安心感にも直結するはずだ。
今回、インプレッションしたKAZZEのHologramカラーは光が当たるとホログラムが施された表面が反射するため被視認性に優れていることも特徴。もちろん、他のブランドではお目にかかれないグラフィックであり、個性を演出したいサイクリストにとってはデザイン面での魅力も大きいのは間違いないが、機能面で見ても優れたカラーだといえる。常に上下に動くシューズは非常に目立つため、夜間にも走るロングライダーや通勤ライダーにとって安全なシューズとしてもオススメしたい。
一方、それぞれブラックとホワイトの生地にホログラム加工を施したBlack HoloとWhite Holoは、他のウェアにも合わせやすく使い勝手も良さそうだ。Oil Slick Reflectiveは光が当たっていない状態ではマットグレーのような色調となり、光を反射すると鮮やかなオイルスリックカラーとなる。シンプルなデザインのウェアが主流となっている今こそ、足元を鮮やかにするのも良いかもしれない。
一見、お洒落な一足だと思われがちだが、中身はレーシングスペック。まさに「羊の皮を被った狼」
と言った方が適切かもしれない。ハイエンドモデルのシューズであるためレーサーにはもちろんだが、普段からウェアコ―ディネートを楽しむサイクリストにもオススメしたい一足だ。
スパカズ KAZZE
カラー: Black Holo、White Holo、Hologram、Oil Slick Reflective
サイズ:38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、46
重量:259g(サイズ42)
価格:Black Holo、White Holo:46,750円(税込)
Hologram、Oil Slick Reflective:49,280円(税込)
impression:Michinari TAKAGI
photo:So Isobe、Gakuto Fujiwara
2010年にアメリカ・カリフォルニアで誕生したSUPACAZ(スパカズ)。バーテープを筆頭にハイクオリティーなサドルやシューズをリリースし、特徴的な鮮やかな色使いで人気を博している。そんなスパカズラインナップに加わるのがハイエンドモデルシューズのKAZZEだ。
アッパーには光沢がある質感の耐久性に優れた素材を採用。爪先から土踏まずの踵に近い位置までの広範囲にベンチレーションホールを備える。さらに、シューズのタンには大きめのパンチング加工が施されることで、優れた通気性を確保している。
クロージャーはBOAフィットシステムの最上位モデルである"Li2"を2つ搭載し、フィット感を高めている。締め方向にも緩め方向にも1コマずつ微調整できるほか、ダイヤルを持ち上げることで、ワンタッチで締め込みを解除できるため、脱ぎ履きにも便利なダイヤルだ。
アウトソールは航空宇宙工学にも用いられる3Kカーボンを使用。高剛性なアウトソールはたわみやねじれに強く、高出力で踏み込んでもパワーロスを最小限に抑えてくれる。また踵の一部を覆うようなデザインの"HeliumHeel"により、足をしっかりとホールドしてペダリング効率を向上。また、アウトソールの4ヶ所にはVaporX™システムと名付けられた大きなベンチレーションが設けられ、シューズ内の湿気を効果的に外に排出、常に足を快適な状態に保ってくれる。
さらに、アナトミックインテリジェンステクノロジーという人間工学に基づいたインソールを採用することで、長時間のライドでの快適性を確保。インソールにも無数のパンチング加工が施されており、VaporXシステムによってアウトソールから取り込んだ空気を靴内へと循環させる通気性も与えられた。
カラーはBlack Holo、White Holo、Hologram、Oil Slick Reflectiveの4色展開。サイズは38~46まで。各サイズ間にハーフサイズも用意されている。価格はBlack HoloとWhite Holoが46,750円(税込)、HologramとOil Slick Reflectiveが49,280円(税込)。それではインプレッションに移ろう。
―編集部インプレッション
今回、スパカズ KAZZEをインプレッションするのはCW編集部の高木。足のサイズは27.0cm、普段のレースやトレーニングで着用しているシューズはスペシャライズド S-WORKS 7とシマノ S-PHYRE RC9の42サイズ。ジロを履く場合は43サイズを選択している。スパカズのシューズを試すのは初めてだったので、42と43サイズを借り受けたところ、43はつま先が若干余ってしまいトルクを掛けるペダリングを好む私にとっては、母指球の位置でサイズを選ぶと42が適正な大きさだと感じた。横幅が広めのラストで、多くの人にフィットしやすそうだ。
アッパーを手で触ってみたところ、やや硬めの印象。今回着用したHologramカラーはコシが強いエナメルのような感触だ。一方で、Oil Slick Reflectiveはスエードのような質感で、もう少ししなやかな手触りだった。わずかな違いではあるが、履き心地に影響する可能性も否めない。ただ、実際に履いてみれば、Hologramカラーでも十分な柔軟性があり、BOA Li2ダイヤルの細かな調整能力と相まって、ぴったりと足にフィットする。
私は足の甲が高いため、タンの材質によっては足首に当たる部分が痛むことがあったが、KAZZEはタン上部に薄く柔らかい合皮素材が配されており、痛みはもちろんのこと、足首への圧迫感も少なく快適なペダリングが可能であった。
つるりとしたアッパーは、一見したところ通気性が悪そうに見える。もちろんニットアッパーに比べると、熱のこもりやすさは否定できないが、そもそもKAZZEの設計思想としてはアッパーの放熱性はあまり重要視されていないようにも感じる。
靴内環境を快適に保つためのKAZZEのアプローチとしては、足底から空気を循環させることに主眼が置かれているようだ。アウトソールの巨大なエアインテークからインソールの無数のパンチングホールを経由して新鮮な空気を靴の中に取り込んでくれるのが体感できる。
ちょうどペダリングで引き足を使った際にフレッシュな空気を吸い込み、踏み込むと同時に靴内の熱と蒸気を排出しているようなイメージだ。この循環によって、常に靴内の環境が快適に保たれている。
一方で、これからの寒いシーズンでは寒すぎる可能性もある。アウトソールのベンチレーションを裏側(靴の内側)からテープで塞ぐか、しっかりと靴底を覆うタイプのシューズカバーを選択するか、少し工夫が必要になりそうだ。
非常に通気性に優れたアウトソールだが、これだけ大きな穴が開いていると剛性面で不安に思う人もいるかもしれない。少なからずねじれやロスを感じるのではないかと思い、1000W超のスプリントテストも行ってみた。
結果から言えば、杞憂に過ぎず。グッと踏みつけた瞬間に、しっかりとペダルからクランクへとパワーが伝わっている。柔らかめのソールのシューズにありがちなフワッとした感覚は無く、かなりダイレクトな踏み心地で、スプリントやアタックを掛けるシーンでも不満を覚えることは無いだろう。
これは推測だが、ヒールカップと一体化した設計が大きく効いているのではないだろうか。一般的なカーボンソールが板状なのに対し、KAZZEのアウトソールは土踏まずからヒールカップにかけて凹のような断面形状となっているため、高いねじれ剛性を実現しているように感じた。
ヒールカップ自体もしっかりと機能しており、200rpmを超えるハイケイデンスでもかかとがブレずペダリング効率を高めてくれる。この高いホールド感はレースシーンでの安心感にも直結するはずだ。
今回、インプレッションしたKAZZEのHologramカラーは光が当たるとホログラムが施された表面が反射するため被視認性に優れていることも特徴。もちろん、他のブランドではお目にかかれないグラフィックであり、個性を演出したいサイクリストにとってはデザイン面での魅力も大きいのは間違いないが、機能面で見ても優れたカラーだといえる。常に上下に動くシューズは非常に目立つため、夜間にも走るロングライダーや通勤ライダーにとって安全なシューズとしてもオススメしたい。
一方、それぞれブラックとホワイトの生地にホログラム加工を施したBlack HoloとWhite Holoは、他のウェアにも合わせやすく使い勝手も良さそうだ。Oil Slick Reflectiveは光が当たっていない状態ではマットグレーのような色調となり、光を反射すると鮮やかなオイルスリックカラーとなる。シンプルなデザインのウェアが主流となっている今こそ、足元を鮮やかにするのも良いかもしれない。
一見、お洒落な一足だと思われがちだが、中身はレーシングスペック。まさに「羊の皮を被った狼」
と言った方が適切かもしれない。ハイエンドモデルのシューズであるためレーサーにはもちろんだが、普段からウェアコ―ディネートを楽しむサイクリストにもオススメしたい一足だ。
スパカズ KAZZE
カラー: Black Holo、White Holo、Hologram、Oil Slick Reflective
サイズ:38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、46
重量:259g(サイズ42)
価格:Black Holo、White Holo:46,750円(税込)
Hologram、Oil Slick Reflective:49,280円(税込)
impression:Michinari TAKAGI
photo:So Isobe、Gakuto Fujiwara
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