2021/11/14(日) - 19:16
渡部春雅(明治大学)が独走で2日連続優勝を決め、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)を下して野辺山初勝利。UCIレースとなった野辺山2日目の男女エリートレースをレポート。
女子エリート:渡部春雅(明治大学)が独走勝利
野辺山にふさわしくない(?)晴天続きの八ヶ岳山麓滝沢牧場。前日よりも暖かさが増し、最高気温11度という1日の最後にUCIレースとなる男女エリートレースが開催された。
砂利の高速コーナーや舗装路の登り、木の根が張り出し湿り気が残るキャンプ場の連続コーナーと、シクロクロッサーにテクニックとパワーを問うバリエーションに富むコース。一部区間を除き土ほこり舞う超ドライコンディションとなったため、各カテゴリーで前日と同じハイスピードレースが展開されることとなった。
合計21名が出走した女子エリートレースは「最初からガンガン攻めようと思っていた」と振り返る福田咲絵(AX cyclocross team)のホールショットで動き出す。しかし前日勝者の渡部春雅(明治大学)が1周目に福田を抜き、そのまま5秒程度の差を維持したまま逃げる展開で推移した。
「前半はペースを抑えて後半にプッシュするつもりでしたが、なかなか(ペースを)上げきることができませんでした」と振り返る渡部だったが、中盤を過ぎてその差は5秒、10秒と拡大傾向に。「12,3秒差で維持できていたんですが、前日よりも1周回多いこともあり力負けしてしまいました」と振り返る福田との差は、最終的に20秒まで広がった。
「(ライバルを)前に行かせると自分にトラブルが起きた時に対応できなくなってしまうので、余裕を持ってレースを進めたかった」と言う渡部は、最後まで崩れることなくレース時間の大半を独り走りきりフィニッシュ。女子エリートレースで2日連続優勝を成し遂げた。
「後半にペースアップできなかったので今日の走りは40点」と厳しい自己評価をつける渡部に続き、最後まで粘り強く追走した福田が2日連続の2位。ダウンヒル全日本チャンピオンに輝いたばかりの元シクロクロス全日本チャンピオン松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)は、前日から順位を一つ上げて3位フィニッシュ。過去トラブルに泣かされ続けていた野辺山で、自身初となる嬉しい表彰台登壇を果たした。
男子エリート:攻めのレースで織田聖がリベンジ達成
女子エリートレースを終え、2日間の大トリとなる男子エリートレースには全国各地から約100名ものエリート選手が集結。最前列から飛び出し、先頭で第1コーナーを立ち上がったのは前日勝者であり、全日本チャンピオンジャージを着る沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)だった。
勢い良いダッシュを決めた沢田に続いたのは、前日2位のリベンジに燃える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や「徐々にコンディションを上げて全日本選手権で上位2人(沢田と織田)と勝負したい」と話す小坂光(宇都宮ブリッツェン)。1周目を終える頃にはこの3名が抜け出し、早くも表彰台メンバーが選りすぐられることとなる。
前日土曜日は沢田と織田によるランデブーが長く続いたが、この2日目は早くも2周目序盤でレースが動いた。「今日は序盤から積極的に攻める」発言をしていた織田が舗装路登りでアタックして小坂が遅れ、続く溝越え「キャニオン」で沢田が変速トラブルを起こしてしまう。沢田は直後のピットでバイク交換を行ったものの、このライバルの動きを確認した織田は一気に攻勢へと転じた。
「このチャンスを逃したら昨日のような展開になってしまう。1対1の力の勝負に持ち込みたかった」と言う織田は直線という直線でペダルを踏みつけ、一気に大きなリードを稼ぎ出す。バイク交換でペースを取り戻した沢田も一度交わされた小坂を抜き返して挽回したものの、タイム差短縮は15秒で頭打ちに。
その後方では序盤3選手に食いついた斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)や加藤健悟(臼杵レーシング)など順当なメンバーが続き、89番スタートの竹之内悠(ToyoFrame)や76番スタートの村上功太郎(松山大学)らが怒涛の追い上げでトップ10圏内に浮上。前日4位に入った村上裕二郎(明治大学)は後方スタートからの追い上げの最中他選手と接触・転倒してリタイアを強いられた。
今季スイス籍の育成チーム、NIPPOプロヴァンスPTSコンチに所属してヨーロッパレースを転戦した織田と、現在シクロクロスとMTBのXCCの全日本チャンピオンである沢田の力は最後まで拮抗。最終周回までリードを維持し続けた織田が、オレンジ色に染まる八ヶ岳と、最終ストレートに集まった観衆に見守られながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
「今日は絶対やってやろうと思っていたので勝ててよかった。(沢田が)近づいていたのは分かっていたけれど、10数秒のリードがあったので落ち着いて走りました」と喜ぶ織田。前日初めて野辺山シクロクロスの表彰台に登り、2日目のUCIレースで初優勝。2日間で1位と2位を分け合った沢田と、フィニッシュ直後に堅い握手で健闘を讃えあった。
「溝越えでのバイクの扱いが雑だったので3度もメカトラを起こしてしまいました」と悔やむ沢田だが、「15秒以内くらいで後半ずっとタイム差をキープできていたので走りは良かった」と表情は明るかった。「聖も同じ考えだと思いますが、彼との力は互角なので勝ったから驕ったり、負けたから気持ちが落ちたりすることもありません」とも。沢田はすぐにMTBに乗り換え、来週に迫った全日本選手権初優勝を見据えている。
「昨日よりもずっと良かった」と言う小坂が2日連続の3位に入り、「(小坂)光までは届かなかったのですが、身体も動いたし、ここ数週間取り組んできたことの成果が出ていた」と安堵を見せた竹之内が4位で圧巻の追い上げを〆。以降5位に村上、6位に加藤。フルラップで走りきったのは14名だった。
女子エリート:渡部春雅(明治大学)が独走勝利
野辺山にふさわしくない(?)晴天続きの八ヶ岳山麓滝沢牧場。前日よりも暖かさが増し、最高気温11度という1日の最後にUCIレースとなる男女エリートレースが開催された。
砂利の高速コーナーや舗装路の登り、木の根が張り出し湿り気が残るキャンプ場の連続コーナーと、シクロクロッサーにテクニックとパワーを問うバリエーションに富むコース。一部区間を除き土ほこり舞う超ドライコンディションとなったため、各カテゴリーで前日と同じハイスピードレースが展開されることとなった。
合計21名が出走した女子エリートレースは「最初からガンガン攻めようと思っていた」と振り返る福田咲絵(AX cyclocross team)のホールショットで動き出す。しかし前日勝者の渡部春雅(明治大学)が1周目に福田を抜き、そのまま5秒程度の差を維持したまま逃げる展開で推移した。
「前半はペースを抑えて後半にプッシュするつもりでしたが、なかなか(ペースを)上げきることができませんでした」と振り返る渡部だったが、中盤を過ぎてその差は5秒、10秒と拡大傾向に。「12,3秒差で維持できていたんですが、前日よりも1周回多いこともあり力負けしてしまいました」と振り返る福田との差は、最終的に20秒まで広がった。
「(ライバルを)前に行かせると自分にトラブルが起きた時に対応できなくなってしまうので、余裕を持ってレースを進めたかった」と言う渡部は、最後まで崩れることなくレース時間の大半を独り走りきりフィニッシュ。女子エリートレースで2日連続優勝を成し遂げた。
「後半にペースアップできなかったので今日の走りは40点」と厳しい自己評価をつける渡部に続き、最後まで粘り強く追走した福田が2日連続の2位。ダウンヒル全日本チャンピオンに輝いたばかりの元シクロクロス全日本チャンピオン松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)は、前日から順位を一つ上げて3位フィニッシュ。過去トラブルに泣かされ続けていた野辺山で、自身初となる嬉しい表彰台登壇を果たした。
男子エリート:攻めのレースで織田聖がリベンジ達成
女子エリートレースを終え、2日間の大トリとなる男子エリートレースには全国各地から約100名ものエリート選手が集結。最前列から飛び出し、先頭で第1コーナーを立ち上がったのは前日勝者であり、全日本チャンピオンジャージを着る沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)だった。
勢い良いダッシュを決めた沢田に続いたのは、前日2位のリベンジに燃える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や「徐々にコンディションを上げて全日本選手権で上位2人(沢田と織田)と勝負したい」と話す小坂光(宇都宮ブリッツェン)。1周目を終える頃にはこの3名が抜け出し、早くも表彰台メンバーが選りすぐられることとなる。
前日土曜日は沢田と織田によるランデブーが長く続いたが、この2日目は早くも2周目序盤でレースが動いた。「今日は序盤から積極的に攻める」発言をしていた織田が舗装路登りでアタックして小坂が遅れ、続く溝越え「キャニオン」で沢田が変速トラブルを起こしてしまう。沢田は直後のピットでバイク交換を行ったものの、このライバルの動きを確認した織田は一気に攻勢へと転じた。
「このチャンスを逃したら昨日のような展開になってしまう。1対1の力の勝負に持ち込みたかった」と言う織田は直線という直線でペダルを踏みつけ、一気に大きなリードを稼ぎ出す。バイク交換でペースを取り戻した沢田も一度交わされた小坂を抜き返して挽回したものの、タイム差短縮は15秒で頭打ちに。
その後方では序盤3選手に食いついた斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)や加藤健悟(臼杵レーシング)など順当なメンバーが続き、89番スタートの竹之内悠(ToyoFrame)や76番スタートの村上功太郎(松山大学)らが怒涛の追い上げでトップ10圏内に浮上。前日4位に入った村上裕二郎(明治大学)は後方スタートからの追い上げの最中他選手と接触・転倒してリタイアを強いられた。
今季スイス籍の育成チーム、NIPPOプロヴァンスPTSコンチに所属してヨーロッパレースを転戦した織田と、現在シクロクロスとMTBのXCCの全日本チャンピオンである沢田の力は最後まで拮抗。最終周回までリードを維持し続けた織田が、オレンジ色に染まる八ヶ岳と、最終ストレートに集まった観衆に見守られながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
「今日は絶対やってやろうと思っていたので勝ててよかった。(沢田が)近づいていたのは分かっていたけれど、10数秒のリードがあったので落ち着いて走りました」と喜ぶ織田。前日初めて野辺山シクロクロスの表彰台に登り、2日目のUCIレースで初優勝。2日間で1位と2位を分け合った沢田と、フィニッシュ直後に堅い握手で健闘を讃えあった。
「溝越えでのバイクの扱いが雑だったので3度もメカトラを起こしてしまいました」と悔やむ沢田だが、「15秒以内くらいで後半ずっとタイム差をキープできていたので走りは良かった」と表情は明るかった。「聖も同じ考えだと思いますが、彼との力は互角なので勝ったから驕ったり、負けたから気持ちが落ちたりすることもありません」とも。沢田はすぐにMTBに乗り換え、来週に迫った全日本選手権初優勝を見据えている。
「昨日よりもずっと良かった」と言う小坂が2日連続の3位に入り、「(小坂)光までは届かなかったのですが、身体も動いたし、ここ数週間取り組んできたことの成果が出ていた」と安堵を見せた竹之内が4位で圧巻の追い上げを〆。以降5位に村上、6位に加藤。フルラップで走りきったのは14名だった。
エリート男子レース結果
1位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) |
2位 | 沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) |
4位 | 竹之内悠(ToyoFrame) |
5位 | 村上功太郎(松山大学) |
6位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) |
7位 | 宮津旭(PAXPROJECT) |
8位 | 松本一成(RIDE MASHUN SPECIALIZED) |
9位 | 中村龍吉(acs-power RACING TEAM) |
10位 | 丸山厚(BOMA ROND CX TEAM) |
エリート女子レース結果
1位 | 渡部春雅(明治大学) | 49:02 |
2位 | 福田咲絵(AX cyclocross team) | 49:21 |
3位 | 松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED) | 51:09 |
4位 | 中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 52:15 |
5位 | 西形舞(TRC PANAMAREDS) | 52:49 |
6位 | 林口幸恵(LiveGARDEN bicistelle) | 53:01 |
7位 | 望月美和子(ORCA) | 53:33 |
8位 | 川崎路子(PAXPROJECT) | 53:39 |
9位 | 平田千枝(Club La.sista Offroad Team) | 53:42 |
10位 | 鵜飼知春(andmore) | 53:59 |
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO
photo:Makoto AYANO
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