2021/10/10(日) - 08:25
第115回イル・ロンバルディアでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が優勝。共に逃げたファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を余裕のスプリントで下し、自身2度目のモニュメント制覇を成し遂げた。
ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)とともに「モニュメント(世界五大クラシック)」と称され、1905年初開催&開催115回目のイル・ロンバルディア(元ジロ・ディ・ロンバルディア)。
伝統の一戦は真夏の2020年大会を経て、2021年は「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」との名前の通り晩秋にカムバックを果たした。
翌日の10月10日にフランスで開催されるパリ〜トゥール(UCI1.HC)とともにヨーロッパのシーズン最終戦と呼ばれ、ロード世界選手権とパリ〜ルーベ後、イタリアで2週間にわたって開催されてきたワンデーセミクラシック連戦を締めくくる大一番。レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州で、今年はコモから山岳地帯を経てベルガモを目指す、直近5年間とは逆、つまり伝統的なコースレイアウトが戻ってきた。
湖水地方を駆け巡る239kmコースには合計7箇所のカテゴリー山岳が用意され、総獲得標高は優に4500mオーバーと並みいるワンデークラシックの中でも最高難易度を誇る。特に後半に入ってドッセーナ(登坂距離11.1km/平均勾配6.1%)、ザンブラ・アルタ(登坂距離9.5km/平均勾配3.5%)、パッソ・ディ・ガンダ(登坂距離9.2km/平均勾配7.3%)と10kmクラスの峠が連続。フィニッシュ手前3km地点に用意されている短い登坂コッレ・アペルト(登坂距離1.3km/平均勾配7%)も勝負のカギを握る。
グランツールで活躍するオールラウンダーや、登坂を得意とするクラシックスペシャリストが多数集結した今大会は、序盤にドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)を含む10名がエスケープ。有名なマドンナ・デル・ギザッロを越えた時点で2分40秒ほどのリードを得て逃げることに。
最大4分半のリードを得た10名に対し、メイン集団では現役最終レースのダニエル・マーティン(アイルランド)擁するイスラエル・スタートアップネイションやユンボ・ヴィズマ、そしてドゥクーニンク・クイックステップがコントロールを担った。103km地点で頂上を迎えるロンコラ・アルタ(登坂距離9.4km/平均勾配6.7%)の下りではブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)が落車。おぼつかない足取りを見せたコスヌフロワは脳震盪が心配されたものの、リタイアし、傷の処置を受けたのち病院を後にしている。
ドッセーナから短い下りを挟んで連続するザンブラ・アルタに入る頃にはレースが大きく動いた。逃げグループは分裂し、1分半差まで詰め寄ったメイン集団からはニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)が何度もアタックを繰り返す。抜け出しとチェックが繰り返される中サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)が遅れを喫した。
勾配が増すザンブラ・アルタ後半区間から23kmに及ぶダウンヒルにかけて、ドゥクーニンクの組織的なペースアップによって逃げグループは全員引き戻される。細かい飛び出しを吸収しながら9.2kmに及ぶパッソ・ディ・ガンダの登りへ突入すると共にティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)のハイペース牽引が始まった。
ベノートのペースメイクに耐えたのは40名弱で、最大勾配15%に達するパッソ・ディ・ガンダ後半区間に入るとヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)が動いた。2015年&2017年覇者のアタックにはパウェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)が反応し、やがてポガチャルがニバリたちを置き去りにした。
「必ず誰かが一緒に来てくれると思っていた」と言うポガチャルだったがしかし、追走グループは複数メンバーを残したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアシストとしてファウスト・マスナダ(イタリア)がペースメイクしたことでポガチャル対精鋭グループ(Aイェーツやバルベルデ、アラフィリップ、ゴデュ、ウッズ、ログリッチなど10名弱)という構図に。やがて「”もし自分に脚があればアタックしてくれ”とジュリアンに言われた」と言うマスナダが、どこか活性化しない追走グループを飛び立った。
20km以上に及ぶ下りで、ベルガモ出身のマスナダが先頭ポガチャルをキャッチした。協調体制を築いた2人は、エース揃いゆえに全くローテーションを回せない追走グループを1分弱引き離し、ベルガモ旧市街を駆け上がる最後の丘へと突入。石畳を経て、観客が詰め掛けた急勾配区間でポガチャルが仕掛けるも、「コッレ・アペルトをレースで登ったのは初めてだったけれど、永遠に僕への声援が途切れないかのようだった」と振り返る地元マスナダは千切れない。カウンターで仕掛けたマスナダも不発に終わり、先頭2名はゴール勝負への準備を整えながら距離を消化していった。
先行ポガチャル、付き位置マスナダで最終ストレートを進む。トラックレースのような緊張感溢れる牽制ののち、2人が同時にスプリントをスタート。爆発力に優れるポガチャルの踏み込みに瞬時に反応したマスナダだったが、マスナダの様子を伺いながら加速するポガチャルがリードを保持。地元レースで大金星を狙ったマスナダの目の前で、ツール・ド・フランス覇者が両手を振り上げた。
「言葉がないよ。シーズンの終わりにこんな成功を成し遂げるだなんてクレイジーだ。シーズン後半に僕のコンディションはバラついていて、良い日もあれば悪い日もあった。幸い今日はとても良い状態だったんだ」と、2020年ミラノ〜サンレモに続く2度目のモニュメント制覇を遂げたポガチャルは言う。
「僕が動く前からレースはとても慌ただしかった。マスナダはこの辺りのルートをよく知っているのでパッソ・ディ・ガンダを下るには良いパートナーだと思ったんだ。合流後彼がローテーションしないのは想定済みで、それでもスプリントで彼を下す脚を残していた。全ての勝利が僕にとって重要だけど、特に今日は世界最高峰の選手たちを下して勝つことができた。僕のロンバルディアデビューで勝ったなんてインクレディブルだ」とポガチャルは加えている。
「僕の地元で初めてモニュメントの表彰台に登れるなんて幸せだ。2位と1位が違うことは分かっているけれど、世界最高の選手に負けての2位は価値がある」と振り返る27歳マスナダが2位。51秒遅れた3位グループのスプリントはAイェーツが制し表彰台の一角を確保した。また、マーティンは5分36秒遅れの38位で現役最終レースを走り終えている。
ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)とともに「モニュメント(世界五大クラシック)」と称され、1905年初開催&開催115回目のイル・ロンバルディア(元ジロ・ディ・ロンバルディア)。
伝統の一戦は真夏の2020年大会を経て、2021年は「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」との名前の通り晩秋にカムバックを果たした。
翌日の10月10日にフランスで開催されるパリ〜トゥール(UCI1.HC)とともにヨーロッパのシーズン最終戦と呼ばれ、ロード世界選手権とパリ〜ルーベ後、イタリアで2週間にわたって開催されてきたワンデーセミクラシック連戦を締めくくる大一番。レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州で、今年はコモから山岳地帯を経てベルガモを目指す、直近5年間とは逆、つまり伝統的なコースレイアウトが戻ってきた。
湖水地方を駆け巡る239kmコースには合計7箇所のカテゴリー山岳が用意され、総獲得標高は優に4500mオーバーと並みいるワンデークラシックの中でも最高難易度を誇る。特に後半に入ってドッセーナ(登坂距離11.1km/平均勾配6.1%)、ザンブラ・アルタ(登坂距離9.5km/平均勾配3.5%)、パッソ・ディ・ガンダ(登坂距離9.2km/平均勾配7.3%)と10kmクラスの峠が連続。フィニッシュ手前3km地点に用意されている短い登坂コッレ・アペルト(登坂距離1.3km/平均勾配7%)も勝負のカギを握る。
グランツールで活躍するオールラウンダーや、登坂を得意とするクラシックスペシャリストが多数集結した今大会は、序盤にドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)を含む10名がエスケープ。有名なマドンナ・デル・ギザッロを越えた時点で2分40秒ほどのリードを得て逃げることに。
最大4分半のリードを得た10名に対し、メイン集団では現役最終レースのダニエル・マーティン(アイルランド)擁するイスラエル・スタートアップネイションやユンボ・ヴィズマ、そしてドゥクーニンク・クイックステップがコントロールを担った。103km地点で頂上を迎えるロンコラ・アルタ(登坂距離9.4km/平均勾配6.7%)の下りではブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)が落車。おぼつかない足取りを見せたコスヌフロワは脳震盪が心配されたものの、リタイアし、傷の処置を受けたのち病院を後にしている。
ドッセーナから短い下りを挟んで連続するザンブラ・アルタに入る頃にはレースが大きく動いた。逃げグループは分裂し、1分半差まで詰め寄ったメイン集団からはニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)が何度もアタックを繰り返す。抜け出しとチェックが繰り返される中サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)が遅れを喫した。
勾配が増すザンブラ・アルタ後半区間から23kmに及ぶダウンヒルにかけて、ドゥクーニンクの組織的なペースアップによって逃げグループは全員引き戻される。細かい飛び出しを吸収しながら9.2kmに及ぶパッソ・ディ・ガンダの登りへ突入すると共にティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)のハイペース牽引が始まった。
ベノートのペースメイクに耐えたのは40名弱で、最大勾配15%に達するパッソ・ディ・ガンダ後半区間に入るとヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)が動いた。2015年&2017年覇者のアタックにはパウェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)が反応し、やがてポガチャルがニバリたちを置き去りにした。
「必ず誰かが一緒に来てくれると思っていた」と言うポガチャルだったがしかし、追走グループは複数メンバーを残したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアシストとしてファウスト・マスナダ(イタリア)がペースメイクしたことでポガチャル対精鋭グループ(Aイェーツやバルベルデ、アラフィリップ、ゴデュ、ウッズ、ログリッチなど10名弱)という構図に。やがて「”もし自分に脚があればアタックしてくれ”とジュリアンに言われた」と言うマスナダが、どこか活性化しない追走グループを飛び立った。
20km以上に及ぶ下りで、ベルガモ出身のマスナダが先頭ポガチャルをキャッチした。協調体制を築いた2人は、エース揃いゆえに全くローテーションを回せない追走グループを1分弱引き離し、ベルガモ旧市街を駆け上がる最後の丘へと突入。石畳を経て、観客が詰め掛けた急勾配区間でポガチャルが仕掛けるも、「コッレ・アペルトをレースで登ったのは初めてだったけれど、永遠に僕への声援が途切れないかのようだった」と振り返る地元マスナダは千切れない。カウンターで仕掛けたマスナダも不発に終わり、先頭2名はゴール勝負への準備を整えながら距離を消化していった。
先行ポガチャル、付き位置マスナダで最終ストレートを進む。トラックレースのような緊張感溢れる牽制ののち、2人が同時にスプリントをスタート。爆発力に優れるポガチャルの踏み込みに瞬時に反応したマスナダだったが、マスナダの様子を伺いながら加速するポガチャルがリードを保持。地元レースで大金星を狙ったマスナダの目の前で、ツール・ド・フランス覇者が両手を振り上げた。
「言葉がないよ。シーズンの終わりにこんな成功を成し遂げるだなんてクレイジーだ。シーズン後半に僕のコンディションはバラついていて、良い日もあれば悪い日もあった。幸い今日はとても良い状態だったんだ」と、2020年ミラノ〜サンレモに続く2度目のモニュメント制覇を遂げたポガチャルは言う。
「僕が動く前からレースはとても慌ただしかった。マスナダはこの辺りのルートをよく知っているのでパッソ・ディ・ガンダを下るには良いパートナーだと思ったんだ。合流後彼がローテーションしないのは想定済みで、それでもスプリントで彼を下す脚を残していた。全ての勝利が僕にとって重要だけど、特に今日は世界最高峰の選手たちを下して勝つことができた。僕のロンバルディアデビューで勝ったなんてインクレディブルだ」とポガチャルは加えている。
「僕の地元で初めてモニュメントの表彰台に登れるなんて幸せだ。2位と1位が違うことは分かっているけれど、世界最高の選手に負けての2位は価値がある」と振り返る27歳マスナダが2位。51秒遅れた3位グループのスプリントはAイェーツが制し表彰台の一角を確保した。また、マーティンは5分36秒遅れの38位で現役最終レースを走り終えている。
イル・ロンバルディア2021結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 6:01:39 |
2位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:51 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
5位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
6位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | |
9位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | |
10位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 2:25 |
11位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | |
12位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ) | |
13位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
14位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) | |
15位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
16位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) | |
17位 | パウェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ) | 2:35 |
18位 | ミケル・ニエベ(スペイン、バイクエクスチェンジ) | 2:49 |
19位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3:13 |
20位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 3:23 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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