2021/09/25(土) - 09:02
力と力のぶつかり合い。世界選手権ロード種目の第1レースとなった男子ジュニアレースで、終盤の逃げグループから独走に持ち込んだペルストランド・ハーゲネス(ノルウェー)が勝利。同国初のジュニア世界王者に輝いた。
タイムトライアルからの中休みを挟み、ベルギーはフランダース地方で世界選手権ロードレース種目が始まった。朝8時15分にスタートした男子ジュニアレースは、フラームス=ブラバント州の州都であるルーヴェン市街地の周回サーキットを8周回する121.4km。御多分に洩れず短くも急な登坂区間が1周につき4箇所用意されており、「ベルギークラシック」らしい出入りの激しい展開となった。
ニュートラル走行中に、そしてリアルスタートが切られても連続落車が起こるという慌ただしい展開の中逃げを決めたのは、2022年からボーラ・ハンスグローエ入りするルイスジョー・ルアーズ(ドイツ)と、先日のジュニア個人タイムトライアルで2位に食い込んだジョシュア・ターリング(イギリス)、そしてミラン・カドレク(チェコ)という強力な3名だった。
メイン集団では「次世代のレムコ・エヴェネプール」と称されるキアン・ウルトブロークス(ベルギー)が2度の落車で脱落するという事態が起きた。「最初の落車は2周目。バイクも自分も大丈夫だったのですぐに復帰できたけれど、その5km先で起きた落車にまた巻き込まれてしまった。バイクが完全に壊れてしまったので代車を待たなければならなかった」と振り返るウルトブロークスが復帰したタイミングで集団からは2分遅れ。慌ただしい戦局の中、ベルギーチームは追走にメンバーを送ることもなかった。
レースを降りることなく最後まで粘り続けた(70位完走)ウルトブロークスを置き去りにして、先頭3名から30秒〜1分遅れで走るメイン集団では強豪国が常にアタックを繰り返した。約45km/hという平均スピードで突き進む集団からは次々と選手が遅れ、残り40km地点では40名前後まで減少。デンマークとノルウェーの追走は功を奏さず、フランスが手を貸したことでようやく先頭3との差は縮まっていった。
残り35kmを切ると、集団としての能力を失いつつあるメイン集団から優勝候補たちの本格的なアタックが始まった。この波の中で3名は捕らえられ、続いて2名が先行し、そして追走3名が合流して5名の先頭グループが再形成。フランスが2名を送り込んだ一方、開催国ベルギーは後手を踏み続ける苦しいレースを強いられた。
最終周回突入の時点で、先頭5名と約30名のメイン集団との差は約10秒。登坂で先頭グループが分裂し、アタックと吸収を繰り返すメイン集団からは複数名がブリッジをかける。8名となった先頭集団ではフランスが3名に増えた一方、ベルギーはやはりメンバーを載せられない。平均7.98%、最大9%(登坂距離360m)に達する登坂「ウインペルス」に入った直後、先頭グループからペルストランド・ハーゲネス(ノルウェー)がアタックした。
「コースを下見して、短くパンチ力のある登りで”何かできる”と思っていた。フランスが3人いたので難しいな、と思ったけれどコーナー前で先頭に立ち全力で踏み込んだ」と振り返るハーゲネスの背後では、登坂入り口の90度コーナーでオーバーランによる落車が発生。追走のリズムが刈り取られる中、何度も後方を確認しながらハーゲネスが逃げた。
落車の影響を受けず、単独で追いかけたヨーロッパチャンピオンロマン・グレゴワール(フランス)とハーゲネスの独走力バトル。登坂とコーナーが続くコースでハーゲネスの力はグレゴワールを、そして30秒遅れの集団と拮抗。最後までペースを維持したハーゲネスが、ノルウェー人選手として初の男子ジュニア世界チャンピオンに輝いた。
サングラスをヘルメットに差し、胸を叩きながら力強い雄叫びと共にハーゲネスが独走勝利。2022年からユンボ・ヴィズマの育成チーム入りする18歳が、グレゴワールに負けて2位に終わったヨーロッパ選手権の借りを一番の大舞台で返した。3位争いの集団スプリントではマディス・ミーケルズ(エストニア)が来季ドゥクーニンク・クイックステップ入りするマルティン・スヴェルチック(スロバキア)らを破って銅メダルを確保した。
タイムトライアルからの中休みを挟み、ベルギーはフランダース地方で世界選手権ロードレース種目が始まった。朝8時15分にスタートした男子ジュニアレースは、フラームス=ブラバント州の州都であるルーヴェン市街地の周回サーキットを8周回する121.4km。御多分に洩れず短くも急な登坂区間が1周につき4箇所用意されており、「ベルギークラシック」らしい出入りの激しい展開となった。
ニュートラル走行中に、そしてリアルスタートが切られても連続落車が起こるという慌ただしい展開の中逃げを決めたのは、2022年からボーラ・ハンスグローエ入りするルイスジョー・ルアーズ(ドイツ)と、先日のジュニア個人タイムトライアルで2位に食い込んだジョシュア・ターリング(イギリス)、そしてミラン・カドレク(チェコ)という強力な3名だった。
メイン集団では「次世代のレムコ・エヴェネプール」と称されるキアン・ウルトブロークス(ベルギー)が2度の落車で脱落するという事態が起きた。「最初の落車は2周目。バイクも自分も大丈夫だったのですぐに復帰できたけれど、その5km先で起きた落車にまた巻き込まれてしまった。バイクが完全に壊れてしまったので代車を待たなければならなかった」と振り返るウルトブロークスが復帰したタイミングで集団からは2分遅れ。慌ただしい戦局の中、ベルギーチームは追走にメンバーを送ることもなかった。
レースを降りることなく最後まで粘り続けた(70位完走)ウルトブロークスを置き去りにして、先頭3名から30秒〜1分遅れで走るメイン集団では強豪国が常にアタックを繰り返した。約45km/hという平均スピードで突き進む集団からは次々と選手が遅れ、残り40km地点では40名前後まで減少。デンマークとノルウェーの追走は功を奏さず、フランスが手を貸したことでようやく先頭3との差は縮まっていった。
残り35kmを切ると、集団としての能力を失いつつあるメイン集団から優勝候補たちの本格的なアタックが始まった。この波の中で3名は捕らえられ、続いて2名が先行し、そして追走3名が合流して5名の先頭グループが再形成。フランスが2名を送り込んだ一方、開催国ベルギーは後手を踏み続ける苦しいレースを強いられた。
最終周回突入の時点で、先頭5名と約30名のメイン集団との差は約10秒。登坂で先頭グループが分裂し、アタックと吸収を繰り返すメイン集団からは複数名がブリッジをかける。8名となった先頭集団ではフランスが3名に増えた一方、ベルギーはやはりメンバーを載せられない。平均7.98%、最大9%(登坂距離360m)に達する登坂「ウインペルス」に入った直後、先頭グループからペルストランド・ハーゲネス(ノルウェー)がアタックした。
「コースを下見して、短くパンチ力のある登りで”何かできる”と思っていた。フランスが3人いたので難しいな、と思ったけれどコーナー前で先頭に立ち全力で踏み込んだ」と振り返るハーゲネスの背後では、登坂入り口の90度コーナーでオーバーランによる落車が発生。追走のリズムが刈り取られる中、何度も後方を確認しながらハーゲネスが逃げた。
落車の影響を受けず、単独で追いかけたヨーロッパチャンピオンロマン・グレゴワール(フランス)とハーゲネスの独走力バトル。登坂とコーナーが続くコースでハーゲネスの力はグレゴワールを、そして30秒遅れの集団と拮抗。最後までペースを維持したハーゲネスが、ノルウェー人選手として初の男子ジュニア世界チャンピオンに輝いた。
サングラスをヘルメットに差し、胸を叩きながら力強い雄叫びと共にハーゲネスが独走勝利。2022年からユンボ・ヴィズマの育成チーム入りする18歳が、グレゴワールに負けて2位に終わったヨーロッパ選手権の借りを一番の大舞台で返した。3位争いの集団スプリントではマディス・ミーケルズ(エストニア)が来季ドゥクーニンク・クイックステップ入りするマルティン・スヴェルチック(スロバキア)らを破って銅メダルを確保した。
ロード世界選手権2021男子ジュニアロードレース結果
1位 | ペルストランド・ハーゲネス(ノルウェー) | 2:43:48 |
2位 | ロマン・グレゴワール(フランス) | 0:19 |
3位 | マディス・ミーケルズ(エストニア) | 0:24 |
4位 | マルティン・スヴェルチック(スロバキア) | |
5位 | アレクサンダー・ハーイェク(オーストリア) | |
6位 | アントニオ・モルガド(ポルトガル) | |
7位 | マヌエル・オイオーリ(イタリア) | |
8位 | ヴラッド・ファンメシェレン(ベルギー) | |
9位 | マックス・ポール(イギリス) | |
10位 | ルイスジョー・ルアーズ(ドイツ) |
text:So Isobe
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