2021/09/01(水) - 10:26
リードアウトを失いながらも他を圧倒するスピードで勝利したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) 。ブエルタ第16ステージを終え、2位のメーウスや山岳決戦を前に落車リタイアしたチッコーネなどのコメントを紹介します。
ステージ1位&ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
誕生日はいつも特別だが、そんな日に勝てるなんて天にも昇る気持ちだ。今日はまさにウルフパックの精神を体現するような勝利だった。登りで遅れた僕のことを皆が待ち、メイン集団まで導いてくれた。今日の勝利は全て彼らのおかげで、僕は最後のスプリントをするだけだった。
勝つ自信はなかったが、挑戦する気持ちは持っていた。それが無ければ勝てないからね。これは僕の担当医とチームドクター、そしてリハビリをサポートしてくれた理学療法士の3人に捧げる勝利だ。僕を支えてくれた彼らに多大な感謝を伝えたい。
昨年は再び自転車に乗れるかさえも分からなかった。だからこの場で勝利を争えるだけでこれ以上ない喜びがあるんだ。このスポーツが僕にもたらす興奮や勝利の喜び、素晴らしいチームの一員としてプロトンを走りることに幸せに感じている。今大会3勝目を誕生日に、そしてこのマイヨプントスを着て挙げられるなんて夢のようだ。これ以上の幸せはないだろう。
マイヨプントスの獲得には明日から来る山岳を越えなければならない。でもチームメイトがそばにいてくれるし、調子を崩すことなく走ることができればジャージは現実的な目標だ。(最終日の)サンティアゴまでたどり着かなければならず、その間あるスプリントポイントも狙っていくつもりだ。ここからのステージはボーナスみたいなものだが、マイヨプントスでこのブエルタを終えたい。
ステージ2位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
フィニッシュまでトリッキーなコーナーが続くなか、チームは素晴らしいリードアウトを見せてくれた。最後1kmでチームメイトを見失ったものの、集団先頭に居続けることができた。良い位置でスプリントを開始したのだが、単純にヤコブセンの方が速かった。展開を乱す走りも可能だったと思うが、このブエルタが初めてのグランツールである僕にとってライバルたちよりも経験で劣っていた。だがこの結果は近い未来に向けた自信に繋がったよ。
ステージ3位 マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)
いつものようにハイスピードなレースだった。チームは集団先頭で素晴らしい走りを見せ、集団を分断してプレッシャーを与えることができた。だがフィニッシュまで距離があったため上手くはいかなかった。スプリントで良い位置から踏み始めることができたものの、絶好調のヤコブセンには勝てなかった。この後に待ち受ける山岳ステージに頭を切り替え、引き続き勝利を目指して頑張りたい。
ステージ4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
最後はコーナーが連続するテクニカルなコースだった。残り6kmから集団の先頭付近にいなければならないことは分かっており、チームで良いポジションを確保できていた。最後1kmからのチームは素晴らしく、それぞれが役割を全うして最後はメズゲッツがスプリントに向けて僕を引き上げてくれた。
ドゥクーニンクトレインの後ろに入り、最後の左コーナーに入るスピードが速すぎたために後輪がドリフトしてしまったんだ。なんとか落車せずにスプリントできたものの、位置を下げすぎてしまった。チームとしては良い走りができたものの、また勝利を逃してしまった。でも最後まで諦めず戦い続けたい。
ステージ5位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
今日はテイメン(アレンスマン)がレース序盤を、そして他のチームメイトが終盤で素晴らしい働きを見せてくれた。個人的に今日は調子がとても良かった。だが不運にも残り350m辺りで機材トラブルが起こり、即座に解決したのだが5位という結果に終わってしまった。勝利も狙えると思っていただけに残念だし、チームの頑張りに勝利で応えたかった。
マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)
マイヨロホを着用して走る最も簡単なステージだったと言えるが、休息日明けということもあり難しさを感じていた。別に体調が悪かったということではなく、何ていうのかな、眠かったんだ。ステージを通して身体が眠っているような感覚だった。明日は総合上位陣にとって勝負のステージになり、スタートから激しい展開が予想される。だが同時に楽しめるレースになるだろうね。
総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
予想通り最終週の始まりを告げる楽なステージとなったが、休息日直後はストレスの多いステージになることもある。マスや他のチームメイトが落車に巻き込まれたが、素早く集団に戻ってくることができ、その他はトラブルなくレースを終えることができた。最後はコーナーが連続する集中と注意力が求められるコースだった。さあ、明日から山岳ステージが始まる。
逃げに乗ったクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)
このブエルタでまだ逃げに乗ったことがなかったので、プロ選手として一歩前進できた気持ちだよ。第16ステージまでやってきたが脚の力も残っており、まだ20歳ということを考えてもすでに目標は達成できたと言える。逃げ切るためにはスプリンターチームが間違いを犯さなければならなかったが、そんなことは起こらず、僕たちも逃げ切れるとは思ってなかった。だが僅かな可能性を信じて全力で踏み続けたので良い経験とトレーニングになったよ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
序盤に大きな落車があり、総合上位の数名も巻き込まれたのでペースダウンし逃げが決まった。しかし集団はのんびりとは行かなかった。集団スプリントにしたいチームは何故か逃げとの差を2分以内に保ってレースを進めた。
案の定、前が見えるタイム差なので、3級カテゴリーでメイト集団から飛び出して逃げ集団追いかける動きもあり、登りでペースアップしながら、横風を使って集団分裂を試みるチームもあり、と今日は何かと忙しかった(笑)。僕は最後の残り15kmからの位置取りの役目だったのだが、ダミアーノ(カルーゾ)とヤン(トラトニック)と皆が仕事分担してくれたお陰で消耗せずにゴール出来た。
明日からは山岳ステージが4日間続き、激しい展開になるだろう。自分の出来る事をチームの為にしたいと思う。そして、明日は新しいフレームのお披露目もあるので、そちらもお楽しみに!!
落車リタイアしたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
受け入れがたい現実で、みんなに申し訳なく思う。ジロ・デ・イタリアに続きブエルタも途中棄権という結果になってしまった。落車後はどんなに痛みがあろうと走り出すつもりだった。諦めたくなんてなかったが、もうペダルを踏むことはできなかった。不運でレースを去るなんてとても悔しい。この現実を乗り越えなければならないものの、すぐに切り替えられるものではない。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位&ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
誕生日はいつも特別だが、そんな日に勝てるなんて天にも昇る気持ちだ。今日はまさにウルフパックの精神を体現するような勝利だった。登りで遅れた僕のことを皆が待ち、メイン集団まで導いてくれた。今日の勝利は全て彼らのおかげで、僕は最後のスプリントをするだけだった。
勝つ自信はなかったが、挑戦する気持ちは持っていた。それが無ければ勝てないからね。これは僕の担当医とチームドクター、そしてリハビリをサポートしてくれた理学療法士の3人に捧げる勝利だ。僕を支えてくれた彼らに多大な感謝を伝えたい。
昨年は再び自転車に乗れるかさえも分からなかった。だからこの場で勝利を争えるだけでこれ以上ない喜びがあるんだ。このスポーツが僕にもたらす興奮や勝利の喜び、素晴らしいチームの一員としてプロトンを走りることに幸せに感じている。今大会3勝目を誕生日に、そしてこのマイヨプントスを着て挙げられるなんて夢のようだ。これ以上の幸せはないだろう。
マイヨプントスの獲得には明日から来る山岳を越えなければならない。でもチームメイトがそばにいてくれるし、調子を崩すことなく走ることができればジャージは現実的な目標だ。(最終日の)サンティアゴまでたどり着かなければならず、その間あるスプリントポイントも狙っていくつもりだ。ここからのステージはボーナスみたいなものだが、マイヨプントスでこのブエルタを終えたい。
ステージ2位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
フィニッシュまでトリッキーなコーナーが続くなか、チームは素晴らしいリードアウトを見せてくれた。最後1kmでチームメイトを見失ったものの、集団先頭に居続けることができた。良い位置でスプリントを開始したのだが、単純にヤコブセンの方が速かった。展開を乱す走りも可能だったと思うが、このブエルタが初めてのグランツールである僕にとってライバルたちよりも経験で劣っていた。だがこの結果は近い未来に向けた自信に繋がったよ。
ステージ3位 マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)
いつものようにハイスピードなレースだった。チームは集団先頭で素晴らしい走りを見せ、集団を分断してプレッシャーを与えることができた。だがフィニッシュまで距離があったため上手くはいかなかった。スプリントで良い位置から踏み始めることができたものの、絶好調のヤコブセンには勝てなかった。この後に待ち受ける山岳ステージに頭を切り替え、引き続き勝利を目指して頑張りたい。
ステージ4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
最後はコーナーが連続するテクニカルなコースだった。残り6kmから集団の先頭付近にいなければならないことは分かっており、チームで良いポジションを確保できていた。最後1kmからのチームは素晴らしく、それぞれが役割を全うして最後はメズゲッツがスプリントに向けて僕を引き上げてくれた。
ドゥクーニンクトレインの後ろに入り、最後の左コーナーに入るスピードが速すぎたために後輪がドリフトしてしまったんだ。なんとか落車せずにスプリントできたものの、位置を下げすぎてしまった。チームとしては良い走りができたものの、また勝利を逃してしまった。でも最後まで諦めず戦い続けたい。
ステージ5位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
今日はテイメン(アレンスマン)がレース序盤を、そして他のチームメイトが終盤で素晴らしい働きを見せてくれた。個人的に今日は調子がとても良かった。だが不運にも残り350m辺りで機材トラブルが起こり、即座に解決したのだが5位という結果に終わってしまった。勝利も狙えると思っていただけに残念だし、チームの頑張りに勝利で応えたかった。
マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)
マイヨロホを着用して走る最も簡単なステージだったと言えるが、休息日明けということもあり難しさを感じていた。別に体調が悪かったということではなく、何ていうのかな、眠かったんだ。ステージを通して身体が眠っているような感覚だった。明日は総合上位陣にとって勝負のステージになり、スタートから激しい展開が予想される。だが同時に楽しめるレースになるだろうね。
総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
予想通り最終週の始まりを告げる楽なステージとなったが、休息日直後はストレスの多いステージになることもある。マスや他のチームメイトが落車に巻き込まれたが、素早く集団に戻ってくることができ、その他はトラブルなくレースを終えることができた。最後はコーナーが連続する集中と注意力が求められるコースだった。さあ、明日から山岳ステージが始まる。
逃げに乗ったクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)
このブエルタでまだ逃げに乗ったことがなかったので、プロ選手として一歩前進できた気持ちだよ。第16ステージまでやってきたが脚の力も残っており、まだ20歳ということを考えてもすでに目標は達成できたと言える。逃げ切るためにはスプリンターチームが間違いを犯さなければならなかったが、そんなことは起こらず、僕たちも逃げ切れるとは思ってなかった。だが僅かな可能性を信じて全力で踏み続けたので良い経験とトレーニングになったよ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
序盤に大きな落車があり、総合上位の数名も巻き込まれたのでペースダウンし逃げが決まった。しかし集団はのんびりとは行かなかった。集団スプリントにしたいチームは何故か逃げとの差を2分以内に保ってレースを進めた。
案の定、前が見えるタイム差なので、3級カテゴリーでメイト集団から飛び出して逃げ集団追いかける動きもあり、登りでペースアップしながら、横風を使って集団分裂を試みるチームもあり、と今日は何かと忙しかった(笑)。僕は最後の残り15kmからの位置取りの役目だったのだが、ダミアーノ(カルーゾ)とヤン(トラトニック)と皆が仕事分担してくれたお陰で消耗せずにゴール出来た。
明日からは山岳ステージが4日間続き、激しい展開になるだろう。自分の出来る事をチームの為にしたいと思う。そして、明日は新しいフレームのお披露目もあるので、そちらもお楽しみに!!
落車リタイアしたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
受け入れがたい現実で、みんなに申し訳なく思う。ジロ・デ・イタリアに続きブエルタも途中棄権という結果になってしまった。落車後はどんなに痛みがあろうと走り出すつもりだった。諦めたくなんてなかったが、もうペダルを踏むことはできなかった。不運でレースを去るなんてとても悔しい。この現実を乗り越えなければならないものの、すぐに切り替えられるものではない。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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