2021/09/01(水) - 01:00
DURA-ACEの刷新と合わせ、シマノのロード用コンポーネントのセカンドモデルに位置するULTEGRAがフルモデルチェンジ。R8100系として12速&セミワイヤレス化し、新世代のシマノロードコンポーネントのスタンダードを形成する。
「アルチメイト」と「インテグレーテッド」という二つの単語を組み合わせたULTEGRA(アルテグラ)。1987年にロードバイク用の上級コンポーネントとして登場して以来、DURA-ACEに次ぐセカンドモデルとして、ハイアマチュアを中心に多くのサイクリストに愛されてきた。
世界最高峰のレースを制するために開発されたDURA-ACEの新技術を継承しつつ、より多くの自転車愛好家がそのテクノロジーの恩恵を受けられるリーズナブルな価格と性能をバランスさせたULTEGRA。その立ち位置もあり、これまではトップモデルであるDURA-ACEモデルチェンジの翌年にフルモデルチェンジを行うのが通例だった。
しかし、今回はDURA-ACEと同時にフルモデルチェンジを発表。"R8100"シリーズとして12速化や電動変速のセミワイヤレス化など、新世代のシマノロードコンポーネントの基準を示す存在として、大きな進化を果たした。それでは各パーツの説明に移ろう。
ST-R8150/ST-R8170、FD-R8150/RD-R8150
シマノ初となるセミワイヤレス方式を採用したULTEGRA。STIレバーからリアディレイラーへと無線で信号を送信、フロントディレイラーへはリアディレイラーから有線で信号が送られる方式だ。
ケーブルフル内装コックピットを採用するバイクへのアセンブルの手間が大幅に省けるほか、そうではないバイクにとっても混みあうハンドル周りのルックスが一気にスマートになることは大きなメリットだ。
ワイヤレス化によって懸念される信号送受信の速度や精度、そして電池消費の問題についても、シマノは独自開発のワイヤレスICを採用することで、セキュリティを保ちながら高速処理と消費電力低減を実現している。
ギア周りの設計改良も行われているため、信号の伝達速度だけの影響ではないが、無線化したにも関わらず前作よりも変速スピードは向上しているという。約2倍に迫る変速スピードを実現し、よりスムーズなライディングを実現した。
電池に関しては、STIレバーはボタン電池、各ディレイラーはバッテリーが有線接続されたバッテリーとなっている。バッテリーへの充電はリアディレイラーに設けられたポートから行う方式だ。
STIレバーは無線化したこともあり、大幅に形状を変更しているのはDURA-ACE同様。ブラケットフードをやや内側に傾けることで、よりコンパクトでエアロなポジションを取りやすい形状へとアップデートされている。
ブレーキレバーとハンドルの間のクリアランスを4.6mm広げることで指3本でブラケットを握りやすくなったほか、変速スイッチの位置も下ハンドルからのアクセスを向上させるために5.1mm下方へ移動させられた。また、押し間違えを防止するため、変速スイッチはオフセット量を更に増やしているという。
フロントディレイラーもDURA-ACE同様、リンク構造を改良することでコンパクト化に成功。前方投影面積を3割減らすとともに、110gと軽量化を果たしている。
FC-R8100、CS-R8100
ワイヤレス化を果たしたシフター/ディレイラーに加え、もう一つの大きな変更点が変速枚数の増加だ。先んじて12速化を果たしているMTBコンポーネントに採用されているHYPERGLIDE+テクノロジーを採用することで、変速しながらペダルをこぎ続けられるスムーズかつスピーディな変速性能を手に入れている。
歯数構成はフロントが52-36Tと50-34T、リアが11-30Tと11-34Tとなっている。最小ギア比は1:1を達成し、あらゆる地形へと対応する全環境型コンポーネントへと進化を果たしている。
デザインを一新したクランクは、より高い駆動効率を実現するためにアームをよりボリュームアップ。左クランクアームを従来の接着方式から中空鍛造による一体成型とすることで、強度を向上させトラブルの発生率を抑える。また、アルテグラグレードのパワーメータークランクも登場しており、シマノ純正のパワーメーターに新たな選択肢が加わったことも大きな話題を呼びそうだ。
BR-R8100、BR-R8170
ブレーキキャリパーも新世代となって刷新された。ブレーキパッドとローターが接触してからフルブレーキまでの「コントロールエリア」を13%拡大することで、よりコントローラブルな制動性能を発揮する設計に。
パッドクリアランスも旧モデルから1割以上増加し、ローターとの接触による音鳴りを抑えている。セッティングもより容易になり、ユーザーフレンドリーな設計となった。なお、DURA-ACEは高剛性かつ軽量なワンピース構造だが、ULTEGRAは従来通りの2ピース構造となっている。制動力を確保しつつコストを抑える選択だろう。
リムブレーキも用意されており、通常の1ボルトマウントおよびダイレクトマウントの2仕様がラインアップされている。
WH-R8170-C60、WH-R8170-C50、WH-R8170-C36
ついにアルテグラグレードとして初となるカーボンホイールが登場。セット価格で約13万円と手に届きやすい価格でありながら、DURA-ACEホイールの基本設計を受け継ぐことで、高い性能を実現している。
36mm、50mm、60mmという3種類のリムハイトによって、ヒルクライマーからスプリンターまであらゆるタイプのライダー、そしてコースに対応するラインアップを揃えている。リムはDURA-ACEと共通のプロファイルとなる一方、ハブをアルテグラグレードとすることでコストダウンを図っているという。
リムハイトに応じてスポ―キングを変更していたDURA-ACEに対し、ULTEGRAは全グレードでスポークパターンを統一。さらにフリーボディはアルミ製の「ダイレクトエンゲージフリー」を採用するDURA-ACEに対し、トラディショナルな爪ラチェットかつマテリアルもスチールとされているのが大きな違いとなっている。
注:ホイールについて、「リムはDURA-ACEと共通」としていましたが、後日の取材でリムの「プロファイル」(形状)は同じであるものの、素材や細部が異なるとの回答を得ました。お詫びして訂正します。
「アルチメイト」と「インテグレーテッド」という二つの単語を組み合わせたULTEGRA(アルテグラ)。1987年にロードバイク用の上級コンポーネントとして登場して以来、DURA-ACEに次ぐセカンドモデルとして、ハイアマチュアを中心に多くのサイクリストに愛されてきた。
世界最高峰のレースを制するために開発されたDURA-ACEの新技術を継承しつつ、より多くの自転車愛好家がそのテクノロジーの恩恵を受けられるリーズナブルな価格と性能をバランスさせたULTEGRA。その立ち位置もあり、これまではトップモデルであるDURA-ACEモデルチェンジの翌年にフルモデルチェンジを行うのが通例だった。
しかし、今回はDURA-ACEと同時にフルモデルチェンジを発表。"R8100"シリーズとして12速化や電動変速のセミワイヤレス化など、新世代のシマノロードコンポーネントの基準を示す存在として、大きな進化を果たした。それでは各パーツの説明に移ろう。
ST-R8150/ST-R8170、FD-R8150/RD-R8150
シマノ初となるセミワイヤレス方式を採用したULTEGRA。STIレバーからリアディレイラーへと無線で信号を送信、フロントディレイラーへはリアディレイラーから有線で信号が送られる方式だ。
ケーブルフル内装コックピットを採用するバイクへのアセンブルの手間が大幅に省けるほか、そうではないバイクにとっても混みあうハンドル周りのルックスが一気にスマートになることは大きなメリットだ。
ワイヤレス化によって懸念される信号送受信の速度や精度、そして電池消費の問題についても、シマノは独自開発のワイヤレスICを採用することで、セキュリティを保ちながら高速処理と消費電力低減を実現している。
ギア周りの設計改良も行われているため、信号の伝達速度だけの影響ではないが、無線化したにも関わらず前作よりも変速スピードは向上しているという。約2倍に迫る変速スピードを実現し、よりスムーズなライディングを実現した。
電池に関しては、STIレバーはボタン電池、各ディレイラーはバッテリーが有線接続されたバッテリーとなっている。バッテリーへの充電はリアディレイラーに設けられたポートから行う方式だ。
STIレバーは無線化したこともあり、大幅に形状を変更しているのはDURA-ACE同様。ブラケットフードをやや内側に傾けることで、よりコンパクトでエアロなポジションを取りやすい形状へとアップデートされている。
ブレーキレバーとハンドルの間のクリアランスを4.6mm広げることで指3本でブラケットを握りやすくなったほか、変速スイッチの位置も下ハンドルからのアクセスを向上させるために5.1mm下方へ移動させられた。また、押し間違えを防止するため、変速スイッチはオフセット量を更に増やしているという。
フロントディレイラーもDURA-ACE同様、リンク構造を改良することでコンパクト化に成功。前方投影面積を3割減らすとともに、110gと軽量化を果たしている。
FC-R8100、CS-R8100
ワイヤレス化を果たしたシフター/ディレイラーに加え、もう一つの大きな変更点が変速枚数の増加だ。先んじて12速化を果たしているMTBコンポーネントに採用されているHYPERGLIDE+テクノロジーを採用することで、変速しながらペダルをこぎ続けられるスムーズかつスピーディな変速性能を手に入れている。
歯数構成はフロントが52-36Tと50-34T、リアが11-30Tと11-34Tとなっている。最小ギア比は1:1を達成し、あらゆる地形へと対応する全環境型コンポーネントへと進化を果たしている。
デザインを一新したクランクは、より高い駆動効率を実現するためにアームをよりボリュームアップ。左クランクアームを従来の接着方式から中空鍛造による一体成型とすることで、強度を向上させトラブルの発生率を抑える。また、アルテグラグレードのパワーメータークランクも登場しており、シマノ純正のパワーメーターに新たな選択肢が加わったことも大きな話題を呼びそうだ。
BR-R8100、BR-R8170
ブレーキキャリパーも新世代となって刷新された。ブレーキパッドとローターが接触してからフルブレーキまでの「コントロールエリア」を13%拡大することで、よりコントローラブルな制動性能を発揮する設計に。
パッドクリアランスも旧モデルから1割以上増加し、ローターとの接触による音鳴りを抑えている。セッティングもより容易になり、ユーザーフレンドリーな設計となった。なお、DURA-ACEは高剛性かつ軽量なワンピース構造だが、ULTEGRAは従来通りの2ピース構造となっている。制動力を確保しつつコストを抑える選択だろう。
リムブレーキも用意されており、通常の1ボルトマウントおよびダイレクトマウントの2仕様がラインアップされている。
WH-R8170-C60、WH-R8170-C50、WH-R8170-C36
ついにアルテグラグレードとして初となるカーボンホイールが登場。セット価格で約13万円と手に届きやすい価格でありながら、DURA-ACEホイールの基本設計を受け継ぐことで、高い性能を実現している。
36mm、50mm、60mmという3種類のリムハイトによって、ヒルクライマーからスプリンターまであらゆるタイプのライダー、そしてコースに対応するラインアップを揃えている。リムはDURA-ACEと共通のプロファイルとなる一方、ハブをアルテグラグレードとすることでコストダウンを図っているという。
リムハイトに応じてスポ―キングを変更していたDURA-ACEに対し、ULTEGRAは全グレードでスポークパターンを統一。さらにフリーボディはアルミ製の「ダイレクトエンゲージフリー」を採用するDURA-ACEに対し、トラディショナルな爪ラチェットかつマテリアルもスチールとされているのが大きな違いとなっている。
重量 | メーカー希望小売価格(税込) | |
シフト/ブレーキレバー | ||
ST-R8150(リム/DI2) | - | 左右各:24,255円 |
ST-R8170(ディスク/DI2) | 391g( /ペア) | 左右各:41,580円 |
フロントディレイラー | ||
FD-R8150 | 110g | 28,413円 |
リアディレイラー | ||
RD-R8150 | 262g | 45,276円 |
バッテリー | ||
BT-DN300 | 52g | 16,806円 |
クランクセット | ||
FC-R8100 | 711g (52-36T)/700g (50-34T) | 34,881円 |
FC-R8100-P | 769g (52-36T)/758g (50-34T) | 143,582円 |
FC-R8100-P(ギア別売) | - | 132,006円 |
カセットスプロケット | ||
CS-R8100-12 | 291g (11-30T)/345g (11-34T) | 12,705円 |
ディスクブレーキ | ||
BR-R8170 | 146g (フロント) / 136g (リア) | フロント:9,471円 / リア:8,894円 |
リムブレーキ | ||
BR-R8100 | 182g (フロント)/180g (リア) | 18,480円 |
BR-R8110-F | 180g ( /個) | 11,204円 |
BR-R8110-RS | 178g ( /個) | 11,319円 |
ホイール(ディスクブレーキ) | ||
WH-R8170-C60-HR-TL-F / R | 738g (フロント)/911g(リア) | フロント:72,600円 / リア:84,700円 |
WH-R8170-C50-TL-F / R | 698g (フロント)/872g(リア) | フロント:72,600円 / リア:84,700円 |
WH-R8170-C36-TL-F / R | 657g (フロント)/831g(リア) | フロント:72,600円 / リア:84,700円 |
注:ホイールについて、「リムはDURA-ACEと共通」としていましたが、後日の取材でリムの「プロファイル」(形状)は同じであるものの、素材や細部が異なるとの回答を得ました。お詫びして訂正します。
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