2021/08/29(日) - 12:17
「監督による的確な指示のおかげでレースが僅か200mしかないように感じた」とは、18名による逃げ集団からブエルタ初勝利を掴んだロマン・バルデ(フランス、チームDSM)。ライバルたちから4秒奪ったロペスや今日もマイヨロホを守ったエイキングなど、ブエルタ第14日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。
ステージ1位&山岳賞 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)
追走を振り切ってフィニッシュしたロマン・バルデ(フランス、チームDSM) photo:CorVos
逃げ集団にいる選手ではなく、自分の登坂にだけ集中していた。なぜなら最終山岳で先行した選手ら(プリュドムら3名)を追う集団で上手く協調体制が築けなかったからだ。マット(ウィンストン)監督はアタックすべき急勾配区間など細かく指示をくれたおかげで、レース距離がまるで200mしかないように感じた。良い飛び出しにより差が生まれ、あとはフィニッシュ目がけて懸命に踏み続けるだけでよかった。
プロトン全体に疲れが見えるが、僕たちチームのモチベーションは高い。チームとして既にステージ2勝を挙げ、アルベルト(ダイネーゼ)も何度も表彰台に上がってる。こんなにも素晴らしいチームの一員として走れることを嬉しく思っている。全てのステージを楽しみ、ベストを尽くして掴んだこの勝利はとても嬉しい。僕たちにとって最高のブエルタになっているので、引き続き勝利を目指して頑張っていきたい。
ブエルタで初となるステージ優勝を挙げたロマン・バルデ(フランス、チームDSM) photo:CorVos
これまで良いコンディションでブエルタに出場したことがなかった。だが今は自分のキャリアを見つめ直し、進むべき道に変更を加えるよい時期だと感じている。5月のジロ・デ・イタリアは悪くなかったものの、このブエルタには更によい準備で臨むことができた。
山岳の多い難しいステージが残っているので第3週目もこの調子で走っていきたい。また、ステージ優勝も貪欲に狙い、逃げに乗ることができれば山岳賞のポイントも積極的に取りに行きたいね。
ステージ7位 アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、バイクエクスチェンジ)
今日は調子がよく、スタートから10kmほどで形成された逃げに乗ることができた。終始アップダウンが続くコースだった。残り5kmから単独先頭になったのだが、バルデに捕まり脚が空っぽで何もできなかった。だけどベストを尽くしたので満足しているよ。
ステージ15位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
山岳に集まった観客には感動したよ。でも残念ながら僕をクライマーに変身させてはくれなかった。みんな自転車レースが大好きで、僕らにやる気を与えてくれた。彼らはレースを愛し、また僕はそんなファンを愛している。
ステージ16位&総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
アタックして4秒を奪ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
僕らに適した地形で、自分の調子を確認するつもりで仕掛けたんだ。たった数秒しか奪うことができなかったが、良い感触を掴むことができた。一時は20秒差をつけたが、最後に強い向かい風が吹いていたため1人で走る僕には厳しい状況だった。良い走りができたと思うし、まだまだ山岳は続いていく。
ライバルたちの保守的な走りが意図的だったかどうかは分からないが、レースによる消耗はみんな実感し始めているだろう。ここまでの逃げが70~80km、100km近くまでできないままほぼフルスピードで進行したステージの影響が出たのだろうね。そこに暑さが加わると疲れは蓄積されるものだ。今日もまたタフなステージを乗り越え、僕らの現状に満足している。それに、これから僕ら好みのステージが待っているんだ。
総合7位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
ログリッチらと同タイムでフィニッシュしたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
これまでと比べ、今日は少しだけ調子が良かった。厳しい登りだったが、楽に前の選手についていくことができる奇妙な登りだった。総合順位を争う選手たちと一緒にフィニッシュできて良かったし、かなりタフなレースになっているなか、それが今日の僕ができた最大限の走りだろう。
ユンボ・ヴィスマの5人が先頭で引き、その中から1人(ロペス)が飛び出すような状況では、冷静かつ自分の力を計算しながら走らなければならない。現実を直視し、力が残っていないときは潔く諦めるべきだ。だが、今日は感覚が比較的良かった。明日は違うタイプのステージとなり、最終日もまたタフなステージが待っている。じっと待って機会を伺うつもりだ。
総合9位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
メイン集団の先頭から20秒遅れでフィニッシュしたセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
最後の登りは風が強かった。チームは素晴らしい走りを見せ、僕たちのペースで集団をコントロールした。勝負所になると予想していた最後から2番目の登りでは何も起こらなかったね。でもアタックが起きても僕たちはタイトなペースで引くだけだとも思っていた。思い描いていた通りの走りができて嬉しいよ。
マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)
マイヨホロを守ったオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ) photo:CorVos
レースの大部分がコントロールされた展開で進み、それが最後の山岳まで続くことを願いながら走っていた。でも最後はかなり苦しめられたよ。登りの傾斜は急で、強い向かい風も吹いていた。僕は前を走る選手の後ろに隠れて(アタックへの反応が遅れる)リスクを選んだ。ギヨーム・マルタンが仕掛けたが、向かい風に阻まれると分かっていた。残り3kmを過ぎ、明日もまたマイヨロホを着て走ることができると確信した。明日はこのジャージをキープできるよう全力を尽くすよ。でもそれはライバルたち次第になるだろうね。
総合10位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
今朝目覚めた瞬間、昨日と同じ脚の箇所が痛んだので、今日はどんなレースができるかわからなかった。僕たちはステージを通してレースをコントロールすることができ、最後の山岳も悪くなかった。チームと、最後まで一緒に走ってくれたベン・ツィーホフには感謝したい。今は明日に備えて回復に努めたい。
ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
1日を通して調子は良かった。最後は仕掛け、総合上位にいる選手たちの反応をうかがった。アシストがいなかったので、上手くいくとは思わなかった。明日のために今は回復に努めたい。
サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
もっと激しい争いを予想していた。最後から2つ目の登りは非常に厳しかったが、何も起きなかった。その後はフィニッシュまで集団をコントロールしようと努めた。もっと悪い結果を予想してものの、何一つ事件が起きることはなかった。ロペスによるアタックがあったものの、チームは完璧な牽引ができたよ。力を蓄えられるステージとなった。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が逃げに入ったため平坦で前を引く新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
今日は予想に反して?アタック合戦は短かった。ここ最近のステージでは1、2時間ぐらいアタック合戦していたから、あっさり決まった感覚だった。チームとしては山岳賞ジャージのダミアーノを逃げに乗せたかったのだが、こればかりはしょうがないね。
逃げが決まってからは、ヤンがいない分チームの位置取りをして1日過ごし、幸いにも、調子良く走れて最後登り口まで仕事して最後の集団に入れた。
第15ステージも厳しいだが、今日みたいな急勾配ではなく長い登りだから、どうなるか?今日みたいにお見合いで、第3週に持ち越しするか、どこかが攻撃するかな、、、 どちらにせよ、後1日で休息日。
マット・ウィンストン監督(チームDSM)
ロマン(バルデ)は良い選手の揃った逃げ集団に乗ることができ、メイン集団とのタイム差も一気に広がっていった。最後はアタック合戦となったが、我々はチャンスが来るのをじっと待っていた。冷静になって仕掛ける適切な瞬間が来るまでじっと待っていた。ロマンは熾烈なマークを受けていたので、彼の強さが発揮できる区間で加速する必要があったんだ。ロマンはとても良い走りをしたし、ブエルタで3勝目はとても嬉しいよ。この勝利は選手だけではなく、ここスペインで彼らを支えるスタッフのものでもある。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位&山岳賞 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)
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逃げ集団にいる選手ではなく、自分の登坂にだけ集中していた。なぜなら最終山岳で先行した選手ら(プリュドムら3名)を追う集団で上手く協調体制が築けなかったからだ。マット(ウィンストン)監督はアタックすべき急勾配区間など細かく指示をくれたおかげで、レース距離がまるで200mしかないように感じた。良い飛び出しにより差が生まれ、あとはフィニッシュ目がけて懸命に踏み続けるだけでよかった。
プロトン全体に疲れが見えるが、僕たちチームのモチベーションは高い。チームとして既にステージ2勝を挙げ、アルベルト(ダイネーゼ)も何度も表彰台に上がってる。こんなにも素晴らしいチームの一員として走れることを嬉しく思っている。全てのステージを楽しみ、ベストを尽くして掴んだこの勝利はとても嬉しい。僕たちにとって最高のブエルタになっているので、引き続き勝利を目指して頑張っていきたい。
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これまで良いコンディションでブエルタに出場したことがなかった。だが今は自分のキャリアを見つめ直し、進むべき道に変更を加えるよい時期だと感じている。5月のジロ・デ・イタリアは悪くなかったものの、このブエルタには更によい準備で臨むことができた。
山岳の多い難しいステージが残っているので第3週目もこの調子で走っていきたい。また、ステージ優勝も貪欲に狙い、逃げに乗ることができれば山岳賞のポイントも積極的に取りに行きたいね。
ステージ7位 アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、バイクエクスチェンジ)
今日は調子がよく、スタートから10kmほどで形成された逃げに乗ることができた。終始アップダウンが続くコースだった。残り5kmから単独先頭になったのだが、バルデに捕まり脚が空っぽで何もできなかった。だけどベストを尽くしたので満足しているよ。
ステージ15位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
山岳に集まった観客には感動したよ。でも残念ながら僕をクライマーに変身させてはくれなかった。みんな自転車レースが大好きで、僕らにやる気を与えてくれた。彼らはレースを愛し、また僕はそんなファンを愛している。
ステージ16位&総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
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僕らに適した地形で、自分の調子を確認するつもりで仕掛けたんだ。たった数秒しか奪うことができなかったが、良い感触を掴むことができた。一時は20秒差をつけたが、最後に強い向かい風が吹いていたため1人で走る僕には厳しい状況だった。良い走りができたと思うし、まだまだ山岳は続いていく。
ライバルたちの保守的な走りが意図的だったかどうかは分からないが、レースによる消耗はみんな実感し始めているだろう。ここまでの逃げが70~80km、100km近くまでできないままほぼフルスピードで進行したステージの影響が出たのだろうね。そこに暑さが加わると疲れは蓄積されるものだ。今日もまたタフなステージを乗り越え、僕らの現状に満足している。それに、これから僕ら好みのステージが待っているんだ。
総合7位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
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これまでと比べ、今日は少しだけ調子が良かった。厳しい登りだったが、楽に前の選手についていくことができる奇妙な登りだった。総合順位を争う選手たちと一緒にフィニッシュできて良かったし、かなりタフなレースになっているなか、それが今日の僕ができた最大限の走りだろう。
ユンボ・ヴィスマの5人が先頭で引き、その中から1人(ロペス)が飛び出すような状況では、冷静かつ自分の力を計算しながら走らなければならない。現実を直視し、力が残っていないときは潔く諦めるべきだ。だが、今日は感覚が比較的良かった。明日は違うタイプのステージとなり、最終日もまたタフなステージが待っている。じっと待って機会を伺うつもりだ。
総合9位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
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最後の登りは風が強かった。チームは素晴らしい走りを見せ、僕たちのペースで集団をコントロールした。勝負所になると予想していた最後から2番目の登りでは何も起こらなかったね。でもアタックが起きても僕たちはタイトなペースで引くだけだとも思っていた。思い描いていた通りの走りができて嬉しいよ。
マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)
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レースの大部分がコントロールされた展開で進み、それが最後の山岳まで続くことを願いながら走っていた。でも最後はかなり苦しめられたよ。登りの傾斜は急で、強い向かい風も吹いていた。僕は前を走る選手の後ろに隠れて(アタックへの反応が遅れる)リスクを選んだ。ギヨーム・マルタンが仕掛けたが、向かい風に阻まれると分かっていた。残り3kmを過ぎ、明日もまたマイヨロホを着て走ることができると確信した。明日はこのジャージをキープできるよう全力を尽くすよ。でもそれはライバルたち次第になるだろうね。
総合10位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
今朝目覚めた瞬間、昨日と同じ脚の箇所が痛んだので、今日はどんなレースができるかわからなかった。僕たちはステージを通してレースをコントロールすることができ、最後の山岳も悪くなかった。チームと、最後まで一緒に走ってくれたベン・ツィーホフには感謝したい。今は明日に備えて回復に努めたい。
ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
1日を通して調子は良かった。最後は仕掛け、総合上位にいる選手たちの反応をうかがった。アシストがいなかったので、上手くいくとは思わなかった。明日のために今は回復に努めたい。
サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
もっと激しい争いを予想していた。最後から2つ目の登りは非常に厳しかったが、何も起きなかった。その後はフィニッシュまで集団をコントロールしようと努めた。もっと悪い結果を予想してものの、何一つ事件が起きることはなかった。ロペスによるアタックがあったものの、チームは完璧な牽引ができたよ。力を蓄えられるステージとなった。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
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今日は予想に反して?アタック合戦は短かった。ここ最近のステージでは1、2時間ぐらいアタック合戦していたから、あっさり決まった感覚だった。チームとしては山岳賞ジャージのダミアーノを逃げに乗せたかったのだが、こればかりはしょうがないね。
逃げが決まってからは、ヤンがいない分チームの位置取りをして1日過ごし、幸いにも、調子良く走れて最後登り口まで仕事して最後の集団に入れた。
第15ステージも厳しいだが、今日みたいな急勾配ではなく長い登りだから、どうなるか?今日みたいにお見合いで、第3週に持ち越しするか、どこかが攻撃するかな、、、 どちらにせよ、後1日で休息日。
マット・ウィンストン監督(チームDSM)
ロマン(バルデ)は良い選手の揃った逃げ集団に乗ることができ、メイン集団とのタイム差も一気に広がっていった。最後はアタック合戦となったが、我々はチャンスが来るのをじっと待っていた。冷静になって仕掛ける適切な瞬間が来るまでじっと待っていた。ロマンは熾烈なマークを受けていたので、彼の強さが発揮できる区間で加速する必要があったんだ。ロマンはとても良い走りをしたし、ブエルタで3勝目はとても嬉しいよ。この勝利は選手だけではなく、ここスペインで彼らを支えるスタッフのものでもある。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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