2021/08/22(日) - 08:39
地中海に面したムルシア州のビーチリゾートにフィニッシュするブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージは大集団によるスプリントで決着。最高速75km/hのバトルを制したファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が今大会2勝目を飾った。
8月21日(土)第8ステージ
サンタ・ポーラ〜ラ・マンガ・デル・マル・メノル 173.7km
バレンシアからムルシアにかけての海岸線を南下する photo:Unipublic
8月21日(土)第8ステージ サンタ・ポーラ〜ラ・マンガ・デル・マル・メノル 173.7km image:Unipublicブエルタのコース設定は極端。山岳がたっぷり詰め込まれているか、それとも全く設定されていないのどちらかであることが多い。バレンシア州からムルシア州にかけての『コスタブランカ』を走る第8ステージは後者。前後を難関山岳ステージに挟まれた173.7kmコースにカテゴリー山岳は設定されていない。
獲得標高差は800mと、今大会最小クラス。最後は地中海に浮かぶ砂嘴を走り、リゾートホテルが立ち並ぶラ・マンガ・デル・マル・メノルにフィニッシュする。終盤の約10kmに大きなコーナーは登場しない。風速5m/sほどの海風が吹き続いたため、終盤にかけて総合系チームも集団先頭でポジションを争うナーバスな展開となった。
35度を超えるスペイン南部らしい暑さ。そしてスタート直後からスペインのUCIプロチームに所属するスペイン人選手(厳密には全員バスク人選手)3名が逃げるブエルタらしい展開。タイム差は4分まで広がったものの、主にドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックスによる集団牽引が先頭3名の逃げ切りチャンスを潰した。
8月21日(土)第8ステージ サンタ・ポーラ〜ラ・マンガ・デル・マル・メノル 173.7km image:Unipublic
逃げグループを形成した3名
アンデル・オカミカ(スペイン、ブルゴスBH)
アリツ・バグエス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
マイヨプントスを着るヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が集団先頭でスプリントポイントを通過後、風を警戒するチームのペースアップによって残り37km地点で早くも逃げは吸収。一塊になったメイン集団では、横風区間でアスタナ・プレミアテックが集団分断作戦を敢行するも決定的な破壊にはつながらない。総合に関係しない脱落者30名ほどを置き去りにして、スプリンターチームと総合系チーム率いるメイン集団がラ・マンガ・デル・マル・メノルに向かった。
サンタ・ポーラの要塞を通過する photo:Unipublic
スプリントポイントを通過していく逃げグループ photo:Unipublic
逃げグループをスプリンターチームが追いかける平坦ステージらしい展開 photo:Unipublic
ポジション争いにより常にピリピリしたメイン集団をドゥクーニンク・クイックステップやグルパマFDJ、アルペシン・フェニックス、チームDSM、バイクエクスチェンジ、ボーラ・ハンスグローエ、UAEチームエミレーツが率いて残り10km。どのチームも完璧なトレインを組むことができないまま高速巡航を続け、いくつもの緩いコーナーをこなしながらスプリントが始まる。ラスト10kmを平均スピードは57.2km/hに達している。
フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭に最終コーナーを抜けると、6〜7番手につけていたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がスプリントを開始した。コーナーで膨らむ先行者をかわして加速したヤコブセンを、その番手につけていたフィリプセンとアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)が追撃する。
トップスピード75km/hのヤコブセンは誰にも並ばせなかった。ハンドルを投げ込むダイネーゼとフィリプセンの前で、すでにマイヨプントスに合わせて緑色のワフーコンピューターをつけて走るヤコブセンが両手をあげた。
総合系チームも集団先頭に立って風に備える photo:Unipublic
マイヨロホを着続けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
ハンドルを投げ込むファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら photo:Unipublic
ヤコブセンが今大会ステージ2勝目、ステージ通算4勝目。もはや「大怪我からの復活」を忘れさせてしまうほどの好調ぶりで、フィリプセンとともにブエルタ最速スプリンターであることを印象付けた。「昨日のハードなステージの影響か、今日は朝から調子がよくなかった。ラスト10kmはかなり速い展開だったけど、チームの完璧な働きでポジションをキープ。少しはぐれてしまったものの、ラスト200mのコーナーを抜けたところでスプリントを開始した。自分が最速だったと思う。強さと速さ、そしてタイミングが合わないと今日のようなフィニッシュで勝てない。ここまでのステージでは2回仕掛けるのが遅すぎて、今日は完璧なタイミングだった」。
「出場している時点で満足なのに、2年前はステージ2勝で今年はすでにステージ2勝。これからも勝ち続けたい」と語るヤコブセンが再びマイヨプントスを獲得。大会前半の平坦ステージを終えてポイント賞争いは完全にヤコブセンとフィリプセンが抜け出している。
海風による波乱は起こらず、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨロホをキープした。翌日は獲得標高差が今大会最大の4,593mに達する難関山岳ステージ。超級山岳アルト・デ・ベレフィケ(全長13.2km・平均6.4%)の山頂フィニッシュで再び総合成績にシャッフルがかかる。
大集団スプリントを制したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Unipublic
両側を海に囲まれたラ・マンガ・デル・マル・メノルのフィニッシュ地点 photo:Unipublic
8月21日(土)第8ステージ
サンタ・ポーラ〜ラ・マンガ・デル・マル・メノル 173.7km
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獲得標高差は800mと、今大会最小クラス。最後は地中海に浮かぶ砂嘴を走り、リゾートホテルが立ち並ぶラ・マンガ・デル・マル・メノルにフィニッシュする。終盤の約10kmに大きなコーナーは登場しない。風速5m/sほどの海風が吹き続いたため、終盤にかけて総合系チームも集団先頭でポジションを争うナーバスな展開となった。
35度を超えるスペイン南部らしい暑さ。そしてスタート直後からスペインのUCIプロチームに所属するスペイン人選手(厳密には全員バスク人選手)3名が逃げるブエルタらしい展開。タイム差は4分まで広がったものの、主にドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックスによる集団牽引が先頭3名の逃げ切りチャンスを潰した。
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逃げグループを形成した3名
アンデル・オカミカ(スペイン、ブルゴスBH)
アリツ・バグエス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
マイヨプントスを着るヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が集団先頭でスプリントポイントを通過後、風を警戒するチームのペースアップによって残り37km地点で早くも逃げは吸収。一塊になったメイン集団では、横風区間でアスタナ・プレミアテックが集団分断作戦を敢行するも決定的な破壊にはつながらない。総合に関係しない脱落者30名ほどを置き去りにして、スプリンターチームと総合系チーム率いるメイン集団がラ・マンガ・デル・マル・メノルに向かった。
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ポジション争いにより常にピリピリしたメイン集団をドゥクーニンク・クイックステップやグルパマFDJ、アルペシン・フェニックス、チームDSM、バイクエクスチェンジ、ボーラ・ハンスグローエ、UAEチームエミレーツが率いて残り10km。どのチームも完璧なトレインを組むことができないまま高速巡航を続け、いくつもの緩いコーナーをこなしながらスプリントが始まる。ラスト10kmを平均スピードは57.2km/hに達している。
フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭に最終コーナーを抜けると、6〜7番手につけていたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がスプリントを開始した。コーナーで膨らむ先行者をかわして加速したヤコブセンを、その番手につけていたフィリプセンとアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)が追撃する。
トップスピード75km/hのヤコブセンは誰にも並ばせなかった。ハンドルを投げ込むダイネーゼとフィリプセンの前で、すでにマイヨプントスに合わせて緑色のワフーコンピューターをつけて走るヤコブセンが両手をあげた。
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ヤコブセンが今大会ステージ2勝目、ステージ通算4勝目。もはや「大怪我からの復活」を忘れさせてしまうほどの好調ぶりで、フィリプセンとともにブエルタ最速スプリンターであることを印象付けた。「昨日のハードなステージの影響か、今日は朝から調子がよくなかった。ラスト10kmはかなり速い展開だったけど、チームの完璧な働きでポジションをキープ。少しはぐれてしまったものの、ラスト200mのコーナーを抜けたところでスプリントを開始した。自分が最速だったと思う。強さと速さ、そしてタイミングが合わないと今日のようなフィニッシュで勝てない。ここまでのステージでは2回仕掛けるのが遅すぎて、今日は完璧なタイミングだった」。
「出場している時点で満足なのに、2年前はステージ2勝で今年はすでにステージ2勝。これからも勝ち続けたい」と語るヤコブセンが再びマイヨプントスを獲得。大会前半の平坦ステージを終えてポイント賞争いは完全にヤコブセンとフィリプセンが抜け出している。
海風による波乱は起こらず、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨロホをキープした。翌日は獲得標高差が今大会最大の4,593mに達する難関山岳ステージ。超級山岳アルト・デ・ベレフィケ(全長13.2km・平均6.4%)の山頂フィニッシュで再び総合成績にシャッフルがかかる。
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ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第8ステージ結果
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3:56:05 |
2位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) | |
3位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
4位 | ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | イタマル・アインホルン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション) | |
6位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
7位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
8位 | マーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ピート・アレハールト(ベルギー、コフィディス) | |
10位 | ジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
76位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:33 |
DNF | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション) |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 29:14:40 |
2位 | フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:08 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:00:25 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:00:36 |
5位 | ヤン・ポランツ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:38 |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:41 |
7位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:00:57 |
8位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:59 |
9位 | アレクサンドル・ウラソフ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:06 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:22 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 180pts |
2位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 164pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 74pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ) | 16pts |
2位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM) | 12pts |
3位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 11pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 29:15:21 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:00:25 |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:02:11 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 87:42:27 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:02:10 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 0:04:19 |
text:Kei Tsuji
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