2021/07/19(月) - 04:02
難関山岳ステージに続いて個人TTを制したばかりのワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がパリ・シャンゼリゼで集団スプリント制覇。ファンアールトがツール・ド・フランス第21ステージでステージ連勝ならびに3勝目を飾り、22歳のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が大会連覇を達成した。
7月18日(日)第21ステージ
シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ
距離:108.4km
獲得標高差:820m
天候:晴れ
気温:29度
46年連続で、ツールはパリ・シャンゼリゼで千秋楽を迎えた。ブルターニュで始まった総走行距離3,414.4kmの長旅を終えんとする選手たちを出迎えるのは今年もシャンゼリゼ周回コース。パリ郊外のシャトゥをスタートし、52km地点でシャンゼリゼ周回コースに入るとレースは始まる。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りや凱旋門の外周路、ルーヴル前のトンネル、コンコルド広場を含む6.8kmの定番周回コースを9周するステージは通称「スプリンターの世界選手権」。もちろん、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のステージ通算35勝目の偉業達成に注目が集まった。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
7.4km地点 4級山岳グレ峠(全長1.9km・平均5%)
68.3km地点 スプリントポイント
シャンゼリゼ周回突入とともに高速レースがスタート
マイヨジョーヌ(ポガチャル)、マイヨヴェール(カヴェンディッシュ)、マイヨアポワ(次点でプールス)、マイヨブラン(次点でヴィンゲゴー)、前日のステージ優勝者(ファンアールト)、総合敢闘賞(ボナムール)を先頭にスタートすると、グランツール最終日恒例のパレード走行が始まった。宗教上の都合でUAEチームエミレーツはシャンパン(イスラム教はアルコール禁止)で祝福することなく横に並んで記念撮影。平均スピード30km/hちょっとのスローペースでノートルダム大聖堂の近くをかすめてルーヴル美術館の中庭を走り、マイヨジョーヌチームを先頭に周回コースに到着した。
一旦周回コースに入ると祝福モードから一転アタック合戦に。スプリンターチームの力が弱まっていることもあり、矢継ぎ早に選手たちが集団から飛び出していく。ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル)とシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)、カスパー・ピーダスン(デンマーク、チームDSM)がエスケープトリオを形成したが、タイム差が30秒以上に広がることはない。
カヴェンディッシュが集団先頭でスプリントポイントを通過すると、フィニッシュまで32kmを残して逃げは吸収。続いて飛び出したイーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)、ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)の3名も、ドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックス率いるメイン集団から20秒のリードを奪うのがやっとだった。
カウンターアタックで飛び出したシリル・ゴティエとフランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)も、そして先頭で逃げ続けた3名も、最終周回に入って吸収される。ここからはスプリンターチームの独壇場。ドゥクーニンク・クイックステップ、EFエデュケーション・NIPPO、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオが競り合いながら最終周回を猛烈な勢いで駆け抜けた。
主導権を奪って先頭でフラムルージュを抜けたのはドゥクーニンク・クイックステップ。例年よりもフィニッシュまで350m延長された残り700mの最終コーナーを先頭で抜けたが、ベルギーチームは完全にトレインを機能させることができなかった。
ドゥクーニンク・クイックステップのトレイン崩壊に伴って残り400mでマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が強力なリードアウトを開始。残り200mに差し掛かろうかとした瞬間、テウニッセンの後ろからファンアールトが踏み始める。
ファンアールトの後ろで番手を争っていたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)とカヴェンディッシュがスリップストリームから脱して追撃したものの、石畳で跳ねるバイクを押さえ込みながらトップスピード69.2km/hを記録したファンアールトが先着。フィリプセンにホイール半分の差をつけて、そして通算35勝目の大記録樹立を逃してハンドルを叩いて悔しがるカヴェンディッシュに並ばせることなく、ファンアールトがシャンゼリゼを制した。
「ジェットコースターのようなツールだった。そして最後を勝利で締めくくるなんて想像を超えている。この勝利はプライスレス。世界最高レベルの完璧なリードアウトをしてくれたマイク・テウニッセンに感謝している」。1大会で難関山岳ステージを制し、個人タイムトライアルを制し、そして大集団スプリントを制した選手は1979年大会のベルナール・イノー(フランス)以来の快挙。真のオールラウンダーとして歴史に名前を刻んだ。カヴェンディッシュはスプリントに敗れたものの10年ぶりのマイヨヴェール獲得を果たしている。
そして総合優勝は危なげなく集団内でフィニッシュしたポガチャルの手に。22歳のポガチャルは2年連続で総合優勝を果たしただけでなく、2年連続で山岳賞とヤングライダー賞も獲得した。シャンゼリゼの表彰台でマイクを受け取ったポガチャルは、2度目の勝利の喜びを改めて表現するとともに、ポガチャルはチームへの感謝と家族への感謝を忘れなかった。
総合2位に入ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)は1996年大会で総合優勝したビャルヌ・リース以来となるデンマーク人選手の総合表彰台。2020年ブエルタ・ア・エスパーニャでグランツールデビュー(総合46位フィニッシュ)したばかりの24歳が、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のいないチームに好成績をもたらした。そして総合3位はリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の手に。2019年ジロ・デ・イタリア総合優勝、2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位に続く安定感ある成績を残している。
7月18日(日)第21ステージ
シャトゥ〜パリ シャンゼリゼ
距離:108.4km
獲得標高差:820m
天候:晴れ
気温:29度
46年連続で、ツールはパリ・シャンゼリゼで千秋楽を迎えた。ブルターニュで始まった総走行距離3,414.4kmの長旅を終えんとする選手たちを出迎えるのは今年もシャンゼリゼ周回コース。パリ郊外のシャトゥをスタートし、52km地点でシャンゼリゼ周回コースに入るとレースは始まる。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りや凱旋門の外周路、ルーヴル前のトンネル、コンコルド広場を含む6.8kmの定番周回コースを9周するステージは通称「スプリンターの世界選手権」。もちろん、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)のステージ通算35勝目の偉業達成に注目が集まった。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
7.4km地点 4級山岳グレ峠(全長1.9km・平均5%)
68.3km地点 スプリントポイント
シャンゼリゼ周回突入とともに高速レースがスタート
マイヨジョーヌ(ポガチャル)、マイヨヴェール(カヴェンディッシュ)、マイヨアポワ(次点でプールス)、マイヨブラン(次点でヴィンゲゴー)、前日のステージ優勝者(ファンアールト)、総合敢闘賞(ボナムール)を先頭にスタートすると、グランツール最終日恒例のパレード走行が始まった。宗教上の都合でUAEチームエミレーツはシャンパン(イスラム教はアルコール禁止)で祝福することなく横に並んで記念撮影。平均スピード30km/hちょっとのスローペースでノートルダム大聖堂の近くをかすめてルーヴル美術館の中庭を走り、マイヨジョーヌチームを先頭に周回コースに到着した。
一旦周回コースに入ると祝福モードから一転アタック合戦に。スプリンターチームの力が弱まっていることもあり、矢継ぎ早に選手たちが集団から飛び出していく。ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル)とシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)、カスパー・ピーダスン(デンマーク、チームDSM)がエスケープトリオを形成したが、タイム差が30秒以上に広がることはない。
カヴェンディッシュが集団先頭でスプリントポイントを通過すると、フィニッシュまで32kmを残して逃げは吸収。続いて飛び出したイーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)、ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)の3名も、ドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックス率いるメイン集団から20秒のリードを奪うのがやっとだった。
カウンターアタックで飛び出したシリル・ゴティエとフランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)も、そして先頭で逃げ続けた3名も、最終周回に入って吸収される。ここからはスプリンターチームの独壇場。ドゥクーニンク・クイックステップ、EFエデュケーション・NIPPO、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオが競り合いながら最終周回を猛烈な勢いで駆け抜けた。
主導権を奪って先頭でフラムルージュを抜けたのはドゥクーニンク・クイックステップ。例年よりもフィニッシュまで350m延長された残り700mの最終コーナーを先頭で抜けたが、ベルギーチームは完全にトレインを機能させることができなかった。
ドゥクーニンク・クイックステップのトレイン崩壊に伴って残り400mでマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が強力なリードアウトを開始。残り200mに差し掛かろうかとした瞬間、テウニッセンの後ろからファンアールトが踏み始める。
ファンアールトの後ろで番手を争っていたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)とカヴェンディッシュがスリップストリームから脱して追撃したものの、石畳で跳ねるバイクを押さえ込みながらトップスピード69.2km/hを記録したファンアールトが先着。フィリプセンにホイール半分の差をつけて、そして通算35勝目の大記録樹立を逃してハンドルを叩いて悔しがるカヴェンディッシュに並ばせることなく、ファンアールトがシャンゼリゼを制した。
「ジェットコースターのようなツールだった。そして最後を勝利で締めくくるなんて想像を超えている。この勝利はプライスレス。世界最高レベルの完璧なリードアウトをしてくれたマイク・テウニッセンに感謝している」。1大会で難関山岳ステージを制し、個人タイムトライアルを制し、そして大集団スプリントを制した選手は1979年大会のベルナール・イノー(フランス)以来の快挙。真のオールラウンダーとして歴史に名前を刻んだ。カヴェンディッシュはスプリントに敗れたものの10年ぶりのマイヨヴェール獲得を果たしている。
そして総合優勝は危なげなく集団内でフィニッシュしたポガチャルの手に。22歳のポガチャルは2年連続で総合優勝を果たしただけでなく、2年連続で山岳賞とヤングライダー賞も獲得した。シャンゼリゼの表彰台でマイクを受け取ったポガチャルは、2度目の勝利の喜びを改めて表現するとともに、ポガチャルはチームへの感謝と家族への感謝を忘れなかった。
総合2位に入ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)は1996年大会で総合優勝したビャルヌ・リース以来となるデンマーク人選手の総合表彰台。2020年ブエルタ・ア・エスパーニャでグランツールデビュー(総合46位フィニッシュ)したばかりの24歳が、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のいないチームに好成績をもたらした。そして総合3位はリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の手に。2019年ジロ・デ・イタリア総合優勝、2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位に続く安定感ある成績を残している。
ツール・ド・フランス2021第21ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 2:39:37 |
2位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ) | |
5位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) | |
6位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
7位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
8位 | アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
9位 | シリル・バルト(フランス、B&Bホテルズ・KTM) | |
10位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、クベカ・ネクストハッシュ) | |
DNS | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 82:56:36 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:20 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:07:03 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:10:02 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:10:13 |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:11:43 |
7位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:12:23 |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:15:33 |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:16:04 |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:18:34 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 337pts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 291pts |
3位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 227pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 107pts |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 88pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 82pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 82:56:36 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:20 |
3位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:21:50 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 249:16:47 |
2位 | EFエデュケーション・NIPPO | 0:19:12 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | 1:11:35 |
text:Kei Tsuji in Paris, France
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