再び冷たい雨に濡れた休息日明けのツール第16ステージ。独走勝利を決めたパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)や2位のコルブレッリ、最終山岳でのアタックを語るファンアールト、東京五輪のため棄権したニバリたちのコメントを紹介します。



ステージ1位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

誇らしげにチャンピオンジャージに手を当てるパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)誇らしげにチャンピオンジャージに手を当てるパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Bettiniphoto
ワールドツアー初勝利、かつツールという世界最大のレースでの勝利だ。言葉がないよ。この勝利は僕を信じて応援してくれた家族や友人、そして僕を常に信じ励ましてくれたボーラ・ハンスグローエに捧げたい。またナショナルチャンピオンジャージを着て勝つことができ、とても嬉しく誇りに思う。

今大会では逃げに3度乗り、いずれも仕掛ける機会を逃してしまっていた。だが、早めに飛び出し勝利したモホリッチやモレマを見て「今度は早めに仕掛けよう」と心に決めていたんだ。だからアタックし、それが上手くいって本当に嬉しいよ。

最後1kmバナーを通過してフィニッシュまで続く登り坂を見た瞬間「なんてキツそうな登りなんだ」と驚いたよ。だけど、まだ勝利を味わう余裕は残っていて、その後勝利を確信したのは、監督の乗るチームカーが横を通り過ぎた残り500m地点だった。とても嬉しいし、この瞬間をめいいっぱい味わっているよ。

ステージ2位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

追走するソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)とダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)追走するソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)とダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) photo:Bettiniphoto
今日の走りには満足しているが、勝利には届かなかったので落ち込んでいる。コンラッドに追いつけると思った瞬間もあったが、彼の強さがそれを許さなかった。このツールにはステージ優勝するために来て、今日は絶好のチャンスだった。こういったステージは得意なので、今後も勝利を目指して頑張りたい。

ステージ3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)

マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) photo:Makoto AYANO
僕のような選手にとって今日はステージ優勝する絶好の機会だった。計画通り逃げに乗ることは成功し、中間ポイントを加算することができた。だが、勝利にはあと少し足りなかった。

(コンラッドの)アタックにより僕を含めた8人が遅れ、まさか彼がそのまま勝利するとは思わなかった。今日は登りでの調子が悪く、最後のスプリントに向けて脚を溜めていたんだ。だが、結果的にそれも叶わなかった。最後のスプリントではコフィディスの選手を捕まえるため早めに仕掛けたけれど、コルブレッリに追い抜かれてしまった。

マイヨヴェールに近づいたが、まだ十分ではない。カヴェンディッシュがステージ優勝するチャンスはあと2回残されている。もし彼がまた勝てば100ポイントも加算されてしまう。だからこれからのステージでは捨て身の覚悟で頑張りたい。

ステージ4位 ピエールリュック・ペリション(フランス、コフィディス)

全力を尽くした。厳しい登りだったが、監督のティエリー・マリシャルが「自分のリズムで登るんだ」と励ましてくれたおかげで、何とか登り切ることができた。ラスト数kmで再びティエリーが「出し尽くせ」と言ってくれたので、アタックしたんだ。まるでトラック競技のようだった。後ろとの差を広げることができたのだが、残り10mで捉まってしまった。だけど後悔はないし、残りのステージでも勝利を目指して戦い続ける。

ステージ9位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)

追走アタックを仕掛けるダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)追走アタックを仕掛けるダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
調子も良く脚もあった。コンラッドが1人飛び出した瞬間は、フィニッシュまで距離がありすぎると思った。だが結果的にあれが正しい動きで、僕が先頭でペースを作らなくてはならないぐらい集団の登るスピードは遅かった。僕らも追いつく寸前までいったのだが、直前で協調体制が崩れてしまったんだ。みんなポルテ・ダスペ峠での僕を警戒していたのだろうね。

コルブレッリと共に追い、山頂で20秒差まで詰めたのだがコンラッドは本当に強かったよ。彼の走りには脱帽だ。だけど自分の調子はいいし、脚もある。いまは回復に務め、2つあるステージで力の限りアタックしたい。

マイヨジョーヌ&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

危なげなくマイヨジョーヌをキープしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)危なげなくマイヨジョーヌをキープしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
とても寒く、厳しいステージになった。逃げを狙うアタック合戦は激しく、最初の2時間は大変だったよ。(最後の登りは)前の選手について走っていたので何が起こったのか分からなかった。でも明日に向けた脚慣らしには丁度よかったね。

たとえ平坦ステージであろうと、僕らは集中して走らなければいけない。明日は最も厳しいステージだから頑張りたい。明日と明後日のコースを試走したのだが、先に知ってしまったことを後悔するほど厳しい登りだ。明日の心配はしていないが、当然ハードなステージになるだろう。

総合3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

繰り下げでマイヨブランを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)繰り下げでマイヨブランを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
チームはとても強く、僕がタイムを失わないよう守ってくれた。明日がとても楽しみだよ。なんたって今大会で最もタフなステージの1つで、最後の登りでは素手の殴り合いになるだろうからね。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

最後の4級山岳アスプレ・サラの登りで後方のライバルの様子を伺って攻撃を仕掛けたワウト・ファンアールト(ベルギー)最後の4級山岳アスプレ・サラの登りで後方のライバルの様子を伺って攻撃を仕掛けたワウト・ファンアールト(ベルギー) photo:Makoto AYANO
計画していた動きではなかった。マイク(テウニッセン)が無線で総合上位の選手が数名遅れていると叫んだので、集団にプレッシャーをかけようと前に出た。また、ラスト数kmは向かい風も吹いていたんだ。やる価値はあったが、上手くはいかなかった。2位争いは僅差なので、数秒さえも大事になってくる。今後もチャンスと見れば、たとえそれが僅かだとしても狙いにいくよ。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Makoto AYANO
マイヨジョーヌを着るポガチャルは、今や一流選手かつ成熟しているように見える。この後にはタイムトライアルが控えているので、よほどのことが起きない限り、彼はマイヨジョーヌを持ち帰ることができるだろう。また山岳でも問題なくライバルについていけるはずだ。

僕自身は何とかやっているよ。レースに没頭し、雰囲気を楽しみながら走っている。パリへの残りの日数を指折り数えながらね。ツール序盤の落車は僕に大きな悪影響を及ぼしたが、徐々に良くなってきている。

イスラエル・スタートアップネイションの目標としては、マイケル・ウッズを逃げに乗せて山岳ポイントを稼ぐこと。そして彼のステージ優勝だ。もちろん僕にチャンスがあれば、逃げに乗り彼を助ける動きもしてみたいね。

東京五輪に向けレースを去ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)

これまでとは違ったツールになったが、リオ五輪前に出場した2016年大会とは近いものがあった。ツールとは世界トップレベルの選手と走り、士気を高めてくれるレースだ。東京に向けてトップコンディションに持っていく完璧な準備の場になった。調子は良いが、五輪のようなレースではチーム全員がトップコンディションでないと良い成績は得られない。チームメイト(かつイタリア代表)の(ジュリオ)チッコーネがチームの鍵になるだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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