登りフィニッシュでマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の強さは圧倒的だった。伸びやかなスプリントでエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)を下し、ジロ・ドンネのステージ通算30勝目を射止めた。
マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)たちがスタートを待つ photo:CorVos
北イタリアを西から東へ。ジロ・デ・イタリア・ドンネ第7ステージの舞台は109.6kmのアップダウンステージで、登坂距離1.5km/平均勾配4.8%の3級山岳を含む周回コースを合計6周回。最終周回の山頂ポイントにフィニッシュラインが設定されるパンチャー向けレイアウトであり、ジロ・ドンネステージ通算30勝目まであと一歩に迫ったマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の記録更新となるかに注目が集まった。
登坂距離1.5kmの3級山岳を6回登るアップダウンコース photo:CorVos
普段のトレーニングコースで逃げるリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
フォトグラファー(兄)を見つけたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)は単独先行し、山岳賞ランキング首位に浮上した photo:CorVos
序盤から逃げたリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)らは周回コースに入ってすぐ引き戻され、その後単独先行したシクロクロス世界チャンピオン、ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)は山岳ポイントを連取した後に集団へ。残り20kmを切ってステージ優勝を見据えたアタック合戦が勃発した。
ラスト2回目の3級山岳ではヤングライダー賞のニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)が、続いてチームメイトで総合2位のアシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)が加速したことでメイン集団の人数は30名以下まで絞り込まれた。2007年の世界選手権を制したマルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)がアタックするも、トレック・セガフレードが単独逃げるバスティアネッリを射程圏内に捉えつつフィニッシュまでの距離を減らしていった。
TTスペシャリスト、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)のスピードは、残り5kmでバスティアネッリを引き戻し、その後もメイン集団を押さえ込んだ。しかし最後の3級山岳へと入り、本格的な登り勾配となる残り1.3kmで「失うものは何もなく、チームメイトも控えていたので自信を持って仕掛けた」と、2日連続でティファニー・クロムウェル(オーストラリア、キャニオン・スラム)がアタックした。
クロムウェルの攻撃はトレック・セガフレードのコントロールを突き崩したものの、逆に優勝候補本命選手たちのアタックの呼び水にに。イタリアチャンピオンジャージを着るエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)がカウンターで抜け出し、その背後にはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ががっちりと食いついた。
こうして女子プロトン屈指の実力を誇る2人が飛び出し、「マリアンヌが付いてきたのを見て、”勝てる唯一の方法は彼女を降り落とすことだけだ”と思った」振り返るロンゴボルギーニがフォスに交代を求めることなく突き進む。何度も加速したイタリアチャンピオンだったが、集中した表情のフォスが千切れることはなかった。
ロンゴボルギーニを引き離したマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:Trek-Segafredo
圧倒的なスプリントでジロ・ドンネ30勝目を射止めたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
緩やかななS字を描く登りフィニッシュ。フォスが最も得意とする状況でロンゴボルギーニに為す術は無かった。伸びやかなスプリントで先行し、最短ラインを突き進んだフォスがフィニッシュライン上でガッツポーズを決めた。”女王”フォスがジロ・ドンネ通算30勝目を射止めると共に、ロードキャリア通算勝利数を235に伸ばした。
ジロ・デ・イタリア・ドンネ第7ステージトップスリー photo:CorVos
慣れた手つきでスプマンテを開けるマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
「ジロは私にとって特別なレース。ジロは毎日が新鮮でフォーカスできる。これが30勝目だなんて理解するのが難しい」と、マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)ランキングでさらなるリードを奪ったフォスは言う。「ジロではいつも気分が良く、このレースの雰囲気は特別。チームメイトとこの成功を共有できてとても嬉しい」と加えている。
またこの日、マリアローザのアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)はタイム差無しのステージ3位に食い込んだ。盤石な体制で第9ステージに控える1級山岳フィニッシュを見据えている。

北イタリアを西から東へ。ジロ・デ・イタリア・ドンネ第7ステージの舞台は109.6kmのアップダウンステージで、登坂距離1.5km/平均勾配4.8%の3級山岳を含む周回コースを合計6周回。最終周回の山頂ポイントにフィニッシュラインが設定されるパンチャー向けレイアウトであり、ジロ・ドンネステージ通算30勝目まであと一歩に迫ったマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の記録更新となるかに注目が集まった。




序盤から逃げたリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)らは周回コースに入ってすぐ引き戻され、その後単独先行したシクロクロス世界チャンピオン、ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)は山岳ポイントを連取した後に集団へ。残り20kmを切ってステージ優勝を見据えたアタック合戦が勃発した。
ラスト2回目の3級山岳ではヤングライダー賞のニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)が、続いてチームメイトで総合2位のアシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)が加速したことでメイン集団の人数は30名以下まで絞り込まれた。2007年の世界選手権を制したマルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)がアタックするも、トレック・セガフレードが単独逃げるバスティアネッリを射程圏内に捉えつつフィニッシュまでの距離を減らしていった。
TTスペシャリスト、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)のスピードは、残り5kmでバスティアネッリを引き戻し、その後もメイン集団を押さえ込んだ。しかし最後の3級山岳へと入り、本格的な登り勾配となる残り1.3kmで「失うものは何もなく、チームメイトも控えていたので自信を持って仕掛けた」と、2日連続でティファニー・クロムウェル(オーストラリア、キャニオン・スラム)がアタックした。
クロムウェルの攻撃はトレック・セガフレードのコントロールを突き崩したものの、逆に優勝候補本命選手たちのアタックの呼び水にに。イタリアチャンピオンジャージを着るエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)がカウンターで抜け出し、その背後にはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ががっちりと食いついた。
こうして女子プロトン屈指の実力を誇る2人が飛び出し、「マリアンヌが付いてきたのを見て、”勝てる唯一の方法は彼女を降り落とすことだけだ”と思った」振り返るロンゴボルギーニがフォスに交代を求めることなく突き進む。何度も加速したイタリアチャンピオンだったが、集中した表情のフォスが千切れることはなかった。


緩やかななS字を描く登りフィニッシュ。フォスが最も得意とする状況でロンゴボルギーニに為す術は無かった。伸びやかなスプリントで先行し、最短ラインを突き進んだフォスがフィニッシュライン上でガッツポーズを決めた。”女王”フォスがジロ・ドンネ通算30勝目を射止めると共に、ロードキャリア通算勝利数を235に伸ばした。


「ジロは私にとって特別なレース。ジロは毎日が新鮮でフォーカスできる。これが30勝目だなんて理解するのが難しい」と、マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)ランキングでさらなるリードを奪ったフォスは言う。「ジロではいつも気分が良く、このレースの雰囲気は特別。チームメイトとこの成功を共有できてとても嬉しい」と加えている。
またこの日、マリアローザのアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)はタイム差無しのステージ3位に食い込んだ。盤石な体制で第9ステージに控える1級山岳フィニッシュを見据えている。
ジロ・デ・イタリア・ドンネ2021第7ステージ結果
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 2:48:31 |
2位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) | |
4位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | |
5位 | ソラヤ・パラディン(イタリア、リブレーシング) | |
6位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、チームDSM) | |
7位 | マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) | |
8位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | |
9位 | イラリア・サングイネッティ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) | |
10位 | マビ・ガルシア(スペイン、アレBTCリュブリャナ) |
個人総合成績
1位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) | 17:00:14 |
2位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | 2:55 |
3位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 3:07 |
4位 | エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) | 5:56 |
5位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | 6:27 |
6位 | エリカ・マグナルディ(イタリア、セラティツィットWNTプロサイクリング) | 6:39 |
7位 | マビ・ガルシア(スペイン、アレBTCリュブリャナ) | 7:01 |
8位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、チームDSM) | 7:05 |
9位 | タチアナ・グデルツォ(イタリア、アレBTCリュブリャナ) | 7:28 |
10位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) | 7:50 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) |
山岳賞 | ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) |
チーム総合成績 | SDワークス |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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