2021/07/01(木) - 02:43
6月30日に行われたツール・ド・フランス第5ステージ個人タイムトライアルで、平均51km/hをマークした前年度覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が圧勝。ステージ5位に入ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が8秒差でマイヨジョーヌを守った。
6月30日(水)第5ステージ
シャンジェ〜ラヴァル・エスパス・マイエンヌ
距離:27.2km(個人TT)
獲得標高差:320m
天候:曇り時々雨
気温:18度
例年よりも個人タイムトライアルの重要度が高いツール第108回大会。この第5ステージを含めて2つの個人TTが設定されており、その合計距離は58kmに達する。これは過去8年間で最も長い距離であり、大会1週目に30km近い距離の個人TTが登場するのは今年と同じブレストで開幕した2008年大会以来となる。
シャンジェをスタートする27.2kmのコースは基本的に幹線道路を繋いでいくが、緩いアップダウンといくつものロンポワン、街中のコーナーによってリズムを掴みにくい。終盤にかけて小刻みに進路を変えながらラヴァルの街を駆け抜け、完成したばかりの複合施設エスパス・マイエンヌの前でフィニッシュを迎える。すでにブルターニュ地方を脱しているが相変わらず天候は気まぐれで、中盤スタートの選手たちは雨の中の走行を余儀なくされた。
TTスペシャリストたちを圧倒したポガチャル
下馬評通り、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったTTスペシャリストが好走し、ヨーロッパTTチャンピオンジャージを着るキュングが長時間ホットシートに居座った。しかし、総合トップ10の走りが始まるとキュングの中間計測ポイントを更新する選手が続々と現れるようになる。総合6位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が、第1計測(8.8km地点)でキュングのタイムを11秒も更新した。
平均スピードが上がる、つまりビッグパワーを必要とするステージ中盤の直線区間でさらにポガチャルはペースアップ。第2計測(17.2km地点)でキュングとのタイム差を17秒まで広げると、もうその勢いは最後まで止まらなかった。残り2.5kmから始まる登りを軽快に走ったポガチャルが32分フラットでフィニッシュ。キュングを19秒差で下し、平均スピードを51km/hに乗せた。
「今日は本当に良い1日になった。全くミスを犯すことなく走り切ることができたんだ。残念ながら何人かのライバルたちは濡れたコースに苦しめられる結果になったけど、自分はドライなコースを走ることができた。路面も気温もパーフェクトだった」。フィニッシュラインで小さくガッツポーズし、インタビュー席にやってきたポガチャルは飄々とした表情でそう語った。「過去の個人TTではスタートから突っ込みすぎるミスを犯しがちだった。でも今日はペースを守って、最後まで完璧なリズムを刻むことができた。」。
第3ステージの落車で足止めを食らった影響で26秒遅れたが、無傷で序盤ステージを切り抜けていたポガチャル。2020年大会の最終個人TTの再現ともいうべき圧倒的な走りでライバルたちを一蹴し、総合でも大きくジャンプアップした。ディフェンディングチャンピオンにとってこれがステージ通算4勝目となる。
ステージ5位のファンデルプールがマイヨジョーヌをキープ
会場を騒然とさせる走りを披露したポガチャルだったが、マイヨジョーヌにわずかに届かなかった。個人TTを終えてマイヨジョーヌを受け取ったのは、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)から8秒、総合3位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)から31秒、そして総合6位ポガチャルから39秒のリードで初めてグランツールの個人TTに挑んだマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。
前日のインタビューで「風洞実験もしたことがなければ、TTの練習なんてほとんどしたことがない」と語っていたファンデルプール。マウンテンバイクとシクロクロス、ロードバイクを乗りこなす多才なマチューは、TTバイクに乗っても速かった。ポガチャルから31秒遅れる結果になったものの、盟友ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と1秒差のステージ5位でフィニッシュ。ポガチャルと8秒差でマイヨジョーヌを守っている。
「自分自身の走りに驚いている。TTバイクのポジションを煮詰めるために昨晩遅くまで付き合ってくれたチームに感謝したい。限界以上まで追い込むことができたので、自分を誇りに思う。今日は残り2km(の登り)が重要だったので、タンクに少しだけ燃料を残しながら走ったんだ」と、第2ステージで手にしたマイヨジョーヌを翌日も着る権利を得たファンデルプールは語る。
最終的な総合争いの観点で見ると、ポガチャルはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)から44秒、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)から1分07秒、アラフィリップから1分11秒、ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)から1分18秒、カラパスから1分44秒のタイムを奪うことに成功。「もちろんマイヨジョーヌを着たいけど、マチュー(ファンデルプール)がマイヨジョーヌに似合っているので問題ない。タイムを失わないのが目標だったので、タイムを稼ぐことができて本当に嬉しい」と、マイヨジョーヌ争いのポールポジションにつけるポガチャルは語っている。
6月30日(水)第5ステージ
シャンジェ〜ラヴァル・エスパス・マイエンヌ
距離:27.2km(個人TT)
獲得標高差:320m
天候:曇り時々雨
気温:18度
例年よりも個人タイムトライアルの重要度が高いツール第108回大会。この第5ステージを含めて2つの個人TTが設定されており、その合計距離は58kmに達する。これは過去8年間で最も長い距離であり、大会1週目に30km近い距離の個人TTが登場するのは今年と同じブレストで開幕した2008年大会以来となる。
シャンジェをスタートする27.2kmのコースは基本的に幹線道路を繋いでいくが、緩いアップダウンといくつものロンポワン、街中のコーナーによってリズムを掴みにくい。終盤にかけて小刻みに進路を変えながらラヴァルの街を駆け抜け、完成したばかりの複合施設エスパス・マイエンヌの前でフィニッシュを迎える。すでにブルターニュ地方を脱しているが相変わらず天候は気まぐれで、中盤スタートの選手たちは雨の中の走行を余儀なくされた。
TTスペシャリストたちを圧倒したポガチャル
下馬評通り、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったTTスペシャリストが好走し、ヨーロッパTTチャンピオンジャージを着るキュングが長時間ホットシートに居座った。しかし、総合トップ10の走りが始まるとキュングの中間計測ポイントを更新する選手が続々と現れるようになる。総合6位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が、第1計測(8.8km地点)でキュングのタイムを11秒も更新した。
平均スピードが上がる、つまりビッグパワーを必要とするステージ中盤の直線区間でさらにポガチャルはペースアップ。第2計測(17.2km地点)でキュングとのタイム差を17秒まで広げると、もうその勢いは最後まで止まらなかった。残り2.5kmから始まる登りを軽快に走ったポガチャルが32分フラットでフィニッシュ。キュングを19秒差で下し、平均スピードを51km/hに乗せた。
「今日は本当に良い1日になった。全くミスを犯すことなく走り切ることができたんだ。残念ながら何人かのライバルたちは濡れたコースに苦しめられる結果になったけど、自分はドライなコースを走ることができた。路面も気温もパーフェクトだった」。フィニッシュラインで小さくガッツポーズし、インタビュー席にやってきたポガチャルは飄々とした表情でそう語った。「過去の個人TTではスタートから突っ込みすぎるミスを犯しがちだった。でも今日はペースを守って、最後まで完璧なリズムを刻むことができた。」。
第3ステージの落車で足止めを食らった影響で26秒遅れたが、無傷で序盤ステージを切り抜けていたポガチャル。2020年大会の最終個人TTの再現ともいうべき圧倒的な走りでライバルたちを一蹴し、総合でも大きくジャンプアップした。ディフェンディングチャンピオンにとってこれがステージ通算4勝目となる。
ステージ5位のファンデルプールがマイヨジョーヌをキープ
会場を騒然とさせる走りを披露したポガチャルだったが、マイヨジョーヌにわずかに届かなかった。個人TTを終えてマイヨジョーヌを受け取ったのは、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)から8秒、総合3位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)から31秒、そして総合6位ポガチャルから39秒のリードで初めてグランツールの個人TTに挑んだマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。
前日のインタビューで「風洞実験もしたことがなければ、TTの練習なんてほとんどしたことがない」と語っていたファンデルプール。マウンテンバイクとシクロクロス、ロードバイクを乗りこなす多才なマチューは、TTバイクに乗っても速かった。ポガチャルから31秒遅れる結果になったものの、盟友ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と1秒差のステージ5位でフィニッシュ。ポガチャルと8秒差でマイヨジョーヌを守っている。
「自分自身の走りに驚いている。TTバイクのポジションを煮詰めるために昨晩遅くまで付き合ってくれたチームに感謝したい。限界以上まで追い込むことができたので、自分を誇りに思う。今日は残り2km(の登り)が重要だったので、タンクに少しだけ燃料を残しながら走ったんだ」と、第2ステージで手にしたマイヨジョーヌを翌日も着る権利を得たファンデルプールは語る。
最終的な総合争いの観点で見ると、ポガチャルはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)から44秒、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)から1分07秒、アラフィリップから1分11秒、ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)から1分18秒、カラパスから1分44秒のタイムを奪うことに成功。「もちろんマイヨジョーヌを着たいけど、マチュー(ファンデルプール)がマイヨジョーヌに似合っているので問題ない。タイムを失わないのが目標だったので、タイムを稼ぐことができて本当に嬉しい」と、マイヨジョーヌ争いのポールポジションにつけるポガチャルは語っている。
ツール・ド・フランス2021第5ステージ結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:32:00 |
2位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | 0:00:19 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:27 |
4位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:30 |
5位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:00:31 |
6位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:37 |
7位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:44 |
8位 | マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:55 |
9位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:00 |
13位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:08 |
14位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:11 |
15位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | 0:01:14 |
16位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:18 |
21位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:42 |
23位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:44 |
26位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:01:49 |
27位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
29位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:52 |
40位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:02:08 |
44位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:14 |
51位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:02:36 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 16:51:41 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:08 |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:30 |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:48 |
5位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:21 |
6位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | 0:01:28 |
7位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:29 |
8位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:43 |
9位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:44 |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:48 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 89pts |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 84pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 78pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 5pts |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 4pts |
3位 | アントニー・ペレス(フランス、コフィディス) | 3pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 16:51:49 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:35 |
3位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:27 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 50:39:14 |
2位 | EFエデュケーション・NIPPO | 0:02:25 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 0:03:02 |
text:Kei Tsuji in Laval, France
Amazon.co.jp