MTBワールドカップ第3戦でマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)とロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)が金曜日のショートトラック、そして日曜日のメインレースで共に勝利した。



MTBワールドカップ第3戦の舞台は昨年10月に世界選手権を迎えたオーストリアのレオガングMTBワールドカップ第3戦の舞台は昨年10月に世界選手権を迎えたオーストリアのレオガング (c)UCI
東京オリンピックMTBレースまであと44日。昨年10月に世界選手権を迎えたオーストリアのレオガングを舞台にUCI MTBワールドカップ第3戦が開催された。

ロードレースに戻ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とトレーニング中の事故で負傷したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)不在の男子エリートレース。ホールショットを獲ったのはニュージーランドチャンピオンのアントン・クーパー(トレックファクトリーレーシングXC)だった。

続く登りでオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)が、そして南アフリカチャンピオンのアラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング)たちが続く。金曜日に行われたショートトラックレースのスタートで出遅れたニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)は4列目からの追い上げを強いられた。

オンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)とアントン・クーパー(ニュージーランド、トレックファクトリーレーシングXC)が序盤リードオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)とアントン・クーパー(ニュージーランド、トレックファクトリーレーシングXC)が序盤リード (c)UCI
先頭グループを形成するオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)とマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)先頭グループを形成するオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)とマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム) (c)UCI
4列目スタートのニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)は10位でフィニッシュ4列目スタートのニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)は10位でフィニッシュ (c)UCI
シンク、クーパー、ハースリー、そしてショートトラック勝者マティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)といったメンバーが先頭グループを作ってスタートループを終える。メインループに入っても尚ハイペースを刻むシンクに追従できたのはクーパーとフルッキガーの2人だけ。やがてクーパーが脱落し、レース前半で優勝争いは登りに秀でるシンクとフルッキガーの二人に絞られた。

単独追走するクーパーの後ろではアルカンシエルを着用するヨルダン・サルー(フランス、スペシャライズドファクトリーレーシング)やトマス・リッチャー(スイス、KMCオルベア)が4番手グループを作り、シューターは一時20番手付近まで転落してしまう。終盤に追い上げて10番フィニッシュした現ヨーロッパチャンピオンは「好調のまま乗り込んだがショートトラックのミスが響いた。今は耐えどき」と振り返っている。

先頭グループが動いたのは全6周回中の5周目だった。フルッキガーの再三に渡るペースアップでシンクが遅れ、11秒リードを得て最終周回に突入する。遅れたシンク、そして3番手で粘るクーパーはそれぞれ追走したものの、フルッキガーの背中が近づくことはなかった。

シンクを突き放したマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)が勝利シンクを突き放したマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)が勝利 (c)UCI
男子エリートレース表彰台男子エリートレース表彰台 (c)UCIワールドカップリーダーとなったマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)ワールドカップリーダーとなったマティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム) (c)UCI


このレオガングで開催された2020年世界選手権で2位銀メダルに輝いたフルッキガーが、ショートトラックに続く完全制覇を達成。ワールドカップの上位常連となった32歳が、最終周回でのメカトラに泣いた第1戦、そしてファンデルプールとピドコックに敗れた第2戦の悔しさを晴らした。



女子:ルコントが怒涛のワールドカップ3連勝

第2戦でのクラッシュで腕を骨折した前世界チャンピオンのケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング)が欠場した女子エリートレースは、スイスチャンピオンであるヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング)のダッシュで動き出す。

ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン)がスタート直後の登りでリードポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン)がスタート直後の登りでリード (c)UCI
1周目に独走態勢を築き上げたロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)1周目に独走態勢を築き上げたロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス) (c)UCI
続く登りでアルカンシエルのポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン)がペースを作り、今季圧倒的な走りを披露しているロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)が続く。フランス勢には好調ハイリー・バッテン(アメリカ、トリニティレーシング)が続いたものの、メインループに入るとすぐさまルコントが先頭に立った。

誰よりも優れるパワーウェイトレシオを武器にするルコントは、登りのたびに後続とのリードを広げていく。バッテンもフェランプレヴォも、レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカーXソース)も「普段通り」の展開に持ち込んだワールドカップリーダーに追従できなかった。

徐々に追い上げ2番手グループに入ったラウラ・スティッガー(オーストラ、スペシャライズドファクトリーレーシング)徐々に追い上げ2番手グループに入ったラウラ・スティッガー(オーストラ、スペシャライズドファクトリーレーシング) (c)UCI
圧倒的な走りで3連覇を飾ったロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)	圧倒的な走りで3連覇を飾ったロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス) (c)UCI
2位争いを制したジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン、チーム31:アウトライド)2位争いを制したジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン、チーム31:アウトライド) (c)UCI
軽やかな走りで突き進むルコントは、1周回ごとに約30秒リードを積み重ね、2分6秒ものリードで最終周回へ。危なげない走りを最後まで維持し、怒涛のワールドカップ3連勝を成し遂げた。

接戦の2番手争いはフェランプレヴォとラウラ・スティッガー(オーストラ、スペシャライズドファクトリーレーシング)にネフとジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン、チーム31:アウトライド)が追いつき、登りでスティッガーとリスヴェッツが抜け出すことに成功。さらに最終区間で先行したリスヴェッツが2位表彰台を射止めている。
男子エリート結果
1位 マティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム) 1:15:50
2位 オンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング) 1:16:04
3位 アントン・クーパー(ニュージーランド、トレックファクトリーレーシングXC) 1:16:35
4位 トマ・グリオ(フランス、マッシバイクス) 1:17:16
5位 ヴラッド・ダスカル(ルーマニア、トレックファクトリーレーシングXC) 1:17:17
6位 トマス・リッチャー(スイス、KMCオルベア) 1:17:18
7位 マキシム・マロット(フランス、サンタクルズFSA) 1:17:34
8位 シモン・アンドレアッセン(デンマーク、キャノンデールファクトリーレーシング) 1:17:39
9位 ヴィクトール・コレツキー(フランス、KMCオルベア) 1:17:44
10位 ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング) 1:17:49
女子エリート結果
1位 ロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス) 1:17:03
2位 ジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン、チーム31:アウトライド) 1:18:51
3位 ラウラ・スティッガー(オーストラ、スペシャライズドファクトリーレーシング) 1:18:53
4位 ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング) 1:19:05
5位 ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン) 1:19:33
6位 イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング) 1:19:45
7位 レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカーXソース) 1:20:20
8位 アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) 1:20:27
9位 アルバガルシア・マルティネス(スペイン、BH・テンプロカフェUCC) 1:20:35
10位 エヴァ・リヒナー(イタリア、トリンクスファクトリーチーム) 1:21:17
text:So Isobe
photo:UCI