2021/06/04(金) - 12:18
スプリンターのラストチャンスとなるはずだったクリテリウム・デュ・ドーフィネ第5ステージ。残り1kmから飛び出したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の猛追を退け、3年ぶりとなるステージ勝利を飾った。
サン=シャモンからサン=ヴァリエまでの175kmで行われたドーフィネ5日目は、獲得標高差が2,360mに及ぶ"平坦"ステージ。スタートから9km地点の3級山岳を含む4つのカテゴリー山岳を越え、残り14km地点には最大勾配23%にも達する2級山岳モントレビュー峠(距離1.4km/平均勾配11%)が登場。パンチャー系スプリンターですら厳しいレイアウトだ。
総合首位から9秒遅れの3位につけるカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)など有力選手が揃った8名が逃げグループを形成したものの、アスグリーンを警戒するボーラ・ハンスグローエや、第3ステージに続きソンニ・コルブレッリ(イタリア)で勝負したいバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団を牽引したため、タイム差が2分を超えることはなかった。
中間スプリントをトップ通過したアスグリーンがボーナスタイム3秒を獲得し、総合順位でトップと6秒差まで縮めることに成功。しかし集団牽引の役割がボーラ・ハンスグローエからイネオス・グレナディアーズに代わりペースを上げ、逃げグループで最後まで粘ったヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)を残り43kmでキャッチ。レースは振り出しに戻った。
3級山岳バルべ・ブリュ峠の手前でノルウェー王者スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)がメイン集団から1人飛び出すと、位置取りが激化した集団後方で7名ほどの落車が発生する。それに巻き込まれたイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)はリタイアし、レース後にチームから大腿骨頸骨折が発表されている。
最大勾配が20%を越える最終2級山岳モントレビュー峠の登りではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)による牽引でビストラムを吸収。勾配を利用してローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)がアタックをするが、バーレーン・ヴィクトリアスの最後のアシストとなったジャック・ヘイグ(オーストラリア)の追走により、残り2kmで引き戻された。
リーダージャージを着るルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)や総合上位勢、山岳をクリアしたコルブレッリらが残るメイン集団がフラムルージュ(残り1km)をくぐると、鋭角コーナーを利用したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がライバルたちの虚を突いてアタックした。
各チームは追走役のアシストを残しておらず、先頭で脚を使ったヘイグがブリッジを試みたものの脚を溜めていたトーマスのスピードには届かない。後方と50mほどの差をつけトーマスが最終コーナーに突入し、その後方では残り150mからコルブレッリがスプリントを開始。トーマスが「ヘルメットが吹き飛ばされるかと思った」と表現するほどの速度で差を縮めるコルブレッリに対し、トーマスが僅かな差を守り先着した。
総合優勝した2018年のツール・ド・フランス第12ステージ以来、3年振りの勝利となったトーマス。ライバルの虚を突くアタックについて「計画した動きではなかった。バーレーンに選手が残っていなかったので、コーナーも鋭角だったから思い切っていこうと思った。残り1kmからアタックし、無線から後ろと差がついたと伝えられたので全力で踏んだ」とコメント。「正直、フィニッシュラインを越えた瞬間は勝ったと思わなかった。最後の2mでガッツポーズをしようとしたらコルブレッリが凄い速さで迫ってきて、落ちそうになるヘルメットを抑えたんだ。でも勝てて本当に良かったよ」と、フィニッシュした時の頭を抱えるポーズについて冗談交じりに説明した。
リーダージャージは先頭集団でフィニッシュしたルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がキープ。翌日から始まる本格的な山岳ステージ3連戦について聞かれると「明日の総合勢による戦いはウィルコ(ケルデルマン)とパトリック(コンラッド)のために働くので、もうポディウムはないだろう」と答えた。
翌日の6日目は丘陵ステージと分類されているが、後半に詰め込まれたカテゴリー山岳が連続する山頂フィニッシュ。ツールを控えた総合勢たちの調子が明らかとなる。
サン=シャモンからサン=ヴァリエまでの175kmで行われたドーフィネ5日目は、獲得標高差が2,360mに及ぶ"平坦"ステージ。スタートから9km地点の3級山岳を含む4つのカテゴリー山岳を越え、残り14km地点には最大勾配23%にも達する2級山岳モントレビュー峠(距離1.4km/平均勾配11%)が登場。パンチャー系スプリンターですら厳しいレイアウトだ。
総合首位から9秒遅れの3位につけるカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)など有力選手が揃った8名が逃げグループを形成したものの、アスグリーンを警戒するボーラ・ハンスグローエや、第3ステージに続きソンニ・コルブレッリ(イタリア)で勝負したいバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団を牽引したため、タイム差が2分を超えることはなかった。
中間スプリントをトップ通過したアスグリーンがボーナスタイム3秒を獲得し、総合順位でトップと6秒差まで縮めることに成功。しかし集団牽引の役割がボーラ・ハンスグローエからイネオス・グレナディアーズに代わりペースを上げ、逃げグループで最後まで粘ったヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)を残り43kmでキャッチ。レースは振り出しに戻った。
3級山岳バルべ・ブリュ峠の手前でノルウェー王者スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)がメイン集団から1人飛び出すと、位置取りが激化した集団後方で7名ほどの落車が発生する。それに巻き込まれたイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)はリタイアし、レース後にチームから大腿骨頸骨折が発表されている。
最大勾配が20%を越える最終2級山岳モントレビュー峠の登りではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)による牽引でビストラムを吸収。勾配を利用してローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)がアタックをするが、バーレーン・ヴィクトリアスの最後のアシストとなったジャック・ヘイグ(オーストラリア)の追走により、残り2kmで引き戻された。
リーダージャージを着るルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)や総合上位勢、山岳をクリアしたコルブレッリらが残るメイン集団がフラムルージュ(残り1km)をくぐると、鋭角コーナーを利用したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がライバルたちの虚を突いてアタックした。
各チームは追走役のアシストを残しておらず、先頭で脚を使ったヘイグがブリッジを試みたものの脚を溜めていたトーマスのスピードには届かない。後方と50mほどの差をつけトーマスが最終コーナーに突入し、その後方では残り150mからコルブレッリがスプリントを開始。トーマスが「ヘルメットが吹き飛ばされるかと思った」と表現するほどの速度で差を縮めるコルブレッリに対し、トーマスが僅かな差を守り先着した。
総合優勝した2018年のツール・ド・フランス第12ステージ以来、3年振りの勝利となったトーマス。ライバルの虚を突くアタックについて「計画した動きではなかった。バーレーンに選手が残っていなかったので、コーナーも鋭角だったから思い切っていこうと思った。残り1kmからアタックし、無線から後ろと差がついたと伝えられたので全力で踏んだ」とコメント。「正直、フィニッシュラインを越えた瞬間は勝ったと思わなかった。最後の2mでガッツポーズをしようとしたらコルブレッリが凄い速さで迫ってきて、落ちそうになるヘルメットを抑えたんだ。でも勝てて本当に良かったよ」と、フィニッシュした時の頭を抱えるポーズについて冗談交じりに説明した。
リーダージャージは先頭集団でフィニッシュしたルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がキープ。翌日から始まる本格的な山岳ステージ3連戦について聞かれると「明日の総合勢による戦いはウィルコ(ケルデルマン)とパトリック(コンラッド)のために働くので、もうポディウムはないだろう」と答えた。
翌日の6日目は丘陵ステージと分類されているが、後半に詰め込まれたカテゴリー山岳が連続する山頂フィニッシュ。ツールを控えた総合勢たちの調子が明らかとなる。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第5ステージ結果
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 4:02:15 |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
3位 | アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
4位 | カルロス・バルベロ(スペイン、クベカ・アソス) | |
5位 | マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・スタートアップネイション) | |
6位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
9位 | ハリー・スウェニー(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
10位 | フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
102位 | 中根英登 (EFエデュケーション・NIPPO) | 6:31 |
個人総合成績
1位 | ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 16:59:22 |
2位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01 |
3位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:06 |
4位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 0:09 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:13 |
6位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:14 |
7位 | イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM) | |
8位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:16 |
9位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:32 |
10位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | 0:34 |
その他の特別賞
山岳賞 | マシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル) |
ポイント賞 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
ヤングライダー賞 | イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM) |
チーム総合成績 | ボーラ・ハンスグローエ |
text:Sotaro Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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