2021/06/02(水) - 15:21
カステリがブランド最高峰となるハイパフォーマンスショーツ「PREMIO BLACK(プレミオブラック)」を発表。「人生一番のロングライドで最高の着心地を」というモットーを掲げて開発された一着を、ファーストインプレッションと共に紹介したい。
カステリと言えば、レインウェアの常識を変えたGabbaジャージや、身体にフィットするエアロジャージ群など、特にレースで求められる機能を追求するハイパフォーマンスサイクリングアパレルブランド。近年ではツール・ド・フランスを筆頭に何度もグランツールを制したイギリスのトップチーム、イネオス・グレナディアーズに選ばれたブランドとして、特に厳しいコンディション下において選手たちの走りを支えてきた。
今回華々しくデビューしたPREMIO BLACK(プレミオブラック)は、2019年夏に発表され、今やイネオス・グレナディアーズの選手たちの基本ショーツとなったSUPERLEGGERA(スーパーレッジェーラ)ビブショーツを更に進化させたもの。基本となる生地テクノロジーは同様だが、コンプレッションを調整したことによるサポート能力の向上や、パネル数、つまり縫い目を減らすことによる、心地良いフィッティングを究極まで追求していることが大きな特徴だ。
「シンプルに、より快適に。」をモットーに掲げるPREMIO BLACKは、SUPERLEGGERAからの「引き算」で成り立つショーツだ。メインパネルはたった3枚(従来の1/3だという!)で構成され、更に構造を保つための部材も最小限に留めているため縫い目が少なく、これがフィット感を向上させる要の部分。ストレスを感じやすいウエスト部分から縫い目をなくした(SUPERLEGGERAと見比べると良く分かる)ことでペダリング時のストレスを大幅に低減しているという。
従来よりさらに薄く、それでいて高耐久を誇る生地はカステリの独自開発によるものであり、従来製品よりもパネル数を減らす目的で再設計されている。各部分に求められる性能を発揮するべく繊維1本単位で織り込み密度をコントロールしているという。
例えば筋肉へのサポートが求められる腰から太腿上部にかけては生地に厚さを持たせることで着圧を増し、逆に締め付けが要らない裾部分は密度を落として通気性を重視するなど、「一枚の生地をカットしたパネルを組み合わせる」という従来製法からはもちろん、SUPERLEGGERAと比較しても大幅な性能向上を叶えた。紙のような薄さゆえに通気性に優れるというメリットも持つ。織生地は編生地よりも伸縮性に劣るため、カステリは35%のライクラ素材を織り込むことでビブショーツに求められる伸縮性を得ている。
パッドは2009年のデビュー以来、40回以上の改良を重ねてブラッシュアップされてきたProgetto X2 Airだ。クッション性を重視したインナーレイヤーと、肌との密着感を高めるスキンケアレイヤーの2重構造を持つカステリの最高峰パッドであり、その性能はSUPERLEGGERAでお墨付き。どんな長さの胴にもフィットすることを目指したビブストラップや、ショーツが極端に伸びても透けないことを目指した裏地付きバックパネル、さらには縫い目を無くした背中部分など、「神は細部に宿る」を地でいくカステリ渾身の一着と言えるだろう。
-インプレッション
例えば、あなたがサドル上でライバルと競り合っているとき、テンポを上げて過酷な道のりに挑んでいるとき。あるいは既に攣りかけた脚を引きずりながら、それでもまだ見ぬ頂上を目指しているとき。そんな、誰かに、そして自分に負けそうな状況においても、PREMIO BLACKは存在感を主張することなく、あなたに寄り添って、走りを支えてくれる。
私もこれまで多くのビブショーツを試してきたけれど、ここまで伸びやかな着心地とサポート機能を両立した素晴らしい一着は初めてだ。さぞかし値段も良いのだろうと思いきや、SUPERLEGGERAから僅か2,500円アップの33,000円。PREMIO BLACKは今現在の最注目ショーツと言いきれるだけの魅力がある。
「あれ、これってひょっとして着心地が良くないのでは?」。赤いサソリマークすらない(この生地は転写不可素材なのだという)真っ黒なショーツを初めて手に取った時は、紙のように薄く乾いた質感に戸惑うはずだ。ただし心配はご無用。実際に脚を通せばすぐ、それが杞憂だということに気づくこととなる。
ペラペラに思えた生地の肌触りはよく、伸縮性は非常に高い。局所的にも全体的にもキツさを感じることなく身体にフィットして、サドル上で深い前傾姿勢をとっても快適だ。走りのテンポを上げるほどにショーツの存在感が消え、むしろクッション性の高いパッドが(良い意味で)目立つようにすら感じる。もちろん縫い目の少なさも着心地に貢献している部分だ。
高機能ショーツと言えば固いコンプレッションで押さえつけるイメージが先行しがちだが、PREMIO BLACKはそういう窮屈さとは一切無縁。であるにも関わらず、ペダリング中はお尻から太ももにかけてのサポートを感じる。本当に着心地が良いとはこのことを指すのだな、とさえ思った。
フィッティング以外に感心させられたのが高い通気性だった。晴れと雨が連続する蒸し暑い中でも汗の乾きが早く、特に高温多湿となり、やがて酷暑となるこれからの季節にはうってつけだと思う。意外にも公式リリースでは一言も触れられていないのだが、生地表面に撥水機能が持たされているため、そもそも肌が雨に濡れにくいというメリットもあった。この辺りは流石レインジャージで抜群の信頼性を得るカステリと言うべきだ。
心配になるのは生地の薄さゆえの耐久性なのだが、カステリによれば何年も使い続けられるよう生地自体に工夫を凝らしているという。実際に何回か使ってもサドル部分の擦れは見当たらないし、撥水機能すら落ちる気配はない。改善点を探すのが困難なほど完成度が高いが、強いて言うなら乗車ポジションを考えたビブがやや(他の部分と比べて)キツく感じることくらいだ。
アスリートとの連携を密に取り、ハイパフォーマンスサイクリングウェア界を改革し、そして牽引してきたカステリが放つ最高級ビブショーツ。
この素晴らしい着心地は、きっと過去イチのビッグライドに挑戦する時、優しく、それでいて力強く寄り添ってくれるはず。まして買い求めやすい価格とあるならば、公式サイトの購入ボタンを押す際の躊躇は不要だ。
カステリ PREMIO BLACK
カラー:ブラック/サヴィルブルー
サイズ:S〜3XL
フィット:レースフィット
税込価格:33,000円
text:So Isobe
カステリと言えば、レインウェアの常識を変えたGabbaジャージや、身体にフィットするエアロジャージ群など、特にレースで求められる機能を追求するハイパフォーマンスサイクリングアパレルブランド。近年ではツール・ド・フランスを筆頭に何度もグランツールを制したイギリスのトップチーム、イネオス・グレナディアーズに選ばれたブランドとして、特に厳しいコンディション下において選手たちの走りを支えてきた。
今回華々しくデビューしたPREMIO BLACK(プレミオブラック)は、2019年夏に発表され、今やイネオス・グレナディアーズの選手たちの基本ショーツとなったSUPERLEGGERA(スーパーレッジェーラ)ビブショーツを更に進化させたもの。基本となる生地テクノロジーは同様だが、コンプレッションを調整したことによるサポート能力の向上や、パネル数、つまり縫い目を減らすことによる、心地良いフィッティングを究極まで追求していることが大きな特徴だ。
「シンプルに、より快適に。」をモットーに掲げるPREMIO BLACKは、SUPERLEGGERAからの「引き算」で成り立つショーツだ。メインパネルはたった3枚(従来の1/3だという!)で構成され、更に構造を保つための部材も最小限に留めているため縫い目が少なく、これがフィット感を向上させる要の部分。ストレスを感じやすいウエスト部分から縫い目をなくした(SUPERLEGGERAと見比べると良く分かる)ことでペダリング時のストレスを大幅に低減しているという。
従来よりさらに薄く、それでいて高耐久を誇る生地はカステリの独自開発によるものであり、従来製品よりもパネル数を減らす目的で再設計されている。各部分に求められる性能を発揮するべく繊維1本単位で織り込み密度をコントロールしているという。
例えば筋肉へのサポートが求められる腰から太腿上部にかけては生地に厚さを持たせることで着圧を増し、逆に締め付けが要らない裾部分は密度を落として通気性を重視するなど、「一枚の生地をカットしたパネルを組み合わせる」という従来製法からはもちろん、SUPERLEGGERAと比較しても大幅な性能向上を叶えた。紙のような薄さゆえに通気性に優れるというメリットも持つ。織生地は編生地よりも伸縮性に劣るため、カステリは35%のライクラ素材を織り込むことでビブショーツに求められる伸縮性を得ている。
パッドは2009年のデビュー以来、40回以上の改良を重ねてブラッシュアップされてきたProgetto X2 Airだ。クッション性を重視したインナーレイヤーと、肌との密着感を高めるスキンケアレイヤーの2重構造を持つカステリの最高峰パッドであり、その性能はSUPERLEGGERAでお墨付き。どんな長さの胴にもフィットすることを目指したビブストラップや、ショーツが極端に伸びても透けないことを目指した裏地付きバックパネル、さらには縫い目を無くした背中部分など、「神は細部に宿る」を地でいくカステリ渾身の一着と言えるだろう。
-インプレッション
例えば、あなたがサドル上でライバルと競り合っているとき、テンポを上げて過酷な道のりに挑んでいるとき。あるいは既に攣りかけた脚を引きずりながら、それでもまだ見ぬ頂上を目指しているとき。そんな、誰かに、そして自分に負けそうな状況においても、PREMIO BLACKは存在感を主張することなく、あなたに寄り添って、走りを支えてくれる。
私もこれまで多くのビブショーツを試してきたけれど、ここまで伸びやかな着心地とサポート機能を両立した素晴らしい一着は初めてだ。さぞかし値段も良いのだろうと思いきや、SUPERLEGGERAから僅か2,500円アップの33,000円。PREMIO BLACKは今現在の最注目ショーツと言いきれるだけの魅力がある。
「あれ、これってひょっとして着心地が良くないのでは?」。赤いサソリマークすらない(この生地は転写不可素材なのだという)真っ黒なショーツを初めて手に取った時は、紙のように薄く乾いた質感に戸惑うはずだ。ただし心配はご無用。実際に脚を通せばすぐ、それが杞憂だということに気づくこととなる。
ペラペラに思えた生地の肌触りはよく、伸縮性は非常に高い。局所的にも全体的にもキツさを感じることなく身体にフィットして、サドル上で深い前傾姿勢をとっても快適だ。走りのテンポを上げるほどにショーツの存在感が消え、むしろクッション性の高いパッドが(良い意味で)目立つようにすら感じる。もちろん縫い目の少なさも着心地に貢献している部分だ。
高機能ショーツと言えば固いコンプレッションで押さえつけるイメージが先行しがちだが、PREMIO BLACKはそういう窮屈さとは一切無縁。であるにも関わらず、ペダリング中はお尻から太ももにかけてのサポートを感じる。本当に着心地が良いとはこのことを指すのだな、とさえ思った。
フィッティング以外に感心させられたのが高い通気性だった。晴れと雨が連続する蒸し暑い中でも汗の乾きが早く、特に高温多湿となり、やがて酷暑となるこれからの季節にはうってつけだと思う。意外にも公式リリースでは一言も触れられていないのだが、生地表面に撥水機能が持たされているため、そもそも肌が雨に濡れにくいというメリットもあった。この辺りは流石レインジャージで抜群の信頼性を得るカステリと言うべきだ。
心配になるのは生地の薄さゆえの耐久性なのだが、カステリによれば何年も使い続けられるよう生地自体に工夫を凝らしているという。実際に何回か使ってもサドル部分の擦れは見当たらないし、撥水機能すら落ちる気配はない。改善点を探すのが困難なほど完成度が高いが、強いて言うなら乗車ポジションを考えたビブがやや(他の部分と比べて)キツく感じることくらいだ。
アスリートとの連携を密に取り、ハイパフォーマンスサイクリングウェア界を改革し、そして牽引してきたカステリが放つ最高級ビブショーツ。
この素晴らしい着心地は、きっと過去イチのビッグライドに挑戦する時、優しく、それでいて力強く寄り添ってくれるはず。まして買い求めやすい価格とあるならば、公式サイトの購入ボタンを押す際の躊躇は不要だ。
カステリ PREMIO BLACK
カラー:ブラック/サヴィルブルー
サイズ:S〜3XL
フィット:レースフィット
税込価格:33,000円
text:So Isobe
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