今大会最後のスプリンター向きのコースで行われたツール・ド・ロマンディ第3ステージで、マルク・ソレル(スペイン、モビスター)が10kmの独走勝利。リーダージャージのデニスが落車で遅れたため、総合でもソレルが首位に立った。



イネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団が菜の花畑を走るイネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団が菜の花畑を走る photo:CorVos
ツール・ド・ロマンディ第3ステージは、ヌシャテル湖に面するエスタヴァイエを発着する168km。レース中盤から2つの3級山岳を含む周回コースを3周するが、選手たちを退けるほどの勾配はなく、スプリンターにとって今大会最後のチャンスとなるステージだ。

雨が体温を奪うこの日に逃げたのは、2週間前に閉幕したボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナで総合優勝を挙げたスイス国内王者シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)を含む7人の選手たち。スイス人が4名入った逃げ集団は、後方に2分差をつけてながら周回コースに突入した。

逃げグループを形成するコービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル)ら逃げグループを形成するコービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル)ら photo:CorVos
メイン集団はリーダージャージを擁するイネオス・グレナディアーズがコントロール。なお昨日のステージで2位、総合でも2位に浮上したパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・スタートアップネイション)が体調不良で未出走だったため、総合順位はイネオス・グレナディアーズによるワンツースリー体制に戻っている。

最終周回に入ったプロトンでは、スプリントに持ち込みたいバーレーン・ヴィクトリアスやボーラ・ハンスグローエが牽引に加わると、逃げ集団とのタイム差が一気に縮小。最後から2つめの3級山岳の頂上を通過する頃には、キュングとコービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル)のタンデム走行になった先頭との差が30秒を切っていた。

2日連続の雨が路面を濡らした2日連続の雨が路面を濡らした photo:CorVos
落車でリーダージャージを手放したローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)落車でリーダージャージを手放したローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
強さの増した雨が路面を濡らすと、下りコーナーでキュングが落車。一方メイン集団でも総合首位のローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が同じ下りで落車し、リーダージャージを失う結果になってしまう(1分21秒遅れの45位でフィニッシュ)。

最後の3級山岳でホーセンスが吸収されると、マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)やセップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)が仕掛けるも決まらず、そのカウンターで総合23位(27秒遅れ)のマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が単独の飛び出しに成功する。

隙きをつかれたスプリンターチームが追走をかけるが、緩やかな下りと路面の濡れたコーナーがそれを阻み、一度開いたタイム差が縮まらない。そして10kmに渡り単独で走行したソレルが、20秒差を保ったままフィニッシュラインを越え勝利を決めた。

10kmの単独アタックを成功させたマルク・ソレル(スペイン、モビスター)10kmの単独アタックを成功させたマルク・ソレル(スペイン、モビスター) photo:CorVos
ボーナスタイムを加算し総合でも首位に立ったマルク・ソレル(スペイン、モビスター)ボーナスタイムを加算し総合でも首位に立ったマルク・ソレル(スペイン、モビスター) photo:CorVos
「この勝利をとても嬉しく思う。まず最初に、長年チームドクターを務めてきたヘスス・オヨスがステージ中に亡くなってしまった。だからこの勝利を彼に捧げたい。チーム全体にとって悲しい出来事だ。雨と寒さでとても大変なステージだった。しかし最後にはステージ勝利とリーダージャージを手に入れることができた。リーダージャージはいつでも嬉しく、これを守る為に一生懸命戦っていくよ」と、ボーナスタイム10秒を獲得し総合でも首位にジャンプアップしたソレルは語った。

22秒遅れでフィニッシュラインにやってきた追走集団では、「この最悪な天候でも調子は上向いている」と語るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に競り勝ったマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO)が先着し、ステージ2位に入っている。
ツール・ド・ロマンディ2021第3ステージ結果
1位 マルク・ソレル(スペイン、モビスター) 3:58:35
2位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO) 0:22
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
6位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
7位 イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM)
8位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
9位 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 マルク・ソレル(スペイン、モビスター) 12:38:40
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:14
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) 0:16
6位 マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:20
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:21
8位 イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM)
9位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 0:24
その他の特別賞
ポイント賞 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
山岳賞 ジョエル・ズーター(スイス、スイスナショナルチーム)
ヤングライダー賞 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
ext:Sotaro Arakawa
photo:CorVos

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