2021/03/25(木) - 10:51
2000mオーバーの超級山岳で繰り広げられた登坂勝負。独走に持ち込んだアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がステージ優勝とリーダージャージを射止めた。
1992年にバルセロナオリンピックのカヌー競技が行われた会場をスタートし、カタルーニャ州北部のピレネー山脈に挑む200km越えコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ(UCI2.ワールドツアー)第3ステージ。海抜ゼロmから180km以上かけて標高を上げ、最後は標高2,125mの超級山岳バルテル2000にフィニッシュする。
登坂距離11.4km、平均勾配7.6%に及ぶスキーリゾート地の超級山岳バルテル2000は2019年の第3ステージに続くカタルーニャ登場。その際にはアダム・イェーツ(イギリス、当時ミッチェルトン・スコット)がステージ優勝を飾り、最終的に総合2位となるきっかけを作った。快晴に恵まれたこの日、再びAイェーツがその登坂力を見せつけることとなる。
序盤に逃げたのは9名。クベカ・アソスはショーン・ベネット(アメリカ)とレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)を送り込み、テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)やアレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード)といった面々も加わった。
リーダーチームのドゥクーニンク・クイックステップは最大12分のリードを与えたものの、山岳バトルに意気込むユンボ・ヴィズマやイネオス・グレナディアーズがハイテンポを刻んだことでタイム差は下降の一途を辿る。渓谷を縫うように標高を上げ、雪を頂くバルテル2000が近づくとタイム差は3分を割り込んだ。
前日勝者ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がペースメイクする集団が登坂に差し掛かると、すぐにマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が脱落。すると10km以上を残したタイミングで、過去3度カタルーニャを制している最年長選手アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタックした。
「とても調子が良かったし、優勝候補たちが加速する時に良いポジションを確保しておきたかった」と言うバルベルデにはすぐさまAイェーツが反応して引き戻す。サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)のペースメイクで人数が絞り込まれていく中、バルベルデが2度目のアタックで独走に持ち込む。逃げていた選手を次々捉えるバルベルデの背後では、1分7秒遅れの総合45位ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が加速してバルベルデに合流。2019年までモビスターのダブルエースを張った二人が逃げたものの、ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がコントロールするメイン集団を引き離すには至らなかった。
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)とケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)がバルベルデたちに追いついたものの、すぐ背後に迫った集団からはフィニッシュまで5km以上を残してAイェーツが発進。セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ)とバルベルデが飛びつき、イネオスはAイェーツを先行させ、アシスト不在となったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)の背後にカラパスとゲラント・トーマス(イギリス)、リッチー・ポート(オーストラリア)を配置する理想的な状況を作り上げた。
Aイェーツとバルベルデ、そしてクスの3人は逃げから粘り続けていたアレンスマンを捉えてレース先頭に。クスのアタックでダメージを受けたバルベルデは遅れ、つづら折れ連続区間を前にした残り1.8kmでAイェーツが強烈なアタックを放った。
アタック一発でクスを突き放し、メイン集団から抜け出していたエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)を寄せ付けない軽やかなダンシングでAイェーツが雪が残る最終区間を駆け上がる。メイン集団を30秒引き離し、チャベスとバルベルデの追走を寄せ付けずに2大会連続となるバルテル2000登坂ステージを制覇した。
「全てが完璧だった。そして終盤は、レース前に予想していた通りチームとして複数のカードを残していた。リッチーが最初のアタックに加わり、次に加速した僕が最後まで逃げ切った。これが新しいチームでの僕の1勝目。本当に嬉しいよ」と語るアダム。前戦UAEツアーでは好調ぶりを発揮しながらもタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に敗れ総合2位に甘んじていた。
「2年前(のこのステージ)もすごく上手くいった。とても調子が良く、(逃げていた)カラパスに追いつきたいと思っていたんだ。そこから十分な勢いとスピードをつけて彼らをパス。クスとアレハンドロが付いてきたけれど、最後は彼らを振り落とすことができた」と振り返るアダムは、46秒遅れたアルメイダからリーダージャージを奪うことに成功。2位ポートが45秒差で続き、アルメイダが49秒差で総合3位。さらにトーマスが53秒差の総合4位という、今大会のチーム勢力図をそのまま反映したかのような総合成績に切り替わっている。アダムがミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、当時アスタナ)に敗れた2年前のリベンジに燃えている。
翌日は序盤に1級を超え、長い下りを経て超級山岳2連発という更に難易度の高い山岳ステージが待ち受ける。総合逆転を狙う選手たちが早めに動くことも考えられる。
1992年にバルセロナオリンピックのカヌー競技が行われた会場をスタートし、カタルーニャ州北部のピレネー山脈に挑む200km越えコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ(UCI2.ワールドツアー)第3ステージ。海抜ゼロmから180km以上かけて標高を上げ、最後は標高2,125mの超級山岳バルテル2000にフィニッシュする。
登坂距離11.4km、平均勾配7.6%に及ぶスキーリゾート地の超級山岳バルテル2000は2019年の第3ステージに続くカタルーニャ登場。その際にはアダム・イェーツ(イギリス、当時ミッチェルトン・スコット)がステージ優勝を飾り、最終的に総合2位となるきっかけを作った。快晴に恵まれたこの日、再びAイェーツがその登坂力を見せつけることとなる。
序盤に逃げたのは9名。クベカ・アソスはショーン・ベネット(アメリカ)とレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)を送り込み、テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)やアレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード)といった面々も加わった。
リーダーチームのドゥクーニンク・クイックステップは最大12分のリードを与えたものの、山岳バトルに意気込むユンボ・ヴィズマやイネオス・グレナディアーズがハイテンポを刻んだことでタイム差は下降の一途を辿る。渓谷を縫うように標高を上げ、雪を頂くバルテル2000が近づくとタイム差は3分を割り込んだ。
前日勝者ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がペースメイクする集団が登坂に差し掛かると、すぐにマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が脱落。すると10km以上を残したタイミングで、過去3度カタルーニャを制している最年長選手アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタックした。
「とても調子が良かったし、優勝候補たちが加速する時に良いポジションを確保しておきたかった」と言うバルベルデにはすぐさまAイェーツが反応して引き戻す。サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)のペースメイクで人数が絞り込まれていく中、バルベルデが2度目のアタックで独走に持ち込む。逃げていた選手を次々捉えるバルベルデの背後では、1分7秒遅れの総合45位ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が加速してバルベルデに合流。2019年までモビスターのダブルエースを張った二人が逃げたものの、ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がコントロールするメイン集団を引き離すには至らなかった。
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)とケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)がバルベルデたちに追いついたものの、すぐ背後に迫った集団からはフィニッシュまで5km以上を残してAイェーツが発進。セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ)とバルベルデが飛びつき、イネオスはAイェーツを先行させ、アシスト不在となったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)の背後にカラパスとゲラント・トーマス(イギリス)、リッチー・ポート(オーストラリア)を配置する理想的な状況を作り上げた。
Aイェーツとバルベルデ、そしてクスの3人は逃げから粘り続けていたアレンスマンを捉えてレース先頭に。クスのアタックでダメージを受けたバルベルデは遅れ、つづら折れ連続区間を前にした残り1.8kmでAイェーツが強烈なアタックを放った。
アタック一発でクスを突き放し、メイン集団から抜け出していたエステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ)を寄せ付けない軽やかなダンシングでAイェーツが雪が残る最終区間を駆け上がる。メイン集団を30秒引き離し、チャベスとバルベルデの追走を寄せ付けずに2大会連続となるバルテル2000登坂ステージを制覇した。
「全てが完璧だった。そして終盤は、レース前に予想していた通りチームとして複数のカードを残していた。リッチーが最初のアタックに加わり、次に加速した僕が最後まで逃げ切った。これが新しいチームでの僕の1勝目。本当に嬉しいよ」と語るアダム。前戦UAEツアーでは好調ぶりを発揮しながらもタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に敗れ総合2位に甘んじていた。
「2年前(のこのステージ)もすごく上手くいった。とても調子が良く、(逃げていた)カラパスに追いつきたいと思っていたんだ。そこから十分な勢いとスピードをつけて彼らをパス。クスとアレハンドロが付いてきたけれど、最後は彼らを振り落とすことができた」と振り返るアダムは、46秒遅れたアルメイダからリーダージャージを奪うことに成功。2位ポートが45秒差で続き、アルメイダが49秒差で総合3位。さらにトーマスが53秒差の総合4位という、今大会のチーム勢力図をそのまま反映したかのような総合成績に切り替わっている。アダムがミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、当時アスタナ)に敗れた2年前のリベンジに燃えている。
翌日は序盤に1級を超え、長い下りを経て超級山岳2連発という更に難易度の高い山岳ステージが待ち受ける。総合逆転を狙う選手たちが早めに動くことも考えられる。
ボルタ・ア・カタルーニャ2021第3ステージ結果
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 5:00:58 |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) | 0:13 |
3位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:19 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:31 |
5位 | ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィズマ) | |
7位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションNIPPO) | |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:36 |
9位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 9:44:21 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:45 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:49 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:53 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:03 |
6位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 1:04 |
7位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションNIPPO) | 1:14 |
8位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | 1:21 |
9位 | エステバン・チャベス(コロンビア、バイクエクスチェンジ) | |
10位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 1:24 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
ヤングライダー賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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