2021/03/11(木) - 10:39
今大会最初の山岳フィニッシュでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が圧勝。マイヨジョーヌに袖を通した一方、テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車リタイアに終わった。
前日個人タイムトライアルが行われた街ジアンから250km超の移動を経て、パリ〜ニース(UCIワールドツアー)はワインの名産地として知られるボージョレーへと立ち入った。
シャロン=シュル=ソーヌからシルーブルを目指す187.6kmコースはとにかくアップダウンの連続で、序盤から終盤まで合計7つもの山岳ポイントが散りばめられている。
逃げでマイヨ・アポワ(山岳賞)を狙いたい選手にとって外せないこの日、最後に控えるのは登坂距離7.4km、平均勾配5.9%の1級山岳。逃げにも、総合勢によるステージ優勝のチャンスもあるこの日は、ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)を筆頭にした強力な逃げグループが先行した。
逃げた6名
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)
オリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン)
ファビアン・ドゥべ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー):山岳ランキング1位
ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
オスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス)
今大会初日に単独逃げたファビアン・ドゥべ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)はマイヨアポワ防衛を目論んだものの、昨年のツール・ド・フランス第3ステージで逃げ、マイヨアポワ目前に落車リタイア(肋骨開放骨折、肺挫傷、気胸)を喫したアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)がそのリベンジのかように連続1位通過を果たす。7箇所中5箇所で先着したペレスは、文句なしの山岳ランキング首位に躍り出た。
クラシックスペシャリストのオリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン)、元スペイン王者ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)を含む逃げが3分リードで進み、それを追いかけるメイン集団先頭ではプリモシュ・ログリッチ(スロベニアマ)のマイヨジョーヌ獲得を目指すユンボ・ヴィズマが隊列を組んだ。
166.9km地点(残り20.7km)で頂上を迎える2級山岳モン・ブルイイでは先頭のベルナールが独走に持ち込み、40秒差まで迫ったメイン集団後方では、2日前にヘルメットが割れる落車に見舞われたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)のペースメイクでマイヨジョーヌのシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO)が遅れていく。すると、頂上通過後の下りコーナーで今大会の勢力図を変える落車が起きた。
高低差のある右ヘアピンコーナーで空撮カメラが映し出したのは、集団の4番目を走っていたテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のスリップ落車。足元をすくわれる形で、後続のダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ:後に集団復帰)を巻き込み頭から着地したゲイガンハートはチーム判断によりリタイアに。重症を免れたジロ覇者は「少し休養を取り戻ってきたい」と綴っているものの、イネオスはリッチー・ポート(オーストラリア)に続いて総合エースを失う結果となった。
落車に揺れるメイン集団からは、前日0.83秒差でステージ優勝を逃したレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックし、スペイン王者ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・プレミアテック)を得て先行する。快調にリードを広げた二人だったものの、最後の1級山岳に入り、序盤の逃げから唯一生き残ったベルナールを視界に捉えたタイミングで、メカトラに見舞われたカヴァニャが脱落。重いギアに入ったまま変速不能となったバイクと共にカヴァニャのチャンスは潰えてしまった。
単独となったサンチェスはベルナールを捉えて逃げ続けたが、登坂勝負に意気込む集団との差は残り4kmで25秒。ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がコントロールする集団からはピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)が飛び出すも、リードを奪うには至らない。すると、急勾配区間で総合3位のログリッチが自ら動いた。
「チームとしてレースを掌握し、終盤に入ってもまだアタックする脚を残せていた」と振り返るログリッチは、追いすがるヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)を寄せ付けず、サンチェスを追い抜き先頭に。残り3km地点にある中間スプリントポイントでボーナスタイム3秒を得たログリッチはペースを緩めることなく独走した。
ログリッチは集団有利となる終盤の緩斜面で詰め寄られながらもリードを保ち、独走フィニッシュ。後続を12秒引き離したログリッチが、マイヨジョーヌを射止める今季初勝利を飾った。
「この結果にとても満足しているよ。僕たちは昨日のタイムトライアルで既に万全の体制だということを証明した。短い登りが続く今日のコースは僕向き。厳しかったけれど、最後までコントロールを担ってくれたチームに感謝したい。」と語るスロベニアチャンピオン。「パリ〜ニースでマイヨジョーヌ。とても気分が良いよ。最終目標はニースまでリードを保つことだ。まだニースは遠いけれど、僕たちのチームは強力だ。次のステージが楽しみだし、この流れを続けていきたい」と、パンチャー向きのステージで早くもリードを奪ったログリッチは加えている。
後続集団の頭を獲った昨年大会覇者マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が総合2位につけ、TTのリードを活かしてブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が総合3位と、総合成績は大きくシャッフルされている。
翌日はビエンヌからボレーヌまで南下する200kmコース。スプリンター向けの平坦ステージだが、終盤に控える丘でアタッカーが仕掛ける可能性もある。
前日個人タイムトライアルが行われた街ジアンから250km超の移動を経て、パリ〜ニース(UCIワールドツアー)はワインの名産地として知られるボージョレーへと立ち入った。
シャロン=シュル=ソーヌからシルーブルを目指す187.6kmコースはとにかくアップダウンの連続で、序盤から終盤まで合計7つもの山岳ポイントが散りばめられている。
逃げでマイヨ・アポワ(山岳賞)を狙いたい選手にとって外せないこの日、最後に控えるのは登坂距離7.4km、平均勾配5.9%の1級山岳。逃げにも、総合勢によるステージ優勝のチャンスもあるこの日は、ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)を筆頭にした強力な逃げグループが先行した。
逃げた6名
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)
オリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン)
ファビアン・ドゥべ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー):山岳ランキング1位
ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
オスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス)
今大会初日に単独逃げたファビアン・ドゥべ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)はマイヨアポワ防衛を目論んだものの、昨年のツール・ド・フランス第3ステージで逃げ、マイヨアポワ目前に落車リタイア(肋骨開放骨折、肺挫傷、気胸)を喫したアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)がそのリベンジのかように連続1位通過を果たす。7箇所中5箇所で先着したペレスは、文句なしの山岳ランキング首位に躍り出た。
クラシックスペシャリストのオリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン)、元スペイン王者ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)を含む逃げが3分リードで進み、それを追いかけるメイン集団先頭ではプリモシュ・ログリッチ(スロベニアマ)のマイヨジョーヌ獲得を目指すユンボ・ヴィズマが隊列を組んだ。
166.9km地点(残り20.7km)で頂上を迎える2級山岳モン・ブルイイでは先頭のベルナールが独走に持ち込み、40秒差まで迫ったメイン集団後方では、2日前にヘルメットが割れる落車に見舞われたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)のペースメイクでマイヨジョーヌのシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO)が遅れていく。すると、頂上通過後の下りコーナーで今大会の勢力図を変える落車が起きた。
高低差のある右ヘアピンコーナーで空撮カメラが映し出したのは、集団の4番目を走っていたテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のスリップ落車。足元をすくわれる形で、後続のダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ:後に集団復帰)を巻き込み頭から着地したゲイガンハートはチーム判断によりリタイアに。重症を免れたジロ覇者は「少し休養を取り戻ってきたい」と綴っているものの、イネオスはリッチー・ポート(オーストラリア)に続いて総合エースを失う結果となった。
落車に揺れるメイン集団からは、前日0.83秒差でステージ優勝を逃したレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックし、スペイン王者ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・プレミアテック)を得て先行する。快調にリードを広げた二人だったものの、最後の1級山岳に入り、序盤の逃げから唯一生き残ったベルナールを視界に捉えたタイミングで、メカトラに見舞われたカヴァニャが脱落。重いギアに入ったまま変速不能となったバイクと共にカヴァニャのチャンスは潰えてしまった。
単独となったサンチェスはベルナールを捉えて逃げ続けたが、登坂勝負に意気込む集団との差は残り4kmで25秒。ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がコントロールする集団からはピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)が飛び出すも、リードを奪うには至らない。すると、急勾配区間で総合3位のログリッチが自ら動いた。
「チームとしてレースを掌握し、終盤に入ってもまだアタックする脚を残せていた」と振り返るログリッチは、追いすがるヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)を寄せ付けず、サンチェスを追い抜き先頭に。残り3km地点にある中間スプリントポイントでボーナスタイム3秒を得たログリッチはペースを緩めることなく独走した。
ログリッチは集団有利となる終盤の緩斜面で詰め寄られながらもリードを保ち、独走フィニッシュ。後続を12秒引き離したログリッチが、マイヨジョーヌを射止める今季初勝利を飾った。
「この結果にとても満足しているよ。僕たちは昨日のタイムトライアルで既に万全の体制だということを証明した。短い登りが続く今日のコースは僕向き。厳しかったけれど、最後までコントロールを担ってくれたチームに感謝したい。」と語るスロベニアチャンピオン。「パリ〜ニースでマイヨジョーヌ。とても気分が良いよ。最終目標はニースまでリードを保つことだ。まだニースは遠いけれど、僕たちのチームは強力だ。次のステージが楽しみだし、この流れを続けていきたい」と、パンチャー向きのステージで早くもリードを奪ったログリッチは加えている。
後続集団の頭を獲った昨年大会覇者マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が総合2位につけ、TTのリードを活かしてブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が総合3位と、総合成績は大きくシャッフルされている。
翌日はビエンヌからボレーヌまで南下する200kmコース。スプリンター向けの平坦ステージだが、終盤に控える丘でアタッカーが仕掛ける可能性もある。
パリ〜ニース2021第4ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 4:49:36 |
2位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:12 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | |
4位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | |
6位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:16 |
8位 | カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
9位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
72位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 9:28 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 13:26:40 |
2位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:35 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:37 |
4位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:41 |
5位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 0:43 |
6位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | 0:58 |
7位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | 1:05 |
8位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 1:09 |
9位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 1:11 |
10位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | 1:12 |
その他の特別賞
ポイント賞 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) |
山岳賞 | アントニー・ペレス(フランス、コフィディス) |
ヤングライダー賞 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | アスタナ・プレミアテック |
text:So Isobe
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