2021/02/22(月) - 08:51
1月のツアー・ダウンアンダーの中止でワールドツアー開幕戦となったUAEツアー。中東にビッグネームたちが集結しシーズンのスタートを切った第1ステージは早くも横風に翻弄される波乱の展開に。絞り込まれた有力選手集団のスプリントを制したのはシクロクロス世界王者のマチュー・ファンデルプール(オランダ)だった。
新型コロナの影響で1月のオーストラリアで開催を予定していたツアー・ダウンアンダー含む2レースが中止となり、2021シーズンのUCIワールドツアー開幕戦となったUAEツアー。中東の石油産油国、アラブ首長国連邦にワールドツアーチーム含む世界トップチームが集結した。
出場権があるUCIワールドツアー19チームに加え、昨年のUCIワールドランキングでセカンドディビジョン首位プロチームであるアルペシン・フェニックスがワールドツアー全戦の出場権を得て参戦。1チーム7人、全20チーム・140人の選手たちによる7日間・全7ステージのレースとなる。
昨年の総合覇者はミッチェルトン・スコットからイネオス・グレナディアーズに移籍したアダム・イェーツ(イギリス)。しかし総合2位だったツール・ド・フランス覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がゼッケン1をつける。イスラエル・スタートアップネイションに移籍したクリストファー・フルーム(イギリス)を含むビッグネームが中東の砂漠の国に集結した。第1ステージはアル・ダフラ城からアル・ミルファの176km。
遮るもののない砂漠地帯に吹き付ける強い風を受け、レースはスタートから荒れ模様となる。序盤すぐに横風を受けて集団はいくつものグループに分断した。横方向からの風に、斜め後ろにつくことで前走者のスリップストリームに入ろうとする選手たちが「エシュロン」と呼ぶフォーメーションを形成。集団はすぐに4つのグループに分断した。先頭グループに複数人を送り込んで意欲的にスピードを上げたのはホストチームでもあるUAEチームエミレーツと、クラシックの横風レースを支配するドゥクーニンク・クイックステップ、そしてアルペシン・フェニックスら。
レース途中にはボーナスタイムが獲得できる中間スプリントが設けられた。最初のポイントを 先頭通過して3秒のボーナスタイムを獲得したのはジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)。アルメイダは2つ目の中間ポイントもトップ通過して合計6秒のボーナスタイムを獲得し、総合争いを優位に進める。第2中間ポイントでは昨年総合2位の苦汁をなめたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2位通過し、2秒を獲得。総合優勝争いは第1ステージから秒差を重ねる争いが始まった。
序盤に絞り込まれた先頭グループは23人にその数を減らしながらそのまま協調して逃げ続け、後続を大きく引き離してレース終盤へ。ラスト9.5kmを残してアルメイダがアタック。スプリンターのジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)らが反応して4人に。しかしゴールスプリントに向けて思惑の違う4人は協調はうまくできず、集団に飲み込まれる。
スプリントを待たず激しいアタックの攻防が続く。ドゥクーニンク・クイックステップが波状攻撃をかけ、ラスト6kmからマティア・カッタネオ(イタリア)が独走に持ち込む。後方の先頭集団ではポガチャルでさえアタックに加わり、スプリントへのバトルが白熱。カッタネオは距離を広げた。
ラスト1.5km、追走ペースが緩んだグループからしびれを切らしたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が追撃アタック。昨年このAEツアーで新型コロナに感染して苦しんだ有力スプリンターの単独アタックは瞬く間にカッタネオを捉える。しかしスプリントに向けて後方グループもそれを許すはずはなかった。
ラスト500kmを切り、数を揃えるドゥクーニンク・クイックステップが3人で前を固めてスプリントへ。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)が早掛けするも、後ろにつけたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が腰を上げて加速するとすぐに先頭に立った。オランダナショナルジャージに身を包んだシクロクロス世界選手権王者はそのままのスピードで余裕をもってフィニッシュをトップ通過。プロデビューの若手スプリンター、ダヴィド・デッケル(チーム ユンボ・ヴィスマ) を下し、ワールドツアー初戦の覇者となった。
CX王者MVDPことファンデルプールは言う。「いい位置に居るなければならないことは分かっていたし、正しい瞬間にスプリントを始めることができた。(チームメイトの)ジャンニ・フェルメールシュは逃げた選手を捕まえるいい仕事をしてくれた。この結果にとてもハッピーだ。こんな結果は期待していなかった。レースが厳しさを増すごとにボクのスプリントは良くなるんだ。(シクロクロス世界選手権の後)少し休みをとってから1週間チームと一緒にトレーニングしてからここに来た。シクロクロスの調子が砂漠でも発揮できたね」。
総合争いの有力勢ではジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がボーナスタイム2度・6秒獲得で総合4位に。そしてスプリントでも6位に入ったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が総合5位につけた。昨年総合覇者アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は先頭集団に入ることに成功したが、後方に取り残された多くの総合狙いの選手たちが初日から望みを絶たれる結果となった。
新型コロナの影響で1月のオーストラリアで開催を予定していたツアー・ダウンアンダー含む2レースが中止となり、2021シーズンのUCIワールドツアー開幕戦となったUAEツアー。中東の石油産油国、アラブ首長国連邦にワールドツアーチーム含む世界トップチームが集結した。
出場権があるUCIワールドツアー19チームに加え、昨年のUCIワールドランキングでセカンドディビジョン首位プロチームであるアルペシン・フェニックスがワールドツアー全戦の出場権を得て参戦。1チーム7人、全20チーム・140人の選手たちによる7日間・全7ステージのレースとなる。
昨年の総合覇者はミッチェルトン・スコットからイネオス・グレナディアーズに移籍したアダム・イェーツ(イギリス)。しかし総合2位だったツール・ド・フランス覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がゼッケン1をつける。イスラエル・スタートアップネイションに移籍したクリストファー・フルーム(イギリス)を含むビッグネームが中東の砂漠の国に集結した。第1ステージはアル・ダフラ城からアル・ミルファの176km。
遮るもののない砂漠地帯に吹き付ける強い風を受け、レースはスタートから荒れ模様となる。序盤すぐに横風を受けて集団はいくつものグループに分断した。横方向からの風に、斜め後ろにつくことで前走者のスリップストリームに入ろうとする選手たちが「エシュロン」と呼ぶフォーメーションを形成。集団はすぐに4つのグループに分断した。先頭グループに複数人を送り込んで意欲的にスピードを上げたのはホストチームでもあるUAEチームエミレーツと、クラシックの横風レースを支配するドゥクーニンク・クイックステップ、そしてアルペシン・フェニックスら。
レース途中にはボーナスタイムが獲得できる中間スプリントが設けられた。最初のポイントを 先頭通過して3秒のボーナスタイムを獲得したのはジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)。アルメイダは2つ目の中間ポイントもトップ通過して合計6秒のボーナスタイムを獲得し、総合争いを優位に進める。第2中間ポイントでは昨年総合2位の苦汁をなめたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2位通過し、2秒を獲得。総合優勝争いは第1ステージから秒差を重ねる争いが始まった。
序盤に絞り込まれた先頭グループは23人にその数を減らしながらそのまま協調して逃げ続け、後続を大きく引き離してレース終盤へ。ラスト9.5kmを残してアルメイダがアタック。スプリンターのジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)らが反応して4人に。しかしゴールスプリントに向けて思惑の違う4人は協調はうまくできず、集団に飲み込まれる。
スプリントを待たず激しいアタックの攻防が続く。ドゥクーニンク・クイックステップが波状攻撃をかけ、ラスト6kmからマティア・カッタネオ(イタリア)が独走に持ち込む。後方の先頭集団ではポガチャルでさえアタックに加わり、スプリントへのバトルが白熱。カッタネオは距離を広げた。
ラスト1.5km、追走ペースが緩んだグループからしびれを切らしたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が追撃アタック。昨年このAEツアーで新型コロナに感染して苦しんだ有力スプリンターの単独アタックは瞬く間にカッタネオを捉える。しかしスプリントに向けて後方グループもそれを許すはずはなかった。
ラスト500kmを切り、数を揃えるドゥクーニンク・クイックステップが3人で前を固めてスプリントへ。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)が早掛けするも、後ろにつけたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が腰を上げて加速するとすぐに先頭に立った。オランダナショナルジャージに身を包んだシクロクロス世界選手権王者はそのままのスピードで余裕をもってフィニッシュをトップ通過。プロデビューの若手スプリンター、ダヴィド・デッケル(チーム ユンボ・ヴィスマ) を下し、ワールドツアー初戦の覇者となった。
CX王者MVDPことファンデルプールは言う。「いい位置に居るなければならないことは分かっていたし、正しい瞬間にスプリントを始めることができた。(チームメイトの)ジャンニ・フェルメールシュは逃げた選手を捕まえるいい仕事をしてくれた。この結果にとてもハッピーだ。こんな結果は期待していなかった。レースが厳しさを増すごとにボクのスプリントは良くなるんだ。(シクロクロス世界選手権の後)少し休みをとってから1週間チームと一緒にトレーニングしてからここに来た。シクロクロスの調子が砂漠でも発揮できたね」。
総合争いの有力勢ではジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がボーナスタイム2度・6秒獲得で総合4位に。そしてスプリントでも6位に入ったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が総合5位につけた。昨年総合覇者アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は先頭集団に入ることに成功したが、後方に取り残された多くの総合狙いの選手たちが初日から望みを絶たれる結果となった。
UAEツアー2021第1ステージ結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 3:45:47 |
2位 | ダヴィド・デッケル(オランダ、チーム ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | エミルス・リエピンス(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
5位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス) | |
6位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | アントニー・ルー(フランス、グルパマ・エフデジ) | |
8位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ユンボ・ヴィスマ) | +0:00:03 |
9位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
10位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
総合 | ||
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)3:45:37 | |
2位 | ダヴィド・デッケル(オランダ、チーム ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:04 |
3位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:06 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:07 |
5位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:08 |
6位 | エミルス・リエピンス(ラトビア、トレック・セガフレード) | 0:00:10 |
7位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス) | |
8位 | アントニー・ルー(フランス、グルパマ・エフデジ) | |
9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:13 |
photo:CorVos
text:Makoto AYANO
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