2020/11/18(水) - 17:00
サイクルトレイン「B.B.BASE」を利用したツアーに参加したCW編集部員高木。後編ではオープンしたばかりの「星野リゾート BEB5土浦」に宿泊し、様々なアクティビティを体験。そして、かつて茨城県にあった「筑波鉄道」の廃線跡を走るライドを紹介していく。
無事到着したツアー参加者が宿泊するのは星野リゾート BEB5土浦 photo:Michinari TAKAGI
JRの両国駅からサイクルトレイン「B.B.BASE」に乗って、潮来駅へ。そこからつくば霞ヶ浦りんりんロードを走り、土浦駅にあるサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA(プレイアトレ土浦)」に無事到着。今年オープンしたばかりの星野リゾート BEB5土浦が今日の宿だ。
星野リゾートが「居酒屋以上 旅未満 ルーズに過ごすホテル」をコンセプトに掲げるホテル「BEB」。BEB5軽井沢に続く国内2軒目となるのがBEB5土浦である。29歳以下であれば365日同一料金で泊まることができる「29歳以下エコひいきプラン」が用意され、若者にも人気のBEB。なかでも、BEB5土浦は星野リゾート初の自転車を楽しむホテルで館内もサイクリストが使いやすい充実の設備が整えられている。
広々としたツインルームの「サイクルルーム」 photo:Michinari TAKAGI
愛車を壁にディスプレイできる photo:Michinari TAKAGI
施設やサービスについてはオープン時のレポートに詳しいのでご一読いただきたい。「サイクルルーム」と「ヤグラルーム」、「ダブルルーム」という3タイプのゲストルームは、それぞれ赤、青、緑というテーマカラーでコーディネートされている。このテーマカラーがBEB5土浦オリジナルジャージの意匠ともなっているのだ。
今回、宿泊するのは自転車フレンドリーな「サイクルルーム」。部屋の色は青色で落ち着いた印象だ。広々としたツインルームで、壁に自転車を2台まで掛けられるため、自転車を室内に入れても全く窮屈さを感じない。お洒落な部屋と愛車を一緒に撮影すれば、SNS映えもばっちりだ。
壁にディスプレイした愛車を眺めながら湯船につかるのは実に最高の眺めであった photo:Michinari TAKAGI
愛車を抱きながら一緒にベットで寝ることができる「愛車と添い寝プラン」 photo:Michinari TAKAGI
なんとバスルームはガラス張り。壁にディスプレイしたバイクが目の前に。愛車を眺めながら湯船につかるなんて初めての体験だったが、実に最高の眺めであった。部屋にかけてあった時計も歯車が3つ組み合わせられたデザインで、部屋のあちこちに自転車にまつわるものが置かれている。
お風呂の他にも、専用シーツをレンタルする「愛車と添い寝プラン」や自慢のふくらはぎを最高の状態で撮影できる「美ふくらはぎステイプラン」などもあるとのことで、自転車好きな人であればとても楽しめる。
秘密基地のような「ヤグラルーム」
大きなダブルベッドがある「ダブルルーム」
館内用のサンダルや洗車キットが用意されている photo:Michinari TAKAGI
メカニックスペースもあるため愛車の整備が可能 photo:Michinari TAKAGI
カフェは24時間でクラフトビールやワイン、スムージーなどが注文できる photo:Michinari TAKAGI
館内にはメカニックスペースもあるため愛車の整備もできる。また、雨の日のライドになってしまった場合、シューズが濡れてしまうと思うが、シューズ乾燥機を貸し出してくれるためどんな天候でも安心だ。ビンディングシューズしか持ってこなかったとしても、館内用のサンダルが用意されている点もサイクリスト思いだ。
受付の横にあるカフェは24時間オープン。カフェメニューも充実しており、こだわりのクラフトビールやワイン、スムージーのほか、日本最大の野外ロック・フェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で600人を超す行列を集めたという「メロンまるごとクリームソーダ」などもラインアップしている。若者に向けて24時間オープンしているパブリックスペースであるTAMARIBA(タマリバ)では、飲食物は持ち込みでき、ジェンガやカードゲームなどを楽しめる。
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL"で600人を超す行列を集めたという「メロンまるごとクリームソーダ」 photo:Michinari TAKAGI
若者に向けて24時間オープンしているパブリックスペースであるTAMARIBA(タマリバ) photo:Michinari TAKAGI
通常は1分ほどかかるが10秒でスムージーを完成させてしまった編集部員の高木 photo:Michinari TAKAGI
また、スムージーは自転車に接続されたミキサーで作るというBEB5土浦ならではの楽しめるコンテンツ。「ツアー参加者の中で足に自信がある方はいますか?」というBEB5土浦のスタッフさんの問いに、周りの方々が私の方へ一斉に視線を向けてきた。日本のトップカテゴリーのロードレースチームに所属しているので断ることもできず、なくなくスムージーマシーンにまたがる。
スタッフさんの合図と同時にペダルを踏み込み、どんどんペダルを回して行く。一般の方だと1分ほどかかるみたいだが、自転車に跨るとついつい本気で踏んでしまった編集部員の高木は10秒でスムージーを完成させてしまった。でも、自分の力でペダルを漕ぎ、作ったスムージ―はとても美味しかった。
キリンビールによるクラフトビール紹介 photo:Michinari TAKAGI
「ブルックリン・ブルワリー」のクラフトビールの飲み比べも行われた photo:Michinari TAKAGI
スムージーをいただいた後は、キリンビールから日本全国のクラフトビールが振る舞われた。キリンビールのスタッフさんオススメは茨城県の木内酒造で醸造した「ゆずラガー(フレーバードラガー)」。繊細で奥深いシトラスの香りを楽しみながら美味しく飲めた。
ちなみに、キリンビールが今回のツアーに関わっているのはキリンビールの関連会社である「ブルックリンブルワリー・ジャパン株式会社」の木内酒造が茨城県那珂市にあるため。同じ地域として盛り上げていきたいということだ。
マヴィック女子会は乾杯からスタート photo:Michinari TAKAGI
ワコーズのメンテナンス講習も行われた photo:Michinari TAKAGI
トークを真剣に聞く自転車女子会の皆さん photo:Michinari TAKAGI
キリンビールのおもてなしの後はライドをサポートしてくれているマヴィックによる「マヴィック女子会」が開催された。マヴィックの誕生秘話や歴史など、新製品のホイールなどマヴィックについて深く知ることができた。
また、ワコーズもマヴィック女子会の皆さんに「部屋の中でできるメンテナンス」を丁寧に説明。ベテランライダーでも「なるほど!」となる豆知識やコツを教えてくれた。ワコーズの手掛ける日焼け止め「アグレッシブデザイン」の担当者からも日焼け止めの正しい塗り方などがレクチャーされていた。そして、1日目が終わるのであった。
次の日は早朝からスタート。星野リゾート BEB5土浦には9月から 「朝焼け絶景サイクリング」というプランがある。茨城県南東部に位置する霞ヶ浦は日本で二番目に大きい湖でその湖面に映える美しい朝焼けを観た後は、絶景を観ながら朝食を食べるというとても優雅な時間を過ごすことができる。定員は10名で参加料は2,200円(税抜)。参加料の中には自転車やヘルメット、朝食セットなど全てが含まれている。予約は前日の20時までフロントで受付可能である。
2日目のスタートはこのプランに参加する。集合時間は季節によって異なるが、11月では朝5時10分。もちろん外は真っ暗だ。もし、この 「朝焼け絶景サイクリング」に参加する予定であれば、明るめの色や反射材を用いたウェアを持って来た方が安全に楽しめそうだ。
一瞬、朝焼けが見えたがそのまま太陽は雲の中へ photo:Michinari TAKAGI
大きなオランダ型風車がある自然豊かな公園 photo:Michinari TAKAGI
干し芋とほろ苦いコーヒー、そしてすっぴん隠しのサングラス photo:Michinari TAKAGI
スタートして桜川にかかる橋「水郷橋」を渡り、サイクリングロードを走りながら朝焼けを観る霞ヶ浦の湖畔に到着。晴れ間も見えたが雲が多い空模様。一瞬、朝焼けが見えたがそのまま太陽は雲の中へ。朝焼けを観ることができず残念だったが、澄んだ空気を吸いながら霞ヶ浦の静かな朝は幻想的な景色で、早起きして早朝からサイクリングした甲斐があった。
その後、土浦駅から約3kmにある霞ヶ浦総合公園まで移動。大きなオランダ型風車がある自然豊かな公園で外国に来たかのような感覚に陥った。ここで、軽食でしばしブレイクタイム。茨城県が全国シェア9割の生産量を誇る干し芋とほろ苦いコーヒーを頂いた。参加者の皆さんと軽食を食べながら、交流することで新たなサイクリングコミュ二ティーと出会う事ができるだろう。
また、すっぴんで参加される女性のためにすっぴん隠しの自転車デザインの面白いサングラスも用意されている。もちろん、男性陣も装着すれば映えた写真を撮れるはずだ。大きなオランダ型風車がある広場でマヴィック女子会の皆さんも全員参加で「MAVIC」を身体文字で表現してくれた。
マヴィック女子会の皆さんも全員参加で「MAVIC」を身体文字で表現してくれた (c)マヴィックジャパン
参加者とのトークを楽しみながら軽食を頂いた
朝食にいただいたのはスロージェットコーヒーのホットサンドセット
BEB5土浦へ帰ってからはクールダウンストレッチの時間。BEB5土浦オリジナルのストレッチで、上半身や足周りの筋肉をゆっくりクールダウンするようにストレッチすることができ、身体のケアをすることができた。
この後は朝食。なんと、PLAYatre土浦内の「タリーズコーヒー」とパン工房「クーロンヌ」、「スロージェットコーヒー」の3つのカフェから好みのものを選べるのもうれしいポイントだ。また、追加料金を支払う事でスロージェットコーヒーのブリオッシュトーストキャラメルマキュアートにアップチャージができ、プチ贅沢な朝食を楽しめる。私はスロージェットコーヒーのホットサンドセットを頂き、食後のデザートで「メロンまるごとクリームソーダ」を美味しく頂き、ついにチェックアウト。出発前、素敵な1日を過ごせたBEB5土浦の総支配人、宮越さんにお話を伺ってみた。
星野リゾート BEB5土浦総支配人 宮越俊輔さんにインタビュー
星野リゾート BEB5土浦総支配人の宮越さん photo:Michinari TAKAGI
CW:今回のツアーを開催されたのはどの様なことがきっかけでしたか?
今回、B.B.BASEという自転車に特化した電車がここまで延長してくるに当たって話題性としては非常に大きかったことです。霞ヶ浦の一番の中心にあるホテルとして利用に促進して、たくさんの方に利用してもらいたいなと思っています。
私どもホテルとしてできることも限られますし、周辺の方々と協力し合って連携してPRしていくのが一番効果が期待できると思います。その時にJR東日本千葉支社ですとか、キリンビール千葉支社など一緒に力を貸していただける方が周辺にいらっしゃったので、開催することが出来ました。今回はマヴィックも協賛という事で助けてもらって、自社だけではここまでできなかったと思います。
CW:サイクリストのターゲットは上級者と初心者の方のどちらですか?
答えとしては両方であります。初心者から上級者までです。上級者ばかりですと初心者が入りにくくなってしまいますし、初心者の方だけでもエリアの認知として、憧れの地になるには上級者のお墨付きがあったほうが良いです。上級者が楽しんで良いことを行ってもらえないと認めて頂けないので、両方の方々に来てもらいたいですね。今回は比較的上級者の参加者が多かったと思いますが、ライトなユーザーにもお声かけしました。
BEB5土浦のサイクルジャージはゲストルームの部屋の色がモチーフとなっている photo:Michinari TAKAGI
星野リゾートでは施設ごとにマスクを作成しており、BEB5土浦では自転車の刺繍が入る photo:Michinari TAKAGI
CW:土浦の強みはなんですか?
1つはホテルの立地ですね。空港や駅が近いので非常に良いアクセスです。あと、駅前なので集まりやすいんですよね。東京の方と近隣の方が集まったりしています。実際、チェックインを別々にしているかたが多くて、ここならではなんだなと思います。それだけ、集まるのは便利なところです。
CW:今後、BEB5土浦でやっていきたいことはありますか?
この土浦のエリアが知られて憧れの場所になっていくことです。茨城県が目指している「サイクリング王国いばらき」になるためにも、サポート要素が充実しているだけでは難しいと思います。既に、他の所もされていると思いますし、競争だと思います。あとは、ここならでは魅力を作っていきたいですね。ここは霞ヶ浦と筑波山と両方のコースがあって東京から近くて、それプラスの魅力が茨城にはあるんですよね。実は茨城県は農産物やメロン、蓮根、さつま芋や栗など、日本一のものが多いんです。それが知られていないのも現状です。ここに来たからこそ楽しめるコンテンツだと思います。
あとは、文化と歴史を楽しめるところが点在している。そこら辺をうまく結び付けて宿泊してくれれば良いと思います。東京から近いので日帰りでも楽しむことができるボリュームでもあります。それを旅としても魅力あるものに出来たら良いなと思っています。それに向けて自転車のアクティビティなどを作り始めているところです。
CW:宮越さんの土浦のオススメの場所はありますか?
上級者はコースを走る事が御褒美だと思います。だから、それに対して情報提供していきたいです。初心者にとってはグルメや写真スポットを紹介していきたいですね。霞ヶ浦ばかり知られてきていると思いますが、筑波の方もオススメなんです。季節感を感じられたり、筑波山が綺麗だったり、交通量も少ないため走りやすいです。ちょっと外れまで行くと美味しいレストランや筑波ワイナリ―、歴史的な建物など筑波には良い所がいっぱいあります。
土浦にはお城があったりとか、古風な街並みがあって、美味しいお店があったりするので初心者の方にも丁度良いと思うんです。最初の日はチェックインをしてTAMARIBAで盛り上がって、チェックアウトも遅めなので半日くらいは走れるので、そのような使い方もオススメですね。
さて、ついに2日目のサイクリングが始まる。土浦駅のロータリーに集合し、待っているとキリンビールから11月24日に新発売される「プラズマ乳酸菌 iMUSE」を頂いた。また、今回は特別にマヴィックにお願いをしてマヴィックの軽量アルミホイール Ksyrium SLを試乗させてもらった。
11月にしては暖かくて、2日目もサイクリング日和 photo:Michinari TAKAGI
キリンビールさんから11月24日に新発売される「プラズマ乳酸菌 iMUSE」
マヴィックの軽量アルミホイール Ksyrium SLを試乗させてもらった
筑波鉄道の駅のホームが残る photo:Michinari TAKAGI
2日目のサイクリングは土浦駅から14km先にある「小田城跡歴史ひろば」に向かう。鎌倉時代から戦国時代までの中世に県南最大の勢力を誇った小田氏の居城跡、国史跡「小田城跡」を整備した広場である。ここでは、木製品や石製品、金属製品、土器など歴史的な品が出土され、「小田城跡歴史ひろば案内所」に展示されている。スタッフさんの解説や分かりやすいパネルによって、筑波の歴史について知ることができた。
そこから8km先の「りんりんロード筑波休憩所」へ行くと「筑波鉄道」が廃線となった1987年の駅のホームを再利用しりんりんロードの休憩ポイントに使用されていた。ツアー参加者以外にも地元のサイクリストが立ち寄っていた。また、鉄道マニアとしても休憩しながら楽しめるスポットであった。
廃線となったホームを再利用し、りんりんロードの休憩ポイントに使用 photo:Michinari TAKAGI
ワコーズのスタッフさんが参加者の悩みに即対応する photo:Michinari TAKAGI
直線が続くりんりんロード photo:Michinari TAKAGI
そして、12km先にある2日目のサイクリングのゴール地点「見晴らしの丘 真壁 うり坊」へ向かう。すると、ツアー参加者のバイクが不運にもパンク。途方に暮れていると、そこに差し掛かったマヴィックカ―&モトバイクがレースのワンシーンを観ているかのようなスムーズな対応でリスタートすることができた。
2日目のサイクリングのゴール地点「見晴らしの丘 真壁 うり坊」まで残り200mに差し掛かると、2日間のサイクリングの締めに相応しい斜度10%を超える激坂が待ち構えていた。最後の力を振り絞って登りきり、全員がゴールし、お互いを讃えあった。
マヴィックカー登場 photo:Michinari TAKAGI
「見晴らしの丘 真壁 うり坊」自慢の久慈浜魚ラグーソースのスパゲティ―ニ photo:Michinari TAKAGI
「見晴らしの丘 真壁 うり坊」はランチとディナーを提供するお食事どころである半面、宿泊もできる宿泊施設でもある。シェフがフルコースを振る舞ってくれた。サイクリングで身体を動かした後のランチは格別に美味しかった。ランチ後は汗を流しに宿泊した際に利用できる温泉で身体をリフレッシュさせてもらった。
そして、B.B.BASEバスに愛車のビアンキを積み込み、バスで1日目のサイクリングのスタート地点である潮来駅に移動する。バスの中からは茨城の夕日をながめながら駅に到着。満載にバイクが積まれたトランクが開き、参加者が順番に自身のバイクを受け取っていき、潮来駅のホームへ移動していく。
最大18台の自転車を搭載できる photo:Michinari TAKAGI
夕焼けとB.B.BASEバス
潮来駅のホームで待っているとB.B.BASEが到着
星野リゾート BEB5土浦のスタッフさんと潮来駅の駅員さんがお見送り photo:Michinari TAKAGI
潮来駅のホームで待っているとB.B.BASEが到着。愛車のバイクをバイクラックにセットして、出発に備える。出発が迫る中、星野リゾート BEB5土浦のスタッフさんと潮来駅の駅員さんが一礼をしてお見送りしてくれた。そして、潮来駅を後にした。
B.B.BASEで両国駅に向かいながら、ツアー参加者の皆さんとこの2日間の出来事を振り返った。茨城県の様々な場所に立ち寄り、そこで食べたものや見たものを思い出していた。そして、今度は筑波山を登ったり、立ち寄ることができなかった所に行けたらなと、次回行きたい場所の候補をお互いに挙げ合っていた。
両国駅に向かいながら、ツアーの参加者とこの2日間の出来事を振り返った photo:Michinari TAKAGI
旅の終点である両国駅に到着 photo:Michinari TAKAGI
レトロなランプがホームを照らす photo:Michinari TAKAGI
旅の終点である両国駅に到着。愛車をB.B.BASEから降ろし、ホームをバイクを押し歩きながら広小路にあるB.B.BASEバイシクルステーションへ向かう。私は立ち止り、振り返った。そして、B.B.BASEに向かって「B.B.BASE!ありがとう!」と心の中で感謝を伝えた。
両国駅広小路にあるB.B.BASEバイシクルステーションに到着すると、ツアー参加者の皆さんとお別れの時間。お互い感謝を伝えあい、それぞれのマイホームへ帰っていった。
B.B.BASEバスと愛車を記念撮影 photo:Michinari TAKAGI
お互い感謝を伝えあい、それぞれのマイホームへ帰っていった photo:Michinari TAKAGI
この2日間はB.B.BASE、星野リゾート BEB5土浦、キリンビールそして茨城地域の魅力を体感する事ができた。そして、このツアーを通して地元の方々と話してみて、茨城県の方々の暖かい優しさを感じられた。この記事を書きながら、ツアーの楽しかった思い出を振り返り、「そうだ!また、茨城へ行こう。」と筆者は思ったのであった。皆さんもB.B.BASEに乗って新たなサイクリングフィールドへ旅をしてみては。
text&photo:Michinari TAKAGI
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JRの両国駅からサイクルトレイン「B.B.BASE」に乗って、潮来駅へ。そこからつくば霞ヶ浦りんりんロードを走り、土浦駅にあるサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA(プレイアトレ土浦)」に無事到着。今年オープンしたばかりの星野リゾート BEB5土浦が今日の宿だ。
星野リゾートが「居酒屋以上 旅未満 ルーズに過ごすホテル」をコンセプトに掲げるホテル「BEB」。BEB5軽井沢に続く国内2軒目となるのがBEB5土浦である。29歳以下であれば365日同一料金で泊まることができる「29歳以下エコひいきプラン」が用意され、若者にも人気のBEB。なかでも、BEB5土浦は星野リゾート初の自転車を楽しむホテルで館内もサイクリストが使いやすい充実の設備が整えられている。
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施設やサービスについてはオープン時のレポートに詳しいのでご一読いただきたい。「サイクルルーム」と「ヤグラルーム」、「ダブルルーム」という3タイプのゲストルームは、それぞれ赤、青、緑というテーマカラーでコーディネートされている。このテーマカラーがBEB5土浦オリジナルジャージの意匠ともなっているのだ。
今回、宿泊するのは自転車フレンドリーな「サイクルルーム」。部屋の色は青色で落ち着いた印象だ。広々としたツインルームで、壁に自転車を2台まで掛けられるため、自転車を室内に入れても全く窮屈さを感じない。お洒落な部屋と愛車を一緒に撮影すれば、SNS映えもばっちりだ。
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お風呂の他にも、専用シーツをレンタルする「愛車と添い寝プラン」や自慢のふくらはぎを最高の状態で撮影できる「美ふくらはぎステイプラン」などもあるとのことで、自転車好きな人であればとても楽しめる。
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受付の横にあるカフェは24時間オープン。カフェメニューも充実しており、こだわりのクラフトビールやワイン、スムージーのほか、日本最大の野外ロック・フェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で600人を超す行列を集めたという「メロンまるごとクリームソーダ」などもラインアップしている。若者に向けて24時間オープンしているパブリックスペースであるTAMARIBA(タマリバ)では、飲食物は持ち込みでき、ジェンガやカードゲームなどを楽しめる。
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スタッフさんの合図と同時にペダルを踏み込み、どんどんペダルを回して行く。一般の方だと1分ほどかかるみたいだが、自転車に跨るとついつい本気で踏んでしまった編集部員の高木は10秒でスムージーを完成させてしまった。でも、自分の力でペダルを漕ぎ、作ったスムージ―はとても美味しかった。
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スムージーをいただいた後は、キリンビールから日本全国のクラフトビールが振る舞われた。キリンビールのスタッフさんオススメは茨城県の木内酒造で醸造した「ゆずラガー(フレーバードラガー)」。繊細で奥深いシトラスの香りを楽しみながら美味しく飲めた。
ちなみに、キリンビールが今回のツアーに関わっているのはキリンビールの関連会社である「ブルックリンブルワリー・ジャパン株式会社」の木内酒造が茨城県那珂市にあるため。同じ地域として盛り上げていきたいということだ。
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キリンビールのおもてなしの後はライドをサポートしてくれているマヴィックによる「マヴィック女子会」が開催された。マヴィックの誕生秘話や歴史など、新製品のホイールなどマヴィックについて深く知ることができた。
また、ワコーズもマヴィック女子会の皆さんに「部屋の中でできるメンテナンス」を丁寧に説明。ベテランライダーでも「なるほど!」となる豆知識やコツを教えてくれた。ワコーズの手掛ける日焼け止め「アグレッシブデザイン」の担当者からも日焼け止めの正しい塗り方などがレクチャーされていた。そして、1日目が終わるのであった。
次の日は早朝からスタート。星野リゾート BEB5土浦には9月から 「朝焼け絶景サイクリング」というプランがある。茨城県南東部に位置する霞ヶ浦は日本で二番目に大きい湖でその湖面に映える美しい朝焼けを観た後は、絶景を観ながら朝食を食べるというとても優雅な時間を過ごすことができる。定員は10名で参加料は2,200円(税抜)。参加料の中には自転車やヘルメット、朝食セットなど全てが含まれている。予約は前日の20時までフロントで受付可能である。
2日目のスタートはこのプランに参加する。集合時間は季節によって異なるが、11月では朝5時10分。もちろん外は真っ暗だ。もし、この 「朝焼け絶景サイクリング」に参加する予定であれば、明るめの色や反射材を用いたウェアを持って来た方が安全に楽しめそうだ。
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スタートして桜川にかかる橋「水郷橋」を渡り、サイクリングロードを走りながら朝焼けを観る霞ヶ浦の湖畔に到着。晴れ間も見えたが雲が多い空模様。一瞬、朝焼けが見えたがそのまま太陽は雲の中へ。朝焼けを観ることができず残念だったが、澄んだ空気を吸いながら霞ヶ浦の静かな朝は幻想的な景色で、早起きして早朝からサイクリングした甲斐があった。
その後、土浦駅から約3kmにある霞ヶ浦総合公園まで移動。大きなオランダ型風車がある自然豊かな公園で外国に来たかのような感覚に陥った。ここで、軽食でしばしブレイクタイム。茨城県が全国シェア9割の生産量を誇る干し芋とほろ苦いコーヒーを頂いた。参加者の皆さんと軽食を食べながら、交流することで新たなサイクリングコミュ二ティーと出会う事ができるだろう。
また、すっぴんで参加される女性のためにすっぴん隠しの自転車デザインの面白いサングラスも用意されている。もちろん、男性陣も装着すれば映えた写真を撮れるはずだ。大きなオランダ型風車がある広場でマヴィック女子会の皆さんも全員参加で「MAVIC」を身体文字で表現してくれた。
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BEB5土浦へ帰ってからはクールダウンストレッチの時間。BEB5土浦オリジナルのストレッチで、上半身や足周りの筋肉をゆっくりクールダウンするようにストレッチすることができ、身体のケアをすることができた。
この後は朝食。なんと、PLAYatre土浦内の「タリーズコーヒー」とパン工房「クーロンヌ」、「スロージェットコーヒー」の3つのカフェから好みのものを選べるのもうれしいポイントだ。また、追加料金を支払う事でスロージェットコーヒーのブリオッシュトーストキャラメルマキュアートにアップチャージができ、プチ贅沢な朝食を楽しめる。私はスロージェットコーヒーのホットサンドセットを頂き、食後のデザートで「メロンまるごとクリームソーダ」を美味しく頂き、ついにチェックアウト。出発前、素敵な1日を過ごせたBEB5土浦の総支配人、宮越さんにお話を伺ってみた。
星野リゾート BEB5土浦総支配人 宮越俊輔さんにインタビュー

CW:今回のツアーを開催されたのはどの様なことがきっかけでしたか?
今回、B.B.BASEという自転車に特化した電車がここまで延長してくるに当たって話題性としては非常に大きかったことです。霞ヶ浦の一番の中心にあるホテルとして利用に促進して、たくさんの方に利用してもらいたいなと思っています。
私どもホテルとしてできることも限られますし、周辺の方々と協力し合って連携してPRしていくのが一番効果が期待できると思います。その時にJR東日本千葉支社ですとか、キリンビール千葉支社など一緒に力を貸していただける方が周辺にいらっしゃったので、開催することが出来ました。今回はマヴィックも協賛という事で助けてもらって、自社だけではここまでできなかったと思います。
CW:サイクリストのターゲットは上級者と初心者の方のどちらですか?
答えとしては両方であります。初心者から上級者までです。上級者ばかりですと初心者が入りにくくなってしまいますし、初心者の方だけでもエリアの認知として、憧れの地になるには上級者のお墨付きがあったほうが良いです。上級者が楽しんで良いことを行ってもらえないと認めて頂けないので、両方の方々に来てもらいたいですね。今回は比較的上級者の参加者が多かったと思いますが、ライトなユーザーにもお声かけしました。


CW:土浦の強みはなんですか?
1つはホテルの立地ですね。空港や駅が近いので非常に良いアクセスです。あと、駅前なので集まりやすいんですよね。東京の方と近隣の方が集まったりしています。実際、チェックインを別々にしているかたが多くて、ここならではなんだなと思います。それだけ、集まるのは便利なところです。
CW:今後、BEB5土浦でやっていきたいことはありますか?
この土浦のエリアが知られて憧れの場所になっていくことです。茨城県が目指している「サイクリング王国いばらき」になるためにも、サポート要素が充実しているだけでは難しいと思います。既に、他の所もされていると思いますし、競争だと思います。あとは、ここならでは魅力を作っていきたいですね。ここは霞ヶ浦と筑波山と両方のコースがあって東京から近くて、それプラスの魅力が茨城にはあるんですよね。実は茨城県は農産物やメロン、蓮根、さつま芋や栗など、日本一のものが多いんです。それが知られていないのも現状です。ここに来たからこそ楽しめるコンテンツだと思います。
あとは、文化と歴史を楽しめるところが点在している。そこら辺をうまく結び付けて宿泊してくれれば良いと思います。東京から近いので日帰りでも楽しむことができるボリュームでもあります。それを旅としても魅力あるものに出来たら良いなと思っています。それに向けて自転車のアクティビティなどを作り始めているところです。
CW:宮越さんの土浦のオススメの場所はありますか?
上級者はコースを走る事が御褒美だと思います。だから、それに対して情報提供していきたいです。初心者にとってはグルメや写真スポットを紹介していきたいですね。霞ヶ浦ばかり知られてきていると思いますが、筑波の方もオススメなんです。季節感を感じられたり、筑波山が綺麗だったり、交通量も少ないため走りやすいです。ちょっと外れまで行くと美味しいレストランや筑波ワイナリ―、歴史的な建物など筑波には良い所がいっぱいあります。
土浦にはお城があったりとか、古風な街並みがあって、美味しいお店があったりするので初心者の方にも丁度良いと思うんです。最初の日はチェックインをしてTAMARIBAで盛り上がって、チェックアウトも遅めなので半日くらいは走れるので、そのような使い方もオススメですね。
さて、ついに2日目のサイクリングが始まる。土浦駅のロータリーに集合し、待っているとキリンビールから11月24日に新発売される「プラズマ乳酸菌 iMUSE」を頂いた。また、今回は特別にマヴィックにお願いをしてマヴィックの軽量アルミホイール Ksyrium SLを試乗させてもらった。




2日目のサイクリングは土浦駅から14km先にある「小田城跡歴史ひろば」に向かう。鎌倉時代から戦国時代までの中世に県南最大の勢力を誇った小田氏の居城跡、国史跡「小田城跡」を整備した広場である。ここでは、木製品や石製品、金属製品、土器など歴史的な品が出土され、「小田城跡歴史ひろば案内所」に展示されている。スタッフさんの解説や分かりやすいパネルによって、筑波の歴史について知ることができた。
そこから8km先の「りんりんロード筑波休憩所」へ行くと「筑波鉄道」が廃線となった1987年の駅のホームを再利用しりんりんロードの休憩ポイントに使用されていた。ツアー参加者以外にも地元のサイクリストが立ち寄っていた。また、鉄道マニアとしても休憩しながら楽しめるスポットであった。



そして、12km先にある2日目のサイクリングのゴール地点「見晴らしの丘 真壁 うり坊」へ向かう。すると、ツアー参加者のバイクが不運にもパンク。途方に暮れていると、そこに差し掛かったマヴィックカ―&モトバイクがレースのワンシーンを観ているかのようなスムーズな対応でリスタートすることができた。
2日目のサイクリングのゴール地点「見晴らしの丘 真壁 うり坊」まで残り200mに差し掛かると、2日間のサイクリングの締めに相応しい斜度10%を超える激坂が待ち構えていた。最後の力を振り絞って登りきり、全員がゴールし、お互いを讃えあった。


「見晴らしの丘 真壁 うり坊」はランチとディナーを提供するお食事どころである半面、宿泊もできる宿泊施設でもある。シェフがフルコースを振る舞ってくれた。サイクリングで身体を動かした後のランチは格別に美味しかった。ランチ後は汗を流しに宿泊した際に利用できる温泉で身体をリフレッシュさせてもらった。
そして、B.B.BASEバスに愛車のビアンキを積み込み、バスで1日目のサイクリングのスタート地点である潮来駅に移動する。バスの中からは茨城の夕日をながめながら駅に到着。満載にバイクが積まれたトランクが開き、参加者が順番に自身のバイクを受け取っていき、潮来駅のホームへ移動していく。
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

潮来駅のホームで待っているとB.B.BASEが到着。愛車のバイクをバイクラックにセットして、出発に備える。出発が迫る中、星野リゾート BEB5土浦のスタッフさんと潮来駅の駅員さんが一礼をしてお見送りしてくれた。そして、潮来駅を後にした。
B.B.BASEで両国駅に向かいながら、ツアー参加者の皆さんとこの2日間の出来事を振り返った。茨城県の様々な場所に立ち寄り、そこで食べたものや見たものを思い出していた。そして、今度は筑波山を登ったり、立ち寄ることができなかった所に行けたらなと、次回行きたい場所の候補をお互いに挙げ合っていた。
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
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旅の終点である両国駅に到着。愛車をB.B.BASEから降ろし、ホームをバイクを押し歩きながら広小路にあるB.B.BASEバイシクルステーションへ向かう。私は立ち止り、振り返った。そして、B.B.BASEに向かって「B.B.BASE!ありがとう!」と心の中で感謝を伝えた。
両国駅広小路にあるB.B.BASEバイシクルステーションに到着すると、ツアー参加者の皆さんとお別れの時間。お互い感謝を伝えあい、それぞれのマイホームへ帰っていった。
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この2日間はB.B.BASE、星野リゾート BEB5土浦、キリンビールそして茨城地域の魅力を体感する事ができた。そして、このツアーを通して地元の方々と話してみて、茨城県の方々の暖かい優しさを感じられた。この記事を書きながら、ツアーの楽しかった思い出を振り返り、「そうだ!また、茨城へ行こう。」と筆者は思ったのであった。皆さんもB.B.BASEに乗って新たなサイクリングフィールドへ旅をしてみては。
text&photo:Michinari TAKAGI
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