2020/10/26(月) - 07:16
タイム差0秒で迎えたジロ・デ・イタリア第20ステージ個人タイムトライアル。15.7kmの平坦コースを最速で駆け抜けたフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)がステージ4勝目を飾り、チームメイトのテイオ・ゲイガンハートが逆転で総合優勝に輝いた。
2020年のジロ・デ・イタリア第103回大会は、ミラノ中心部のドゥオーモ前にフィニッシュする15.7kmの個人タイムトライアルで決着。幹線道路を走り、市街地を走るど平坦コースが最終的なマリアローザの持ち主を決める。
グランツールの歴史上初めて、ここまで20ステージを走った末に総合1位と総合2位のタイム差は0秒。総合首位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)と総合2位テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の戦いに注目が集まった。
曇り空のミラノを平均スピード54.556km/hで駆け抜け、最速タイムをマークしたのは世界TTチャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)だった。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)とローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)に32秒差をつけたガンナが文句なしの走りで個人タイムトライアル3戦3勝、ステージ4勝目を飾ってみせる。
ホットシートに座るガンナが見守るモニターの中で繰り広げられたマリアローザ争い。タイム差0秒だけに、24歳ヒンドレーと25歳ゲイガンハートのうち、1秒でも早く走った者が総合優勝に輝くというシンプルな戦い。これまで両者が一緒に走った合計9回の個人タイムトライアルの結果を見ると7対2でゲイガンハート優勢。そして下馬評通りそのゲイガンハートがリードした。
比較的大きめのギアを踏んだゲイガンハートに対し、ケイデンス高めのペダリングで平坦路を駆けたヒンドレー。鋭いラインでラウンドアバウトやコーナーを攻めたヒンドレーが序盤にかけてゲイガンハートと同等のペースを刻んだものの、中盤の平坦区間で両者のタイム差が広がり始める。
GPS計測で既にヒンドレーから10秒のリードを得ていたゲイガンハートが計測地点(10.3km地点)で21秒リード。両者ともにトラブルに見舞われることなく最後まで追い込み、先にゲイガンハートがドゥオーモ前にフィニッシュする。最終走者ヒンドレーのタイムが自身のタイムを超えた時点で、チームスタッフやプレスに囲まれたゲイガンハートが拳を突き上げた。
ヒンドレーに39秒差をつけたゲイガンハートが総合優勝。2018年のクリストファー・フルームに続いて、マリアローザを獲得した史上2人目のイギリス人選手となった。なお、最終日に逆転を果たして総合首位に立ち、マリアローザを着てレースを走ることなく総合優勝に輝くのはゲイガンハートが初めて。
「トーゾ監督(マッテーオ・トザット)から10秒リードしていると聞かされたけど、そこから逆に(ヒンドレーに)数秒挽回された。残り数キロを切ってからトーゾ監督が『リスクを負わないように』と叫び始めたところで、これは良い状況なんだと分かったよ」。ステージ13位のタイムで最終個人タイムトライアルをまとめた総合優勝者は語る。
フィニッシュ後にデイブ・ブレイルスフォードGMやガンナ、そして彼女のハンナ・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)と勝利を喜び、表彰台でマリアローザとトロフェオ・センツァ・フィーネを受け取ったゲイガンハートは「正直言って信じられない。今から1ヶ月前にシチリアをスタートした時点では全く想像できなかった夢の中にいる。グランツールで総合トップ5やトップ10を目指していた自分が総合優勝。この勝利を飲み込むまでに長い時間がかかりそうだ」と語る。
第3ステージの落車で総合エースのゲラント・トーマス(イギリス)を失い、ステージ優勝争いに目標をスイッチしたイネオス・グレナディアーズ。ガンナのステージ4勝を含めて全体の3分の1にあたるステージ7勝の活躍を見せ、さらにゲイガンハートを総合優勝に導いた。「ステージ優勝したけど、それ以上にチームメイトのテイオの総合優勝が嬉しい。ファンタスティックだ。彼なら成し遂げてくれると信じていた」と、チームの活躍の原動力になったガンナは語る。
「これからも自分は自分であり、これからもプロフェッショナルであり続け、明日からもバイクライドを楽しみに毎朝目覚め、人生を愛しながら楽しみたい」。山岳アシストからグランツール勝者に昇華したゲイガンハートは、フルームが去るイネオス・グレナディアーズでトーマスやエガン・ベルナル(コロンビア)、リチャル・カラパス(エクアドル)、アダム・イェーツ(イギリス)らとともにエースを担っていく。
サンウェブは総合争いに敗れたものの、ヒンドレーとウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を総合表彰台に送り込むことに成功。来季ヒンドレーはチームに残り、ケルデルマンはボーラ・ハンスグローエに移籍する。総合上位陣の中で目を見張る走りを見せ、ステージ4位に入ったホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)がペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)を抜いて総合4位に浮上している。総合1位&総合2位、総合4位&総合5位の順位が入れ替わった以外に、総合トップ30の順位に変動は見られなかった。
最終日の個人タイムトライアルを86位で終えた新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は13度目のグランツール完走を達成。総合89位で2010年と2014年に続く3度目のジロ完走を果たしている。
2020年のジロ・デ・イタリア第103回大会は、ミラノ中心部のドゥオーモ前にフィニッシュする15.7kmの個人タイムトライアルで決着。幹線道路を走り、市街地を走るど平坦コースが最終的なマリアローザの持ち主を決める。
グランツールの歴史上初めて、ここまで20ステージを走った末に総合1位と総合2位のタイム差は0秒。総合首位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)と総合2位テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の戦いに注目が集まった。
曇り空のミラノを平均スピード54.556km/hで駆け抜け、最速タイムをマークしたのは世界TTチャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)だった。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)とローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)に32秒差をつけたガンナが文句なしの走りで個人タイムトライアル3戦3勝、ステージ4勝目を飾ってみせる。
ホットシートに座るガンナが見守るモニターの中で繰り広げられたマリアローザ争い。タイム差0秒だけに、24歳ヒンドレーと25歳ゲイガンハートのうち、1秒でも早く走った者が総合優勝に輝くというシンプルな戦い。これまで両者が一緒に走った合計9回の個人タイムトライアルの結果を見ると7対2でゲイガンハート優勢。そして下馬評通りそのゲイガンハートがリードした。
比較的大きめのギアを踏んだゲイガンハートに対し、ケイデンス高めのペダリングで平坦路を駆けたヒンドレー。鋭いラインでラウンドアバウトやコーナーを攻めたヒンドレーが序盤にかけてゲイガンハートと同等のペースを刻んだものの、中盤の平坦区間で両者のタイム差が広がり始める。
GPS計測で既にヒンドレーから10秒のリードを得ていたゲイガンハートが計測地点(10.3km地点)で21秒リード。両者ともにトラブルに見舞われることなく最後まで追い込み、先にゲイガンハートがドゥオーモ前にフィニッシュする。最終走者ヒンドレーのタイムが自身のタイムを超えた時点で、チームスタッフやプレスに囲まれたゲイガンハートが拳を突き上げた。
ヒンドレーに39秒差をつけたゲイガンハートが総合優勝。2018年のクリストファー・フルームに続いて、マリアローザを獲得した史上2人目のイギリス人選手となった。なお、最終日に逆転を果たして総合首位に立ち、マリアローザを着てレースを走ることなく総合優勝に輝くのはゲイガンハートが初めて。
「トーゾ監督(マッテーオ・トザット)から10秒リードしていると聞かされたけど、そこから逆に(ヒンドレーに)数秒挽回された。残り数キロを切ってからトーゾ監督が『リスクを負わないように』と叫び始めたところで、これは良い状況なんだと分かったよ」。ステージ13位のタイムで最終個人タイムトライアルをまとめた総合優勝者は語る。
フィニッシュ後にデイブ・ブレイルスフォードGMやガンナ、そして彼女のハンナ・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)と勝利を喜び、表彰台でマリアローザとトロフェオ・センツァ・フィーネを受け取ったゲイガンハートは「正直言って信じられない。今から1ヶ月前にシチリアをスタートした時点では全く想像できなかった夢の中にいる。グランツールで総合トップ5やトップ10を目指していた自分が総合優勝。この勝利を飲み込むまでに長い時間がかかりそうだ」と語る。
第3ステージの落車で総合エースのゲラント・トーマス(イギリス)を失い、ステージ優勝争いに目標をスイッチしたイネオス・グレナディアーズ。ガンナのステージ4勝を含めて全体の3分の1にあたるステージ7勝の活躍を見せ、さらにゲイガンハートを総合優勝に導いた。「ステージ優勝したけど、それ以上にチームメイトのテイオの総合優勝が嬉しい。ファンタスティックだ。彼なら成し遂げてくれると信じていた」と、チームの活躍の原動力になったガンナは語る。
「これからも自分は自分であり、これからもプロフェッショナルであり続け、明日からもバイクライドを楽しみに毎朝目覚め、人生を愛しながら楽しみたい」。山岳アシストからグランツール勝者に昇華したゲイガンハートは、フルームが去るイネオス・グレナディアーズでトーマスやエガン・ベルナル(コロンビア)、リチャル・カラパス(エクアドル)、アダム・イェーツ(イギリス)らとともにエースを担っていく。
サンウェブは総合争いに敗れたものの、ヒンドレーとウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を総合表彰台に送り込むことに成功。来季ヒンドレーはチームに残り、ケルデルマンはボーラ・ハンスグローエに移籍する。総合上位陣の中で目を見張る走りを見せ、ステージ4位に入ったホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)がペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)を抜いて総合4位に浮上している。総合1位&総合2位、総合4位&総合5位の順位が入れ替わった以外に、総合トップ30の順位に変動は見られなかった。
最終日の個人タイムトライアルを86位で終えた新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は13度目のグランツール完走を達成。総合89位で2010年と2014年に続く3度目のジロ完走を果たしている。
ジロ・デ・イタリア2020第21ステージ結果
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:17:16 |
2位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング) | 0:00:32 |
3位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
4位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:41 |
5位 | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) | |
6位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 0:00:44 |
7位 | チャド・ハガ(アメリカ、サンウェブ) | |
8位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)。 | 0:00:46 |
9位 | カミル・グラデク(ポーランド、CCCチーム) | 0:00:47 |
10位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | |
11位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:55 |
13位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:58 |
24位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:01:16 |
30位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:27 |
31位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:28 |
33位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:31 |
36位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:35 |
38位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:37 |
51位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:55 |
86位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:02:27 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 85:40:21 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:39 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:29 |
4位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:57 |
5位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:03:09 |
6位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:07:02 |
7位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:08:15 |
8位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:08:42 |
9位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:09:57 |
10位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) | 0:11:52 |
89位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 4:10:07 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 233pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 184pts |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 108pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 234pts |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 157pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 122pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 85:40:21 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:39 |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:57 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 257:15:58 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:22:32 |
3位 | サンウェブ | 0:28:50 |
text:Kei Tsuji
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