2020/10/24(土) - 10:55
追い風に押され超高速で進んだブエルタ4日目の集団スプリントで、圧巻の追い上げを見せたサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利を挙げた。
開幕3連続の厳しい山岳ステージを乗り切ったスプリンターの出番がようやくやってきた。カスティーリャ・イ・レオン州の山岳地帯を抜けて、アラゴン州にかけての平野部を駆け抜ける191.7kmは、1つのカテゴリー山岳もない、全体的に下り基調の集団スプリント予想100%の平坦ステージだ。
この日は第1ステージでの落車の影響を引きずっていたダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)と、シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)の2人が未出走に。13時09分にオフィシャルスタートの旗が振られ、標高1100m前後の街ガライ ヌマンシアから中盤100km地点まで緩やかに下る道中、2日連続逃げのウィリー・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)をはじめとする4名が集団を飛び立った。
逃げを決めた4名
ハリー・タンフィールド(イギリス、アージェードゥーゼル)
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
ヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴスBH)
ウィリー・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)
「シエルソ」と呼ばれるピレネー山脈から吹き下ろす北風が後押しする中、先頭4名は4分リードを得て突き進む。踏まないと進まない緩い緩斜面にも関わらず、75km/hもの超スピードで先頭4名とメイン集団が進行し、30分の平均スピードが54.6km/hに達する区間も。
途中モビスター勢が横風分断を試みるシーンもあったものの、追い風基調の風向きでは思惑通りにならず。この動きの中でタイム差は1分を割りこんだが、モビスターの攻撃がストップしたことで再び1〜2分差まで開いた。
残り20km地点を前にモビスターやイネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団は逃げグループの背後に迫り、集団スプリントに向けた準備を整えながら残り15km地点で一人粘り続けていたスミットを吸収する。アスタナ、イスラエル・スタートアップネイション、そしてモビスターといった青色系チームが集団先頭で列車を並べた。
スペイン王者ルイスレオン・サンチェス(アスタナ)が65km/h以上もの猛スピードで牽引し、残り5kmを切るといよいよボーラ・ハンスグローエやサンウェブ、UAEチームエミレーツといったスプリンターチームが現れる。広い道幅をめいっぱい使って複数チームが位置取り争いを繰り広げたが、サム・ベネット(アイルランド)の必勝体制を組むドゥクーニンク・クイックステップ列車の登場でその均衡は敗れることとなる。
70km/h以上のスピードで「クレルモン=フェランのTGV」ことTTスペシャリストのレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)でウルフパックが優位を築き、リードアウトトレインを多数残した状態でフラムルージュと残り500mの左コーナー、そして残り300mの右コーナーをクリアする。火花が散るような熾烈なポジション争いで、上手くコーナーのインを突いたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)がロングスパートを繰り出した。
リードアウト役のルイ・オリヴェイラ(ポルトガル)に連れられ、外側ラインで大回りを強いられたベネットを突き放してフィリプセンがスプリント。「何もかもプラン通りだったし、残り50mまでは貰ったと思っていた」と言うフィリプセンが初のグランツールステージ優勝に向けて突き進んだものの、ベネットがヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を悠々突き放してフィリプセンを追い抜いた。
1車身以上開いていた差を自ら詰め、残り25mで先頭に立ったベネットが、驚くフィリプセンを横目に勝利。ブエルタ初挑戦の昨年大会で2勝を挙げた前アイルランドチャンピオンにとってはキャリア通算50勝にあと一歩に迫る今大会1勝目、キャリア49勝目を達成した。
「僕は外側を狙い、フィリプセンは内側から上がり飛び出した。まさか追いけるとは思わなかったよ。でもスピードがどんどん上がり、フィニッシュラインに向けて加速していった。僕にはパワーがあったが、彼のコーナーを抜けてからの爆発力は凄まじいものがあった」と自身も驚く勝利を挙げたベネットは言う。参考までに、4位アッカーマンは残り300m地点の最終コーナーを約45km/hでクリアし、最大1571ワットのパワーで67.3km/hまで上げている。ベネットのパワーデータは公開されていないが、アッカーマンのデータを大きく上回っていることは想像に難くない。
この日は191.7kmコースを3時間53分29秒、つまり平均スピード49.26km/hで駆け抜けた。これはブエルタ・ア・エスパーニャで歴代6位となる記録となった(最高記録は2001年第9ステージの55.176km/h)。
開幕3連続の厳しい山岳ステージを乗り切ったスプリンターの出番がようやくやってきた。カスティーリャ・イ・レオン州の山岳地帯を抜けて、アラゴン州にかけての平野部を駆け抜ける191.7kmは、1つのカテゴリー山岳もない、全体的に下り基調の集団スプリント予想100%の平坦ステージだ。
この日は第1ステージでの落車の影響を引きずっていたダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)と、シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)の2人が未出走に。13時09分にオフィシャルスタートの旗が振られ、標高1100m前後の街ガライ ヌマンシアから中盤100km地点まで緩やかに下る道中、2日連続逃げのウィリー・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)をはじめとする4名が集団を飛び立った。
逃げを決めた4名
ハリー・タンフィールド(イギリス、アージェードゥーゼル)
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
ヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴスBH)
ウィリー・スミット(南アフリカ、ブルゴスBH)
「シエルソ」と呼ばれるピレネー山脈から吹き下ろす北風が後押しする中、先頭4名は4分リードを得て突き進む。踏まないと進まない緩い緩斜面にも関わらず、75km/hもの超スピードで先頭4名とメイン集団が進行し、30分の平均スピードが54.6km/hに達する区間も。
途中モビスター勢が横風分断を試みるシーンもあったものの、追い風基調の風向きでは思惑通りにならず。この動きの中でタイム差は1分を割りこんだが、モビスターの攻撃がストップしたことで再び1〜2分差まで開いた。
残り20km地点を前にモビスターやイネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団は逃げグループの背後に迫り、集団スプリントに向けた準備を整えながら残り15km地点で一人粘り続けていたスミットを吸収する。アスタナ、イスラエル・スタートアップネイション、そしてモビスターといった青色系チームが集団先頭で列車を並べた。
スペイン王者ルイスレオン・サンチェス(アスタナ)が65km/h以上もの猛スピードで牽引し、残り5kmを切るといよいよボーラ・ハンスグローエやサンウェブ、UAEチームエミレーツといったスプリンターチームが現れる。広い道幅をめいっぱい使って複数チームが位置取り争いを繰り広げたが、サム・ベネット(アイルランド)の必勝体制を組むドゥクーニンク・クイックステップ列車の登場でその均衡は敗れることとなる。
70km/h以上のスピードで「クレルモン=フェランのTGV」ことTTスペシャリストのレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)でウルフパックが優位を築き、リードアウトトレインを多数残した状態でフラムルージュと残り500mの左コーナー、そして残り300mの右コーナーをクリアする。火花が散るような熾烈なポジション争いで、上手くコーナーのインを突いたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)がロングスパートを繰り出した。
リードアウト役のルイ・オリヴェイラ(ポルトガル)に連れられ、外側ラインで大回りを強いられたベネットを突き放してフィリプセンがスプリント。「何もかもプラン通りだったし、残り50mまでは貰ったと思っていた」と言うフィリプセンが初のグランツールステージ優勝に向けて突き進んだものの、ベネットがヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を悠々突き放してフィリプセンを追い抜いた。
1車身以上開いていた差を自ら詰め、残り25mで先頭に立ったベネットが、驚くフィリプセンを横目に勝利。ブエルタ初挑戦の昨年大会で2勝を挙げた前アイルランドチャンピオンにとってはキャリア通算50勝にあと一歩に迫る今大会1勝目、キャリア49勝目を達成した。
「僕は外側を狙い、フィリプセンは内側から上がり飛び出した。まさか追いけるとは思わなかったよ。でもスピードがどんどん上がり、フィニッシュラインに向けて加速していった。僕にはパワーがあったが、彼のコーナーを抜けてからの爆発力は凄まじいものがあった」と自身も驚く勝利を挙げたベネットは言う。参考までに、4位アッカーマンは残り300m地点の最終コーナーを約45km/hでクリアし、最大1571ワットのパワーで67.3km/hまで上げている。ベネットのパワーデータは公開されていないが、アッカーマンのデータを大きく上回っていることは想像に難くない。
この日は191.7kmコースを3時間53分29秒、つまり平均スピード49.26km/hで駆け抜けた。これはブエルタ・ア・エスパーニャで歴代6位となる記録となった(最高記録は2001年第9ステージの55.176km/h)。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第4ステージ結果
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 16:330:53 |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:05 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:13 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:32 |
5位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) | 0:38 |
6位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:44 |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:17 |
8位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 1:29 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 1:55 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 1:57 |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 18pts |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 16pts |
3位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 14pts |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 65pts |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 57pts |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 50pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 16:31:25 |
2位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 2:26 |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、NTTプロサイクリング) | 2:59 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィズマ | 49:35:42 |
2位 | モビスター | 1:42 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 7:14 |
text:So Isobe
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