2020/11/01(日) - 15:57
キャノンデールが誇るオールラウンドレーサー"SUPERSIX EVO"。空力に優れたチュービング、ケーブルフル内装コックピットを採用することで、軽さだけではなくエアロダイナミクスをも手に入れたレーシングバイクをインプレッション。
リクイガスやキャノンデール・ドラパック、EFエデュケーションファーストなど、歴代のキャノンデールサポートチームが使用してきたSUPERSIX EVO。ジロにおいてヨナタン・カイセドやルーベン・ゲレイロらが逃げ切り優勝を飾ったEFプロサイクリングのメインバイクとして存在感を示している名車だ。
初代SUPERSIX EVOがフレーム重量695gという、現在でも一線級の軽量バイクとして通用する数字を引っさげてデビューしたのは遡ること9年前、2011年のこと。その軽量性としなやかでバランスの取れた走りに多くのサイクリストが魅了され、ヒルクライマーにとっては定番の一台として愛されてきた。
そして2015年には走りのトータルバランスを高めた2代目へとアップデート、そしてさらに4年の歳月を経て昨年、昨今のレーシングバイクに求められる要素を余すところなく網羅した最新世代のオールラウンダーへと2度目のフルモデルチェンジを果たした。
第3世代となったSUPERSIX EVOの最も大きな進化はエアロダイナミクスの向上に正面から取り組んだこと。軽量性を第一とした第1世代、トータルバランスを突き詰めた第2世代ともに、チューブ形状はオーソドックスな丸パイプをベースとしてきた。それは、あらゆるコースや乗り手に対応しつつ、軽量かつ高い剛性を両立するための選択でもあったが、技術の進歩はそこに空力性能を付加することを可能とした。
SUPERSIX EVOの身上とも言える軽快かつしなやかなライドフィールはそのままに、エアロダイナミクスを向上させるため、キャノンデールはCFD解析によって導き出した新たなD型のチューブシェイプを採用。軽量性と剛性感を損なうことなく、高い空力性能を新型SUPERSIX EVOに与えている。
チューブ形状だけでなく、フレームワークにも大きな変化が加わっている。トラディショナルなシルエットであった歴代モデルとは異なり、ドロップドチェーンステーを採用し、ルックス面でも大きな変化をもたらしている。リアトライアングルをコンパクトにすることで、前方投影面積を抑え空力性能の向上を図るとともに、シートチューブのしなり量を増やすことで快適性を高めた。
更に、フロント周りにも大幅なアップデートが施されている。フォーククラウンは、ヘッドチューブとダウンチューブ接合部と一体化するようなインテグレートデザインとされ、エアロダイナミクスの向上に一役買っている。
特筆すべきはコックピットのケーブルフル内装化だろう。キャノンデールのエアロロード"SYSTEMSIX"のために開発された内装システムを新型SUPERSIX EVOにも採用している。ステム下のカバーによって専用コラムスペーサーへと導かれたケーブルがヘッドチューブ前側のスペースから内装される方式だ。
フォークコラムも真円形状で、汎用ステムやハンドルを使用可能、ハンドルの上下も容易とユーザビリティに優れた内装設計だ。フル内装が可能なのは電動コンポーネントのみとなり、機械式コンポーネントの場合シフトケーブルはダウンチューブ上部からフレームへと内装される。これらのエアロチュービングと進化したインテグレートデザインによって新型SUPERSIX EVOは旧モデルに対し、48.3km/hのスピード域で30Wの抵抗削減を実現したという。
ハンドルやステム、シートポスト、クランク、更にはホイールに至るまで、キャノンデールオリジナルの"HollowGram"シリーズで統一されている。ケーブルフル内装を実現したコックピット周辺に関しては、アルミ製の"KNØTステム"とカーボン製の"SAVEハンドルバー"を組み合わせた2ピース構造であり、セッティングの自由度を備えつつ、ステム一体型ハンドルと見紛うスマートなルックスを実現している。合わせて採用される"SL KNØT 27シートポスト"はしなりを生み出すフレックスゾーンを設けることで振動吸収性を強化する一方、細身の形状によって軽量化とエアロ効果を高めた。
2021モデルの注目カラー「キャンディレッド」に彩られた今回のインプレッションバイクは、機械式アルテグラをメインコンポーネントとすることで、プロユースバイクながら手の届きやすい価格となった戦略モデル。ホイールには35mmハイトのカーボンクリンチャーモデル"HollowGram 35"を、タイヤにはヴィットリアのRubino PROを組み合わせた一台だ。それではインプレッションに移ろう。
― インプレッション
「この1台でどんな用途も賄える、真のオールラウンドバイク」成毛千尋(アルディナサイクラリー)
乗っていて純粋に楽しいバイクですね、この1台で何でも出来るしどこにでもいけちゃいそうな万能感。とにかくダンシングでの挙動が軽くて、個人的にストライクな乗り味でした。
シッティングで登っていて、キツくなってきたらダンシングに切り替えることが多いと思うんですが、そこで挙動が重いバイクだと余計に疲れちゃう。特にディスクブレーキロードは剛性過多の傾向のためか結構振りにくいものが多いこともあって、振りが軽いバイクだとありがたさが身に沁みる(笑)。自分が限界に近い状況で、バイクが邪魔をせずストレスフリーに走れるというのは、それだけでアドバンテージになります。
登りが一番得意というのは間違いないんですが、高速域の安定感と伸びも素晴らしい。ある程度のエアロ性能もあるのでしょう、40km/h以上でも安定した走りを楽しめます。もちろんシステムシックスに比べれば、高速巡航では一歩劣りますが、そこに至るまでの加速はこちらに軍配が上がります。加速が苦にならないので、高速と低速を行き来するようなクリテリウムなども得意分野ですね。
やはり、オーソドックスなフレームワークがこのような乗り味に貢献しているのだと思います。踏み方一つとっても許容範囲が広くて、高回転型で回していってもトルクをかけて踏んでいってもしっかり前へと進んでくれます。乗り手のタイプや癖、出力レベルを問わず、走ってくれる一台ですね。
あと、印象的だったのが乗り心地の良さ。ヤグラ下でくびれたシートピラーが良い仕事をしているのだと思うのですが、とにかく振動が来ない。あまりにも乗り心地が良いので、あえてハイスピードでバンピーなセクションに突っ込んで見たのですが、全然問題なくクリアしてくれました。シートポストがしなる量を増やせるので、乗り心地を良くするためにワンサイズ下げるというのも、このバイクならアリかもしれません。
軽くて、速くて、乗り心地もいいと三拍子揃った優等生なのですが、あえて欠点を挙げるとすればハンドルとステムですね。主張の強めなデザインとライドフィーリングなので、ここが納得出来るのであれば、間違いなくオススメ出来る一台です。
シリアスレーサーにはこの軽さは魅力でしょうし、乗り心地も良いですからホビーライダーにとっても非常に良い選択肢だと思います。苦手とする場面がほぼ無い万能バイクなので、1台でなんでも賄いたい、という方にはピッタリでしょう。
「速く、軽く、快適。どんな乗り方にも応えてくれる懐の深いバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
実はSuperSix EVOは先代に続いて自分でも買っているくらい好きなんですよ。今のバイクって、どうしてもエアロを意識してかなりボリュームがあるじゃないですか。SuperSixはその中でも細身のシェイプで、まず見た目が気に入ったんですよ。
もちろん乗り味も良くて、Hi-MODモデルでもガチガチに硬すぎないので踏みやすいんです。特に感じるのがダンシングでグッと一気に力をかけた時。硬すぎるバイクだと、ペダルが入っていかないような重さを感じることがありますが、このバイクは軽快に踏んでいける。
ありきたりな表現かもしれないけど、ギアが一枚軽いようなイメージで登っていけるんですよね。シッティングでも80くらいのケイデンスで回しているとコンコンッと後ろから押されているような感覚で登っていけます。軽さも大いにあると思うんですが、剛性バランスの良さというのも大きいでしょうね。
フレームがエアロになったというのは、正直普通に走っているだけだと体感できるシーンはあまり多くはないのですが、下りで深いクラウチングポジションをとったりした時に、スピードが落ちづらいようには感じますね。
また、前作に比べるとハンドリングも大幅に良くなっています。コーナーでも身のこなしが軽くて、ヒラリヒラリと曲がっていける。ただ、ブレーキングでフォークブレードが少し内側に入る感覚がありますね。とはいえ、横剛性は十分確保されているようで、ハンドリングには影響していないとは思います。
SAVEシートポストのおかげもあって、乗り心地も良好です。かなりワイドなリムのホイールを採用していて空気圧を低めに設定できることもあって、快適性はかなり高いですね。
オリジナルのハンドル周りも、見た目は独特ですが実は結構使いやすい。角度も実用的な範囲であれば自由に変えることができますし、サイコンマウントも標準装備していますから、使い勝手は悪くない。個人的にはハンドルトップのフラットなシェイプが持ちやすくて好きですね。
内装システムに関しても、かなり事後の高さ調整がしやすいシステムだと思います。ステムの上にスペーサーを載せられるので、多少のポジション変更は許容範囲というのはうれしいですよね。他のブランドだとハンドルを下げるためにはコラムを切らないといけなかったりもしますから。
あと、よく心配されるのがBB周辺の異音ですが、最近のキャノンデールはかなり改善されていて、音鳴りの相談を受けることは劇的に減っています。これは自分がSuperSixオーナーだから言えることですが、一回も音鳴りが出たことはないですね。
速いし、軽いし、乗り心地も良い。どんな乗り方でも応えてくれる懐の深いバイクで、レースでバチバチ火花を散らしたい時も、ゆったりしたロングライドを楽しむ時も、この一台で賄えるいいバイク。自分のような色々やりたい、欲張りな人にはピッタリですね。
キャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD Disc Ultegra
フレーム:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a
フォーク:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, 12x100mm Speed Release thru-axle
シートポスト:All-New HollowGram 27 SL KNOT, carbon, 2 bolt clamp
ハンドルバー:HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust
ステム:All-New HollowGram KNOT, alloy w/ cable cover, -6°
サイズ:44, 48, 51, 54, 56, 58
価格:605,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木卓史(スポーツバイクファクトリースズキ)
埼玉県内に3店舗を構えるスポーツバイクファクトリースズキの代表を務める。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。「買ってもらった方に自転車を長く続けてもらう」ことをモットーに、ポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考える。
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ
CWレコメンドショップページ
成毛千尋(アルディナサイクラリー)
東京・小平市にあるアルディナサイクラリーの店主。Jプロツアーを走った経験を持つ強豪ライダーで、2009年ツール・ド・おきなわ市民200km4位、2018年グランフォンド世界選手権にも出場。ロードレース以外にもツーリングやトライアスロン経験を持ち、自転車の多様な楽しみ方を提案している。初心者からコアなサイクリストまで幅広く歓迎しており、ユーザーに寄り添ったショップづくりを心がける。奥さんと二人でお店を切り盛りしており女性のお客さんもウェルカムだ。
アルディナサイクラリー
ウェア協力:アソス
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
リクイガスやキャノンデール・ドラパック、EFエデュケーションファーストなど、歴代のキャノンデールサポートチームが使用してきたSUPERSIX EVO。ジロにおいてヨナタン・カイセドやルーベン・ゲレイロらが逃げ切り優勝を飾ったEFプロサイクリングのメインバイクとして存在感を示している名車だ。
初代SUPERSIX EVOがフレーム重量695gという、現在でも一線級の軽量バイクとして通用する数字を引っさげてデビューしたのは遡ること9年前、2011年のこと。その軽量性としなやかでバランスの取れた走りに多くのサイクリストが魅了され、ヒルクライマーにとっては定番の一台として愛されてきた。
そして2015年には走りのトータルバランスを高めた2代目へとアップデート、そしてさらに4年の歳月を経て昨年、昨今のレーシングバイクに求められる要素を余すところなく網羅した最新世代のオールラウンダーへと2度目のフルモデルチェンジを果たした。
第3世代となったSUPERSIX EVOの最も大きな進化はエアロダイナミクスの向上に正面から取り組んだこと。軽量性を第一とした第1世代、トータルバランスを突き詰めた第2世代ともに、チューブ形状はオーソドックスな丸パイプをベースとしてきた。それは、あらゆるコースや乗り手に対応しつつ、軽量かつ高い剛性を両立するための選択でもあったが、技術の進歩はそこに空力性能を付加することを可能とした。
SUPERSIX EVOの身上とも言える軽快かつしなやかなライドフィールはそのままに、エアロダイナミクスを向上させるため、キャノンデールはCFD解析によって導き出した新たなD型のチューブシェイプを採用。軽量性と剛性感を損なうことなく、高い空力性能を新型SUPERSIX EVOに与えている。
チューブ形状だけでなく、フレームワークにも大きな変化が加わっている。トラディショナルなシルエットであった歴代モデルとは異なり、ドロップドチェーンステーを採用し、ルックス面でも大きな変化をもたらしている。リアトライアングルをコンパクトにすることで、前方投影面積を抑え空力性能の向上を図るとともに、シートチューブのしなり量を増やすことで快適性を高めた。
更に、フロント周りにも大幅なアップデートが施されている。フォーククラウンは、ヘッドチューブとダウンチューブ接合部と一体化するようなインテグレートデザインとされ、エアロダイナミクスの向上に一役買っている。
特筆すべきはコックピットのケーブルフル内装化だろう。キャノンデールのエアロロード"SYSTEMSIX"のために開発された内装システムを新型SUPERSIX EVOにも採用している。ステム下のカバーによって専用コラムスペーサーへと導かれたケーブルがヘッドチューブ前側のスペースから内装される方式だ。
フォークコラムも真円形状で、汎用ステムやハンドルを使用可能、ハンドルの上下も容易とユーザビリティに優れた内装設計だ。フル内装が可能なのは電動コンポーネントのみとなり、機械式コンポーネントの場合シフトケーブルはダウンチューブ上部からフレームへと内装される。これらのエアロチュービングと進化したインテグレートデザインによって新型SUPERSIX EVOは旧モデルに対し、48.3km/hのスピード域で30Wの抵抗削減を実現したという。
ハンドルやステム、シートポスト、クランク、更にはホイールに至るまで、キャノンデールオリジナルの"HollowGram"シリーズで統一されている。ケーブルフル内装を実現したコックピット周辺に関しては、アルミ製の"KNØTステム"とカーボン製の"SAVEハンドルバー"を組み合わせた2ピース構造であり、セッティングの自由度を備えつつ、ステム一体型ハンドルと見紛うスマートなルックスを実現している。合わせて採用される"SL KNØT 27シートポスト"はしなりを生み出すフレックスゾーンを設けることで振動吸収性を強化する一方、細身の形状によって軽量化とエアロ効果を高めた。
2021モデルの注目カラー「キャンディレッド」に彩られた今回のインプレッションバイクは、機械式アルテグラをメインコンポーネントとすることで、プロユースバイクながら手の届きやすい価格となった戦略モデル。ホイールには35mmハイトのカーボンクリンチャーモデル"HollowGram 35"を、タイヤにはヴィットリアのRubino PROを組み合わせた一台だ。それではインプレッションに移ろう。
― インプレッション
「この1台でどんな用途も賄える、真のオールラウンドバイク」成毛千尋(アルディナサイクラリー)
乗っていて純粋に楽しいバイクですね、この1台で何でも出来るしどこにでもいけちゃいそうな万能感。とにかくダンシングでの挙動が軽くて、個人的にストライクな乗り味でした。
シッティングで登っていて、キツくなってきたらダンシングに切り替えることが多いと思うんですが、そこで挙動が重いバイクだと余計に疲れちゃう。特にディスクブレーキロードは剛性過多の傾向のためか結構振りにくいものが多いこともあって、振りが軽いバイクだとありがたさが身に沁みる(笑)。自分が限界に近い状況で、バイクが邪魔をせずストレスフリーに走れるというのは、それだけでアドバンテージになります。
登りが一番得意というのは間違いないんですが、高速域の安定感と伸びも素晴らしい。ある程度のエアロ性能もあるのでしょう、40km/h以上でも安定した走りを楽しめます。もちろんシステムシックスに比べれば、高速巡航では一歩劣りますが、そこに至るまでの加速はこちらに軍配が上がります。加速が苦にならないので、高速と低速を行き来するようなクリテリウムなども得意分野ですね。
やはり、オーソドックスなフレームワークがこのような乗り味に貢献しているのだと思います。踏み方一つとっても許容範囲が広くて、高回転型で回していってもトルクをかけて踏んでいってもしっかり前へと進んでくれます。乗り手のタイプや癖、出力レベルを問わず、走ってくれる一台ですね。
あと、印象的だったのが乗り心地の良さ。ヤグラ下でくびれたシートピラーが良い仕事をしているのだと思うのですが、とにかく振動が来ない。あまりにも乗り心地が良いので、あえてハイスピードでバンピーなセクションに突っ込んで見たのですが、全然問題なくクリアしてくれました。シートポストがしなる量を増やせるので、乗り心地を良くするためにワンサイズ下げるというのも、このバイクならアリかもしれません。
軽くて、速くて、乗り心地もいいと三拍子揃った優等生なのですが、あえて欠点を挙げるとすればハンドルとステムですね。主張の強めなデザインとライドフィーリングなので、ここが納得出来るのであれば、間違いなくオススメ出来る一台です。
シリアスレーサーにはこの軽さは魅力でしょうし、乗り心地も良いですからホビーライダーにとっても非常に良い選択肢だと思います。苦手とする場面がほぼ無い万能バイクなので、1台でなんでも賄いたい、という方にはピッタリでしょう。
「速く、軽く、快適。どんな乗り方にも応えてくれる懐の深いバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
実はSuperSix EVOは先代に続いて自分でも買っているくらい好きなんですよ。今のバイクって、どうしてもエアロを意識してかなりボリュームがあるじゃないですか。SuperSixはその中でも細身のシェイプで、まず見た目が気に入ったんですよ。
もちろん乗り味も良くて、Hi-MODモデルでもガチガチに硬すぎないので踏みやすいんです。特に感じるのがダンシングでグッと一気に力をかけた時。硬すぎるバイクだと、ペダルが入っていかないような重さを感じることがありますが、このバイクは軽快に踏んでいける。
ありきたりな表現かもしれないけど、ギアが一枚軽いようなイメージで登っていけるんですよね。シッティングでも80くらいのケイデンスで回しているとコンコンッと後ろから押されているような感覚で登っていけます。軽さも大いにあると思うんですが、剛性バランスの良さというのも大きいでしょうね。
フレームがエアロになったというのは、正直普通に走っているだけだと体感できるシーンはあまり多くはないのですが、下りで深いクラウチングポジションをとったりした時に、スピードが落ちづらいようには感じますね。
また、前作に比べるとハンドリングも大幅に良くなっています。コーナーでも身のこなしが軽くて、ヒラリヒラリと曲がっていける。ただ、ブレーキングでフォークブレードが少し内側に入る感覚がありますね。とはいえ、横剛性は十分確保されているようで、ハンドリングには影響していないとは思います。
SAVEシートポストのおかげもあって、乗り心地も良好です。かなりワイドなリムのホイールを採用していて空気圧を低めに設定できることもあって、快適性はかなり高いですね。
オリジナルのハンドル周りも、見た目は独特ですが実は結構使いやすい。角度も実用的な範囲であれば自由に変えることができますし、サイコンマウントも標準装備していますから、使い勝手は悪くない。個人的にはハンドルトップのフラットなシェイプが持ちやすくて好きですね。
内装システムに関しても、かなり事後の高さ調整がしやすいシステムだと思います。ステムの上にスペーサーを載せられるので、多少のポジション変更は許容範囲というのはうれしいですよね。他のブランドだとハンドルを下げるためにはコラムを切らないといけなかったりもしますから。
あと、よく心配されるのがBB周辺の異音ですが、最近のキャノンデールはかなり改善されていて、音鳴りの相談を受けることは劇的に減っています。これは自分がSuperSixオーナーだから言えることですが、一回も音鳴りが出たことはないですね。
速いし、軽いし、乗り心地も良い。どんな乗り方でも応えてくれる懐の深いバイクで、レースでバチバチ火花を散らしたい時も、ゆったりしたロングライドを楽しむ時も、この一台で賄えるいいバイク。自分のような色々やりたい、欲張りな人にはピッタリですね。
キャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD Disc Ultegra
フレーム:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a
フォーク:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, 12x100mm Speed Release thru-axle
シートポスト:All-New HollowGram 27 SL KNOT, carbon, 2 bolt clamp
ハンドルバー:HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust
ステム:All-New HollowGram KNOT, alloy w/ cable cover, -6°
サイズ:44, 48, 51, 54, 56, 58
価格:605,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木卓史(スポーツバイクファクトリースズキ)
埼玉県内に3店舗を構えるスポーツバイクファクトリースズキの代表を務める。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。「買ってもらった方に自転車を長く続けてもらう」ことをモットーに、ポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考える。
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ
CWレコメンドショップページ
成毛千尋(アルディナサイクラリー)
東京・小平市にあるアルディナサイクラリーの店主。Jプロツアーを走った経験を持つ強豪ライダーで、2009年ツール・ド・おきなわ市民200km4位、2018年グランフォンド世界選手権にも出場。ロードレース以外にもツーリングやトライアスロン経験を持ち、自転車の多様な楽しみ方を提案している。初心者からコアなサイクリストまで幅広く歓迎しており、ユーザーに寄り添ったショップづくりを心がける。奥さんと二人でお店を切り盛りしており女性のお客さんもウェルカムだ。
アルディナサイクラリー
ウェア協力:アソス
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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