2020/10/04(日) - 08:05
10月3日、第103回ジロ・デ・イタリアがイタリア南部シチリア島で開幕した。下り基調という珍しいレイアウトの15.1km個人タイムトライアルで「トップガンナ」の異名をもつフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が平均スピード58.831km/hで優勝。アルカンシェルからマリアローザに衣替えした。
予定より5ヶ月遅れて、そして開幕地をハンガリーのブダペストからイタリアのシチリア島に移して、第103回ジロ・デ・イタリアが開幕した。初日はシチリア島北西部に位置するモンレアーレから州都パレルモを目指す15.1kmの個人タイムトライアル。パレルモがジロを迎え入れるのは12年ぶり9回目となる。
標高250mのスタート地点を離れると、まずは1.1kmかけて4級山岳に設定された標高312mのモンレアーレ旧市街まで駆け上がり(登坂タイム最速選手がマリアアッズーラを獲得)、そこから標高19mのパレルモ市内に向かってダウンヒル。トップスピードが100km/hを超える、世にも珍しい下り基調の個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出せばマリアローザ獲得。特殊なコースレイアウトに加えて、時間によって向きと強さを変える風、そして後半にかけて降った小雨がレースの明暗を分けた。
気温30度を超えるモンレアーレをスタートしたのは176名の選手たち。表面が擦り減った舗装路は滑りやすく、継ぎ目や亀裂、補修箇所、凸凹が連続する。ステージ優勝候補の一角でUCIアワーレコーダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)は鋭角コーナーでスリップダウン。カンペナールツは「しばらく雨が降っていないので路面はオイルだらけ。高速走行が想定されるので主催者は路面を洗浄するべきだった。しかも路面も凸凹が連続。誰も歓迎していない危険なコース」と批判している。
慎重に走っていてもタイヤを滑らせて落車する選手が出るほどの路面の悪さに加えて、南東から吹き付ける季節風「シロッコ」が選手たちを悩ませた。横風が吹く下り基調の直線区間では、DHバーを握ったままではバイクをコントロールできず、バランスを取るためにブレーキバーを握っても大きく風に煽られてバイクが暴れるほど。中盤にスタートしたローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)らは直線区間を踏むこともままならずに下位に沈んでいる。
後半にかけて風は緩んだものの、追い風から向かい風に変わったこともあってタイムは伸びなかった。さらに小雨がコースを濡らしたこともあり、後半スタートの選手たちにとっては不利な状況に。そんな中、それまで暫定トップを維持していたホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)とミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)という若い2人を押さえて、世界王者が力走を見せた。
予定より5ヶ月遅れて、そして開幕地をハンガリーのブダペストからイタリアのシチリア島に移して、第103回ジロ・デ・イタリアが開幕した。初日はシチリア島北西部に位置するモンレアーレから州都パレルモを目指す15.1kmの個人タイムトライアル。パレルモがジロを迎え入れるのは12年ぶり9回目となる。
標高250mのスタート地点を離れると、まずは1.1kmかけて4級山岳に設定された標高312mのモンレアーレ旧市街まで駆け上がり(登坂タイム最速選手がマリアアッズーラを獲得)、そこから標高19mのパレルモ市内に向かってダウンヒル。トップスピードが100km/hを超える、世にも珍しい下り基調の個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出せばマリアローザ獲得。特殊なコースレイアウトに加えて、時間によって向きと強さを変える風、そして後半にかけて降った小雨がレースの明暗を分けた。
気温30度を超えるモンレアーレをスタートしたのは176名の選手たち。表面が擦り減った舗装路は滑りやすく、継ぎ目や亀裂、補修箇所、凸凹が連続する。ステージ優勝候補の一角でUCIアワーレコーダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)は鋭角コーナーでスリップダウン。カンペナールツは「しばらく雨が降っていないので路面はオイルだらけ。高速走行が想定されるので主催者は路面を洗浄するべきだった。しかも路面も凸凹が連続。誰も歓迎していない危険なコース」と批判している。
慎重に走っていてもタイヤを滑らせて落車する選手が出るほどの路面の悪さに加えて、南東から吹き付ける季節風「シロッコ」が選手たちを悩ませた。横風が吹く下り基調の直線区間では、DHバーを握ったままではバイクをコントロールできず、バランスを取るためにブレーキバーを握っても大きく風に煽られてバイクが暴れるほど。中盤にスタートしたローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)らは直線区間を踏むこともままならずに下位に沈んでいる。
後半にかけて風は緩んだものの、追い風から向かい風に変わったこともあってタイムは伸びなかった。さらに小雨がコースを濡らしたこともあり、後半スタートの選手たちにとっては不利な状況に。そんな中、それまで暫定トップを維持していたホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)とミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)という若い2人を押さえて、世界王者が力走を見せた。
第1計測ポイント(1.1km地点)通過順位
1位 | リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:01:35 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:01 |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:04 |
4位 | シモン・グリエルミ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:05 |
5位 | ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:00:06 |
6位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)。 | |
7位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 0:00:07 |
8位 | ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) | |
9位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:08 |
10位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | |
11位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) |
第2計測ポイント(9.4km地点)通過順位
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:08:51 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:11 |
3位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:12 |
5位 | マティアス・ブランドル(オーストリア、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:00:15 |
6位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:16 |
7位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:17 |
8位 | ローソン・クラドック(アメリカ、EFプロサイクリング) | |
9位 | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) | 0:00:18 |
10位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | |
11位 | ニコ・デンツ(ドイツ、サンウェブ) | 0:00:20 |
前週金曜日にロード世界選手権男子エリート個人タイムトライアルで優勝し、この日アルカンシェルを初披露したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がフロント60Tにリア11Tという巨大ギアを踏んで下り区間を攻め、ラスト6kmの平坦区間も最速ペースで駆け抜けた。アルメイダとビョーグに22秒差をつけたガンナがステージ優勝を飾るとともに、マリアローザを手にした。
平均58.831km/hという猛烈なスピードで駆け抜けたガンナ。グランツールの個人タイムトライアルにおける最速スピードだが、2001年にリック・フェルブリュッヘ(ベルギー)がプロローグ(フラットな7.6km)でマークした平均スピード58.874km/hのグランツール歴代最速記録にはわずかに及ばなかった。
「イタリアが誇るステージ優勝を飾ることができた」と、自身初のグランツールで、大会初日にステージ優勝を飾るとともにマリアローザを手にしたガンナ。イタリア人選手によるジロ個人タイムトライアル優勝は2006年大会のパオロ・サヴォルデッリ以来となる。
「何人かの選手が落車していたし、今日の目標は安全に最後まで走りきることだった。これまでトラック世界選手権で4つの金メダルを獲得し、先週タイムトライアルで優勝し、今日マリアローザを獲得。自分のキャリアはまだまだこれからであると願っている。明日からはゲラント・トーマスのために走るよ」。ガンナはマリアローザ、マリアチクラミーノ、マリアビアンカを獲得。24歳ガンナ、22歳アルメイダ、21歳ビョーグと、マリアビアンカ対象選手3名が上位を独占する形となった。
ガンナのチームメイトで、マリアローザ候補に挙げられるゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)はステージ4位。後半スタートを選択したマリアローザ候補たちが軒並みタイムを失う中、元団体追い抜き世界チャンピオンのトーマスが初日から総合リードを奪う結果に。
トーマスを起点に計算すると、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がタイムロスを26秒遅れに抑え込んだ一方で、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)は1分06秒、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は1分21秒、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)は1分24秒ものタイムを失っている。気象条件が変化したため単純にタイムだけでは調子は図れないが、トーマスの好調ぶりが際立つ結果となった。
山岳ステージでフルサンのアシストを担う予定だったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は、長い直線区間を終えた後のコーナー手前で路面の穴にハンドルを取られ、バランスを崩してフェンスに突っ込んだ。救急車で搬送されたロペスが今大会のリタイア第一号に。幸いロペスは骨折を免れている。
この日のタイムリミットは4分37秒。スタート直後にメカトラに見舞われてバイク交換したルーカ・コヴィーリ(イタリア、バルディアーニCSF)が7分15秒遅れてフィニッシュしたため、タイムオーバー扱いとなってレースを去っている。
マリアアッズーラ着用を狙って、ノーマルバイクでスタートしたのはリック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)。ステージ成績を度外視し、1.1km地点に設置された4級山岳の登坂タイムだけを狙ったツァベルは見事に1分35秒のトップタイムを叩き出す。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に1秒差をつけたツァベルがマリアアッズーラの権利を得ている。
3度目のジロ出場となった新城幸也(バーレーン・マクラーレン)はステージ115位。危険な個人タイムトライアルを無事に終えて新城は「試走の時点で風で煽られ、真っ直ぐ走れない状況に苦戦しつつも、下り坂は試走で80km/h、本番は91km/hも出ていました(笑)一番早い人では100km/h超えたんじゃないかな!?初めてフロントギヤも58Tというとんでもないものだったし、リズム良く走れたんで良かった。明日から始まるステージが楽しみです」と語っている。
ジロ・デ・イタリア2020第1ステージ結果
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:15:24 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:22 |
3位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:23 |
5位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:31 |
6位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 0:00:36 |
7位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:00:40 |
8位 | ローソン・クラドック(アメリカ、EFプロサイクリング) | 0:00:41 |
9位 | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) | 0:00:42 |
10位 | マティアス・ブランドル(オーストリア、イスラエル・スタートアップネイション) | |
17位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:49 |
25位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:59 |
68位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:28 |
69位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:29 |
96位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:44 |
100位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:47 |
115位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:01:54 |
122位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:00 |
OTL | ルーカ・コヴィーリ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:07:14 |
DNF | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:15:24 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:22 |
3位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:23 |
5位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:31 |
6位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 0:00:36 |
7位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:00:40 |
8位 | ローソン・クラドック(アメリカ、EFプロサイクリング) | 0:00:41 |
9位 | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) | 0:00:42 |
10位 | マティアス・ブランドル(オーストリア、イスラエル・スタートアップネイション) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 15pts |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 12pts |
3位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | 9pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) | 3pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 2pts |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 1pt |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:15:24 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:22 |
3位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:47:23 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:01:05 |
3位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:01:08 |
text:Kei Tsuji
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