2020/09/25(金) - 01:27
9月24日、イタリア・イモラでロード世界選手権が開幕した。大会初日の女子エリート個人タイムトライアルで、連覇を狙うクロエ・ダイガート(アメリカ)が落車リタイアする中、アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が悲願の初勝利。與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)は31位でレースを終えている。
連覇に向けて快走したダイガートが落車リタイア
2020年ロード世界選手権初日の第一種目は女子エリート個人タイムトライアル。イモラサーキット(正式名称アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)を発着する31.7kmコースは往路が概ね登りで、復路が概ね下り。しかも往路が向かい風で、復路が追い風というコンディション。イモラサーキット手前で小さな丘を越えるコースの獲得標高差は200mほどしかなく、近年の世界選手権個人タイムトライアルの中ではシンプルかつ平坦なレイアウトであると言える。
最高気温27度の曇り空の下、14時40分のアンバー・ジョゼフ(バルバドス)を皮切りに51名のエリート選手たちがスタートを切った。渡航制限等により出走者が減ると見られたが、2019年(イギリス)の53名、2018年(オーストリア)の52名、2017年(ノルウェー)の53名、2016年(カタール)の40名、2015年(アメリカ)の44名と比べて大きな減少は見られなかった。
下馬評通りの圧倒的な走りを披露したのが、大会連覇を狙うクロエ・ダイガート(アメリカ)だった。1年前に驚異的な8人抜きで同種目の世界チャンピオンに輝いた23歳のダイガート。登り基調&向かい風区間を終えた14.9km地点に設定された計測ポイントで、2位のマーレン・ローセル(スイス)に27秒、3位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)に36秒ものタイム差をつけて折り返す。しかし、大会連覇に向けて快走したダイガートは、後半の下りコーナーでバランスを崩した。
突然前輪のタイヤのグリップを失い(おそらくパンクと見られる)、バイクのコントロールを失ったダイガートはコーナー外側のガードレールに衝突。そのまま数メートル下に投げ出されてしまう。再スタートを切るどころか、自力で立ち上がることもできないダイガートのレースがそこで終わった。アメリカチームはすぐさまダイガートに意識があり、話すことができるとの情報を流したが、ガードレールで膝の上(大腿四頭筋もしくは腱)に深い裂傷を負ったダイガートは復帰に長い時間を要すると見られる。
連覇に向けて快走したダイガートが落車リタイア
2020年ロード世界選手権初日の第一種目は女子エリート個人タイムトライアル。イモラサーキット(正式名称アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)を発着する31.7kmコースは往路が概ね登りで、復路が概ね下り。しかも往路が向かい風で、復路が追い風というコンディション。イモラサーキット手前で小さな丘を越えるコースの獲得標高差は200mほどしかなく、近年の世界選手権個人タイムトライアルの中ではシンプルかつ平坦なレイアウトであると言える。
最高気温27度の曇り空の下、14時40分のアンバー・ジョゼフ(バルバドス)を皮切りに51名のエリート選手たちがスタートを切った。渡航制限等により出走者が減ると見られたが、2019年(イギリス)の53名、2018年(オーストリア)の52名、2017年(ノルウェー)の53名、2016年(カタール)の40名、2015年(アメリカ)の44名と比べて大きな減少は見られなかった。
下馬評通りの圧倒的な走りを披露したのが、大会連覇を狙うクロエ・ダイガート(アメリカ)だった。1年前に驚異的な8人抜きで同種目の世界チャンピオンに輝いた23歳のダイガート。登り基調&向かい風区間を終えた14.9km地点に設定された計測ポイントで、2位のマーレン・ローセル(スイス)に27秒、3位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)に36秒ものタイム差をつけて折り返す。しかし、大会連覇に向けて快走したダイガートは、後半の下りコーナーでバランスを崩した。
突然前輪のタイヤのグリップを失い(おそらくパンクと見られる)、バイクのコントロールを失ったダイガートはコーナー外側のガードレールに衝突。そのまま数メートル下に投げ出されてしまう。再スタートを切るどころか、自力で立ち上がることもできないダイガートのレースがそこで終わった。アメリカチームはすぐさまダイガートに意識があり、話すことができるとの情報を流したが、ガードレールで膝の上(大腿四頭筋もしくは腱)に深い裂傷を負ったダイガートは復帰に長い時間を要すると見られる。
計測ポイント(14.9km地点)通過タイム
順位 | 名前 | タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|
1位 | クロエ・ダイガート(アメリカ) | 0:19:35 | 45.651 |
2位 | マーレン・ローセル(スイス) | 0:00:27 | 44.663 |
3位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) | 0:00:36 | 44.294 |
4位 | リサ・ブレナウアー(ドイツ) | 0:00:54 | 43.645 |
5位 | グレイス・ブラウン(オーストラリア) | 0:01:00 | 43.433 |
6位 | エレン・ファンダイク(オランダ) | 0:01:01 | 43.398 |
7位 | アンバー・ネーベン(アメリカ) | 0:01:13 | 42.981 |
8位 | ヴィットリア・ブッシ(イタリア) | 0:01:18 | 42.809 |
9位 | ローレン・スティーブンス(アメリカ) | 0:01:31 | 42.370 |
10位 | アレナ・アミアリウシク(ベラルーシ) | 0:01:39 | 42.104 |
32位 | 與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) | 0:02:55 | 39.733 |
2位を4回経験しているファンデルブレッヘンが初タイトル獲得
ディフェンディングチャンピオン不在の世界最速女子決定戦。計測ポイントでダイガートに次いで3番時計を記録していたファンデルブレッヘンが、残りの16.8kmを最速スピードで駆け抜けた。2番時計ローセルよりも25秒早く、平均スピード49.9km/hで下り基調&追い風区間を終えたファンデルブレッヘンが逆転。最終的にローセルに15秒差をつけて、ファンデルブレッヘンがイモラサーキットにフィニッシュした。
スイスTTチャンピオンで、昨年6位のローレルが2位に。3位にはファンデルブレッヘンに肉薄するタイムで後半区間を駆けたエレン・ファンダイク(オランダ)が入っている。
「今日は計測ポイントの通過タイムを知らせないように監督にお願いして、ただフィニッシュラインまで出来る限り速く走ることだけを考えていた。だから勝ったのを知ったのはフィニッシュしてから。ずっと2位が続いていたので未だにこの勝利が信じられない」と、表彰式を簡略化するためにアルカンシェルを着た状態で登壇し、オランダ国歌に聴き入ったファンデルブレッヘンは語る。
2015年大会で2位に入り、さらに2017年から3年連続で2位を経験していた30歳ファンデルブレッヘンが念願の1位。2018年にロードレースで世界チャンピオンに輝いているが、タイムトライアルでの世界タイトル獲得はこれが初めて。近年アメリカとタイトルを競り合うオランダが2年ぶりにアルカンシェルを獲得した。
落車したダイガートについてファンデルブレッヘンは「今日は風も強かったし、とても難しかった。全員がリスクを負って全開で攻めたと思う。昨年優勝したクロエももちろん今日のレースに懸けていたはず。彼女にとって最悪の事態が起こったことは間違いないし、早い回復を願う」と気遣った。
「特別な準備は出来なかったけど、1年ぶりのタイムトライアル。集中して楽しめました」と語るのは31位でレースを終えた與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)。
「良い感触を得て10月のアルデンヌクラシックに繋げよう。そんなイメージでレースに臨みました。コースはとても簡単で、パワーと体重が必要な分かりやすいコースでした。往路は向かい風。バイクを上手く進められる感触が少ないけどパワーは良い感じ。復路は追い風。54T−11Tが回り切るぐらい楽しく速く進む感じ。楽しく集中した45分間を味わえました。平均出力も平坦コースで5倍を超えているので悪くない。前後の選手を見ると、上が伸びていて、私の周りにはいつも通りの選手たち。とにかく怪我をしなくてよかった」と與那嶺。
前週までオーストリアで高地合宿を行い、早めに現地入りしてコースを試走した與那嶺は2日後のロードレースについて「過去最高にきついコース。今回も楽しく走って、サバイバルしてきます」と語っている。
週末にかけて天候は下り坂。男子エリートロードレースが開催される日曜日は最高気温17度の雨予報が出ている。
女子エリート個人タイムトライアル(31.7km)結果
text:Kei Tsuji in Imola, Italy
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