2020/09/03(木) - 16:26
「究極のロングライド用ビブショーツ」をコンセプトにしたアソスのCENTO EVOをロングライドでインプレッション。パッドの厚みを通常モデルより2mm増し、各部のディテールを造り込んだ最高峰モデルを埼玉から日本海を目指す300kmライドで着用、実際に走り込んでみた。
アソス CENTO EVO BIB SHORTS photo:Gakuto.Fujiwara
アソスのロングライド向けコンフォートショーツ「T.CENTO S7」が2019年にアップデートにより進化、新デザインを纏った「CENTO EVO(チェント・エボ)ビブショーツ」としてリファインされた。「究極のロングライド向けハイパフォーマンスビブショーツ」という基本設計はそのままに、新しいデザインにアップデートされた。
エアロダイナミクスと運動効率を追求した「レーシングフィット」、デイリーユースからロングライドまで体型を選ばない「レギュラーフィット」の2つのラインに対し、CENTO EVOはアソスの「コンフォートフィット」シリーズに属する、極上のフィット感をもつロングライドウェアとしての快適性を追求したビブショーツだ。
体を優しく包み込むようなフィット感があるCENTO EVO ビブショーツ photo:Gakuto.Fujiwara
前モデル「T.CENTO S7」の基本構造はそのままに、背中のパネルに新モノグラムパターンを採用。右裾のシルバーラインがアクセントとなる高級感のある新デザインに生まれ変わった。
パッドは通常モデルよりも2mm厚い10mm厚のインパクトフォームパッドになり、座面にかかるストレスを最大限に緩和してくれる。各部にロングライドに最適な素材とパターンを採用し、腰、腹部への圧迫や締め付けを大幅に軽減。まさに究極のロングライド用ビブショーツというにふさわしいスペックとなっている。
アソス CENTO EVO BIB SHORTS のパッド (c)ダイアテック
アソス・レイヤリングシステムにおける着用季節分類「クライマコード」では「1/3 Summer」に属する、夏用モデルとなるビブショーツだ。
2012年ロンドン五輪スイスチームのタイムトライアルスーツ開発時の風洞テストの研究からもたらされた、ビブショーツ全体の縫い目を極限まで減らしたパターンを採用している。
肩に負担をかけないY7フレーム シームレスサスペンダー
シームレスサスペンダーは肩に広くかかり、ライディング時の負荷が少ない。サングラスホルダーも備える
Y7フレーム シームレスサスペンダー
背中のYの字状の構造と、従来よりも外側を通るシームレスなサスペンダーにより、肩に掛かる負荷を軽減。生地にシワが発生せず、最小限の生地で且つ完璧なフィットを目指した。また屈曲の際に腹部を締めつけない構造とされ、身体が生地に優しく包み込まれるような着用感を実現している。
ゴールデンゲートパッド
パッドは周囲を全て縫製し固定するのではなく、中央部の縫い目が中断され、縫われていない構造となる「ゴールデンゲートパッド」。ペダリングの左右の動きが加わった際も3次元的に動き、突っ張らないため股間部分のフィット感が劇的に向上。擦れの原因となる縫い目が存在しないため股擦れも起きにくく、骨盤の幅の個人差によるパッド縁部分の不快な立ち上がりも発生しない。
ブラックのパッド表面は肌触りが良い「スーパーエア」素材だ
10mm厚のインパクトフォームパッド(上)と従来モデル(下)の厚みの違いは2mm
KUKU(クク)ペントハウス
パッドの前部はフォームがくり抜かれ、柔らかいフリースタッチの繊維素材によって肌触りの良い空間をかたちづくる。男性器の納まりがよく、高い通気性が保たれることで蒸れを防ぎ快適さが保たれる。
KUKU(クク)ペントハウスは収まりがよく、熱や蒸れを逃がす構造だ
裾の裏側のストッパー。汗を逃がす設計で快適度は高い
スーパーフラットグリッパー
新開発の「スーパーフラットグリッパー」は超薄素材で、柔らかな面圧で肌に均一に当たるため、太もも部分の圧迫感が少なく、一方で裾がしっかりと密着、長時間の着用でもストレスを感じにくくい。
アソス CENTO EVO BIB SHORTS
深夜2:30のスタートから走り続け、日本海に到着したのは18:30。走った時間は16時間に及んだ。その間じゅうサドルに座り続けているのだから、ビブショーツの仕事はとても重要だ。今回はジャージもソックスもアソスで揃えた。8月下旬の真夏日、雨、大量の発汗と、ウェアの性能差がでる過酷条件が山盛りだ。アソスの定義ではロングライドとは200km以上を指す。その意味ではテスト条件はクリアできている。
サスペンダーは肩にストレスを掛けない設計かつフィット感が高い
ロングライド前にはシャミークリームを塗り込むと汗や摩擦から肌を守ってくれる
普段からアソスのアパレル類を愛用している筆者。バイクに投資するよりまずアパレルにお金を掛けたほうが快適に走れるという考え方で、アソスの本格的な日本展開が始まる前から入手し、愛用し続けている。「アソスはビブショーツのメーカー」という説はあながち間違いではないほどに、どのショーツも出来が素晴らしい。
アソスRSR SOCKSも着用。通気性が良く長時間のライドをサポートしてくれるコンプレッションソックスだ レーシングフィットのEQUIPEなどと比べ、このCENTO EVOはパッドのフォームが2mm厚い10mmだという。ユニークなアソスの「ゴールデンゲートパッド」は構造的にサイドが生地に縫い付けられていないため、その隙間からフォームパッドそのものが確認できる(比較写真を参照)。実際に履いてみると、10mmのパッドの厚さははっきりと感じる。
サドルに座ってみるとそれはより実感できる。走り出してしばらくはサドルの高さが高くなったような感覚を受ける。パッドの厚さで+2mm、体重でパッドが潰れるとして+1mm程度の違いなのだろうが、試し履き初日は気になった。走るうちにパッドが馴染み、サドルを下げるまでには至らなかったが、サドル高に神経質な人はいきなりの本番投入は慎重になったほうがいいと思う。
厚みのあるパッドによる安心感と快適性はロングライドの大きな味方になる photo:Yasuo.Inaba
さて300kmライド当日はアソスのシャミークリームをたっぷりと塗って走った。筆者は普段の半日ライドや室内のZwift時でも常にシャミークリームを使用しているが、肌を健やかに保ってくれ、あせもやデキモノができにくくなるのでおすすめだ。ワセリンなどと違って油脂を含まないので、洗濯時にはすべてきれいに流せる。
履いてみるとフィット感の高さに感心する。身体全体を優しく包み込む感じは感動的と言っていいほど。かつてのアソスのビブは正立するのがキツイほど前傾姿勢を基準にした設計だったが、CENTO EVOは直立状態でも突っ張られる感じはなく、さらに前傾時はストレスが非常に少ない。
腹部の生地は前傾時に食い込みやストレスの無いルーズ構造だ
肩のサスペンダーは広く回り込むので凝りがちな首周りに負荷がかからず、背中や体感全体で均等にビブを支える感じ。腹部の生地は薄く、少し伸びてしまったように勘違いするのだが、この素材と形状が腹を締め付けず、食い込ませないための設計なのだと走りながら感心させられた。
アソスのビブとジャージは体全体を優しく包み込むようなフィット感がある photo:Yasuo.Inabaパッドを完全に縫い付けない「ゴールデンゲートパッド」構造は、サドルに座ったりダンシングしたりを繰り返すときにも突っ張ることがない。そして「クク・ペントハウス」は真夏日でも快適。暑さで蒸れることもなく、ストレスのなさに改めて優れた構造だと感心した。
厚みを増したパッドの快適性については、アソスのノーマルパッドで十分満足していたため特別な期待はもっていなかった。長時間乗ってみて感じる違いというよりも、微振動をカットしてくれるため普段のライドでもすぐに違いが感じ取れるものだと思う。サドルはあまり厚ぼったいクッションのモデルは使いたくないが、ショーツ側のパッドを増すことで快適性を確保するのはスマートだと思う。
そして履いている自分には分からないのだが、ブラックに見えるカラーが実は濃紺に近いダークグレーで、光の加減で色味が違って見えるのがカッコイイと一緒に走った友人が教えてくれた。立体感のあるアソスロゴのエンブレムや、小さいながらも効果的な位置に縫い込まれた再帰反射素材のリフレクターなど、造作が巧みで、全体に高級感が漂っているビブショーツだ。快適さは過剰なものではなく、あくまで走りをサポートするアソスらしい造り込みだ。「究極のロングライド用」としての一張羅のはずが、気づけば普段のライドでヘビロテになりそうな気配だ。
アソス CENTO EVO BIB SHORTS
クライマレンジ:SUMMER 1/3 (ASSOS LAYERING SYSTEM サマーモデル)
サイズ:XS (159-159cm) / S (160-169cm) / M (160-169cm) / L (180-185cm) / XL (186-190cm) / TIR (191-195cm, 幅広)
素材:ポリアミド73% / エラスタン17% / ポリエステル10%
重量:185g(Mサイズ)
生産国:ブルガリア
価格:38,600円(税抜)
text&photo:Makoto AYANO
photo:Yasuo.Inaba(cyclewclub3UP)
資料協力:ASSOS PROSHOP TOKYO

アソスのロングライド向けコンフォートショーツ「T.CENTO S7」が2019年にアップデートにより進化、新デザインを纏った「CENTO EVO(チェント・エボ)ビブショーツ」としてリファインされた。「究極のロングライド向けハイパフォーマンスビブショーツ」という基本設計はそのままに、新しいデザインにアップデートされた。
エアロダイナミクスと運動効率を追求した「レーシングフィット」、デイリーユースからロングライドまで体型を選ばない「レギュラーフィット」の2つのラインに対し、CENTO EVOはアソスの「コンフォートフィット」シリーズに属する、極上のフィット感をもつロングライドウェアとしての快適性を追求したビブショーツだ。

前モデル「T.CENTO S7」の基本構造はそのままに、背中のパネルに新モノグラムパターンを採用。右裾のシルバーラインがアクセントとなる高級感のある新デザインに生まれ変わった。
パッドは通常モデルよりも2mm厚い10mm厚のインパクトフォームパッドになり、座面にかかるストレスを最大限に緩和してくれる。各部にロングライドに最適な素材とパターンを採用し、腰、腹部への圧迫や締め付けを大幅に軽減。まさに究極のロングライド用ビブショーツというにふさわしいスペックとなっている。

アソス・レイヤリングシステムにおける着用季節分類「クライマコード」では「1/3 Summer」に属する、夏用モデルとなるビブショーツだ。
CENTO EVO BIB SHORTS ディテール
エアロパターン2012年ロンドン五輪スイスチームのタイムトライアルスーツ開発時の風洞テストの研究からもたらされた、ビブショーツ全体の縫い目を極限まで減らしたパターンを採用している。


Y7フレーム シームレスサスペンダー
背中のYの字状の構造と、従来よりも外側を通るシームレスなサスペンダーにより、肩に掛かる負荷を軽減。生地にシワが発生せず、最小限の生地で且つ完璧なフィットを目指した。また屈曲の際に腹部を締めつけない構造とされ、身体が生地に優しく包み込まれるような着用感を実現している。
ゴールデンゲートパッド
パッドは周囲を全て縫製し固定するのではなく、中央部の縫い目が中断され、縫われていない構造となる「ゴールデンゲートパッド」。ペダリングの左右の動きが加わった際も3次元的に動き、突っ張らないため股間部分のフィット感が劇的に向上。擦れの原因となる縫い目が存在しないため股擦れも起きにくく、骨盤の幅の個人差によるパッド縁部分の不快な立ち上がりも発生しない。


KUKU(クク)ペントハウス
パッドの前部はフォームがくり抜かれ、柔らかいフリースタッチの繊維素材によって肌触りの良い空間をかたちづくる。男性器の納まりがよく、高い通気性が保たれることで蒸れを防ぎ快適さが保たれる。


スーパーフラットグリッパー
新開発の「スーパーフラットグリッパー」は超薄素材で、柔らかな面圧で肌に均一に当たるため、太もも部分の圧迫感が少なく、一方で裾がしっかりと密着、長時間の着用でもストレスを感じにくくい。

埼玉から日本海を目指す300kmライドでインプレッション
日本海を目指したCADEX65ホイールの300kmライドインプレッション記事に引き続き、この記事もウルトラディスタンスライド「ツール・ド・日本海」を走っての実走インプレだ。埼玉県飯能市から新潟県直江津市まで、山岳路を含む距離296km・獲得標高4,200mを一日で走りきろうというcycleclub3UPのクラブイベントに参加したCW編集部・綾野がレポート。深夜2:30のスタートから走り続け、日本海に到着したのは18:30。走った時間は16時間に及んだ。その間じゅうサドルに座り続けているのだから、ビブショーツの仕事はとても重要だ。今回はジャージもソックスもアソスで揃えた。8月下旬の真夏日、雨、大量の発汗と、ウェアの性能差がでる過酷条件が山盛りだ。アソスの定義ではロングライドとは200km以上を指す。その意味ではテスト条件はクリアできている。


普段からアソスのアパレル類を愛用している筆者。バイクに投資するよりまずアパレルにお金を掛けたほうが快適に走れるという考え方で、アソスの本格的な日本展開が始まる前から入手し、愛用し続けている。「アソスはビブショーツのメーカー」という説はあながち間違いではないほどに、どのショーツも出来が素晴らしい。

サドルに座ってみるとそれはより実感できる。走り出してしばらくはサドルの高さが高くなったような感覚を受ける。パッドの厚さで+2mm、体重でパッドが潰れるとして+1mm程度の違いなのだろうが、試し履き初日は気になった。走るうちにパッドが馴染み、サドルを下げるまでには至らなかったが、サドル高に神経質な人はいきなりの本番投入は慎重になったほうがいいと思う。

さて300kmライド当日はアソスのシャミークリームをたっぷりと塗って走った。筆者は普段の半日ライドや室内のZwift時でも常にシャミークリームを使用しているが、肌を健やかに保ってくれ、あせもやデキモノができにくくなるのでおすすめだ。ワセリンなどと違って油脂を含まないので、洗濯時にはすべてきれいに流せる。
履いてみるとフィット感の高さに感心する。身体全体を優しく包み込む感じは感動的と言っていいほど。かつてのアソスのビブは正立するのがキツイほど前傾姿勢を基準にした設計だったが、CENTO EVOは直立状態でも突っ張られる感じはなく、さらに前傾時はストレスが非常に少ない。

肩のサスペンダーは広く回り込むので凝りがちな首周りに負荷がかからず、背中や体感全体で均等にビブを支える感じ。腹部の生地は薄く、少し伸びてしまったように勘違いするのだが、この素材と形状が腹を締め付けず、食い込ませないための設計なのだと走りながら感心させられた。

厚みを増したパッドの快適性については、アソスのノーマルパッドで十分満足していたため特別な期待はもっていなかった。長時間乗ってみて感じる違いというよりも、微振動をカットしてくれるため普段のライドでもすぐに違いが感じ取れるものだと思う。サドルはあまり厚ぼったいクッションのモデルは使いたくないが、ショーツ側のパッドを増すことで快適性を確保するのはスマートだと思う。
そして履いている自分には分からないのだが、ブラックに見えるカラーが実は濃紺に近いダークグレーで、光の加減で色味が違って見えるのがカッコイイと一緒に走った友人が教えてくれた。立体感のあるアソスロゴのエンブレムや、小さいながらも効果的な位置に縫い込まれた再帰反射素材のリフレクターなど、造作が巧みで、全体に高級感が漂っているビブショーツだ。快適さは過剰なものではなく、あくまで走りをサポートするアソスらしい造り込みだ。「究極のロングライド用」としての一張羅のはずが、気づけば普段のライドでヘビロテになりそうな気配だ。
アソス CENTO EVO BIB SHORTS
クライマレンジ:SUMMER 1/3 (ASSOS LAYERING SYSTEM サマーモデル)
サイズ:XS (159-159cm) / S (160-169cm) / M (160-169cm) / L (180-185cm) / XL (186-190cm) / TIR (191-195cm, 幅広)
素材:ポリアミド73% / エラスタン17% / ポリエステル10%
重量:185g(Mサイズ)
生産国:ブルガリア
価格:38,600円(税抜)
text&photo:Makoto AYANO
photo:Yasuo.Inaba(cyclewclub3UP)
資料協力:ASSOS PROSHOP TOKYO
フォトギャラリー
リンク
Amazon.co.jp