2020/08/27(木) - 17:25
65mmハイトのディープリムでも超軽量な1,501gを誇る「CADEX65」カーボンホイールを300kmライドでインプレッションした。埼玉から新潟まで300km、獲得標高4,000mオーバーのロングライドでこのスーパーホイールは果たして武器になったのか。
昨年のツール・ド・フランスでデビューしたCADEX(カデックス)は、ジャイアントが数年に渡りプロレースの現場で磨き上げたパーツブランドだ。2018年はサンウェブ、そして2019年からはCCCチームの走りを支えている。「THE PURSUIT OF PINNACLE PRODUCT(最高峰プロダクトの追求)」をテーマに、カーボンスポークを用いた超軽量ホイールと専用設計のチューブレスタイヤ、そしてサドルなど独自のテクノロジーが凝縮されたレーシングパーツが揃う。
ブランドの核となるホイールは、セミディープ、ディープ、バトン、ディスクホイールの4タイプのフルカーボンホイール群を揃える。ロードホイールは45と65mmの2つのハイト、タイプはチューブラーとチューブレス、そしてそれぞれディスクブレーキとリムブレーキバージョンを揃える合計8種類のラインアップだ。
優れたパワー伝達性とエアロダイナミクス、軽量性、ハンドリングを兼ね備えることがCADEXホイールの開発テーマで、全モデルにエアロ形状のリムとスポークを採用している。フックレスリムを採用するチューブレスモデルは、軽量化のみならず、専用設計のタイヤとのサイド部の段差をスムーズにすることで一層のエアロダイナミクス向上を達成している。
ロード用エアロホイールの中心となるのがオールラウンドに使える42mmハイトの「CADEX 42」と、空力性能を重視した65mmハイトの「CADEX 65」だ。今回はチューブレスモデルを取り上げる。
チューブレスタイプのリムはフックレス構造でありながら、カーボンレイアップを緻密に計算することで重量と強度とのバランスを整えている。構造上、タイヤビードとリムウォールが密着する必要があり、どちらにも高い工作精度が求められるため、現在の認定タイヤはカデックスRACEと、ジャイアントGAVIA(0および1グレード)のみとなる。
CADEXオリジナルハブは軽量でシンプルなつくり。ディスクブレーキ仕様のスルーアクスルハブは、キャップタイプのアクスルアダプターおよびフリーハブがツールレスで抜き挿しできるタイプで、メンテナンスやグリスアップも非常に簡単だ。フリーボディ内のラチェットはCADEXオリジナルの30Tラチェットタイプで、クラッチの噛み合せノッチが細かく、素速い反応性が期待できる。
また、超軽量のエアロカーボンスポークを採用したことが軽量化に大きく貢献している。エアロ形状の軽量金属スポークの代表的存在のDTスイス社製「エアロライト」が一本4.34gであるのに対し、カデックスのスポークは僅か2.85g。前後セット37本換算で、スポークだけでじつに38.5gの削減に成功している。これら各部の軽量化の積み重ねにより、大幅な軽量性を実現している。
スポークはニップルに相当する末端部がアルミ製で、カーボンブレードを通して接着させることでスポークの構造をとっている。振れ取り等のメンテナンスも可能でスポークの差し替えが効き、破損にも強い構造だが、取り扱いジャイアントディーラーで補修サービスが受けられるのも安心だ。
今回はメインの製品群であるホイールからCADEX 65を、一日で約300kmを走るウルトラライドで実走インプレした。軽さと高いエアロダイナミクスを併せ持つ稀有なホイールの、走って分かったメリットとはいかに。CW編集部の綾野が体験に基づいてお伝えする。
埼玉から日本海を目指した300kmライドでインプレッション
冒頭にも書いたとおり、今回は約300kmのロングライドでこのホイールを試すことになった。そのライドとは筆者がプライベートで所属するサイクルクラブのイベント「ツール・ド・日本海」。埼玉から新潟まで一気に走るというクラブの毎年の恒例行事で、5人程度のグループで朝の2時半にスタート、埼玉は飯能から新潟は直江津まで、日没までに走り切ろうというもの。
296kmの行程で獲得標高は4,200mというタフな行程を前に考えたことは「ベストなホイールは何だろう?」ということ。300km近いその距離だけでなく、嬬恋・軽井沢あたりで難関山岳が組み入れられ、その獲得標高も4,200mオーバーという「ハンパない」もの。つまり「巡航性に優れながら、登りも軽い軽量ホイール」が理想の条件だ。
各ブランドのホイールを比較して、スペック上のベストとして選出したのはCADEX65 TUBELESS。リムハイト65mmのスーパーディープながらセット重量1,501gという超軽量ぶり。そしてチューブレスが選べるのもポイント。
なぜならチューブラーのようにスペアタイヤを何本も持つ必要がなく、かつシーラントによる自己修復でほとんどのパンクが直るチューブレスはこうしたビッグライドの場合の必須条件でもある。もちろんチューブレスならではの快適な乗り心地が期待できる。ロングライド好きの筆者の自前ホイールは今やほとんどがチューブレスモデルだ。
CADEX65 TUBELESSは究極のエアロレーシングロードホイールとして設計されたモデル。私物のマヴィックCOSMIC CARBON SL PRO USTとのホイール交換の段階でまず驚かされた。45mmハイトのホイールよりも65mmハイトのホイールのほうがボリュームがあるのにまったく軽い! 手に持って明らかに軽いのは、ちょっと衝撃的な違和感だ。
ハイトが同じではないものの、他ブランドの同等のハイエンドカーボンディープホイールとの比較ではカタログ重量で70〜200gは軽い。実測するとセットで1,521gだったが、これはバルブとリムテープ込みの重量だ。
2日前の試走で空気圧等を細かく設定して、まずそのキャラクターを掴んだ。タイヤは専用のチューブレスタイヤのCADEX RACE 25mmがセットされている。このタイヤとリムの組み合わせはサイドの段差がほとんど無く、リムと一体となった面一(ツライチ)な形状になり、空気抵抗値が低そうだ。このタイヤの適正空気圧を探るのが、まずは大事な準備だ。
ディスクブレーキ時代の到来とともに必ずチューブレスが主流になると踏んで、筆者は10年以上前から現在市場にあるチューブレス&レディタイヤのほぼすべてを自分でテストしてきた。各社それぞれ特色や設計上のクセ、リムとの組み合わせ上の問題点などなど、気をつけるべきケースはいくつもあるが、このCADEXタイヤはCADEXホイールと組み合わせるぶんには最高のマッチングだと思う。傾向としてはやや剛性が高めのフィーリングで、空気圧の「美味しい帯域」はやや狭く、体重60kgの筆者で5気圧がベストだった。他社製で言えばマヴィックやハッチンソンのフワフワ・モチモチ系ではなく、IRCに近いやや硬めのフィーリング。
一日のチューニングライドで試した体験からのアドバイスとしては、もし「思ったより進まない」「ホイールが硬すぎる」と感じる場合、まず空気圧を下げてみるのが良さそうだということ。空気圧がストライクゾーンに入れば、ホイールの硬さとタイヤのしなやかさ、高グリップが素晴らしいハーモニーで、まるで滑空しているような極上の走行感覚が味わえる。圧が高いとホイールの硬さをモロに受けて路面のギャップを拾ってしまい、進みにくいと感じる。
そしてタイヤの脱着も試してみた。一度外したCADEXタイヤは、タイヤレバー無しで楽々取り付けができ、携帯ポンプでビードが上がるマッチの良さ。そして手持ちのIRC Formula Pro TL、マヴィックYKSIONタイヤも簡単に取り付けられた。数時間しか走れなかったが、実走でも問題なさそうな嵌合具合だった。
タイヤの空気圧や性格を掴んだうえで、いざツール・ド・日本海に投入。16時間走った感想から言えば、CADEX65ホイールのおかげで296kmを楽々と走り切り、いくつもの峠と山岳路をスイスイと登り、約16時間のライドをこなしたとは思えないほどの疲労の軽さで完走することができた。
CADEX65ホイールは、空気抵抗が低くて巡航性が高く、踏み出しも軽い。一度上がったスピードを楽々維持してくれ、山岳路の登りもその軽量性どおりの軽さでスルスルと登る。軽量スペシャルホイールの軽さながら、登りでもエアロが効き、慣性力が高いためスピードが落ちにくく、一定テンポが刻みやすいため脚にこないのだ。軽さと高い巡航性を兼ね備えたその乗り心地は他に無いものだ。
CADEX65はロングライドが楽しくなるスーパーホイールだ。気になる傾向としては、そのディープさからくる巡航性の高さゆえに真っ直ぐ走ろうとする力が強く働き、タイトコーナーの切り返しなどでアンダーステア傾向が出ること。コーナリングの際に起き上がろうとする力が働くためか、バイクを寝かせにくい感覚があるのだ。横風が吹いても振られにくいが、65mmリムの横面積の広さから荒天時のことを考えるとやや不安が残る。しかしそんな点にしかデメリットを感じない。
当日は3時間ほど雨に振られ、林道の峠からの荒れた路面の雨中ダウンヒルなど悪条件に見舞われたが、パンクもトラブルも一切なかった。華奢なホイールではない。ホイール自体は剛性が高くて硬いが、タイヤの柔軟性で十分な快適性があるため、ブルベなどのロングライドにも向くだろう。加速性や反応性にも優れるためロードレースに向くのはコンセプト通りだと感じた。スーパーディープなのに、踏み出しから軽いのはまさに「飛び道具」だ。
フルカーボンスポークはもし破損しても、取り扱いジャイアントディーラーで交換等のリペアも利く。それどころか2年間の品質保証と5年間の破損交換プログラムが付随しているのはさすがジャイアント。きわどいスペックのホイールに思えるが、運用やメンテナンス上のデメリットが無いことに安心できる。
唯一気になる点といえば、タイヤの選択肢が限定されることだろう。ジャイアントによれば、CADEXとGIANTのフックレスリムホイールにおける他メーカーのタイヤの適合性をテストで確認した「アプルーバルリスト」が近日中に公式サイトで更新されるという。
つまりそれまでは他社タイヤの使用については自己責任で試してみるということになるが、最初からセットされているCADEX RACEは十分に満足のいく高性能タイヤで、マッチング上も素晴らしいため、これを他に替える必要性はとくに無いとも感じる。
CADEXホイールを語るとき、どうしても比較して話に出てくるのが「プロが自費で購入してまで使う」ライトウェイト社のホイールだ。重量や価格、破損時の対応やスポークの交換可否、メンテナンスのしやすさなど、「究極の回転体」同士、比較してメリットのあるほうを選べば良いと思うが、CADEXホイールは扱いやすさとジャイアントのチャンネルによるアフターサービスまでもが期待できる製品だ。レースやブルベなど「ハレの日」だけじゃなく、普段使いすることだって安心なスーパーホイールだと思う。
フロントハブ:CADEX Low Friction Hub(ディスクはセンターロック仕様)
リアハブ:CADEX Low Friction Hub, Ratchet Driver(センターロック仕様)
対応カセット:Shimano 11 / SRAM XDR 12(別売)
スポーク(フロント、リア):Aero Carbon Spoke
品質保証:2年間
破損交換プログラム:5年間
税抜価格:フロント140,000円、リア200,000円
※ディスクのスルーアクスルは付属しない
impression&text:Makoto.AYANO
昨年のツール・ド・フランスでデビューしたCADEX(カデックス)は、ジャイアントが数年に渡りプロレースの現場で磨き上げたパーツブランドだ。2018年はサンウェブ、そして2019年からはCCCチームの走りを支えている。「THE PURSUIT OF PINNACLE PRODUCT(最高峰プロダクトの追求)」をテーマに、カーボンスポークを用いた超軽量ホイールと専用設計のチューブレスタイヤ、そしてサドルなど独自のテクノロジーが凝縮されたレーシングパーツが揃う。
ブランドの核となるホイールは、セミディープ、ディープ、バトン、ディスクホイールの4タイプのフルカーボンホイール群を揃える。ロードホイールは45と65mmの2つのハイト、タイプはチューブラーとチューブレス、そしてそれぞれディスクブレーキとリムブレーキバージョンを揃える合計8種類のラインアップだ。
優れたパワー伝達性とエアロダイナミクス、軽量性、ハンドリングを兼ね備えることがCADEXホイールの開発テーマで、全モデルにエアロ形状のリムとスポークを採用している。フックレスリムを採用するチューブレスモデルは、軽量化のみならず、専用設計のタイヤとのサイド部の段差をスムーズにすることで一層のエアロダイナミクス向上を達成している。
ロード用エアロホイールの中心となるのがオールラウンドに使える42mmハイトの「CADEX 42」と、空力性能を重視した65mmハイトの「CADEX 65」だ。今回はチューブレスモデルを取り上げる。
チューブレスタイプのリムはフックレス構造でありながら、カーボンレイアップを緻密に計算することで重量と強度とのバランスを整えている。構造上、タイヤビードとリムウォールが密着する必要があり、どちらにも高い工作精度が求められるため、現在の認定タイヤはカデックスRACEと、ジャイアントGAVIA(0および1グレード)のみとなる。
CADEXオリジナルハブは軽量でシンプルなつくり。ディスクブレーキ仕様のスルーアクスルハブは、キャップタイプのアクスルアダプターおよびフリーハブがツールレスで抜き挿しできるタイプで、メンテナンスやグリスアップも非常に簡単だ。フリーボディ内のラチェットはCADEXオリジナルの30Tラチェットタイプで、クラッチの噛み合せノッチが細かく、素速い反応性が期待できる。
また、超軽量のエアロカーボンスポークを採用したことが軽量化に大きく貢献している。エアロ形状の軽量金属スポークの代表的存在のDTスイス社製「エアロライト」が一本4.34gであるのに対し、カデックスのスポークは僅か2.85g。前後セット37本換算で、スポークだけでじつに38.5gの削減に成功している。これら各部の軽量化の積み重ねにより、大幅な軽量性を実現している。
スポークはニップルに相当する末端部がアルミ製で、カーボンブレードを通して接着させることでスポークの構造をとっている。振れ取り等のメンテナンスも可能でスポークの差し替えが効き、破損にも強い構造だが、取り扱いジャイアントディーラーで補修サービスが受けられるのも安心だ。
今回はメインの製品群であるホイールからCADEX 65を、一日で約300kmを走るウルトラライドで実走インプレした。軽さと高いエアロダイナミクスを併せ持つ稀有なホイールの、走って分かったメリットとはいかに。CW編集部の綾野が体験に基づいてお伝えする。
埼玉から日本海を目指した300kmライドでインプレッション
冒頭にも書いたとおり、今回は約300kmのロングライドでこのホイールを試すことになった。そのライドとは筆者がプライベートで所属するサイクルクラブのイベント「ツール・ド・日本海」。埼玉から新潟まで一気に走るというクラブの毎年の恒例行事で、5人程度のグループで朝の2時半にスタート、埼玉は飯能から新潟は直江津まで、日没までに走り切ろうというもの。
296kmの行程で獲得標高は4,200mというタフな行程を前に考えたことは「ベストなホイールは何だろう?」ということ。300km近いその距離だけでなく、嬬恋・軽井沢あたりで難関山岳が組み入れられ、その獲得標高も4,200mオーバーという「ハンパない」もの。つまり「巡航性に優れながら、登りも軽い軽量ホイール」が理想の条件だ。
各ブランドのホイールを比較して、スペック上のベストとして選出したのはCADEX65 TUBELESS。リムハイト65mmのスーパーディープながらセット重量1,501gという超軽量ぶり。そしてチューブレスが選べるのもポイント。
なぜならチューブラーのようにスペアタイヤを何本も持つ必要がなく、かつシーラントによる自己修復でほとんどのパンクが直るチューブレスはこうしたビッグライドの場合の必須条件でもある。もちろんチューブレスならではの快適な乗り心地が期待できる。ロングライド好きの筆者の自前ホイールは今やほとんどがチューブレスモデルだ。
CADEX65 TUBELESSは究極のエアロレーシングロードホイールとして設計されたモデル。私物のマヴィックCOSMIC CARBON SL PRO USTとのホイール交換の段階でまず驚かされた。45mmハイトのホイールよりも65mmハイトのホイールのほうがボリュームがあるのにまったく軽い! 手に持って明らかに軽いのは、ちょっと衝撃的な違和感だ。
ハイトが同じではないものの、他ブランドの同等のハイエンドカーボンディープホイールとの比較ではカタログ重量で70〜200gは軽い。実測するとセットで1,521gだったが、これはバルブとリムテープ込みの重量だ。
2日前の試走で空気圧等を細かく設定して、まずそのキャラクターを掴んだ。タイヤは専用のチューブレスタイヤのCADEX RACE 25mmがセットされている。このタイヤとリムの組み合わせはサイドの段差がほとんど無く、リムと一体となった面一(ツライチ)な形状になり、空気抵抗値が低そうだ。このタイヤの適正空気圧を探るのが、まずは大事な準備だ。
ディスクブレーキ時代の到来とともに必ずチューブレスが主流になると踏んで、筆者は10年以上前から現在市場にあるチューブレス&レディタイヤのほぼすべてを自分でテストしてきた。各社それぞれ特色や設計上のクセ、リムとの組み合わせ上の問題点などなど、気をつけるべきケースはいくつもあるが、このCADEXタイヤはCADEXホイールと組み合わせるぶんには最高のマッチングだと思う。傾向としてはやや剛性が高めのフィーリングで、空気圧の「美味しい帯域」はやや狭く、体重60kgの筆者で5気圧がベストだった。他社製で言えばマヴィックやハッチンソンのフワフワ・モチモチ系ではなく、IRCに近いやや硬めのフィーリング。
一日のチューニングライドで試した体験からのアドバイスとしては、もし「思ったより進まない」「ホイールが硬すぎる」と感じる場合、まず空気圧を下げてみるのが良さそうだということ。空気圧がストライクゾーンに入れば、ホイールの硬さとタイヤのしなやかさ、高グリップが素晴らしいハーモニーで、まるで滑空しているような極上の走行感覚が味わえる。圧が高いとホイールの硬さをモロに受けて路面のギャップを拾ってしまい、進みにくいと感じる。
そしてタイヤの脱着も試してみた。一度外したCADEXタイヤは、タイヤレバー無しで楽々取り付けができ、携帯ポンプでビードが上がるマッチの良さ。そして手持ちのIRC Formula Pro TL、マヴィックYKSIONタイヤも簡単に取り付けられた。数時間しか走れなかったが、実走でも問題なさそうな嵌合具合だった。
タイヤの空気圧や性格を掴んだうえで、いざツール・ド・日本海に投入。16時間走った感想から言えば、CADEX65ホイールのおかげで296kmを楽々と走り切り、いくつもの峠と山岳路をスイスイと登り、約16時間のライドをこなしたとは思えないほどの疲労の軽さで完走することができた。
CADEX65ホイールは、空気抵抗が低くて巡航性が高く、踏み出しも軽い。一度上がったスピードを楽々維持してくれ、山岳路の登りもその軽量性どおりの軽さでスルスルと登る。軽量スペシャルホイールの軽さながら、登りでもエアロが効き、慣性力が高いためスピードが落ちにくく、一定テンポが刻みやすいため脚にこないのだ。軽さと高い巡航性を兼ね備えたその乗り心地は他に無いものだ。
CADEX65はロングライドが楽しくなるスーパーホイールだ。気になる傾向としては、そのディープさからくる巡航性の高さゆえに真っ直ぐ走ろうとする力が強く働き、タイトコーナーの切り返しなどでアンダーステア傾向が出ること。コーナリングの際に起き上がろうとする力が働くためか、バイクを寝かせにくい感覚があるのだ。横風が吹いても振られにくいが、65mmリムの横面積の広さから荒天時のことを考えるとやや不安が残る。しかしそんな点にしかデメリットを感じない。
当日は3時間ほど雨に振られ、林道の峠からの荒れた路面の雨中ダウンヒルなど悪条件に見舞われたが、パンクもトラブルも一切なかった。華奢なホイールではない。ホイール自体は剛性が高くて硬いが、タイヤの柔軟性で十分な快適性があるため、ブルベなどのロングライドにも向くだろう。加速性や反応性にも優れるためロードレースに向くのはコンセプト通りだと感じた。スーパーディープなのに、踏み出しから軽いのはまさに「飛び道具」だ。
フルカーボンスポークはもし破損しても、取り扱いジャイアントディーラーで交換等のリペアも利く。それどころか2年間の品質保証と5年間の破損交換プログラムが付随しているのはさすがジャイアント。きわどいスペックのホイールに思えるが、運用やメンテナンス上のデメリットが無いことに安心できる。
唯一気になる点といえば、タイヤの選択肢が限定されることだろう。ジャイアントによれば、CADEXとGIANTのフックレスリムホイールにおける他メーカーのタイヤの適合性をテストで確認した「アプルーバルリスト」が近日中に公式サイトで更新されるという。
つまりそれまでは他社タイヤの使用については自己責任で試してみるということになるが、最初からセットされているCADEX RACEは十分に満足のいく高性能タイヤで、マッチング上も素晴らしいため、これを他に替える必要性はとくに無いとも感じる。
CADEXホイールを語るとき、どうしても比較して話に出てくるのが「プロが自費で購入してまで使う」ライトウェイト社のホイールだ。重量や価格、破損時の対応やスポークの交換可否、メンテナンスのしやすさなど、「究極の回転体」同士、比較してメリットのあるほうを選べば良いと思うが、CADEXホイールは扱いやすさとジャイアントのチャンネルによるアフターサービスまでもが期待できる製品だ。レースやブルベなど「ハレの日」だけじゃなく、普段使いすることだって安心なスーパーホイールだと思う。
CADEX65 TUBELESS スペック
リムサイズ:外幅26mm、内幅22.4mmフロントハブ:CADEX Low Friction Hub(ディスクはセンターロック仕様)
リアハブ:CADEX Low Friction Hub, Ratchet Driver(センターロック仕様)
対応カセット:Shimano 11 / SRAM XDR 12(別売)
スポーク(フロント、リア):Aero Carbon Spoke
品質保証:2年間
破損交換プログラム:5年間
税抜価格:フロント140,000円、リア200,000円
CADEX 65 ホイール 各タイプのスペック比較
車輪タイプ | ディスク/チューブレス | ディスク/チューブラー | リム/チューブレス | リム/チューブラー |
フロントアクスル | 100x12 TA | 100x12 TA | Titanium 100x5 QR | Titanium 100x5 QR |
リアアクスル | 142x12 TA | 142x12 TA | Titanium 130x5 QR | Titanium 130x5 QR |
スポーク組 (フロント) | Straight pull, 21H | Straight pull, 21H | Straight pull, 16H | Straight pull, 16H |
スポーク組 (リア) | DBL, 24H | DBL, 24H | DBL, 21H | DBL, 21H |
重量 (ペア) | 1501g | 1444g | 1425g | 1367g |
impression&text:Makoto.AYANO
リンク
Amazon.co.jp