2009/03/19(木) - 16:32
「クリスタロ」の後継モデル位置するCX-1は、東レ製ハイモジュールカーボンを使った、モノコック構造のモデルではコルナゴのトップグレードに位置するレーシングフレームだ。
プロサイクリストによって密かにテストされていたという新世代フレームがCX-1だ。長い年月をかけて開発され、2008年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスにおいて実践投入され、最終調整がなされたという。
フレーム重量は約1000gと軽量に仕上がりながらも、オスカル・フレイレといった超一流スプリンターのパワーにも耐えるたくましい剛性レベルを確保。新たに導入された「C−HS」コルナゴ・ヘッドシステムにより、ハイスピードダウンヒルといった極限状態でも安定したスタビリティを実現しているという。
フレーム形状はスチール全盛の頃から研究を重ねた多角形チューブによる剛性の適正化が功を奏し、高い剛性レベルを決定づけた。ジルコデザインとよばれる多角形のスチールチューブは星形断面に変形させた美しさと性能を兼ねそなえたものだった。
その優れたデザインをカーボン全盛の現代に取り入れることで著しく性能を昇華させることができたのだ。
新たなテクノロジーはヘッドシステムに集約される。セミインテグラルヘッドという構造の「C−HS」は優れた精度とメンテナンス性が特徴だ。ヘッドチューブはボリュームアップし、パワーライドにも屈しない剛性レベルを手にしている。
フォークは定番のストレートフォーク。これもフレーム同様にかなりのボリュームをもつたくましい造形。フレーム剛性を引き立て、あらゆる場面で安定した走行フィールをもたらすであろう。
加えてモノコックフレームの恩恵により優れた振動吸収性も手に入れた。
ボリュームフルなフレームにしては少々おとなしいデザイン。広いカンバスを使って大胆なグラフィックを描くほうがコルナゴらしいが、ストイックなレーシングマシンとしては、これくらいがちょうど良いのだろう。
剛性レベルは高め。バイクの動きは実に軽快であり、踏み込んだときの加速性が気持ちいい。キビキビと反応する。
ただしESPの剛性感とは別物。カーボンモノコックフレームらしい雰囲気が感じられる。ハンドリングも軽快で、レーシングバイクらしい。そもそもレース用として開発されただけあって、振動吸収性に関しては特化しているようには思えないが、標準的なレベルを維持しているだろう。
フォークはコルナゴらしいストレートフォーク。フレームに良くマッチした剛性レベルで、ハードな動きにもしっかりと対応し、安心感がある。
レース用ならなおさら高額なコルナゴのレーシングフレームがこの価格で手に入るのは歓迎できる。EPSとは構造は異なるものの、この存在感と性能を引き出すとは、さすがはコルナゴだ。
フレームは比較的おだやかに感じるが、ガッチリとした粘りのある硬さがある。
初速の加速感はなかなか良い。踏みだしの一歩目から反応性はいいが、硬質な切れ味というよりはじっくりと加速していく印象だろうか。高速域でもしっかりとパワーを受け止め、加速感に繋げていく。
上りではダンシング、シッティングの両方のペダリングに対応。パワフルに踏み込んでもよく耐えている。
フォークの剛性や設計はコルナゴの遺伝子を継ぐもので、ストレートフォークを選択。キビキビとした反応、加えてバイクコントロールに余裕が生まれるようなたくましさも兼ねそなえる。
パーツアッセンブルでは、カンパニョーロ・シャマルウルトラといった硬質なホイールが合うのではないか。フレームの質感と相まって優れた運動性能を発揮するだろう。
カーボンモノコックフレームということで、コルナゴのカーボンフレームとしては新しい顔となる。EPSのような男気溢れる「ザ・コルナゴ」というようなモデルではないが、万人向けのコンペティションバイクとして人気が出そうだ。
フレームマテリアル カーボンモノコック HM+3Kカーボン
フォーク CX-1カーボン
シートポストサイズ 31.6mm
サイズ 420S / 450S / 480S / 500S / 520S / 540S
カラー ACRD / ACBK / AC00
希望小売価格 777,000円(カンパニョーロ コーラス仕様完成車)
399,000円(フレームセット、専用ヘッドセットシステム付属)
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
プロサイクリストによって密かにテストされていたという新世代フレームがCX-1だ。長い年月をかけて開発され、2008年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスにおいて実践投入され、最終調整がなされたという。
フレーム重量は約1000gと軽量に仕上がりながらも、オスカル・フレイレといった超一流スプリンターのパワーにも耐えるたくましい剛性レベルを確保。新たに導入された「C−HS」コルナゴ・ヘッドシステムにより、ハイスピードダウンヒルといった極限状態でも安定したスタビリティを実現しているという。
新機構を取り入れた軽量フレーム
フレーム形状はスチール全盛の頃から研究を重ねた多角形チューブによる剛性の適正化が功を奏し、高い剛性レベルを決定づけた。ジルコデザインとよばれる多角形のスチールチューブは星形断面に変形させた美しさと性能を兼ねそなえたものだった。
その優れたデザインをカーボン全盛の現代に取り入れることで著しく性能を昇華させることができたのだ。
新たなテクノロジーはヘッドシステムに集約される。セミインテグラルヘッドという構造の「C−HS」は優れた精度とメンテナンス性が特徴だ。ヘッドチューブはボリュームアップし、パワーライドにも屈しない剛性レベルを手にしている。
フォークは定番のストレートフォーク。これもフレーム同様にかなりのボリュームをもつたくましい造形。フレーム剛性を引き立て、あらゆる場面で安定した走行フィールをもたらすであろう。
加えてモノコックフレームの恩恵により優れた振動吸収性も手に入れた。
ボリュームフルなフレームにしては少々おとなしいデザイン。広いカンバスを使って大胆なグラフィックを描くほうがコルナゴらしいが、ストイックなレーシングマシンとしては、これくらいがちょうど良いのだろう。
インプレッション
「コルナゴのレースモデルがこの価格で手に入るとは」
浅見和洋(なるしまフレンド)
剛性レベルは高め。バイクの動きは実に軽快であり、踏み込んだときの加速性が気持ちいい。キビキビと反応する。
ただしESPの剛性感とは別物。カーボンモノコックフレームらしい雰囲気が感じられる。ハンドリングも軽快で、レーシングバイクらしい。そもそもレース用として開発されただけあって、振動吸収性に関しては特化しているようには思えないが、標準的なレベルを維持しているだろう。
フォークはコルナゴらしいストレートフォーク。フレームに良くマッチした剛性レベルで、ハードな動きにもしっかりと対応し、安心感がある。
レース用ならなおさら高額なコルナゴのレーシングフレームがこの価格で手に入るのは歓迎できる。EPSとは構造は異なるものの、この存在感と性能を引き出すとは、さすがはコルナゴだ。
「ガッチリとした剛性感と高いレーシング性能はさすがコルナゴ」
山本健一(バイクジャーナリスト)
フレームは比較的おだやかに感じるが、ガッチリとした粘りのある硬さがある。
初速の加速感はなかなか良い。踏みだしの一歩目から反応性はいいが、硬質な切れ味というよりはじっくりと加速していく印象だろうか。高速域でもしっかりとパワーを受け止め、加速感に繋げていく。
上りではダンシング、シッティングの両方のペダリングに対応。パワフルに踏み込んでもよく耐えている。
フォークの剛性や設計はコルナゴの遺伝子を継ぐもので、ストレートフォークを選択。キビキビとした反応、加えてバイクコントロールに余裕が生まれるようなたくましさも兼ねそなえる。
パーツアッセンブルでは、カンパニョーロ・シャマルウルトラといった硬質なホイールが合うのではないか。フレームの質感と相まって優れた運動性能を発揮するだろう。
カーボンモノコックフレームということで、コルナゴのカーボンフレームとしては新しい顔となる。EPSのような男気溢れる「ザ・コルナゴ」というようなモデルではないが、万人向けのコンペティションバイクとして人気が出そうだ。
フレームスペック
フレームマテリアル カーボンモノコック HM+3Kカーボン
フォーク CX-1カーボン
シートポストサイズ 31.6mm
サイズ 420S / 450S / 480S / 500S / 520S / 540S
カラー ACRD / ACBK / AC00
希望小売価格 777,000円(カンパニョーロ コーラス仕様完成車)
399,000円(フレームセット、専用ヘッドセットシステム付属)
インプレライダーのプロフィール
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
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