2020/08/14(金) - 08:32
標高1,331mの超級山岳ポルト峠でチームイネオスから主導権を奪ったユンボ・ヴィスマが再びの勝利。クリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージでライバルたちを圧倒したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が3ステージを残して総合首位に立った。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの舞台は中央山塊からアルプス山脈へ。第2ステージは残り45kmを切ってから1級山岳マイエ峠(距離6.2km/平均8%)を越え、標高1,331mの超級山岳ポルト峠(距離17.5km/平均6.2%)にフィニッシュする。残り12km地点に短い下り区間が登場するポルト峠の実質的な平均勾配は8%で、中腹にかけて10%を刻む厳しい上りだ。
獲得標高差2,700mの山岳ステージは、山岳賞ジャージを着るミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)を含む8人が4分弱のリードをもって先行する展開に。リーダーチームのトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が序盤から徹底的にメイン集団のコントロールを担った。
マルティンを先頭に2分遅れで1級山岳マイエ峠に到着したメイン集団では、イエロージャージを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のペースメイクが始まる。リードが1分30秒前後にまで縮まった逃げグループはシェアーとブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)の2人に。2日連続逃げのシェアーが1級山岳マイエ峠を先頭通過し、最終山岳の超級山岳ポルト峠で15ポイントを獲得する選手(つまりステージ優勝者)に山岳賞ジャージを奪われることを阻止している。
シェアーとアルミライルを追いかけるメイン集団では、最後の超級山岳ポルト峠を前にした平坦区間でセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)やピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)が落車で脱落。いよいよ超級山岳ポルト峠の登坂が始まると、イエロージャージのファンアールトが仕事を終えて後方に下がっていった。
フィニッシュまで12kmを切るとユンボ・ヴィスマに代わってチームイネオスがメンバー全員を揃えて集団先頭へ。ファンバーレ→カストロビエホ→クフィアトコフスキ→フルーム→トーマス→シヴァコフ→ベルナルという並びでそれぞれ力尽きるまでペースを上げる。
このイネオストレインの牽引により、逃げていたアルミライルは残り8.5km地点で吸収。カウンターアタックを仕掛けたビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム)も捕らえられ、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)といった脱落者を生みながらメイン集団は高速登坂を続けた。
残り6km地点から始まったミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス)の牽引により集団はさらに人数を減らし、チームメイトのクリストファー・フルーム(イギリス)は先頭に出ることができないまま脱落してしまう。それでもチームイネオスはゲラント・トーマス(イギリス)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア)とバトンを繋いで残り2km。
エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のアタック後にエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が自ら動いたが、ログリッチの最終アシストを務めるセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)の高速ペースがライバルたちの先行を許さない。フラムルージュ(残り1kmアーチ)を切り、クスが仕事を終えると本命たちの戦いが始まった。
残り650m、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)とブッフマンのアタックにカウンターを仕掛ける形で本命ログリッチが動いた。ダンシングで急加速するのではなく、シッティングで踏んでペースを上げたログリッチ。ダンシングで反応したベルナルを振り切って独走に持ち込んだログリッチがフィニッシュラインまで快走する。終わってみれば後方の選手たちが見えないほどの圧倒的な走りで、スロベニアンチャンピオンが勝利した。
残り11.8km/平均7.2%をログリッチは30分28秒、平均スピード23.3km/hで駆け上がっており、VAMは1,665に達している。アタックからフィニッシュまでの登坂時間60秒の間に、ライバルたちに8秒ものタイム差をつけた。
「チームにとって素晴らしい結果になった。再びチームとして準備が万全であったことを見せつけたと思う。チームメイトたちがこの勝利を完璧な形でお膳立てしてくれた」。ユンボ・ヴィスマにステージ2連勝をもたらし、チームメイトのファンアールトからイエロージャージを受け継いだログリッチは喜ぶ。「この不可思議なシーズンで、レースを走る喜びを噛み締めているし、自分の調子にもとても満足している」。
8秒遅れのステージ2位と3位にはティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とブッフマンが入り、ログリッチが「最も強力なライバル」と名指しするベルナルは10秒遅れのステージ10位に。ボーナスタイムも加算したログリッチはピノと12秒差で総合首位に立っている。
この日はレース終了後、表彰式の最中に会場の天候が悪化。それまで降っていた小雨が大粒の雹に変わり、ポルト峠に叩きつけた。トップから30分前後遅れた選手たちは降りしきる雹の中を走り続けなければならず、先にフィニッシュした選手たちも白い氷の玉が敷き詰められた峠道を下山しなければならない状況に。何人かの選手は打ち付けた雹によって真っ赤になった背中の写真をSNSにアップしている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの舞台は中央山塊からアルプス山脈へ。第2ステージは残り45kmを切ってから1級山岳マイエ峠(距離6.2km/平均8%)を越え、標高1,331mの超級山岳ポルト峠(距離17.5km/平均6.2%)にフィニッシュする。残り12km地点に短い下り区間が登場するポルト峠の実質的な平均勾配は8%で、中腹にかけて10%を刻む厳しい上りだ。
獲得標高差2,700mの山岳ステージは、山岳賞ジャージを着るミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)を含む8人が4分弱のリードをもって先行する展開に。リーダーチームのトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が序盤から徹底的にメイン集団のコントロールを担った。
マルティンを先頭に2分遅れで1級山岳マイエ峠に到着したメイン集団では、イエロージャージを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のペースメイクが始まる。リードが1分30秒前後にまで縮まった逃げグループはシェアーとブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)の2人に。2日連続逃げのシェアーが1級山岳マイエ峠を先頭通過し、最終山岳の超級山岳ポルト峠で15ポイントを獲得する選手(つまりステージ優勝者)に山岳賞ジャージを奪われることを阻止している。
シェアーとアルミライルを追いかけるメイン集団では、最後の超級山岳ポルト峠を前にした平坦区間でセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)やピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)が落車で脱落。いよいよ超級山岳ポルト峠の登坂が始まると、イエロージャージのファンアールトが仕事を終えて後方に下がっていった。
フィニッシュまで12kmを切るとユンボ・ヴィスマに代わってチームイネオスがメンバー全員を揃えて集団先頭へ。ファンバーレ→カストロビエホ→クフィアトコフスキ→フルーム→トーマス→シヴァコフ→ベルナルという並びでそれぞれ力尽きるまでペースを上げる。
このイネオストレインの牽引により、逃げていたアルミライルは残り8.5km地点で吸収。カウンターアタックを仕掛けたビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム)も捕らえられ、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)といった脱落者を生みながらメイン集団は高速登坂を続けた。
残り6km地点から始まったミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス)の牽引により集団はさらに人数を減らし、チームメイトのクリストファー・フルーム(イギリス)は先頭に出ることができないまま脱落してしまう。それでもチームイネオスはゲラント・トーマス(イギリス)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア)とバトンを繋いで残り2km。
エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のアタック後にエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が自ら動いたが、ログリッチの最終アシストを務めるセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)の高速ペースがライバルたちの先行を許さない。フラムルージュ(残り1kmアーチ)を切り、クスが仕事を終えると本命たちの戦いが始まった。
残り650m、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)とブッフマンのアタックにカウンターを仕掛ける形で本命ログリッチが動いた。ダンシングで急加速するのではなく、シッティングで踏んでペースを上げたログリッチ。ダンシングで反応したベルナルを振り切って独走に持ち込んだログリッチがフィニッシュラインまで快走する。終わってみれば後方の選手たちが見えないほどの圧倒的な走りで、スロベニアンチャンピオンが勝利した。
残り11.8km/平均7.2%をログリッチは30分28秒、平均スピード23.3km/hで駆け上がっており、VAMは1,665に達している。アタックからフィニッシュまでの登坂時間60秒の間に、ライバルたちに8秒ものタイム差をつけた。
「チームにとって素晴らしい結果になった。再びチームとして準備が万全であったことを見せつけたと思う。チームメイトたちがこの勝利を完璧な形でお膳立てしてくれた」。ユンボ・ヴィスマにステージ2連勝をもたらし、チームメイトのファンアールトからイエロージャージを受け継いだログリッチは喜ぶ。「この不可思議なシーズンで、レースを走る喜びを噛み締めているし、自分の調子にもとても満足している」。
8秒遅れのステージ2位と3位にはティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とブッフマンが入り、ログリッチが「最も強力なライバル」と名指しするベルナルは10秒遅れのステージ10位に。ボーナスタイムも加算したログリッチはピノと12秒差で総合首位に立っている。
この日はレース終了後、表彰式の最中に会場の天候が悪化。それまで降っていた小雨が大粒の雹に変わり、ポルト峠に叩きつけた。トップから30分前後遅れた選手たちは降りしきる雹の中を走り続けなければならず、先にフィニッシュした選手たちも白い氷の玉が敷き詰められた峠道を下山しなければならない状況に。何人かの選手は打ち付けた雹によって真っ赤になった背中の写真をSNSにアップしている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2020第2ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 3:39:40 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:08 |
3位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:00:10 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
7位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
8位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
9位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
13位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:59 |
14位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
15位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:01 |
16位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:09 |
21位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:01:37 |
23位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
32位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:02:53 |
36位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:41 |
49位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) | 0:08:32 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 9:07:12 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:12 |
3位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:14 |
4位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:00:16 |
5位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | 0:00:18 |
6位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:00:20 |
7位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | |
8位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
9位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
10位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
山岳賞 | ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム) | |
ヤングライダー賞 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィスマ |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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